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悔恨

悠稀…起きたかな 泣いてないかな 怒って…はないんだろうな 大学卒業まで せめて友達で居たかったな 馬鹿だな こんな事なら さっさと言っとけば良かったか 実はいつも宇沙美にヤキモチ妬いてるんです …言えるか 悠稀にとって大切な友達だ 俺なんかより、ずっとずっと長い間友達で 同じ部活で 多分、あんな風に何度か泣いて あんな風に慰めてもらって もしかしたら慰めてあげて それを、突然出て来た俺に 壊す権利なんてない そんな事くらい許せないなら 悠稀を大切に出来ないって事だ 許せなかった俺に 悠稀を大切にする資格はない あんな酷い事をした俺に 傍に居る資格はない 大学は一緒だから仕方ない ほんとは目の前から消えてあげたいけど それは、さすがに無理だから ちょっと視界に映ってしまうのは勘弁してもらって しばらくは落ち込むだろうけど 悠稀の周りには 沢山心配してくれる人達居るから 宇沙美だって きっと心配して慰めてくれる 18:00 さすがに帰ったか アパートに戻ると ちゃんと鍵がかかってて ポストの中には鍵が入ってた 冷蔵庫のおかず… 持ってってくれたんだな 宇沙美のタオルもちゃんと持ってった もう…… 悠稀の残骸… 何もない…… 何も食べる気にもならず シャワーを浴びて、さっさとベッドに横になる あ…… 悠稀の…匂い… 「……ふっ………っ……ぅっ…」 だから… 俺が泣くなよ 抱き合ってたか? キスしてたか? あんなの全然許せたろ 俺と付き合いながら暁とヤッてたんだぞ? それを許してきて…… どこで爆発してんだよ 馬鹿じゃね~の? 「…ふっ…ははっ……馬鹿だ……アホ過ぎる…」 大学休もうかと思ったけど 明日もあさっても休みたくなるだろうし 「うい~!楠~」 「…宇沙美」 今会いたくない奴No.1 「ちゃんと悠稀と話し合いしたか~?」 今聞かれたくない事No.1 「……」 「は?何?何で無言な訳?」 何でって… そりゃ 宇沙美が原因で俺が崩壊して 悠稀にあり得ない事して泣かせたから なんて言えないだろ 「ちょっと!何があったのか知らないけど、話し合いもしてないの?!じゃあ、なんで悠稀連れてったんだよ?!」 返す言葉がない 「……悪い」 「悪いじゃね~よ!何?じゃあ、あの後すぐ別れたの?楠が原因っぽかったから、話し合いするしかないと思ったのに……は?!ふざけんなよ!じゃあ…悠稀…1人で泣いてたのかよ…」 1人じゃない けど 俺がもっと泣かせた 「……楠…ちゃんと話し合う気になるまで、悠稀に近寄んなよ。お前の勝手で悠稀、振り回すな」 「……そうだな」 もう…二度と近寄らない 講義が終わって やけに腹が空くと思って そう言えば 昨日から何も食べてなかったと気付いた 学食に行き、食べる 何…食べてんだっけ? 俺が頼んだんだっけ? なんか…これ…何の味もしない 何なのか分からない物を飲み込んで とりあえず腹は満たされたので帰る事にする 学食を出た所で 「り…凌久…」 ……え? 学食に入ろうとしている悠稀が こっちを見ている 泣きそうな顔で… なんで… 声掛けてくんの? 顔も見たくないだろ 「凌…」 「悠稀!」 少し離れた場所から、宇沙美が走って来る 「碧音(あおと)…」 「学食?行こ」 宇沙美が悠稀の腕を引っ張って中へ入ろうとする 「え?ちょっと待って。俺…」 「駄目だよ」 「…だ…駄目って何が?」 「楠、話し合いする気なんてないんだろ?だったら行っても、また泣かされるだけだよ」 「……え?な…なんで…そんな事…」 「いいから行こ。ほんとに話したいなら追いかけて来るよ。来ないだろうけど」 そう言って 悠稀の腕を掴んだまま少し歩き出す 「ち…違う!凌久は悪くなくて…俺が悪いから…」 「どっちでもいいよ。悠稀は話し合いたかったんだろ?なのに楠、話し合ってくんなかったんだろ?だったら、楠に渡さなきゃ良かった。あんなに泣いてたのに…」 「あ…あれは、嬉しくて泣いてただけ…泣くの…我慢してたら、碧音が来て…びっくりして泣いただけ」 「……そっか。でも昨日、何かあったんだろ?」 「…え?」 「楠を見る悠稀の顔…嬉しそうじゃなくて…悲しくて泣きそうだもん。悠稀が声掛けても、こんなに話してても、楠こっちに来やしないだろ?行こ」 「…ちょっ…と待って…碧音…俺、凌久と…」 「駄目だって。分かれよ。あいつ、全然話す気ないじゃん」 「そんな事…」 悠稀が言い掛けたところで 俺は歩き出した 「凌久!」 「駄目だって。諦めろよ」 話し合いなんてしたら 絶対悠稀は、自分のせいにして許す どう考えたって許されないのに 許すから また…碧音と話したから怒らせた? ほんとは…話そうとしてくれてた? 「…悠稀……悠稀」 「……あ…何?」 「ご飯…全然減ってない」 「……え?……あ…そうだった」 「話聞いて欲しいなら聞くよ?」 「……ありがとう」 「……楠に泣かされたんだろ?」 「…え?凌久…何か言ってたの?」 「やっぱそうなんだ。昨日、俺の前で泣いてた位で、そんなに目腫れないだろ?」 「あ……」 余計な事言った… 目…やっぱり腫れてたかな 「何か言われた?何かされた?」 「…俺が…悪いから」 「悪いからって、何してもいい訳じゃないだろ?」 「でも…そうさせたのは俺だから……あんなに…優しいのに……凄く苦しめた」 「……悠稀も充分苦しそうだよ」 「……俺は…しょうがないんだ……始めから…我慢ばっかりさせて……なのに…俺が全然…」 気付かないから 凌久…いつからそう思ってたんだろ ずっと? 俺… 何も考えないで碧音と笑ってた 「悠稀、今日時間ある?」 「……この後の講義の後…バイトまで少し…」 「少し…話せる?」 碧音と…2人で話したら 凌久…やだよね? 「……ごめん」 「…楠に気遣ってんの?」 「……え?」 「昨日の楠、かなりおかしかった。そういう…感じのキレ方に見えたから…違った?」 「……」 碧音… 気付いてる 「悠稀が嫌なら、無理にとは言わないけど、別に何もかもじゃなくても…話したい事とか…言いたい事だけでも言えよ」 講義が終わって 碧音と中庭で適当に座る 「ここなら、話しても聞こえないだろ?」 「……うん」 「お互いに苦しめ合ってるから、別れる事にした?」 「……」 そういう…事になるのかな 「なんで、楠話し合いしてくれねぇの?」 「……完全に…怒らせて……もう…ほんと我慢の限界なんだと思う」 「それは…付き合ってたらお互い様なんじゃねぇの?」 「…違うんだ…俺が…」 「何にしたって、話し合いもしないで、どんな結果も出せないだろ。なのに楠、話し合う気がないんだろ?何なの、それ?どうしたいの?あいつ…」 話したくもないのかな 話しても意味ないからと思ってるのかな 顔…見るのも嫌になった? 「…~~っ…」 あんな…幸せな気持ち初めてだった 沢山沢山くれたのに… 俺…奪う様な事ばかり… 「ちょっと…悠稀、さすがにここで泣くのはヤバいって」 「…っごめっ…」 「ちょっと…下向いてて…立って」 「っ……ごめっ…」 昨日と同じ… 凌久…こういうの嫌だったんだ でも… もう怒ってもくれない どうでもいいんだ 昨日とは…違う… 「はぁ~…ここなら、皆から見えない。人も来ない。でも、あんまり大きな声で泣いてると…もしかして気付かれるかも…」 「っ…んっんっ…っく…」 「…昨日は…嬉しくてって…言ってたのにな…」 うん… 昨日は、嬉しさが込み上げて… 今日は… 今日は… もう…ほんとに… ちゃんと話す事すら出来ないんだって…… こんな俺と… 絶対簡単な事じゃないって 大変な事だって分かってて いつか暮らせるかな 凄く凄く俺の事を思って 選んでくれた言葉 「んっ…うっふぅっ…うっ…っく…」 「そんなに泣いたら、更に目腫れるぞ?」 「んっ…っく…ごめっ……」 「いや、俺が困る訳じゃないけど…」 「…っ…っっ…うっ…うう~っ……っ…」 「……でも…腹は立つよな…」 ……え? 碧音が…抱き締めてきた 「…碧っ…音?」 「……泣~き止め~…泣~き止めぇ~」 「…っく…うっ……何?…それ…」 「俺が作った泣き止める歌」 「なっ…なんかっ……怖いっ…」 「はあ?!人が恥を忍んで作詞作曲歌唱までしてやったのに?!」 「ふっ…っ…嘘っ……泣き止むっ…」 「おお」 俺のせいで 碧音の事も嫌われた こんなに…碧音も凌久も… 優しい人達… 「~~っ…っ…うっ……はぁっ…うっぅっ…」 「え?なんか…泣き止む気配…遠ざかってんすけど…」 「~っごめっ…ごめっ…んっく…ちょっと…待って…」 「泣き虫悠稀。自分以外に優しくして、自分に優しくしないから、こうなるんだ」 「違っ…違うっ……俺はっ…全然優しくないっ……」 「は~?悠稀が優しくなかったら、どんな奴優しいって言うんだよ?」 「んっ…碧音っ…凌久っ……皆優しっ…」 ぎゅ~っと碧音が抱き締める力を強めてきた 「……優しい人…好き?」 「……うんっ…?」 「じゃあ…俺と付き合おうか」 「………え?」 「俺…こう見えて…なかなか優しいよ?お得物件」 付き合う… 碧音と… 俺が… ………え? ちょっと…頭…回んない 「……ははっ…嘘。冗談。こんな時に悪い。びっくりしたら、少しは泣き止んできたか?」 碧音が…体を離す いつもの…碧音 「…っっ…うん…」 冗…談… 「悠稀に泣き付かれて数年。俺をナメるなよ?」 「……うんっ…」 「ふっ…なんちゅう顔してんの?アホ面」 「…っ…うん…」 「しっかりしろ!そこは、うんじゃないだろ?ったく…2日連続泣かれると思わんから、今日だってハンカチないぞ?」 「あっ…碧音のタオル…持って来た」 「おお…俺のタオルナイス!使え」 バッグからタオルを出す タオルで、顔を拭くと… あ...ヤバい 凌久の…匂い… 「~~~~っ!!」 「えっ?!何?!俺のタオル?タオルのせい?」 凌久の匂い…凌久の匂い…凌久の匂い… 凌久! 「~~っ!…っっ……うっ…凌久っ…~~っ!」 凌久!…凌久!…凌久! 「ふっ…ぅっ…凌久っ…うぅっ…うっ…ぅんっ…!」 ………え? 何? これ…キス? なんで…誰が… 碧…音…? 「はぁっ…さっさと忘れろよ。泣きそうなお前見て…一言もなく立ち去ったんだぞ?もう…思い出して泣くな…」 「碧…音…」 なんで…そんな… 泣きそうな… 辛そうな…顔… してるの? 「…悠稀が辛いと…俺も辛くなるから……早く忘れろよ…」 「碧…っ…んっ!……ん、んっ……」 さっきの… 冗談じゃない? 「…んっふぁっ…はっ……んんっ…!…んっ…んっ…~っ!」 ほんとだとしたら俺… 碧音の事もずっと… 気付かずに…苦しめてた…? 「はぁっ…ぁ…ふぁっ…んっ…!…~~っ!」 「はぁっ……おしまいっ…どう?泣き止んだ?」 「…はぁっ…碧音…さっきの…ほんとに冗談?」 「ん。そうだよ?」 「でも…こんな事……した事なかったよ?」 「あ…そうだよな?あまりの号泣に、ちょっと血迷った。わりぃ」 ほんとに? なんか…キスが… 好きな人にするみたいな…… 「なんて顔してんだよ?友達同士の遊びだと思え」 「…碧音…」 「何?」 「……ううん…何でもない」 「そのタオル…は、いいや。ちょっと待ってろ」 そう言って、居なくなった碧音が しばらくすると、濡れたタオルを持って来てくれた 「ほら、これで少しでも目冷えしとけ」 「…ありがと」 「ここ座ろ」 「うん…」 碧音の匂い… 凌久と…碧音… 俺のせいで傷つけてしまった 優しい人達の匂いがする 「悠稀…」 あ…れ…? 「バイトあんだろ?そろそろ起きなくて大丈夫か?」 「……えっ??俺…ここで寝てた…」 「うん」 「いっ…今…何時?」 「15:50」 「行かなきゃ!ごめんっ…碧音…俺…バイト行かなきゃ…」 「分かってるって。どれ?」 ガシッと顔を掴まれる 「ま、じっくり見なきゃ大丈夫か」 あ…目… 「ほんと?」 「おお。ちゃんとイケメンだ。頑張れよ~」 「うん!ありがと、碧音!」 昨日、店長から電話がきた 水無瀬が具合悪くて休む事になったので、代わりに出てくれないかと たいした予定もなかったのでバイトに行くと 友達から、風邪引いて熱を出して倒れたと連絡がきたらしい 「その友達って、女っすか?」 「いや?男だったよ?」 俺が言った事…関係ある? 彼女に確認して…玉砕した? ヤバッ え? 泣いて…友達に慰めてもらってた? で、友達が電話してくれた? でも、まあ… そうだとしたら、さっさと別れるべきだし? 俺は、その手助けをしたって事で ……出て来たら 優しくしてやるか と、思ってた翌日 今日は連絡ないから、来るはずだけど 同じシフトに入ってるはずの水無瀬が来ない 「遅くなりましたっ!」 そう言ってギリギリ間に合って登場した水無瀬は… 登場しちゃダメな感じになってた 少し腫れて真っ赤な目をうるうるさせ 頬はほんのりピンク色 額と首元には汗が流れ 「はぁっ…はぁっ……あのっ…?」 お前は今、更衣室でヤッてきたんかい?! って感じになってて 俺と店長は、無言で水無瀬を休憩室に押し込めた 「えっ……えっ?…あのっ…?店長?」 バタンとドアを閉めると 「水無瀬…お前、どうした?」 「遅くなってすいません!走って来たんですけど、ギリギリになってしまいました。昨日も突然休んですいませんでした!」 水無瀬が頭を下げる 「ああ…いや、そうか……水無瀬、まだ熱がある訳じゃないよな?」 「いえ。大丈夫です」 「そう…か……八神…ちょっと…」 「はい?」 店長が、水無瀬に背を向けて 少し声を抑えて言ってきた 「俺はマズイ。お前…せめて、もうちょいどうにかしてから、水無瀬と出て来い。それまでは俺がホールに出てる」 店長は、非公表ゲイだ 俺には見破られたけど 「どうにか…なるかなぁ…」 「あと1時間位は大丈夫だ。それまでに、何とかしろ」 「ベストは尽くします」 店長が出て行き、水無瀬の頭の上には???が浮かんでいる 「八神さん…どういう事ですか?」 「事後みたいになってるお前を、客の前に出せないって話だ」 「事後…何のですか?」 「分かんねぇのかよ?セックスだよ、セックス」 「セッ……えっ?…えっ?なんで?」 「こっちが聞きてぇわ。なんか冷やすもんねぇかな~。その目、泣いたのか?」 俺がその辺色々探しながら聞くと 「あっ…やっぱり腫れてますか?すいません」 「腫れてるし、真っ赤だ。やっぱ待ち合わせだったの?玉砕した?」 「待ち合わせ?玉砕……ああ!いえ…それは関係ないです」 「関係ないんかい。水無瀬、ハンカチかなんかない?」 「…タオルなら…あります…けど……使いたくないです」 「あ?使えよ。ってか、使えない物を口に出すな」 「使えない訳じゃなくて……使ったら…多分また…泣きそうで…」 うわ… 「分かった分かった!泣きそうでって…もう、半分泣いてんじゃん!ちょっと待ってろ!」 更衣室に行ってバッグの中をあさる ヤベェなあいつ よく、ここまで無事辿り着けたな 何とも思ってないとこが更にヤバい 「ハンカチなんてねぇし、タオルも…あっ!これ!」 この前100均で買っておいたやつ! 水に濡らすとひんやりタオル2枚セット! でかした…俺! ガチャ 「水無瀬、いいもん発見…」 バタン 「あっ…八神さん?」 これは… うん 鍵…かけとこ カチャ 「八神さん?」 「あ…あのさ、水無瀬…」 「はい」 「これから大切な事を教えるから、よ~く聞くように」 「はい…?」 「…っと、その前に冷やすか」 とりあえず、ひんやりタオルを濡らして 水無瀬に渡して冷やさせる さてと…

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