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⑤ 聖 視点

強豪校で部活がしたくて普通科にくる人はいても、わざわざ男子校の特進科にくる人は少ないらしい。 通りで中学とは比べ物にならないくらい、同性に言い寄られるわけだと納得した。   咲磨を好きだということは、僕はホモなのかもしれないけれど、男と手をつなぐぐらいなら、女の子と手をつなぐ方がいい。 咲磨が特別なだけで、僕は女の子の方が好きだと思う。     話に夢中になっていたが、ふと咲磨がいつもの時間を過ぎたのに来ていないことに気づいた。 まさか、部活中にケガをしたとか、上級生にいじめられているとか!?と、不安になりラインを送る。     クラスの男子は、迎えが来たと言い、帰って行った。 咲磨に着信も入れたが出ない。 不安で不安で教室の中でウロウロしていると、漸く返事が来た。   『ごめん。部活の皆でスポーツ用品店に行くことになった。先に帰って』     安堵で床にしゃがみ込む。 と、同時に怒りがわいてきた。   もっと早く言ってよ っていうか、この僕よりも優先すべき事項っていったい何? たかが数か月の付き合いの人間より、15年一緒にいる僕の方が大事に決まってるじゃん 僕がもしも帰り道に襲われたらどうする気?   が、打ちかけて取り消した。 そんなこと言ったら「無理に帰る時間合わせなくていいよ」と言われるだけだ。 そうなったら僕が困るだけだ。   ぐっとこらえて、明日は一緒に帰る約束をする。 僕に告白してくる人たちもこんなクソデカ感情を抱えて生きてるのだろうか。     翌日からの咲磨は普段通りに見えたけど、どこか心の距離を感じた。 優しいし、ちゃんと応対してくれるけど、踏み込もうとすると、さっと身を引かれる感じ。 こんな風に感じたのは初めてで、僕はモヤモヤした。   それが数週間続いた。 まったくもって、何が原因なのか分からない。    

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