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悠兄の覚悟

「行ってらっしゃい」 「行って来ます」 はぁ~… 俺…ちゃんと笑顔だった? 衝撃的過ぎた おととい、暁には珍しく、鍵もかけずに、ソファーで寝てて まあ、だいぶ熱があったからだとは思ったけど… まさか、間宮って子に運ばれてたとは… あれ? ってことは? 間宮君が、暁の上着と?ネクタイと?ベルトを? それで…キス…… ~~~~っ どういう感情なの?俺 自分でも、よく分かんない ちゃんと…おでこ冷やしてくれてたし そんな…悪い子じゃないんだろうけど 暁…好きとか分かるのかな 好きな人が出来て しかも両想いなら、凄く嬉しい事だけど 初めて友達できて 告白までされて キスされて 嬉しいが続いて 胸いっぱいになってるだけじゃないかな 暁が幸せなら いいんだけど 高校生なら キスだけじゃすまないかな... 暁は… 大丈夫だろうか? 間宮君は… 大丈夫だろうか? 伝える…べきなんだろうか だってきっと… 暁が初めてじゃないってバレる その時…暁はどう答えればいいだろう 家に入って、洗濯機回しながら、夕食の準備をする 今日は、バイトも終わったら20:00過ぎる そう言えば、昨日帰って来るの遅かった 俺も、凌久の事で頭いっぱいで とにかく、暁が体調崩してないかは確認したけど… きっと、帰りに話して...告白されて…キス… 「はぁ~…」 高2の終わり頃、ばあちゃんが倒れた それから、入院したり 退院しても心配で見に行ったり 1人暮らしだし、父さんと母さんは、週末しょっちゅう泊まりがけで行ってた 家の中では、だいぶ普通に話して、たま~に笑う様になってたけど 学校では、全然誰とも話さないって、母さんは聞いてたみたいで やっぱり、暁が行きたくなさそうなので、2人で留守番してた 留守番しても、以前の様な事はなくて でも、やっぱり不安みたいで 両親が出てった後、ドアをじっと見ていた 俺は、なるべく一緒に居て、話をして、一緒に寝たけど 1番安心するのが、キスだと思わせてしまったらしく あの時みたいな事するくらいならと思い キスをすると暁は落ち着いた けど…だんだん…キスが長く…深く… そうしないと 満足出来なくなってる事に…少し焦ってた そんな事が3ヶ月位続いた頃 暁がお風呂に入り、俺はテレビを見てた あまり気にしてなかったけど ふと、いつもより時間長いなと思った 暁だって中3だし あまり声掛けない方がいいのか しばらく悩み やっぱり声だけと 立ち上がって歩き出した時 ガチャ 風呂場のドアが開く音がした なんだ…良かった そう思って、ソファーに戻ろうとした時 ガラッ 風呂場に続く戸が開いた 着替え持ってくの忘れたのか? 振り返ると… ビショビショの暁が バスタオルだけ羽織って 泣いていた 「うっ…ぐっ……はるにっ…ひっく…」 一瞬固まって 急いで暁の元に駆け寄る 「どうしたの?暁」 急いで、暁の体をバスタオルで拭く 「ぐっ…うっ……ひっく…うっう~っ…」 バスタオルで包んで、抱き締める 「泣いてちゃ、分かんないよ?暁、どうした?」 「~~っはるにっ…ごめっ…」 「なんで謝ってるの?」 「~っはるにっ…嫌な事っ……知ってるっ…けど…」 「俺が?嫌な事?何?」 「うぅっ…っ…セックス…して欲しっ…」 ……え? 「はるにっ…お願いっ…セックスしてっ…」 「ちょ…ちょっと待って…それは…暁が溜まってるとか…そういうのしたい気分とか…そういう事?」 「~~~っ!」 暁が、ガシッと俺の服を掴んできた 「暁?」 「分かんないっ…分かんないけどっ……父さんと母さんが…玄関出てドア閉まると…怖いっ…」 「うん...大丈夫。帰って来るよ。俺も居る」 「お風呂入ると…思い出す...」 「思い出す?」 「俺と…一緒にお風呂入ってくれた……母さんっ…全然帰って来なくてもっ……あの人…一緒にお風呂入って…寝てくれた…」 あの人? 「お風呂入ると…あの人と…俺が…気持ち良くなる事…教えてあげるって…」 あの人って…! 「暁…思い出さなくて…」 「思い出す!お風呂入ったら思い出す!あの人…いっぱい気持ち良くしたら…喜んでくれた!」 「暁…!」 「俺が…気持ち良くなると…喜んでくれた!喜んでくれると…一緒に居てくれた…っ…うっ…喜んで…うっ…貰えないと…~~っあの人…何日か帰って来なくなった...うっ…うぅ~っ!1人は…やだっ…」 それは… DVって言うんだよ…暁 「暁…そんな事されて…またしたいと思うの?」 「だって…うっ…セックスは、俺にとって…安心する事だから…1番…安心する…他の事じゃ…喜んでもらっても分からない…っ…セックスだけはっ…喜んでくれるとっ…うっ…その後一緒に寝て…朝っ…一緒にご飯っ…食べてくれるっ…」 そんなの… 「一緒に寝て…ご飯食べるだけじゃダメなの?」 「うぅ~~っ…うぅうぅうぅ~~~っ!」 ダンダンッ  「暁…」 暁が…じたんだを踏んでる こんなの… ここまで感情出してるの初めて 「分かんないっ!…うっ…お風呂入ったら…セックスしないとっ…!…っ…セックスさせて!お願い!お願い悠兄!悠兄が嫌いな事でごめん!お願い!お願い!」 もう…自分でも、訳分かんないんだ だって…嫌な事のはずなのに その行為でだけ、嬉しいものを与えられてたから 「暁っ!それは…嬉しい事じゃないんだ。嫌な事だろ?一緒にしちゃダメだよ」 「~~っ!!お願い!分かんない!悠兄!お願い!お願いします…お願いします…」 「暁っ…」 暁が、ずるずると座り込んで、頭を下げる どうしたらいいの? 泣き疲れて寝ないかな? だって… その男と同じ事なんて、したくない 「お願い…悠兄…お願いします…」 「……分かった。だから、落ち着いて?暁」 「ほんとっ?…ほんとに?ほんとに?悠兄…」 涙と、髪からの水滴でビショビショの顔で ほんとに嬉しそうに 安心した様に笑って こっちは泣きそうになる 「悠兄…お風呂?」 「ここでいいよ。暁…寒くない?」 「大丈夫。あっつくなる」 「おいで」 暁だけイカせて終わりにしよう ソファーに座り、暁を前に座らせる 「触っていい?」 「うん…?」 暁のをしばらく触るが…全然反応しない 俺…下手? 「悠兄…いつセックスしてくれるの?」 振り返った暁が、不安そうに尋ねてきた 「今日は、暁が気持ち良くなったら終わり」 「悠兄は?」 「俺は今、気持ち良くなりたいと思ってないから」 「俺だけ…は……ダメじゃ...ないの?」 そうやって...怒られたのかな… 「ダメじゃないよ」 そう言って頭を撫でると 「……うん」 と、少し安心した様に笑った そして… 「じゃあ、準備するね?」 「…うん?」 準備? と、思ってると… いつかの様に、自分で後ろに指を入れだした 「あ…暁?準備…って?」 「はぁっ…悠兄の…挿れてもらう…んっ…準備…」 えっ?! 「暁…さっきみたいに…俺触ってるだけじゃダメ?」 「んっ…くっ……~~っはぁっ…ちゃんと…繋がらないと……っ不安っ…だからっ…はぁっ…」 「えっ?」 「はぁっ…いつも…沢山…っ…繋がって…くれたっはぁっ…んっぁはぁ~…はぁっ…」 ちょっと…待って… それは…絶対ダメだ 「暁…それは…ダメだ。俺が…暁になんて...そんなの、絶対ダメだ」 「はぁっ……え?」 「さっきみたいのなら、手伝う。でも…それは…ダメだ」 「~~~~っ!!…っ…っ…~~っ…」 「暁…」 膝を抱えて…泣き出した 「~~っ…っ…っ…~~っ…」 「?暁?…何で...声、出さないの?」 「っ…っ…~~っ!」 「暁?暁?」 聞こえてない? 暁の顔を上げさせると… 「あ…暁!」 唇から…血…! 「唇…噛み締めてたの?何で?!」 ただ…首を振って... 「暁…唇…噛むのやめて!」 全然…やめない 声…出さないで泣く方法…知ってる どんな時… ダメとか…拒否された時? 「…~~っ!…ふぅ~...分かったよ、暁。セックスしよう?でも…暁がイッたら終わりね?」 「…っ…えっ?」 「俺もお風呂入って来る。暁、服着てて」 「…っ…っく……うん」 ダメだ ダメだってわかってる けど…どうすればいい? あの暁が…あんなに… 自分で感情コントロール出来ない位になってて… 男同士のなんて知らない 大丈夫なの? 男同士でもゴム要る? どっかにまだあった? 「暁…ちゃんと服着たね?」 「うん」 「じゃ、お風呂入って来る」 「うん」 チャポン 安心した…いい笑顔… なんてものを暁に植え付けてくれたんだろう せっかく… 新しい環境で頑張ってるのに 恐怖と嫌悪なら、憎んでしまえるのに 一緒に喜びや安心を与えるなんて 残酷過ぎる 「暁…俺、男抱いた事なんてないから、どうしたらいいのか、教えてくれる?」 「俺は…もう大体準備したから...あとは、悠兄の気持ち良くしてる間に…ちゃんと準備出来るから…そしたら挿れてくれればいいよ」 「…ほんとに…したいんだね?」 「うん…?」 そう言ったって…分かんないんだ 「服…脱ごっか」 「んっ……はぁっ……暁…気持ち悪くない?」 「はっ…気持ち悪くないよ。悠兄は、気持ちいい?」 「うん…気持ちいいよ」 「はぁっ…良かった」 ヤバい… どんな風に教わったの? 気持ちいいとこばっか舐めてくる 舌の動かし方が…ヤバい 暁にしてもらってる罪悪感もあって... 気持ち良過ぎ… 「はぁっ…暁…もう…いいんじゃない?」 「?…もういいの?」 「もういいよ。暁、気持ち良くなろ?」 「うん」 そう言って、ゴムを付けてると 不思議そうな顔でじっと見てくる なんか…恥ずかしい 見慣れてるんじゃないのか? 「ふっ…何でそんなに見るの?」 「付けてるの…初めて見た」 「…見た事なかったの?」 「あの人は、付けた事なかったから」 「っ!…そっ…そっか……暁がする時は…ちゃんと付けなきゃダメだよ?」 「?…そうなの?」 学校でも…習ってるはずだけど… 現実にしてる人が使わないから 現実味がないんだ 「そうだよ?暁。付けてなかったなら…ちゃんと…病院で検査とか…した方がいいんだよ?」 「検査…そう言えば……警察の人に連れてかれて…病院行って…いっぱい検査された。大丈夫だよ。良かったねって言われた」 「…そっか…暁がする時も…ちゃんと付けようね」 不思議そうな顔… 13歳で… 病院で…性病の検査…… 「暁…ほんとはね、好きな人とする事なんだよ?」 「好きな人…悠兄だよ?」 分からないんだ 分からないのに抱くんだから 暁が泣く時は 必ず傍に居る 俺のせいで...泣くんだから 「……んっ…ん、んっ……ふぁっ…はぁっ…」 チュッ 「暁…これから…どうしたらいい?」 そう聞くと、暁がひっくり返って四つん這いになり 「もう挿れて…」 と、お尻を突き上げてきた 「…ここに…挿れていいの?」 「うん」 「ほ…ほんとに?暁…痛かったり、苦しくない?」 「ない」 「…分かった」 そっと…近付ける ほんとに…大丈夫なのか? だって…ここ、出す所だよ? 入れる所じゃないよ? 少し…挿れてみる 「…っ…ぅっ…んっ…~~っ…はぁっ…はぁっ…」 「暁…大丈夫?」 「…大丈夫っ」 「うん…」 もう少し…進めてみる これ…普通に女の子に挿れてるみたい… 「…んっ…っ!…~~っ…!」 「暁?苦しい?」 「はぁっ…大丈夫…だから…」 「うん…」 苦しいのか、気持ちいいのか 分かんないよ 少しずつ…半分くらいまできたけど… 「…はぁ~っ……はぁっ…んっ!…~っ…!」 「暁?やめる?抜く?」 「はぁっ…お願い…やめないでっ…はぁっ…」 こ…れは… 「分かった」 気持ちいいだ とは言っても怖いよ ほんとに、このまま進めて大丈夫? 「…はぁ~っ……はっ…はっ…はぁっ……~っ…んっ…ん~~~っ…!」 ってか…普通に… 俺も気持ち…いい… 「…くっ……暁…全部…入ったよ…大丈夫?」 「はぁっ…はるにっ…ありがとう」 振り返った暁は… ほんとに嬉しそうで… 泣きたくなる 「はぁっ……ん、ん……はぁっ……んっ…はぁっ…」 「暁…ほんとに…大丈夫?」 「だいじょぶ……はぁっ………んっ…はるにっ…」 「何?」 「もっと…奥…が…いいっ…」 「奥?怖いよ。怪我しない?」 「しないっ…気持ちっいっ…からっ...」 怖いよ こんなとこに挿れてるだけで心配なのに 「はるにっ?…うっ…お願いっ…」 「暁…なんで泣いてるの?」 「分かんなっ…お願いっ…!はるにっ…」 俺も…分かんないよ暁 「じゃあ…もっと…奥ね?」 「うんっ…っ…」 でも、じたんだを踏んでた暁の姿が 目に焼き付いて… 唇を噛み締めて 声を出さずに泣いてる暁が… きっと今は... 考えて…説得して どうにか安心とか 出来ないんじゃないかって 「はぁっはぁっ…ぁぁあっ!」 「えっ?!暁、大丈夫?」 「はぁっ…そこっ…気持ちいっ…からっ…」 「え?気持ちいいの?」 「んっ…今のっ…とこ…気持ちいっ…」 「わ…分かった」 ほんとに? 破れたりしない? でも…俺より暁のが経験あるから... 大丈夫だとは思うけど 「んっ…あっ…ぁあっ!…はるにっ…そこっ…」 「ここ?ほんとに大丈夫?」 「んっ…気持ちいっ…あっ...お願いっ…」 気持ちいいならいいけど 暁…イカせて 早く終わりたい 暁を…傷つけた奴と…同じ… 「あっ…ぁっぁっぁっ…ぁあぁあっ…くっ……んっ…はぁっ……あっ!」 暁…早く…イッて… 暁のも、触ってあげる これなら…もう少しでイキそう 「あっ...はるにっ……んっ…もっと…強くっ…」 やだ… 「分かった」 暁を…傷付けた男と… 「あっ!…~~~っ!ぁぁあ…ぁあっ!……くっ…いっ…くっ……」 早く…イッて… 俺は…そいつと同じじゃない 「暁っ…いいよっ…暁……はっ…好きだよ…愛してる」 俺まで…イキたくない 「は…あっ!……んっくっ…ぃっ…ぁっ……ぁあっ…あっ!…くっ…はっ…はるにっ…いっ…イクっ…くっ…いっ…ぁあっ...!イクっイクイク…イッちゃうっ…っ…ぁっ…~~~~~っ!!」 「…くっ!…っ!」 やだ… イキたくない! 暁で…イキたくない! その後… ばあちゃんの調子は少しずつ良くなり 両親の泊まりは 毎週から、隔週へ 夏を迎える頃には、月に1回程度になったが 暁は、その度に求めてきた どこかで俺は違うと思いたくて 暁に、好きだ、愛してると言ってるうちに その言葉なしではイケなくなってしまった お盆で、数日両親がいなかった時は、だいぶ… あの、じたんだを踏んだ時まではいかないけど 感情が…コントロール出来なくなってた 暁は… 俺の大学の近くの高校に行くと決めた 両親がずっと家を空けなかったお陰で 冬になるまで、そういう事は全然なくなり 普通の兄弟として穏やかな日… と言っても、お互い受験生だったけど もう…大丈夫なんじゃないかと思ってたら 年末年始、両親が居なくなると やっぱり… 泣きながら求めてきた 両親の傍に居た方が…と考えて ああ… 2人が出掛けて、俺が居なきゃダメかと考え いっそ、俺と暮らして両親の出掛ける姿を見ない方が落ち着くかもと思った けど… 毎日ではないけど お風呂に入った後… 環境の変化もあったせいか ここのところ、結構不安定になっていた 俺じゃなく... ちゃんと好きな人として… 安心出来るようになってくれればいい そう思ってたんだから やっぱりこれは、喜ぶべき事…だよなぁ 大学に行く準備をしようとして 携帯を見ると 暁から… 『間宮から、男が男を好きになるのはあまりないって聞いた』 『悠兄が、びっくりしたのと、心配なのとで、頭混乱してるって言ってた』 『心配かけて、ごめんなさい』 大丈夫だ 暁は…少しずつ変われてる 間宮君は… きっと… 暁を…ちゃんと思ってくれる子だ 「…ふっ…うっ……良かったね…暁」 『びっくりしたけど、暁にほんとに好きな人ができたのは、凄く嬉しいよ』 『暁に色々教えてくれて、俺の事気遣ってくれて、ありがとうって間宮君に伝えておいて』 『冷蔵庫に晩ごはん入ってるから、先食べててね』 暁が頑張って変わってるんだ 間宮君と、ちゃんと向き合うなら 俺も覚悟しなきゃいけない

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