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待ち合わせの真相は…

……凌久の…匂い…… そうだ 凌久の家に泊まったんだ 凌久と…寝たんだ あれ? どうやって寝たんだっけ? ぱちっ ……え 俺の腕? 凌久の首に巻き付いてる 足を動かそうとして… 凌久の体に巻き付いてる事に気付く こうやって寝てたの?!俺! パッと凌久から離れる 「…ん~?」 凌久がモゾモゾと動いてる 信じられないけど 信じたくないけど き…記憶がある 俺…自分でしがみ付いた! 待って待って どうしてそうなったんだっけ? その前何してたんだっけ? 凌久を気持ち良くしたくて イカせて… イカせて… 「凌久、凌久っ…舐めていい?」 「えっ?!」 あ… 「へへっ…凌久の足…広げる~」 「うっ…うんっ…」 あれ… 「ぁ…ゃ…ぁ、ぁ……」 「じゅるっ…全部舐めた!」 頭の中に… どんどん記憶が… 「凌久…足広げていい?」 「いい…けど……やっぱ…恥ずかしい」 どっ… とうしよう! 凌久…凄く恥ずかしがってたのに俺… 思い出すと… 恥ずかし過ぎる事しまくってる! 「う~~…」 凌久に背を向けて、両手で顔を覆う 恥ずかし過ぎて 凌久に、どんな顔で会えばいいの なんで俺、あんな事しちゃったの? 恥ずかし~! 「う~~っ!」 「悠稀?どうした?」 凌久…起こしちゃった! どうしよう 「具合悪いのか?調子悪い?」 首だけ振る 「ほんとに?じゃあ…泣いてるの?」 あ…心配してる 「違う…」 「うん?じゃあ…抱き締めていい?」 「うん…」 後ろから凌久が優しく抱き締めてくる 「どうした?」 たった4文字の言葉から… 優しさが溢れてる ちゃんと…答えないと心配してる 「凌久…」 「ん?」 「俺…凌久が、恥ずかしがる事…いっぱいしたっ…~っごめんっ…」 「なんだ。そんな事か。悠稀、様子おかしかったし、全然気にしてないよ」 「そっ…そんな訳ないっ…凌久…恥ずかしいって言ってたのに…」 「そうだけど…悠稀、すげぇ可愛かったし、気持ち良かったし、嫌だった訳じゃないから、謝らなくていいよ」 凌久は… 優しいから、何でも許しちゃう 「なんか俺…変だったよね?なんで、あんな事したんだろ?」 「俺の予想では、緊張と、今日の色んな初めての事と、人酔い、水族館酔いが重なり合って、なんかおかしくなったのではと…」 「お酒じゃないのに、酔って凌久に迷惑かけるなんて…」 「迷惑なんかじゃない。ほんと、沢山気持ち良くしてもらったんだから」 それは… うん 覚えてる 「おかしな俺の記憶は抹消したいけど、凌久が気持ち良さそうなのは、覚えてて良かった」 「うっ…改めて言われると、なんか恥ずかしいな。あ、そう言えば、携帯チェックしなくて大丈夫か?」 「あっ!大丈夫じゃない!」 「待って。取って来てあげる」 そう言って、テーブルの上から携帯を持って来てくれた 「ほら」 「ありがとう…連絡なし」 「楽しんでんだろ」 「うん」 「そろそろ晩ごはんだなぁ…何にする?」 布団の中に戻った凌久が聞いてくる 「……何でもいい」 「ふっ…何でそんな嬉しそうなの?」 「凌久と、晩ごはん一緒に食べれるから」 「うん。俺も嬉し」 ちゅっ 「んっ…ん……んっんっ…」 ちゅっ 「ずっと悠稀が居る。いつでもキス出来る」 「うん…凌久……あのね?」 「ん?」 「ほんとは今日水族館で…撮りたかったもの…あったんだ…」 「えっ?そうなの?撮れなかったの?…ん?撮っちゃダメなものなんて、あったか?」 凌久が、少し目線を上にして、考え 「明日、もっかい行く?」 と、嬉しい事を言ってくれる 「ううん。撮れなかったのは、凌久」 「え?俺?……って…ああ!ハリセンボンの事か?!いや…ハリセンボンは別に撮影可だったはず…」 「うん…本物の凌久」 「俺?撮ればいいだろ?なんで撮らなかったんだ?」 あの時の 綺麗な映像を思い出す 「あのね…薄暗い中に大きな水槽があったでしょ?」 「ああ…あの、少し休憩したとこな?」 「うん…色んな魚が…ゆっくり…ゆらゆら泳いでて…それで…光が…キラキラしてて…」 「あそこで…写真撮ってなかったか?」 「その綺麗な世界に…ゆっくりと…凌久が映り込んで来た」 「えっ?何?」 「まるで映画のスロー再生みたいだったんだ」 「…よく…分からん」 「立ち上がった凌久が…ゆっくりと俺に近づいて来て…ゆっくり…目を閉じる」 「…それって…」 「その後ろには…やっぱり薄暗い中に綺麗な水槽が浮かび上がってて…ゆらゆら…キラキラしてて…目の前には、目を閉じた綺麗な凌久が、俺に近づいて来て…俺は…あんまり綺麗で…ギリギリまで目を瞑る事が出来なかった」 「~~っちょっと待って。それ、俺がキスした時だよな?」 「うん」 凌久の顔が赤くなってく 「それは…悠稀の妄想の世界の俺であって、俺じゃないから!」 「ふっ…凌久だよ。ほんとにね、綺麗だったんだ」 「俺は、そんな綺麗な男じゃない!」 「不思議なんだよ?あれって、ほんの一瞬でしょ?」 「そりゃそうだ。さすがに、あそこで長々と出来ない」 「でもね…俺には…10秒位に感じた」 「長っ!10秒、結構だよ?!」 「うん…綺麗で…綺麗でね……目に…頭に、焼き付けようと思って…ずっと見てた」 全部… 思い出せる このまま映像に残せればいいのに 「びっくりして、目開けてたのかと思ったら、そういう理由で開けてたのか」 「うん。あんまり突然、物凄いご褒美貰っちゃったから、沢山沢山凌久の事、気持ち良くしてあげたいって思ってたんだ…だから俺…色々…やっちゃったのかもしれない…」 「ふっ…ありがと。俺も、ご褒美のお返し、いっぱい受け取ったよ」 「うん…ほんとにね?凄かったんだよ?綺麗で…んっ…んんっ…」 話してる途中で、凌久がキスをしてくる 「その時の俺より、今の俺と…キス、楽しんでくれる?」 「今の凌久のキスも楽しむ。けど…あれは忘れ…んっ!…んっ…んぁっ…」 凌久が、ゆっくりと舌を入れてくる 「ぅんっ…ふっ……んっ!んんっ!」 歯列をなぞり…上顎をなぞる 気持ち…良すぎて… あ…掴まりたいけど、服…ない… 凌久の背中に手を回して、肩に掴まる 「ちゅっ…悠稀…気持ちいい?」 「きもち…んっ…いっ……はっ…んんっ…んっ!」 舌…吸って…絡めて… 頭…クラクラする… 凌久…気持ちいい… キスなのに…意識…遠のいてく… 「んはっ…~~~っ…」 凌久が、離してくれたけど… まだ… 頭も体も変で 凌久に、ぎゅ~っと掴まり 凌久の肩に顔を埋める 「悠稀?」 「~~~っ…」 ごめん、凌久 今…喋れない 「大丈夫?そんな気持ち良かった?」 コクコクと頷く 「ふっ…可愛い。水族館でキスする時の悠稀も、綺麗だったよ?」 フルフルと首を振る 俺はきっと…口でも開けて呆けてたんじゃないかな 「目がまん丸になってて…目の中に…綺麗な光が反射してた…薄暗い中に…悠稀の白い肌浮かび上がってた…誰にも見せたくなくて…俺だけのものにしてたくて…行こうって手を伸ばすはずが…キスしてた」 「…凌久…キスしようと思って立ったんじゃなかったんだ?」 凌久の顔を見上げる 「うん…立ち上がった時見た悠稀のせいで…キスしたくなってした」 「ふっ…一生忘れない…キスしたくなってくれて良かった」 「もっかいしていい?」 「うん…凌久のキス…気持ちいいけど…」 「えっ?けど?何…怖っ…何?!」 「力…抜けてく…」 「なんだ…びっくりさせんなよ!」 「んんっ!…んっ、んっ、ん…~~~っ…」 だって… まだまだ、凌久と、色んな事したいから 力抜けてる場合じゃないから 「んっ…~~~っ!…~っりっ…んんっ!」 ふわふわ…クラクラ… 「何?」 「もっ…もっ……むりっ…」 なんとか…凌久の顔を見る 「ふっ…分かった…ちゅっ」 「んっ…~~~っ…ん、んっ…」 キス…終わった…のに… 余韻が… 「悠稀…キスで、凄く感じてくれるよね?」 「~~~っ…!」 今…感じるとか言わないで… しがみ付いてた凌久に もっとしがみ付く 「ははっ…恥ずかしいの?嬉しいんだよ?」 俺も…嬉しくて…幸せだけど キスだけで、こうなるの…変じゃない? 「悠稀…ありがと」 え? 「悠稀が…無理してでも、俺と話しようって思ってくれたから、今がある。じゃないと…俺も悠稀も今…こんな事出来てなかった…ありがと」 そう言って、抱き締めてくれる 「…俺も、結局酔っ払って、話し合いなんか全然出来なかったのに、俺に付き合ってくれたからだよ。ありがと」 「結構話してたんだよ?全然覚えてない?」 「ごめん…何にも覚えてない」 「凄いな。俺、八神さん家で押し倒されたよ?」 「えっ?!」 凌久から離れる 「でも、暁の名前出したら、一気に正気に戻った。流石だな?」 「……なんか…色々ごめん」 「八神さん…いい先輩だな?」 「うん…俺が入った時にいっぱい教えてくれて、相談にも乗ってくれ…て……」 相談…相談!! 忘れてた! 「悠稀?」 「りっ…凌久っ!」 「どした?」 「あのっ…あのっ…」 「?」 聞かなきゃ… こんなに大切にしてくれてるんだから、絶対大丈夫 大丈夫だって分かってても… あの時の…笑い合ってる2人が… なんか… 2人で居るのが自然みたいに見えて…… 「悠稀、どうした?」 凌久が、頬を触ってくる 「…っ聞きたいっ…事…あるんだけど…」 「うん?」 「あのっ…この前……凌久……えっと…」 言葉… どれからだっけ? 何から言えばいいんだっけ? 「悠稀?」 「あのっ!……待ち合わせっ……じゃなくてっ…えっと…俺…送ってくれた時…偶然…知り合いに会ったり…した?」 「悠稀送った時…?偶然…知り合いに……ああっ!会った!」 「!!…ぐっ…偶然?」 「偶然!超偶然!え?何で悠稀、知ってんの?」 偶然… 超偶然…だった… 「凌久っ…」 「えっ?何で泣くの?!」 「バイトでっ…お店の中からっ…見えてっ…」 「えっ?!悠稀…見てたの?!」 「ふっ…うっ……凄くっ…格好いい人っ……凌久とっ…笑い合っててっ…~~っ!凄くっ…お似合いだったっ…」 「……あぁ~…あのな?ほんっとに、悠稀に対してやましい事、何にもないから、言うけど…あの人、中学の時の元カレなんだ」 中学の時の元カレなんだ 元カレなんだ 元カレ 元カレと… 楽しそうに…笑って… 「悠稀?聞いてる?」 「えっ?あっ…うん。そうなんだ」 あれ? どんな反応…すればいいのかな 「何て言うか…先輩なんだけど、先輩卒業して、しばらくしたらパタッと連絡途絶えてさ。ま、そんなもんなのかなと思ってたら、先輩の家…色々大変だったみたいでさ」 「……うん」 大変だったみたいでさ みたいでさ 聞いたんだ 先輩から 元カレから そうだよ だって...楽しそうに話してたもん 2人で……どっか行って…話聞いたんだ 「なんか、突然連絡途絶えたの、ずっと悪いと思ってくれてたみたいでさ。たまたま俺を見付けて、声掛けてくれたんだ」 「……あ…そうなんだ」 俺…笑えてる? 変な事…言ってないよね? 凌久の…話し方の端々から… 先輩への好意が伝わってくる 先輩も…ずっと…気にしてて… 見付けて…思わず声掛ける程… 2人共…嫌いになって別れたんじゃないんだ どうしよう…八神さん… 待ち合わせじゃなかったけど 良かったって思える事なのか… 分からないよ 「…~なんだって。先輩羨ましいなぁって思って、俺も悠稀と……悠稀?」 「……えっ?何?」 「大丈夫?」 「え?大丈夫だよ?」 「そ?それでさ、相談なんだけど…」 相談? なんの… 「男同士ってさ、やっぱ、なかなか付き合ってるって、周りに言えないじゃん?」 「ああ…うん」 「でさ、先輩が提案してくれたんだけど…」 「先輩…が…」 「…?…うん。先輩の…」 「先輩って!言わないで!」 「……え?」 あっ… 「あっ……違う…ごめん…そうじゃ…なくて…」 「悠稀…もしかして…俺の話…ちゃんと聞いてない?」 「ごっ…ごめん……ちょっと…今、あんまり…考えられない…」 「悠稀、彼氏…居るよ?」 「…え?何?」 「俺には悠稀が居る。先輩にも彼氏が居る」 「……え?」 「やっぱり、全然聞いてなかった?」 「あ…」 彼氏… 先輩には彼氏が居る… でも…凌久に…声掛けて… 「悠稀…今抱き締めたら、ムカつく?」 「ムカ…つかない…」 凌久が、そっと抱き締めてくる 「凌久…」 「うん」 「まだ……ほんの少しは…先輩っ…の事……すっ…」 「好きじゃない」 「……え?」 「今…恋人として好きなのは悠稀だけ。悠稀だけが好き」 「~~っ…」 俺に…気遣ってない? ほんとは…嬉しかったんじゃないの? 「人としては好き」 「え?」 「中学の先輩で卒業して終わりなんて、よくある話だろ?それを…それで終わらせない先輩は…やっぱ人として尊敬する」 「……好き…」 「人としてな?先輩も…今の彼氏、すげぇ好きみたいで、俺に自慢してきてた。もうお互い…全然そういう対象じゃないよ?」 凌久の言ってる事分かる 分かる…けど… そっか… 元カレだから…2人で笑い合ってるのが あんなに自然だったんだ 距離感?とか…立ち位置?とか… 話し方?とか… 中学卒業以来なのに… 全然そんな風に見えなかった 「ごめん。今言ったのは本当だけど、悠稀がそんなに落ち込むとは思わなかった。すげぇ軽い感じで話して…ごめん。俺だって、宇沙美の事で…悠稀が悪い訳じゃないのに、嫌な気持ちになるから、分からない訳じゃない。嫌な気持ちにさせて、ごめん」 「……凌久」 「ん」 「俺と…歩いてても……あんな風に楽しそうに…見えるかな…」 「……は?!当たり前ってか…もっと楽しそうだろ」 「…~っ!…そっ…かな…」 「当たり前だろ?俺の彼氏…悠稀だろ?他に居ないだろ?」 そうだけど そうなんだけど 全然…自信ないから 簡単に…誰かに奪われそうだから 「…凌久っ」 抱き締めてくれてる凌久を、抱き締める 「ごめん。泣かせた。宇沙美に怒られるな?」 「凌久っ……頼りない彼氏で…いっぱい迷惑かける彼氏でごめん」 「そんなの、お互い様だろ?」 「凌久はっ…いっぱい許してくれる彼氏」 「それは悠稀だろ?」 「凌久っ…」 「ん」 「…~っ見なきゃ良かった」 「悠稀…」 凌久が、体を離して、俺を下にする 「凌久?」 見上げると 「悠稀…愛してる」 そう言って、キスをして キスをして… 顔中にキスをして… 「凌久っ…」 「ん…悠稀」 指の…1本1本も…指の先からキスをして… 「はぁっ…凌久っ」 「んっ…悠稀」 俺が…呼ぶと必ず応えてくれて 全部…全部… 「んっ!…はっ……あっ!凌久っ…」 「はぁ…悠稀…」 体中にキスをして… そして… 「悠稀…悠稀だけを愛してる」 「~~~っ!凌久っ…俺もっ…愛してるっ…」 俺の上の凌久の首に、しがみ付く 「うん。知ってる」 「ごめんね?凌久のっ…大切な人っ……」 「いいんだ。誰も困らない」 「もう少しっ…大人に…なるからっ…」 「…うん。俺もだな。悠稀を大切にしてくれる奴、大切に思える様に…」 そうして… キスして… キスして… 気付いたら、もう… すっかり暗くなってた

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