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第2話

そんな時、ナニかが囁く。 甘い言葉。 おいで、おいで、と手招くように笑う。 妻じゃない。 子供でもない。 だけど、その囁きはとても甘い。 そんな夢を見た日から、蘇りについて調べ始めた。 蘇り。 呪いについて。 この科学の恩恵に預かる世界で馬鹿馬鹿しい。 そんなの、中学二年生でお別れだ。 だけど、縋れるならなんでも良い。 藁でも、蜘蛛の糸でも。 読めば読むほど、それがインチキくさいと分かるはずなのに、男には既に正しい判断能力なんて有りはしなかった。 失ったのは家族だけではない。 まともな判断能力も、正しい知識もだった。 ただ1つ、家族への愛情は色褪せることなく鮮やかなまま。 それに縋るように手を伸ばした。 愚かだろうと関係ない。 美しい愛情。

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