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完璧な準備

そろそろ起こさなきゃな 綺麗な寝顔 「悠悕、悠悕~」 「…ん...凌久?」 「そろそろ起きて、シャワー浴びてきな」 「ん~……あっ!」 ガバッと起き上がると、すぐに携帯をチェックする 「はぁ…。大丈夫だ」 「出た出た。ブラコン。暁だってもう、高校生なんだから、少しは自由にさせてやれよ」 「別に…制限なんてしてないよ」 「GPS付けられてたら、彼女の家にも行けないわ!」 どんだけ心配なんだよ 彼女か! …まあ…悠悕にとっては、彼女みたいなもんか 「別に…彼女の家なら家って言ってくれればいいんだよ」 「いや...お前それ、これから俺、彼女とヤりま~す!って言ってる様なもんだろが」 「…暁が…いいって言ったんだけど…俺に気を遣ってるのかな…ほんとは嫌なの…」 「はい!そこまで~!お前の悩み相談は、数時間かかるんだから、さっさとシャワー浴びて来い!」 「…うん」 はぁ… 悩みが絶えないね~ しゅんとしちゃって 頭の上に、垂れた耳が見えるわ 「凌久、シャワー浴びさせてもらうね」 「おう」 こんな末っ子みたいな奴が、兄ちゃんとして頑張ってるんだから、さぞかし大変だろうな 「悠悕、ちゃんとゴム付けてるよね?」 「…何?突然」 「突然、そう言えばと思ったんだよ」 「付けてるよ…暁は…今まで付けてした事がなかったみたいで、最初は、不思議そうに見てたけど」 「マジか…まあ、そういう事する奴が、付ける訳ないか。ほんとは…ちゃんと検査した方がいいと思うけど…」 「…検査は…されたみたい」 「…そっか」 まだ中学生なのに 親だか何だか知らないけど ケツに突っ込まれて 暴力?振るわれて 性病の…検査…されてか… 「んで…お互いにちゃんとイケてるの?」 「なっ…!何?何で…」 「どういう経緯で、どういう理由だって、ヤるからには、お互い気持ち良くなんなきゃ、虚しいじゃん?」 「…ちゃ…ちゃんと…イって…くれてる」 それが、好きじゃない人との反応かね? 「悠悕もちゃんとイケてんの?」 「~~っ」 真っ赤になっちゃって可愛い 「おっ…俺も…気持ち……良くなってる」 ん? 「何?悠悕イケないの?」 「…暁を安心させる為に、やってる事なのに…やってる事自体…良くないのに...そんな…」 はあ?? 「馬鹿じゃないの?お前」 「え?」 「今まで1回も暁とヤって、イッてないの?」 「そ…そうだけど…」 「馬鹿!!」 「何…」 悠悕が、目を丸くしている 「お前がイッて暁が悲しむと思うか?一緒にイケた方が嬉しくて、安心するに決まってるだろうが!」 「それは…恋人同士なら、そうだろうけど、俺達は違うから」 そうなんだよ! 気付けよ! いや...気付くな 「じゃ、お前…暁イカせた後、自分で出してんの?」 「そう…だけど…ねぇ、もうこの話…」 「何でお前だけ我慢しなきゃなんないんだよ!この馬鹿!」 「馬鹿馬鹿言わないでよ。俺だって、こんなのずっと続けらんないって分かってるけど…」 悩む方向が違~う! 俺だったら、いっぱいイカせてやるのに… 俺だったら……… 「…分かった。ちょっと俺…やりたい事あるから、付き合ってくんない?」 「?…いいけど…何?」 「ちょっと時間かかるから…あと、コンビニから適当になんか買って来る。欲しい物ある?」 「何でも…いいけど…なんか凌久、今日は何でも突然だね?」 「…暁…強化合宿?居ないんだっけ?…悠悕、今日泊まってったら?」 「え?」 「今から言っておいたら、家の人も困んないだろ?」 「それは…まあ…」 まあ、そりゃ不審に思うわな 「ま、泊まるのは、どっちでもいいや。とりあえず、ちょっと買い物行って来る」 「あ...凌久。せっかくだし、泊まろうかな。でも、何にも持って来てないよ」 「適当に俺の物貸すよ」 「分かった。家に電話しておく」 「おう。寛いでてくれ」 そうして、悠悕を抱く為の… いや、抱かれる為の完璧な準備を進めた せっかく色々言って 早めに一緒のベッドに入ったのに 「あれ?そう言えば凌久、やりたい事あるから、付き合ってって言ってなかった?」 「…うん」 ヤる為に準備したんだろ? その為に悠悕泊めたんだろ? ゴロンと悠悕の方を向き、少し寄ってみる 「何?凌久、寂しいの?」 寂しい… まあ、ハズレではない 「…うん」 「えっ?」 悠悕が俺の方を向く 「何?好きな人でもできて失恋した?」 失恋なら… とっくの昔に 「そうだったら…」 「え?…ほんとに?」 「悠悕…慰めてくれんの?」 「そ…そりゃ…」 「……なんちゃって…悪い…冗談」 悠悕に背を向ける ちょっと弱みを見せると すぐに何でもしようとする だったら 暁より先に出会いたかった いや... なんちゅう子供みたいな事考えてんの? せっかくのチャンス… ヤんなくていいのか? でも…ここでヤったら、可能性0だぞ? まあ…初めから0か …いや、それより... 友達でも居られなくなる 何やってんの?俺 こんな… 好きな男と寝るなんて 蛇の生殺し状態作っちゃって …ダメだ 「…凌久?」 「…やっぱ寝れないわ!俺ちょっと散歩して来る!」 「え?」 起き上がって、ベッドの端へ行こうとすると グイッ 「おわっ!」 思いっきり悠悕に引っ張られて、ベッドに倒れた 「ごめん!大丈夫?」 「大丈夫だけど、びっくりした。何?どしたの?」 「凌久…いっつも俺の話聞いて…相談に乗ってもらってるから...今日くらい、ちゃんと役に立ちたい」 出たよ 無自覚タラシめ ベッドに起き上がる 「だから、さっきのは冗談だっ…」 「冗談じゃない!」 「え?」 「今日の凌久、変だもん。凌久は…頭いいし、要領いいし、俺の事騙すのなんか簡単なのに、変だって分かるもん。失恋じゃなくても、何かあったんでしょ?理由は言わなくてもいいから、慰めさせてよ」 優し過ぎて…辛いんですけど 「…なんだ…」 俺の気持ちなんて、全然知らないから 「悠悕にばれる位って…」 そんなの、しょうがないんだけど 「俺…結構…傷付いてるじゃん」 ヤバっ 泣く 「…って事で、ちょっと今は1人になりたいか…」 え? 悠悕が、抱き付いてきた 「悠悕?」 「何で…俺…そんなに頼りない?すぐ傍に居るのに、してあげれる事ない?俺居るのに1人の方がいい?」 だって… 「だって!」 勢い良く悠悕を離す 「…凌久?」 言うのか? 今言ったら 大学までの友人ポジション無くなるぞ? それでも今、伝えたいか? 「俺…」 伝えたいか? 「俺…溜まってるんだ」 「………え?」 「ここんとこずっと…自分でイケなくて…」 「……え?」 「悠悕に近付いたら、なんかヤバい感じになってきたから...ちょっと離れようと思っただけ」 「…あ…そ…そうなんだ…ごめん」 「俺の方こそごめん。男の友達に興奮されたら、気持ち悪いよな?悪い」 絶対引いた けど、多分悠悕は、これくらいで友達やめるとかしないと思うから やっぱり… もっと一緒に居たいから 今度こそベッドから下りる 「じゃ…ゆっくり休ん…」 「凌久!」 「何?」 「ひ…1人でイケないんだろ?せっかくイケそうなら、手伝うよ」 手伝うよ 手伝うよ 手伝うよ 手伝うよ 「なっ…!馬鹿!どこまでお人好しなんだよ!黙って寝てろ!俺に襲われるぞ!」 そう言って歩き出すと 俺の傍まで来て、腕を引っ張る 「いいから、言う事聞きなって!」 「…離して」 「何でそんな意地張るの?そりゃ…俺だって友達に見られたくないとか分かるけど…でも、そんな何日もイキたいのにイケないなら辛いだろ?その辛さだって分かるよ」 勘弁して… もう限界だっつ~の 「俺が邪魔なら居なくなるけど、何か見ても1人じゃダメなん…んぅっ…?」 チュッ 「はぁ…ごめん…もう、ほんと限界なんだ。気持ち悪いだろ?早く離してくれ」 ぽけっとした顔で固まってる その顔も可愛いし もう無理 悠悕の腕を振り払おうとした時 グイッ また引っ張られて 「おい!悠悕…」 ドサッ ベッドに座らされた 「何っ…」 「そんなに余裕ないくせに、何処行こうとしてんだよ?!」 「な…余裕ないから離れるんだろが!」 「なんで?!手伝うって、言ってんじゃん!」 「嘘だよ!」 「…はっ?」 「イケないなんて嘘。悠悕の顔思い浮かべて、毎日シコってんの。俺、悠悕の事好きだから。恋愛的な意味で」 「……え?」 はい、終わり~ 終了~ やったわ俺 「って事で、失恋はほんとなので、1人にさせて下さ~い」 「え?…凌久…え?」 ああ…理解出来ないか まさか、こんだけ一緒に遊んできた友達に、ずっとそんな目で見られてたなんて聞いたらな そりゃ…可哀想だよな 「ぶっ…ぶはっ…ふっ…はははっ!お前っ…その顔…本気にしてやんの!」 笑える… まさかも、もしかしても... その辺に転がってる訳ない 「くっくっくっ…あははっ…ははっ」 さっさと恋愛諦めろっての 諦めの悪い奴だな 「…はぁ~…涙出てきたわ」 ま、これで友達には戻れるか 「…おかしくなんかないよ」 「は?」 悠悕が、笑いもせずこっちを見ている …何で 笑えよ 「俺は、そういう意味で、凌久の事好きではないけど、凌久にそう思ってもらえてるの嬉しいよ?凌久にキスされて、びっくりしたけど、気持ち悪いなんて思わないよ?」 「やめろ。それ以上喋んな」 「なんで!凌久の気持ち、無かった事にしないでよ!」 「あったって、誰かの迷惑でしかないし、無くなったって、誰にも関係ないだろ?ほっといてくれ…言うつもりなんてなかったんだ…ずっと…お前の傍で友達で…居たかったのに…」 くそっ… 結果最悪 「なっ…なんで?!友達…じゃなくなるの?」 「…当たり前だろっ!」 「………っ…ごめん…っ…俺が…言わせた」 「…なんで…お前が泣くんだよ」 「…っ…そっ…だよね...っ…ごめっ…」 泣かせた… 「…謝るなよ。俺が悪い」 「…っく…凌久がっ…悪い事っ…何もない」 最悪だ 「…ごめん…泣かせるつもり…なかった」 「…んっ…っく…俺がっ…泣いて...ごめっ…」 最悪な 考えばかりが頭をよぎる 「…そんな…泣いてくれんなら…して欲しい事…あんだけど…」 「…んっ…何?」 悠悕の優しさに漬け込んで… 「…お…俺と…」 声が震える 「1回だけ…シて欲しいんだけど…」 「悠悕、これからバイトなんだろ?これ、一緒に食お?」 「サンドイッチ…凌久作ってくれたの?」 「おう」 「ありがと…俺も凌久くらい料理できたらなぁ」 「?悠悕が、ご飯支度してるんだろ?」 「してるけど…凌久みたいにパパッと何でも作れないんだよ」 あむっと、サンドイッチを口に入れて ちょっと不貞腐れた顔 可愛い 「そこが可愛いんだから、いいじゃん?」 「なっ…?…かっ…」 顔真っ赤 肩肘をテーブルについて、悠悕の表情を満喫してると 「凌久…俺…その…彼氏らしい事、全然出来てなくて...いいのかな?」 「悠悕の1番は暁だからな。それまで奪うつもりはないよ」 その代わり もう少しの間 恋人ごっこ続けてよ 「うん…ごめんね。ほんとは休みの日とか…どっか出掛けたいよね?」 「悠悕が、楽しく出掛けられるならな。でも、暁の事考えると、楽しむどころじゃなくなるだろ?」 「多分…そうだと思う…けど…俺の事ばっかり優先させて…ごめん」 「いいんだよ。俺、好きな子、悲しませたくないから...笑ってて欲しい」 「…ありがとう、凌久」 そんなの全然我慢するよ 週に…何回か…何時間ずつでも 全然…我が儘言わないから 俺の事好きかもしれないなんて 幻想でも何でもいいから もう少し…騙されててよ

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