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弟離れ
ピピ ピピ
37.0℃
「微妙だな~。病院は行かなくていいとして、一応学校休んでおくか」
「俺は全く何ともないけど、そうした方がいいの?」
「念の為ね。今日、大事なテストとか用事とかある?」
「特にない。何ともないのに休む事もあるの?」
「何ともなくはないだろう。昨日あんなに熱出てて、今日も微熱なんだから。また、熱上がるかもしれないだろ?」
「そうなの?悠兄の言う通りにする」
か…
可愛い~!
暁を抱き締める
「暁、ほんとに具合悪いとことか、痛いとことかない?」
「ないよ」
「そっか。不安じゃない?」
「…うん。大丈夫」
「不安だったら言うんだよ?具合悪い時は、大人だって不安になるし、傍に居て欲しいって思うんだから」
「うん。前に母さんから聞いた」
暁から離れる
「よし。じゃあ暁は、念のため1日ご飯食べて横になってような?俺ちょっと、学校に電話してくるから」
「うん。朝ごはん準備していい?」
「戻ったらやるから、暁はソファーで休んでな」
そう言って、自分の部屋に入る
暁の学校に電話
俺のバイト先に電話
そして…
「もしもし、凌久?ごめん、朝早くに」
「どうした?何かあったのか?」
「実は、昨日帰って来たら暁、熱出てて…」
「え?風邪か?」
「風邪症状は全くないんだけど…昨日、解熱剤飲んで寝たせいか、今朝は微熱程度。けど、1人では置いとけないから...」
昨日、俺から誘ったばかりなのに…
「おお。誰か代弁頼める奴居るか?」
「え?ああ…っと…佐々木かな」
「佐々木な。了解」
「凌久…今日の…」
「俺の方は気にすんな。楽しみは、とっとくよ」
「……ごめん…俺が言い出したのに」
「馬鹿みたいな事言ってないで、ちゃんと栄養ある物食べさせて、ゆっくり休ませて、安心出来る様に傍に居てやれ」
「……ほんとに、ごめんね?ありがとう、凌久」
「おお…お前も倒れんなよ?」
「うん。じゃ…」
部屋から出ると、暁が台所に立っていた
「あ~き」
「目玉焼きくらい、俺でも作れる」
「知ってるよ。頑張って動いて、また熱上がったら病院だよ?」
「っ!」
どんだけ嫌なんだ?
「こ…これだけ。あとは、大人しくしてる」
「分かった。いい子」
暁の頭を撫でて
皿を出して、ご飯を盛る
暁は、パンより断然ご飯が好きだ
「悠兄、今日は大学午後から?」
ご飯を食べながら暁が聞いてくる
「今日はないよ。バイトもないから、心配しないで寝てていいよ」
「そ…それは……ないんじゃなくて、休んだんだよね?」
「…まあね。どうせ行ったって、暁の事心配で行った意味がないばかりか、後悔する事になるから」
「……ごめんなさい。あと、ほんのちょっと熱が低かったら…悠兄、休まなくても良かったのに」
「暁が謝る事じゃないよ。ほんとは行けたんだ。ってか、普通の兄ちゃんなら行ってたかも。俺が、物凄く心配性で勝手に休んだだけ」
「……うん」
甘過ぎるって分かってるけど
甘やかし過ぎだって分かってるけど
それ通り越してウザいかもしんないけど
心配なんだからしょうがない
「暁、学校で結構話する子とかできた?なんか、男子校だし…ちょっと心配」
「え?…ああ。今のクラスの人達、皆凄くいい人。必要な時は、誰かが声掛けてくれたり、傍に来てくれたり、凄く親切」
お…
ほんとに嬉しそう
「へぇ~!そうなんだ。良かったぁ」
「あと…俺の前の席に居る間宮って奴が、1番色々声掛けたり、してくれてる」
「間宮君か。どんな子なの?」
暁から…
学校の人の名前、初めて聞いた
なんか…
ちょっと感動
「………」
あれ?
黙っちゃった
何で?
あっ!!
友達の事とかまで聞いたらウザい?
さすがに呆れられた?
「あ...暁…話したくな…」
「悠兄…」
「ん?」
「間宮は…ほんとに凄くいい奴なんだと思うんだ。俺の話を聞いてくれて、それで...今度一緒に遊ばない?って誘われたんだ」
「へぇ~?行って来たらいいよ」
「…っ…俺っ…怖くて返事…出来なかった」
「え?」
怖くて…?
「そういう…怖い感じの人なの?」
「全然…優しくて、優しくて…雰囲気は悠兄に少し似てる」
「…それで...何が怖いの?」
「理由がないのに...優しくされるのが怖い」
「え?理由がないのにって…友達になりたいんじゃないの?その子」
「……」
暁が、驚いた顔で俺を見る
「友達……?」
「うん。学校だけじゃなくてさ、暁ともっと遊んで、仲良くなりたいんだろ?」
「なんで…俺と…?」
「ふっ…そんなのは、本人に聞いてごらん?」
「本人に…聞けない」
「どうして?」
「俺…きっともう嫌われた」
自分が、嫌われたくないって思ってるの
気付けるといいんだけどなぁ
「どうして、そう思うの?」
「間宮…俺も気付いてなかったのに、熱があるの気付いてくれて、保健室行こうとか、帰る途中で倒れたら心配って…送ってあげるとか言ってきて…俺、そこまでしてもらう意味が分かんないから、怖くて...」
「うん…」
「間宮が、顔赤いし熱高そうだよって…おでこ触ってきたから...」
触っちゃったか
大丈夫か?
「うん…」
「凄くびっくりして、ビクってなって、震えちゃって…大丈夫だからって帰って来ちゃったんだ。間宮…何にも悪い事してないのに...きっと、おかしな奴って……せっかく親切にしてやったのにって思って……きっと……嫌われた...」
「それで暁は今…どんな気持ち?」
「……え?」
「間宮君に嫌われたと思って…どんな気持ち?」
「どんなって…どんな……」
多分…
そういうの、ほんと分かんないんだと思う
中学の時は
全然学校の話しないし
何となく…聞くなオーラ見えてた
まあ…
転校生で
最初は全く喋んなかったし
友達とか難しいとは思ってたけど
苛めとか…
聞いても言わないし
心配でしかなかった
暁が一生懸命考えてる
自分が大切に思う人の事を
自分が誰かを大切に思えてるって事を
「上手く…言えないけど…」
「うん」
「悲しい?とか…寂しい…とか?に…似てる感じ…だと思う」
「うん。じゃあ、何で暁は、そう思ったんだろね?」
「何で…何で...…せっかく俺の事大切に思ってくれたのに、応えられなかったから...?」
暁に、こんな幸せな質問出来る日が来るなんて
「それで悲しいって思うかな?寂しいって思うかな?」
「うん……?なんか…違う様な……」
こんなの…
幼稚園とか
小学校とか
高校生になって分からない
暁の人生……
「なんで…寂しいのかな?」
「………俺も…仲良くなりたかった…から…?」
「うん。暁…間宮君が、勇気を出して誘ってくれたなら、暁も勇気出さなきゃ。きっと間宮君、暁の事怖がらせた、余計な事したって、物凄く落ち込んでる」
「えっ?!あ...謝らなきゃ」
やっと…
家族以外の大切な人と
大切だと思える自分と向き合える…
「うん…でもきっと…間宮君は、暁に謝られるより、お礼言われた方が喜ぶと思うよ」
「お礼?」
「そ。遊びに行くのはね、暁が行きたいって思える様になってからでいいと思うんだ。でも、誘ってくれた気持ちとか、心配してくれた気持ちは嬉しいって事…伝えてもらえたら、きっと間宮君喜ぶよ?」
「……そっか………悠兄、やっぱり今日学校行っちゃだめ?」
暁が、こんなに必死になるなんて……
「ほんとに具合悪くない?」
「悪くない」
「少しでも具合悪くなったら、先生に言うって約束してれる?」
「先生に……分かった」
「じゃ、もっかい計ってみよう」
やっぱり嬉しそうに体温計を挟み
ピピ ピピ
36.9℃
「悠兄…行っていい?」
「…行っていい」
今から、初めての友達作りに行くんだと思うと
可愛いくて
心配で
どっかから見てたいけど
弟離れしなくちゃな
暁を職員室まで連れて行き
先生に挨拶をして学校を出る
頑張れ…暁!
夜はやっぱり心配だから、バイトは休むとして
凌久…
少しでも会えるかな
『凌久、今何してる?』
凌久は、交友関係が広いから
予定が空いたら、すぐに別の予定入ってるかも
そのまま画面を見てると
あ、既読になった
『1人寂しくラーメン食ってます』
え?
1人…
『これから、ちょっとだけ会える?』
『もちろん♪︎』
「凌久!」
「おお。暁、大丈夫なのか?」
「熱は下がったし、本人学校に行きたがってたから」
「へぇ。学校行きたがるなんて、真面目だなぁ」
「それもあるんだけど…暁に、初めての友達ができるかもしれないんだ」
「ふっ…そんなに喜ぶもんかねぇ?」
「うん……ちゃんと友達できるといいな」
凌久の家に入り、ベッドに座る
「何のラーメン食べたの?」
「トマトラーメン。ほい」
凌久が、お茶のペットボトルを渡してくれる
「ありがとう。トマトラーメン、美味しそう」
「ん、旨かった…ん?悠稀、バイトも休んだの?」
「もちろん」
「ぶっ…!そんな、当たり前でしょ?みたいな顔されても...学校行ける位の熱で、そこまですんの、当たり前じゃないからな?」
分かってる
俺が一生、暁の傍に居てあげれる訳じゃないんだから……
でも、暁は色々あったから
もう少し…もう少し…
と、思ってるうちに……
チュッ
凌久がキスしてきた
「悪い。ちょっと意地悪言った」
「凌久が言った通りなの、知ってる」
「そうだとしても、俺が口出す事じゃない。ちょっと暁にヤキモチ妬いた」
え?
あっ!
「凌久…ごめんね?今日、俺から誘っておいて...俺の都合でドタキャンして…」
「悠稀が悪い訳じゃない。だから謝らなくていい」
「でも…俺も…楽しみにしてたから」
「…え?」
「俺のせいなんだけど…俺の都合に合わせて、空いた時間に合うから…なかなか一緒にご飯ってなくて...…あっ…学食はよくあるけど…俺のせいなのは分かってるんだけど……あんまり…デート…みたいの…出来てないし…いっ?!」
凌久が急に抱き付いてきた
「俺のせい俺のせい言うな!」
「だって、ほんとに俺のせい…んっ!…ふっ...はぁっ…」
「俺と付き合ってから、急にそうなった訳じゃないだろ?そういうお前の事、勝手に好きになったのは俺なんだから、悠稀が謝る事なんてない」
凌久は…優し過ぎる…
凌久の肩に顔を埋める
凌久の匂い…
「凌久が…………」
「…えっ?何?!沈黙怖っ!俺が?早く続き!」
「いい彼氏過ぎて…辛いっ…」
俺は…
多分俺が暁を甘やかすくらい
凌久に甘やかされてるんだと思う
ぎゅ~~っと凌久が、抱き締めてきた
「凌久?」
俺も凌久の背中に手を回す
「~~~~っ…ごめんっ…ちょっと…待って」
抱き締めたまま、後ろから声が聞こえる
「待つのはいいけど…どうしたの?大丈夫?」
「っ…だいじょば…ない…から…」
「えっ?!」
バッと凌久の体を離すと
「…なっ?!……は?」
凌久の顔が真っ赤になってて
泣いて...
「馬鹿!待てって…」
凌久が腕で顔を隠そうとする
その腕を掴む
「……何?なんで凌久泣いてるの?」
「べ…別に…何でもないから...っつか、泣いてる訳じゃ…」
そう言った目からまた、涙が流れてる
「凌久…」
凌久の腕を離して、ガードしてる腕ごと抱き締める
「…ごめん、凌久」
「~~っ別に…」
多分…じゃなくて
絶対俺のせい
俺の我が儘にばかり付き合って
凌久に我慢ばかりさせたから
「凌久…聞いて」
「…っ何だよ?」
「俺…凌久の事好きだから、凌久に、我慢させたくない。凌久には、楽しくしてて欲しい。俺と居たら凌久…我慢ばっかりで…俺だけが幸せになっちゃうから……だから…俺よりいい人…」
バッと凌久が離れる
え?
え?!
凌久…号泣…
「…っ…何なの?……悠稀っ…っ何がしたいの?」
「…え?」
凌久…泣きながら怒ってる?
「俺なんかが言った行きたい店…覚えててくれて…すっげぇ嬉しくて...でも行けなくなっちゃって...それはまあ…理由が暁ならしょうがないと思ってたら、急に会いに来てくれて、すげぇ嬉しくなって…その上…俺と付き合ってくれてるだけで、奇跡みたいなもんなのに...いい彼氏過ぎて辛いとか……っく...もうっ…幸せ過ぎる事っ…言っといてっ…っく...…何?…結局...…っく...別れ話しに来たの?じゃっ…その前に…喜ばせるような事…するなよっ…」
……は?
別れ話?
「…そりゃっ…そういう日がっ…来るってっ…分かってたけどっ…っく…何もっ…うっ……別れる前にっ…テンションっ…上げさせなくたって…~~っ…!辛っ…うっ…辛くなるっ…」
「凌久…」
凌久を抱き締めて、頭とか背中とか撫でる
「~~っ…だからっ…そういうのっ…辛っ…」
「俺が別れたいんじゃない!言っただろ?凌久は、いい彼氏過ぎるから...俺ばっかり、好きな様にさせてもらってるから…だから凌久ばっかり辛くなっちゃうし…それで…もう我慢の限界で、泣いてるのかなと…思って……」
「……はあ?おまっ…あのっ…タイミングでっ…そんな事っ…考えて泣くっ…かよ?…ってか…悠稀がっ…別れたくないのにっ……俺が別れるっ…訳ないだろがっ…」
そんな風に言ったって
絶対沢山我慢してて
その中の、ほんの少しは我慢の涙なんじゃないかって思う
「凌久…辛くない?」
「お前とっ…別れた方がっ…辛い!」
「凌久…好きだよ。別れたいなんて思ってない。凌久が辛くないなら、まだ別れたくな…ふあっ…はっ…はぁっ…」
「はぁっ…俺なんかっ…お前の1億倍別れたくねぇよ!」
泣いてるのに...メチャクチャ格好いい
「…んっ…凌久っ……っ…りっ…くっ…」
「ふぁに?」
「いっ…!…っつもっ…~っ!…っおもっ…だっ……けどっ…」
「ん?」
「俺…じゃなくて…~っ!…凌久っ…が、こういうのっ…した……ぁっ!~っ…くっ…はぁっはぁっ」
「いいの。俺、好きな人が感じてるのに感じるし、ちゃんと自分で準備出来るから。もっと悠稀の感じるとこ見せて?でも、悠稀が嫌な事はしないから、言って?」
凌久は…
どこまでもどこまでも優しい
「やっ…やじゃっ…ないっ…」
「んっ。ありがと。じゃ、そろそろ下も、気持ち良くするね?」
「んっ…んっ…~~っ…はぁっ...んっ…」
「声…我慢しなくてもいいよ。言ったろ?今、斜め下しか人居ないって。窓でも開けなきゃ聞こえないよ」
「んっ…くっ………はぁっはぁっ...…んくっ…はぁっ…っ!」
「悠稀。声我慢してんのも可愛いけど、辛いって」
そんな事言われたって
恥ずかしいものは恥ずかしい
だって俺だけこんなんなってるの…
「…んやっ!ぁっ...はぁっはぁっ…」
凌久が、下の手を休めないまま、さっきまで弄ってた左右のものを空いてる手と口で、弄りだした
これ…
おかしくなるから…
「ぁっ…ん、ん~~っ…はあっ…ぁっ!はぁっはぁっ…んゃっ…」
「悠稀…」
あ...凌久のキス
「…んぅっ…ふぁっ……はぁっ…んっ…」
凌久のキス…
気持ち良くて…
頭ぼ~っとする
「…んぅはあっ!」
また…
胸と下と…
一緒は…ほんとに…
おかしくなる…!
「…ぁあぁあ...っぁあ…やぁ~~……っ…やっ…!…ぁっあ…はっ…いっ……はぁっはぁっ…あっ!…やっ…..」
「ん。気持ちいい?」
「…いっ…あっ……おかしくっ…っ…ぁっ…~~っ!…はぁっはぁっ…りくっ…おかしぃっ…」
「ん。イキそう?」
「…わかんないっ…わかんなぃ~……ゃあっ…~~っ!…あぁ…やっ…もっ……いっ…っはあっ…!」
「いいよ。1回イって。イクとこ…俺だけに見せて?」
「…いっ…は~ぁあっ…いっ…くっ…ぁあっ…ぁぁあっ!…りくっ…りくっ…~~~~~~っ!!」
これも...今は俺だけのもの…
ごくん
悠稀の顔を覗くと
爽やかイケメンが、涙流して、汗かいて、ぐったりしてる
チュッ
「ありがと。可愛いかった。今度は、俺の中で気持ち良くなってね?」
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