3 / 120
彼氏
『冷蔵庫に、おにぎり入ってる』
『バイトあるから、それ食べて、ちょっと待っててね』
暁 が来て衝撃の3ヶ月目から、暁は少しずつ喋り始め
父さんと母さんが出掛けても
もう、あんな事はしなくなった
けれども、父さんと母さんが、2人して出掛けると
何となく…
落ち着かない様な
いつもと違う感じがして
俺は、なるべく傍で声を掛けた
ところが、更に1ヶ月
「ほんとに行かない?暁と会うの、おばあちゃんも楽しみにしてたけど…」
「…ごめんなさい」
暁が、俺の服の裾をぎゅっと掴む
「あ…謝らなくていいの。海とか綺麗なとこだからね…ま、今じゃなくていっか。じゃ、悠稀 頼んだわよ」
「うん。大丈夫。ゆっくりしてきて」
「何かあったら、すぐ連絡するんだぞ?」
「うん。行ってらっしゃい」
法事の為に、母さん方のばあちゃんの家に、泊まりがけで両親が、出掛けて行った
暁が、あまり行きたくなさそうだったので
俺と留守番する事にした
やっぱり少し寂しそう
けれでも、それ以外は特に変わった事もなく
もちろん、突然脱ぎだす事もなく
「おやすみ暁」
「おやすみなさい...」
大丈夫かな…
そう思わせる表情で
「暁…大丈夫?寂しかったら一緒に寝る?」
はっと…した様な
縋り付く様な顔で
「うん…」
と言ってきたので
暁と一緒に俺のベッドで寝る事になった
「ちょっと狭いかな?」
「大丈夫」
「暁…手貸して」
「手…」
「繋いで寝たら、寂しくないだろ?」
そう言って、手を繋いだ
安心させたかったのに
しばらくすると
「…っ…っ…ふっ…うっ…」
「え…ご…ごめん!手繋ぐの嫌だった?!」
パッと手を離す
「…っ…ふ~…っ…~っ…」
突然の初泣きに
どうしたらいいのか…
「暁…怖かった?それとも不安?どうして欲しい?」
「…っく…うっ…」
泣きながら首だけ振る
子供みたいに、甘やかせばいいのか?
でも、手を握るのダメだし
「でも暁泣いてるし…何でもいいから言って?絶対怒らないし、笑わないよ?」
「…っ…ふっ…喜ぶっ…事っ…~っ…させてっ…欲しっ…」
「よ…喜ぶ事?」
って?
させて欲しい?
して欲しいじゃなくて?
「よく分かんないけど、いいよ。どうすればいい?」
「…っ…たっ…立って...もらって…いいっ…?」
「立つの?じゃあ、ベッド降りようか…っと、ちょっと電気点けるね」
ピッ ピッ ピッ
あんま、泣き顔見られたくないよな
なんとか、その辺が見える位にする
俺がベッドの横に立つと
暁もベッドから降りる
「立って...それからどうすればいい?」
抱き締めてあげたいけど
何が暁にとって怖いのか分からない
「…うっ…ひっ…っく…下げっても…いいっ…です…かっ…?」
「……え?」
下げてもいいですか?
暁が掴んでるのは、俺のパジャマの下
何故?
ってか…
何でまた敬語に戻ってんの?
分かんないけど…
「それで、暁が安心するならいいよ」
「…っく…っ…っ…うっ…」
泣きながら俺のパジャマの下を下ろすと、横に置き
「…っ…ふっ…しつれっ…します」
そう言って
「えっ?!」
下着の上から、俺のを触ってきた
何すんだ?!
って、怒鳴りそうになり、思い出す
怒鳴られるの…怖いんだ
「暁…それで...暁…安心するの?」
「…うっ…はるにっ…喜んっ…でくれるっ…安心っ…」
そう言ってる間も、ずっと触ってきて
触り方が…初めてじゃない
「そういう事じゃなきゃ…ダメなの?暁に、悠兄って呼ばれるの嬉しいよ?暁が、どんどん喋ってくれる様になって…っ!嬉っ…しいよ?…っそういうんじゃっ…っ…ダメ?」
手つき…
ちょっと…勘弁…
「…うっ…っ…こういっうの……喜んでっ…くれっ…安心っ…まだっ…一緒…っ…居てくれっ...」
こういうの喜ぶって…
暁に、何させてんだよ
暁…何歳から…
何させられて…されてきたの?
暁の頭を撫でる
「暁…ほんとはね...っ!くっ……俺は、こういうのじゃない方っ…~っ!…いいんだけど、だっ…抱き締めるとかじゃっ…安心っ…出来ない?」
「…あっ...っ…すいませんっ…」
暁が、パッと俺から離れる
「あ…えっと…嫌とかじゃなくて…普通…あんまり、こういう事家族で…」
あっ...
しまった
お前は普通じゃないって、言ってるみたいだ
でも…普通じゃないし
どうすればいいんだ…
「…っ…ごめんなっさい…おかっさ…居る時…しないっ…から…良くないっ…事っ…分かっ…」
母親居る時から…
どういう心理状態でいたんだ…
「…でもっ…喜んでっ…貰うとっ……俺っも…嬉しっ…からっ……俺っ…何もっ…出来なっ…から…」
情けない姿のままで、暁の前に座る
「ねぇ、暁。抱き締めてもいい?」
「ふっ…うっ…」
コクコクと頷く
ぎゅ~~っと暁を抱き締める
「暁…子供が何も出来ないのは、皆一緒。俺だってまだ、父さんと母さん居ないと生きてけない。子供はね、居るだけでいいんだって。それだけで、皆を幸せにするんだって。だから、頑張って喜ばせようとしなくたって、いいんだよ。俺も子供だけど、暁とこうしてると、凄く嬉しいよ」
「…っ分かんなっ…いっぱいっ…喜んでもらわないっ…~~っ!またっ…置いてかれる!」
なっ…
置いて…
「置いてかない!ねぇ、父さんも母さんも明日には、ちゃんと帰って来るし、俺はずっと居るよ?もう…そんな心配しなくていいんだよ」
「…うっうっ…ふっ…うっ…」
首を振りながら泣いている
何て言ってあげたらいいんだろう?
どんなに大切だって言っても
多分その、大切の意味を教えて貰えてない
家族だからって言ったって
その家族に…置いてかれて
家族みたいな人に…酷い事されて…っ!
「暁…」
「…っ…うっ…んっ!」
ほんとは、こんなのダメだって分かってる
暁が、泣きじゃくりながら、ポカンとしている
「暁が…大切なんだ」
「…っく…ふっ…んっ…んっ…ふっ…」
伝われ…
伝われ…
言葉じゃ…俺には説明出来ない
「…はぁっ…暁…暁の事、大好きなんだ」
「…はぁっ…はぁっ……っ…うっ…知ってるっ……でもっ…またっ…居なくなっ…」
「っ…ならない…ならないよ暁…」
「んっ…んん……ふっ...」
何度も 何度も
居なくなったんだ
置いてかれたんだ
そんなの、何言ったって
信じられなくて当然
「暁…」
「…はっ...はぁっ…」
1度口を離す
「気持ち悪い?」
「…っく…うっ…」
プルプルと首を振る
「今日だけ。ほんとは、ちゃんと好きな人と。でも、きっと…俺の好きが伝わるから、今日だけ…」
ゆっくり、怖がらない様に
ちょっと舌を入れようとすると、すぐに口を開く
抵抗というものを...
封じられてきたのだろうか
1度暁から離れる
「暁…嫌な事、怖い事は、ちゃんと言える様になろうね?」
「…んっ…ひっく…はるにっ…」
暁が、置いてかないでという子供の様に
俺にしがみついてきた
「…ははっ…ようやく甘えてきたな?暁、全然甘えてくんないんだもん」
「…はるにっ…好きっ…」
えっ…
今…好きって言った…
「うん。俺も…俺も暁の事大好き」
「…だいっ…好きっ…俺も……」
「凄く凄く大切」
「…んっ…俺もっ…はるにっ…大切」
「そういうのね、暁。愛してるって言うんだよ」
そう言うと、暁が顔を上げて俺の顔を見る
「…っ…あ…愛…っして…」
「そう。凄く大切で好きな人。暁、愛してる」
「…っ!」
あ…
凄く…嬉しそう?
辛そうじゃないよな?
暁はまた、俺の胸にしがみ付いて泣きだした
「暁…俺の父さんも母さんも、暁の事愛してるんだ。置いてったりなんて、絶対しない」
本物の両親が、愛してた事があったのかは知らない
「~~っ…愛っ…してるっ…」
「そう。暁が好き。大切。愛してる」
「ふぅ~う~っ…ふぇっ…ふぇ~ん!…っ…っ…うぇっ…うぇ~ん!!」
ほんとに幼い子供みたいに
暁はしばらく泣いて寝た
いつから泣いてなかったんだろう
なんの…涙なんだろう
「でも…だからって…やっぱダメだよなぁ」
「まあ…そうだろうな」
えっ?
横を見ると
「凌久 …いつから居たの?」
「5分位前から、イケメンの横顔に見惚れてた」
「またすぐからかう」
「何?愛しの暁ちゃんと喧嘩でもした?」
「…喧嘩かぁ…怖くて出来ない」
「えっ?そんな怖い子なの?」
「いや…怖がらせるのが怖い」
怒鳴られるのが怖いんだ
その他にも…
俺のどんな言葉や行動が
暁にとっては、嫌なものなのか分からない
「…悠稀 、今日時間は?」
「……この講義の後…バイトまで空いてる」
「ん。俺も空いてる♪︎」
「…はぁっ……んっ…ふっ……凌久……だっ…大丈っ…夫?」
「…はっ…あっ!…いっ…いつも言って…んっ……ぁっあっ!...俺っ…はっ…んあっ!……弟じゃねぇっ...好きにっ…抱けっ…!」
「…っ!…んっ…凌久っ…好きっ…」
「あっ!…あっ…んっ!…俺も…好きっ…!」
「んっ…はぁっ…あっ…くっ!...~っ…」
「いっ…イケよ…」
「くっ…だっ…凌久っ……まだ…んっ…!」
「いっ…から…イケっ!」
「…っ!はぁっ…はぁっ…あぁ…あっ…ああっ!…はあっ…は…ああっ!あっあっあっ...りっ…イクっ…」
「…ぁあ~っ!……はっぁあっ…!おっ…俺っ…もっ…!」
「あぁっ…は…あっ!あっ!…~~~~~っ!」
「はあっ…あっああ!あっ!…~~~~~っ!」
ともだちにシェアしよう!