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元カレ

「…んっ……ふっ…んんっ……ふぁっ……はぁっ…」 いくらキスしても足りない どれだけ愛情注いでも湧き出てくる 「…はぁっ……んっ…!…んはっ…ふぁっ……んっ…」 指先の1本1本から悠稀を感じて また、どんどん沸き上がってくる 「…はぁっ…ふぅっ……んっ…!……んんっ……ん~~~っ!!」 悠稀が、俺の胸をトントンと叩く ゆっくりと舌を絡めながら離すと 悠稀の体が、俺の左腕に体重を預けてきた 「ふっ…大丈夫?」 「…はぁっ…はぁっ…」 俺を見たまま、トサッと俺の方に倒れてきた 「苦しかった?ごめん」 「…大丈夫……そうじゃなくて……気持ち…良すぎて……頭…ふわふわして……」 「悠稀、キス好きだもんな?」 「凌久は…あまり好きじゃない?」 「好きだよ。俺がしようって言ったんだよ?」 「ふっ…そうだった」 可愛い 「悠稀、1回横になろ?」 「大丈夫だよ?」 「でも、横になってくっ付きたい」 「…うん」 ゴロンと2人して横になる 横になると、悠稀が俺の頬に手を当て、親指で目の下をなぞる 「…目…まだ少し腫れてる」 「…そ?悠稀のせいじゃないよ」 「俺のせいだよ?」 「俺が勝手に勘違いして悩んでたせい」 「凌久に…勘違いさせる様な…不安になる様な事ばかりしてきた俺の…んっ…ん……んっ…」 チュッ 「じゃあ、ちゃんと言葉に出さなかったお互いのせい」 「…ん…でも…俺の方がずっと悪いよ」 「それじゃ、いつまで経っても終わんないよ」 「でも…付き合い始めから、凌久には我慢ばかりさせてるから…」 「暁の事言ってんの?付き合う前から知ってたってば」 「普通に考えたら…あり得ないでしょ?」 「普通って?誰の事言ってんの?俺の考え変?」 「分かんないけどっ…あり得ないって…思われたらっ…困る…っ……凌久とっ…付き合えなくっ…なるっ…」 あり得ないよ そんなのあり得ないはずなのに それでも好きでしかいられなかったんだから もう最初から俺の負けなんだよ 「悠稀…」 「んっ……はっ…んっ…」 どんなに好きか伝わってる? 愛してるなんて そんな言葉言った事ないの分かってる? 「…んっ…はぁ…はっんっ……ん…んっ…」 悠稀が誰とヤってたって 悠稀が誰を好きだって そんなの…悠稀を嫌いになれる理由にならない 「…んっ!…はぁっ…んっんんっ!…んっはっ…」 でも… 悠稀が迷惑なら 悠稀が傷付くなら 別れるから 「んんっ!…~~っ!…んっんっ…~~~っ!!」 多分…好きな気持ちなくすまでは… ちょっと時間かかるけど大目に見てよ チュッ 「はぁっ…………」 ん? あれ? 「悠稀?」 「………」 「え?悠稀?…え?大丈夫?」 イッた後みたいになってるけど? キスしただけだよ? 「……凌久…」 「うん?」 「~っ…きっ…ふっ…うっ……」 「えっ?何?なんで泣くの?!き?き…何?」 「うっ…気持ちっ……良すぎてっ…っ…幸せ過ぎる」 「…え?」 「うっ…凌久~…っっ…凌久~」 なんなの?この子? なんなの?なんなの? 「そんなの…俺が嬉し過ぎて幸せだわ」 「うっ…凌久っ…」 悠稀が泣きながら抱き付いてくる 「あんまり泣くと、バイトと暁にバレるぞ?」 「んっ……凌久っ…好きっ…大好き…愛してる」 「うっ……嬉しいけど…俺はあんまり、そういうの言えないからな?」 「いいっ……俺がっ…言いたい…だけっ……」 「ん…嬉しいよ」 チュッ 「悠稀…」 「んっ…凌久っ…好きっ…」 「ん…ありがと」 「んっ…んっ…もっと……キスして?」 「…っ!」 悠稀が…そんな事言うなんて… 珍しい そんな顔で、そんな事言われたら… 知らない 「…んはっ……はぁっ……んっ!んっ!…~~っ!」 キスって…こんな気持ち良かった? 「んんっ!んんっ…んはっ…はぁっ…んっ!んんっ!」 なんか…今ならキスだけでイケそうな気がする 「んっ…はぁっ…りうっ…んっ!」 「何?」 「はぁっ…好き…はぁっはぁっ…好き…凌久…」 なんちゅう顔してるんだよ でも…多分俺も…そんな顔してんだ 気持ち良くてしょうがない 「はぁっんっ!んはぁっ!んぁ…~~~っ!んんっ!」 気持ちいいね悠稀 気持ち…通じ合ってるって 幸せだね 「んんっ!んぅ…っ~~~っ!~~~~っ!!」 チュッ ヤバッ ちょっとフワフワする 酸欠? って… 「悠稀…悠稀、息してる?」 「……」 なんか…え? 大丈夫? 「悠稀?ねぇ、息してる?大丈夫?」 体を揺らすと 「…っはぁっ…はっ…はぁ~っ…はぁっ…りっ…くっ…」 「はぁ~っ…びっくりした。大丈夫?ごめん。やり過ぎた」 悠稀をぎゅっと抱き締める 「はぁっ…凌久っ…」 「ん?あっ…苦しい?」 「ふわふわ…ふわふわ…」 「え?」 「体…浮いてるみたい…」 「あ...え?気持ちいいって事?」 「うん……こんなに…気持ちいいの…初めて…頭…働かない……よく…分かんない」 「ふっ…なら良かった。俺も…すげぇ気持ち良かった」 その後、時間になるまで、ずっと抱き合って 時間が経っても、悠稀の様子がおかしいので 俺は、悠稀をバイト先まで送ってく事にした なんて言うか… ただでさえイケメンなのに 色気振り撒かないでいただけます? 可愛い顔すんなって言ったら 同じバイトしようと誘惑してきた そうかと思ったら やっぱ一緒に働きたくないと言い出し 可愛い顔でシュンとしながら 俺がモテるとか言い出した こいつの世界はどうなってんだ? 電車に乗っても なんか、まだポヤポヤしてる いや…ちょっと不機嫌? どっちにしても そんな顔を不特定多数の人達に見せないで欲しいんですけど 「お~い」 はっとした顔で俺を見る 「電車乗ったけど、何処で降りるんだ?乗り過ごすなよ?」 「…うん」 電車乗ってんの分かってますか? 皆が、その顔見てますよ 電車から降りて歩く やっぱ、ちょっとムッとしてんのか? 妄想の世界で、俺がモテる嫉妬してんのか 「悠稀さ~…俺で、ヤキモチ妬いてたら、俺なんか、ヤキモチ妬き過ぎて、悠稀と付き合ってくの、不可能レベルなんですけど」 「……?」 ? じゃないのよ 「なあ、電車の中でも、じ~っと悠稀の事見てた、女の人居たの気付いてた?」 「それは、俺じゃなくて凌久を見てたんだよ」 「なんでそうなるかなぁ?じゃあ、今すれ違った人が、悠稀を見てったのは?気付いた?」 「俺は…凌久と歩く時は、前だけ見てる事にしてるの!色んな人……勝手に凌久の事……見てくから…」 は? それ…お前を見てるんだろ ってか… ってか… なんだ…そうだったんだ 「ふっ…俺は…密かに自慢してる」 「えっ?凌久…モテたいの?」 「そうじゃない。悠稀をさ、いいなぁ…って目で見てく奴らに、いいだろ?こいつ、俺と付き合ってんだぞ?お前らの知らない顔も声も、知ってんだぞ?って、心の中で思って、笑ってる」 「凌久…そんな事思ってたの?」 「じゃないと、やってけないだろ?!バスケ部の水無瀬君は、モッテモテなんだから!」 一緒に歩く時 悠稀は全然俺の方を見なくて 一緒に歩いてるのを皆に見られるのが 嫌なんだと思ってた 「やめてよ!そのバスケ部のってやつ…もうバスケ部じゃないし、馬鹿にされてるみたい」 「馬鹿になんかしてないよ。同学年だけじゃなくて、後輩からもキャーキャー言われてた水無瀬君が、俺の彼氏なんだなぁ…って幸せに浸ってるの」 なんだ… いつも俺と歩きながら嫉妬してたんだ 「……ほんとに、そういう意味?」 「ほんとに、そういう意味」 「……なら、いいや」 「あっ!また…そうやって、簡単に笑うんじゃない!」 「凌久と居るんだから、無理だよ」 なんだ… 悠稀は… 俺が思ってるより ずっとずっと俺を ちゃんと好きでいてくれたらしい 暁の都合に合わせやすいからって理由で たいして時給が高い訳でもない ファミレスのバイトをしている 店内がギリギリ見える場所で 何気なくガードレールに座ってみる しばらくすると、制服を着た悠稀がホールに出て来た 何着たって格好いいですね~ あんな人に優しく接客されたら どれだけの人を惚れさせてんだか 無自覚に 「さて…帰るか」 立ち上がって、元来た道を歩こうとした時 「凌久?」 …え? 振り返ると 「…え?…光樹(こうき)…先輩?」 何で…先輩がここに… 「ふっ…凄い偶然。元気だった?」 「あ…はい。先輩も…元気でしたか?」 「うん…凌久…今って…時間、あったりする?」 「え?……はい」 先輩… 俺の事嫌いになったんじゃないのか… 「えっと…迷惑じゃなかったら…少し…話しない?」 「……はい。俺も…話したいです」 突然連絡取れなくなったのは… 単に距離が開いたから? 「少し歩いたとこにね、お気に入りのカフェあるんだ。そこでいい?」 「はい」 お気に入りの…場所に 連れてってくれるって 嫌われてる訳じゃなさそう… 「どう?雰囲気良くない?」 先輩が連れて来てくれたカフェは ちょっとレトロで コーヒーのいい匂いが漂ってて お洒落なカフェだった 「凄くいいです」 注文した物が揃うと 「凌久…ごめん!」 突然、先輩が頭を下げた 「え?先輩…何…」 頭を上げると 「俺…高校行ってから…しばらくして…親が離婚したんだ」 「…えっ?」 ちょっと… 心の準備が… 「それで…その…どっちが親権握るとか、何とかゴチャゴチャして…その…携帯も契約し直すとか何とかしてるうちに、引っ越しとか…する事になって…」 「……え?」 「一通り落ち着くまで…けっこう時間かかって…携帯変えたけど…連絡先は残ってたから、凌久の連絡先…分かってたんだけど…」 「……はい」 あの時… 先輩…そんな事に…… 「結構…遠くに引っ越しちゃって……連絡しても…簡単に会える距離じゃなくて…」 「…はい」 「会えないのに…連絡取るの……辛くて…」 「はい…」 「ごめん…何にも言わないで……突然…連絡途絶えて……ごめん…」 当たり前だけど 全然そんな事知らないから そりゃ少しは怒ったさ けど…卒業したら、そうなるのかななんて 思ってたし 「正直…少し……結構落ち込んで…少しは怒りました」 「…ごめん」 「でも…俺、先輩には感謝の方が大きいから」 「……え?」 「俺、中学入る前に、男が好きなんだって気付いて、恋愛諦めてたんです。なのに、こんな格好いい先輩に告白されて、好きな人とちゃんと付き合う事が出来て、これが最初で最後かもしれないけど、幸せだなって思ってたので…」 「……凌久」 まさか… ずっと気にしてくれてたなんて 「まして、そんな理由なら仕方ないです。恨んでなんかいません。ずっと気にかけてくれて…俺の事見付けて…こうやって話してくれて、ありがとうございます」 「…やっぱり凌久は、イケメンだな。ありがとう」 「ふっ…先輩に言われたくありません」 「凌久…今は?大学生?」 「はい。先輩もですか?」 「うん」 話し方…変わらない 凄くモテてた なのに… 男の後輩の俺を… 凄く大切にしてくれた 「そんな甘そうなココア飲んで…相変わらず甘いの好きなんだね?」 「はい。先輩は…中学の頃からブラックコーヒーでしたね?」 「そうだね。凌久…結構背伸びたね」 「先輩だって伸びた」 優しい笑い方 凌久の…りの発音?言い方? 皆とはちょっと違ってて それが特別みたいで嬉しかった 「凌久…好きな人いるの?幸せそう」 「…えっ?!…なっ…えっ?」 「ふっ…びっくりし過ぎ。いや…ごめん。なんか…あの時、凌久まだ中1だったからさ…それじゃなくても男同士って…なかなか難しいのに…俺のせいで、誰も好きにならないとか…なってたらどうしよう…とか、思ってたから…違った?」 先輩…… そんな風に、思ってくれてたんだ ちょっと…泣きそうになるんですけど 「…違わないです。凄く…大切な人がいます」 「…そっか。はぁ~っ…良かったぁ。いや、俺が悪いのは悪いんだけど…とりあえず凌久が幸せで良かった」 「先輩は?好きな人…いますか?」 「あ…うん。働いてるから…なかなか会えないんだけどね…一緒に…暮らす話…とか…出てるんだけど……」 同棲かぁ いいなぁ でも、確かに働いてたら 一緒に住んでないと、なかなか会えないかも 「…いいなぁ」 「あ...そうだよね?ごめん…なんか…俺の話…」 「あ...いえ。一緒に暮らさないんですか?」 「うん……そうだね…そうしようかな……って、今思った」 「え?」 「なんか…多分どっかで、凌久の事…頭から離れなくて…なんとなく、俺だけ幸せになるとか……いいのかなとか…思ってた…のかも?」 いや… 俺、中1の時の話だよ? 何年前?! 「…もしかして先輩…今までも、俺のせいで、彼氏に遠慮とか…我慢とか…してきたんですか?」 「いや…凌久のせいじゃないんだけど…なんか…どっかで考えちゃうんだ……だって…凌久とちゃんと別れた訳じゃなかったから…俺が一方的に捨てた様なものだから…」 「先輩…もう考えないで下さい。充分です。何年そんな思いしてくれてんですか?!俺…ちゃんと幸せですから、先輩も幸せになって下さい」 どんだけだよ 今の人だけ? 俺のせいで別れたりしてない? 俺より全然苦しんでんじゃん 「うん…今日、凌久に会えて良かった」 「俺も…てっきり嫌われたか、忘れられたと思ってたので、良かったです」 「うっ…そうだよね?ごめんね」 「でも、俺は先輩程引きずってなかったですよ?」 「そっ…それはそれで…なんか傷付くと言うか…」 「先輩みたいな凄い人と、たった1年でも付き合えたのは…俺にとって奇跡みたいな思い出だったから…充分だったんです」 「凌久…俺も…凄く楽しかったよ」 悠稀と、ちゃんと付き合えてて良かった こんな格好いい先輩に こんなに言われたら 一発頼んでなかった?俺 「凌久の…好きな人は…告白とか出来そうな人なの?」 「ああ…一応…付き合ってます」 「そうなの?!わぁ…良かったねぇ」 「うっ…はい…」 イケメンの笑顔の破壊力よ 「学校の友達?バイト?先輩?後輩?」 「ふっ…スッゴい聞いてきますね?」 「あっ…ごめん」 「高校の頃からの友達です。大学も一緒なんです」 「そっかぁ。高校からの…良かった」 「先輩は?何歳位上の人なんですか?」 「あっ…えっと…3つ上。凄く大人で…優しくて…あっ…あの…良かったら…写真見る?」 かっ…可愛いんですけど?! 「いいんですか?」 「うん!」 中1の時の俺にとって 中3の先輩は物凄く大人で でも今は… 大学1年と大学3年だと もっと距離が縮まって こんな可愛い人だったっけ? 「この人…なんだけど」 「うわぁ…ほんとだ。大人の男って感じ~」 「うん。考え方とかも大人で、憧れる」 「背…高っ。先輩だって結構高いのに…なんか、モデルとかやってそう」 「うん。学生の時はやってたみたい」 「やっぱり!へぇ~」 写真の中のツーショットは 先輩が凄く可愛いくて ああ… この人と付き合ってるからか…と納得した 「凌久…ありがとう」 「え?」 「なかなか、こんなの人に言えないから、自慢しちゃった」 「分かります。じゃあ今度、俺の自慢話も聞いてくれますか?」 「うん!また会ってくれるの?」 「ああ…でも、お互いの相手嫌ですかね?」 「ああ…そっか。でも俺…同棲の話もあるし、話してみようかな。けど…凌久は凌久だから、無理しないで。連絡…もやめた方がいいかな?」 「それなら全然。俺の連絡先変わってないので」 「うん!」 なんか… 先輩が悠稀に見えてきた 悠稀は、言ったら嫌とは言わないだろうから 反応見てだなぁ

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