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りっちゃんは、りく君
「水無瀬、冷やしたまま聞いとけ」
「はい」
2人で休憩室の椅子に座り話す
「お前はイケメンだという自覚が無さ過ぎる」
「自覚…あまり…してないので…」
「だめだ。今すぐ自覚しろ」
「え?」
キョトンとしてこっちを見る
え?
じゃないのよ
「あのな。俺の恋愛対象は女だ」
「?…はい」
「その俺が、今のお前ならイケるんじゃないかって思う」
「いけるんじゃ…ないか…?」
だめだ…
この子、遠回しじゃ全然だめだ
「単刀直入に言おう。今のお前となら、セックス出来るんじゃないかって思う」
「セッ……えっ??…えっ……えっ?」
「別に、今すぐ襲いたいと言ってる訳じゃないから、あんまり顔赤くすんな。ほんとに襲いたくなる」
「襲…襲いたく…」
あざとい…
無自覚タラシだな
「あのな、お前は元がいいんだ。だから、ちょっとでも普段と違う様なとこ見せたり、つまり隙を見せると、すぐに悩殺される奴らが、わんさか居ると自覚しろ」
「…泣いたり…って事ですか?」
自分の泣いてる姿、見た事ねぇのか?
いや、自分で見ても分かんねぇか
「そ。今日来た時のお前、目真っ赤で腫れて、頬染めて、汗かいて、はぁはぁ言って、今そこでセックスしてましたって感じ」
「えっ…」
「んで、今のお前、そんな姿のまま、腕まくりして、胸元ボタン開けて、誘ってますって感じ」
「えっ?!違っ…」
焦って、胸元のシャツを押さえてる
「分かってる。俺は、お前を知ってるから。けど、第3者には、そう見えるって事分かっておかないと」
「っ…はい…」
「自分がどう思っても思ってなくても、周りにはそんな風に見えるって思って、自分で考えた行動とらないと」
「……そう…ですよね……そういうの…考えないから俺っ…」
え?
待て待て待て!
「ちょっと待て!泣いてどうする?冷やしてる意味がね~よ!」
「……そうですよね?泣かないです」
「そうそう……あ~…今日、お前と同じ時間に上がりだから、話聞いてやる」
「いえ…早く家に帰りたいので」
「はあ?!そこは、ありがとうございますだろが!」
何?この子…
新種のツンデレですか?
「弟…心配なんで…」
「ああ…そうだったな……じゃあ、お前ん家まで送ってって、その間に話聞いてやる。家までどの位?」
「歩いて30分位です」
「中学校圏内か!」
「弟に…何かあったら…すぐ帰れるように…」
「どんだけだよ。いい兄ちゃん持って、幸せな弟だなぁ」
「……全然っ…いい兄ちゃんなんかじゃなくてっ…俺っ…」
「えっ?!何?!そこもだめなの??」
こいつの地雷ポイントが分からん
「泣くなって…ちょっと…」
これ…あと30分で、どうにかなる?
無理じゃね?
話せば話すだけ地雷踏んでる気がする
「……はぁ~っ…水無瀬、ちょっと立て」
「…え?…はい」
立ち上がった水無瀬を抱き締める
「何があったかは、終わったら聞く。ちゃんと相談に乗ってやる。けど、水無瀬バイトに来たんだろ?俺と水無瀬の分、店長達頑張ってくれてる。あと30分したら忙しくなる。ちゃんと仕事しに行こ?」
「あっ……はいっ…すいませんっ…八神さんっ…」
「だから、泣くなって。泣くのは、終わってから」
「はいっ…ちゃんと泣き止んで、目冷やして、働きます」
「よし、そうだ」
あれから10分位すると大人しくなり
更に10分…
これは…
このままのがいいのか?
まあ…泣き止んだなら、何でもいいか
カクン
えっ?!
突然、水無瀬が崩れ落ちるとこを
何とか受け止めた
「……っと…大丈夫か?!」
「…あ…すいません。ちょっとウトウト…してました…」
「は?大人しくなったと思ったら、お前…寝てたの?」
「ちゃんとは寝てないです…寝そうでした」
どんだけ無防備なんだ?!
男だからかもしんないけど
普通、バイトの先輩の胸の中で寝ます?!
人懐っこ過ぎ
信用し過ぎ
「八神さん、目…どうですか?」
「う~ん…まだ腫れてはいるが、若干いいか?目が赤いのは良くなったな」
「出ても…大丈夫そうですか?」
「ここまで照明明るくないし、水無瀬の態度がおかしくなきゃ、大丈夫かな」
「はい!ちゃんと働きます!」
「うし!じゃあ、身だしなみチェック!」
「あっ…ちょっと…待って下さい」
あたふたと、身だしなみを整える
可愛いね~
こんな可愛い子と付き合って
浮気する女とか居るのかね~?
まあ…もっと男らしいのがいいとかあるか
ホールに戻ったものの
店長は心配して、そのまま残っていた
一生懸命仕事はしている…が…
やっぱり、なんだかぼーっとしていて
「水無瀬、5番テーブル」
「あ、はい」
呼ばれても気付いてなかったり
「失礼します」
「…はい?」
「…あ…何かご用でしょうか?」
「…?いえ…」
「水無瀬、隣だ、隣」
「え?!失礼しました!」
テーブル間違えたり
カンカラカ~ン!
「失礼しました!」
「失礼しました!大丈夫か?水無瀬。足に当たんなかったか?」
「大丈夫です。すいませんでした」
全然…
いつもの水無瀬ではなく…
そして…
「どうしたんだろね~?」
「彼女かな?喧嘩かな~?」
「高校生?大学生?男の子なのに、泣いちゃうんだね?可愛い~」
とか
「目…腫れてるよね?」
「腫れる程泣くって…何があったんだろね?」
「慰めてあげた~い!」
とか
全然隠せてなくって…
いつものイケメンオーラだけではない
特別なフェロモンを撒き散らし
しかも…
「あ…また声掛けてあげた」
「優しい~。先輩後輩だよね?」
「心配でしょうがないって感じ?」
「終わったら、頑張ったご褒美だね~」
とか
「さっきも助けに行ったし、目が離せないんだね~」
「えっ…待って待って…もしかして…あんなに泣かせたのって…」
「え~?せんぱ~い?!」
とか
俺も、すっかり巻き込まれた
いや、他の人達が聞いても、たいして気にしないかもしれないが
俺は、妹に定期的にBL本を読まされ、感想を求められてきたので
その手の話に変換される
そして、本物である店長も、俺達をハラハラしながら見ている
そんなこんなで、なんとか客も落ち着いてきた頃
「お先っす」
「おお、お疲れさん」
「店長、ほんとに昨日も、今日も、ご迷惑おかけしました。すいません」
「何があったかは知らないが、無理そうな時は、早めに連絡してくれると助かるな」
「はい」
「無理ってのは、体だけじゃないぞ?分かるな?」
こういうとこ、格好いいんだよなぁ
「……はいっ…分かります。ちゃんと…考えます」
「おお。お疲れさん」
「お先に失礼します」
「んで?そんなに目が腫れるだけ泣いた原因は?」
水無瀬の家までの道のりを
歩きながら聞いてみる
「…俺、ちょっと変わってるって言うか…普通じゃないって言うか…付き合い始めから、凄く色んな事、我慢してもらってたんですけど……」
彼女にって話だよな?
「へぇ~?以外。結構マニアックなプレイが好きなんだ?」
「…え?マニアックな…?」
「え?そういう話じゃないの?」
「多分…違うと思います」
「あ、そ。どうぞ続けて」
恥ず…
「ずっと、俺優先で考えてもらって、普通はあり得ない事許してもらって、普通はする事出来なかったり…ほんとに…沢山考えてもらって…」
「…うん」
全部…脳内でエロい事に変換されてヤバい
普通はしないプレイをさせてもらって
普通のセックスはしないって聞こえる
「なのに俺は…全然嫌な事に気付いてあげられなかった。気付かないうちに…沢山…傷つけてた」
「…そっか」
いや、やっぱそうじゃね?
多分、違わねぇよ
そりゃ
たまには普通のセックスもしたいよな?
「…っ…俺のっ…せいだから、俺はっ…しょうがないっ……けどっ…凌久っ……凄く優しい凌久っ……あんなに怒らせるまでって……凄くっ…凄くっ…傷つけてたっ…」
りっちゃんは、りく?りくこ?りくみ?
優しいのか
じゃあ、この前のは
普通のセックスしたくて、セフレかなんかか?
「まあ…こういうのは、個人の趣味嗜好だから、それが合わなきゃ、難しいかもなぁ…」
「うっ……全然っ…気付かなかった…高校の時からっ…ずっとだったかもっ…俺っ…気付かないでっ…~っ…碧音といつもっ…笑ってたっ…」
ん?
あおと…
初めて出てきた名前だが?
気付かずにあおとと笑ってて、りっちゃんを傷つけてた
……と、なると?
りっちゃんが、実はあおとの事好きだったって事?!
あ、初めから
りっちゃん、あおとの事好きだったとか?
優しいから、水無瀬と付き合ってくれてた?
それは…ちょっとキツイなぁ…
「水無瀬、りっちゃんに、あおとの事が好きだって言われたのか?」
「…っ……え?りっ…ちゃん?」
「りくちゃんだよ。りくちゃん、本当は、あおとの事好きだったって話?」
「…っっ……っ……っ…え?」
立ち止まって、泣きじゃくりながら俺を見る
違うのかい!
「えっと~?りくちゃんは、水無瀬の彼女で、あおとは水無瀬の友達。ここまでは合ってる?」
「…っ…っっ……えっと…」
なんだか、周りをキョロキョロしてる
この時間に、こんな場所、人なんて通らないだろ
ってか、こんなとこ、こんな水無瀬1人で帰さないで良かったわ
「何?言い辛い事なら、言わなくていいぞ?」
そう言うと、少し考えた後、小さな声で
「凌久は…彼氏」
そう言った
「……え?…あ……そうなんだ」
妹よ…
「はい…」
兄ちゃんの、自慢のイケメンな後輩は
リアルBLやってたよ
「え~~…っと?じゃあ、改めまして…りく君は、水無瀬の彼氏で、あおとは、水無瀬の友達…で合ってる?」
「…っ…合ってますっ…」
「んで?なんか、ずっとりく君に我慢させてて、この度、それ以上にりく君が傷つく事をして、怒らせてしまったと」
「…っ…~っ…はいっ…」
「謝って済まないレベル?」
「~っ凌久っ…話してっ…くれなっ…って…」
ん~…何したんだ?
あおとが絡んでるという事は
嫉妬?
こいつ、無自覚タラシだからなぁ…
「あおとと、何かしてた事で怒った?」
「…えっ?…っ…そうです…?」
「いや、俺、超能力者とかじゃないからね?お前見てたら、大体想像出来んのよ」
「…っ…そうっ…ですか」
う~ん…
嫉妬で怒るなら、まだ好きって事だよな?
もう、許されない感じの事してた?
いやいや
そんなに周りに男好きが居てたまるか!
「ちょっと時間置いたら、話してくれんじゃねぇの?」
「…だとしてもっ…もうっ…凌久はっ……解放してあげなきゃっ…」
「ふっ…そんな、いい男なの?」
「うっ……他っ…男の人っ……知らないっ…けどっ……凄くっ凄くっ…優しっ…」
「え?もしかして…水無瀬、付き合ったの初めて?」
「男っ…人っ…初めてっ……」
ああ…なるほど
なんか…この前の待ち合わせの話とか…
気になる事色々あるけど…
話し合わなきゃ終わらせる事も出来ねぇじゃん
「水無瀬、ちゃんと話し合う気ある?」
「俺はっ…あるっ…」
「じゃ、携帯出して」
「携帯…?」
水無瀬が携帯を取り出す
「その、凌久に伝えたい事あるから、画面開いて?」
「…せっ…先輩が?凌久に?」
「そっ。借りていい?」
「?……はい」
画面を開いた状態で渡されると
うお~っ!!
『俺はこれから大学』
『凌久は?』
『俺もこれから』
『昼からは?』
『家帰って、ご飯支度』
『その後バイト』
『子供1人育ててるんだから』
『もっとバイト減らせ』
『凌久みたいにお金持ちじゃないから無理』
『いつか、悠稀と一緒に暮らせるかな』
み…見ちゃった…
けど…
一緒に暮らしたいと思ってる奴なんだろ?
ちゃんと話し合えよ
「じゃ、ちょっと借りるな?」
「はい…?」
『初めまして。水無瀬のバイトの先輩です』
『水無瀬と別れんの?別れたの?』
『ハッキリさせてくんない?』
既読…つかねぇな~
一応ブロックは、されてないな
「あんまり遅くなると、弟君心配だもんな?」
「はい」
「でも、その顔で帰っても心配されるだろうけど」
「…はい」
そう言って歩き出した時
ヴヴ ヴヴ
お、凌久か?
「凌久?」
「……はい」
「ちょい貸して」
「え…あの…」
どれどれ?
『ハッキリさせてなくて、すいません』
『もう俺は関係ないので、悠稀の好きな様に』
……は?
え?
ちょっと…予想と違うんですけど?!
よく知りもしない男が
水無瀬の携帯から、こんなん送ったら激昂だろが!
嫉妬はどうした!嫉妬は!
「八神さん?」
なんか…腹立ってきたな
『そ。じゃ、遠慮なく』
『これから美味しくいただきます』
お互い気を遣い過ぎて、傷つけてるだけじゃねぇの?!
イライラすんな!
「八神さん?凌久っ…何てっ…?」
でも、少なくとも水無瀬は、話し合おうとはしてる
こいつは...
話し合いもせずに、他の男に抱かれてもいいと思ってんのか?!
ムカつくな!
いや、おかしくね?
矛盾してね?
そもそも、あおとに嫉妬して怒ってる奴が
バイトの先輩に抱かれんのはいいのかよ?!
『水無瀬って、酒弱いんだね?』
これで、連絡なかったら
話し合うも何も終わらせた方が…
ヴ~~ ヴ~~
ほう…
さすがに電話してきたか
「八神さん…あの、電話…」
「水無瀬。もしも、凌久が話し合いたいって言った場合、弟君は大丈夫?」
「えっ?!凌久っ…は…話…してくれるのっ?」
別れ話かもしんないのに、必死だなぁ
多分、来るとは思うけど…
ヴ~~ ヴ~~
「話してくれる…かもしんないけど、家帰んなきゃなんない?弟君の前じゃ、さすがにマズイだろ?誰かが居れば大丈夫なら、俺が行くのは全然構わないけど…知らない人はマズイ?水無瀬が電話で、話したら大丈夫?」
「……っ…大丈夫じゃっ…ないと思う…」
「このタイミング逃したら、話出来ないかもしんない。なんとか、俺は信用出来る奴だからって話したら、大丈夫だったりしない?」
「…っ!」
ヴ~~ ヴ~~
あんなに切望してたのに...
弟君の方も…何かある感じ?
大丈夫か?こいつ…
ってか、こういう時に弟優先するって…
恋人的には……
なんか…複雑…
「……っ…りっ…凌久とっ…話したいっ……今のっ…暁ならっ…もしかしたらっ…大丈夫かもしれないっ……電話っ…してみますっ…」
「……おう…」
今の…
なんか知らないけど
前は…もっと大変だったのか?
「ふぅ~…す~…ふぅ~………もしもし?暁?」
さっきまで泣いてたとは思えない…
「ご飯食べた?……そっか。暁、今日も学校…何ともなかった?」
中学生の弟だよな?
不登校気味とか?
じゃあ…あんまり親元離れないよな?
「そっか。あのね…ちょっと、友達と話があってね…でも、暁の事が心配でね…俺が帰るまでの間、バイトの先輩が暁の傍に居てくれるって言うんだけど……どうかな?知らない人は、やっぱり怖いかな?」
怖い…
知らない人が…
苛め?
「うん。俺に、バイトの事ね、色々教えてくれた先輩。八神さんって言ってね。俺の1個上の優しい先輩なんだ」
優しい…兄ちゃんじゃん
どこが、いい兄ちゃんじゃないんだよ
「……ほんとに?………うん……うん……うん、そうだね?……っうん…」
え?
泣き始めたぞ?
「……っそっか。良かったね、暁……うん。俺も嬉しいっ……」
あの…
状況分かってますか?
弟と感動の話してる場合じゃないのよ
「……うん。じゃ、ちょっと待ってね?」
携帯を俺に向けて
「八神さん、声だけでも聞いておくと、安心すると思うので、ちょっと声聞かせてもらえますか?」
「お…おう……」
え?
突然…何話せばいいの?
「えっと…こんばんは。水無瀬のバイトの先輩の八神です。ちょっと兄ちゃん、急に用事が出来ちゃって…帰って来るまで、俺が家に行ってもいいかな?」
「はい…よろしくお願いします」
素直な、いい弟じゃん
「じゃ、も少ししたら、家向かいま~す。はい、水無瀬」
「突然ごめんね?暁……うん、ありがと…うん。じゃあね」
電話を切って、一安心してる水無瀬に
「じゃ、俺の家に行け。はい、鍵」
「……え?」
「騙して悪いけど、別れるにしても、別れないにしても、話し合う義務はあるだろ?それを、一方的に放棄してるんだから、ちょっと位汚ない手使ってもいいだろ?」
「………え?」
携帯の履歴を見て驚いている
「それを見て、心配して電話してくるって事は、ちゃんと水無瀬の事、思ってる部分が残ってる。改めて2人で会ったら、話し合い位、してくれるだろ。水無瀬の鍵も寄越せ。んで、お互いの住所…」
「凌久…心配してる…大丈夫だって教えなきゃ」
「だめだ。心配ないって分かったら、来るのやめるかもしんないぞ?」
「…っ」
「水無瀬が、俺の家着いたら、住所だけ送れ」
「……はい」
優しい優しい言ってる彼氏に
優しい水無瀬が嘘吐いて心配させるのは
まあ、心痛むだろうけど
「言っとくが、俺の家は、広くも綺麗でもないからな」
「充分です。ありがとうございます」
「あと、冷蔵庫の中とか、何でも勝手に飲んでも食べてもいいが、もし、万が一仲直りしても、俺の家で、セックスは禁止だ」
「セックス……セッ…えっ?!しっ…しません!」
「注意事項は以上だ。水無瀬からは?」
「あ...俺からは……なるべく...優しく接してもらえれば……大きな声とか…苦手です」
苛め…じゃないのかな?
え?
親からのDVとか?
で、親元離れてるとか?
「…分かった。なるべく、優しくな」
「八神さんは、優しいから大丈夫だと思いますけど」
「何かあったら、すぐ連絡するから、こっちは気にせず、今くらいそっちに集中してやれ」
「……はいっ」
「じゃ、検討を祈る」
「ありがとうございます!暁をお願いします!」
そう言って水無瀬は
バイトの後だと言うのに
めちゃくちゃ全速力で走ってった
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