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暁帰還
「暁!」
「悠兄、迎えに来てくれて、ありがと」
「大丈夫だった?不安じゃなかった?」
「うん。楽しかった!」
暁…
なんていい笑顔…
「凄いね暁。なんか、ここのとこ、成長が早過ぎて…ちょっと付いていけてない。そのうち、兄ちゃんなんか、要らなくなっちゃうね?」
「…悠兄のお陰だよ。ありがとう。あのね、いっぱい話したい事ある」
「そっか。聞かせて?」
宿泊研修で、こんなに楽しそうに帰って来て、話したい事あるだなんて
家に帰るまでで、目的地に着くまでの、バスの中の話しか終わらなかった
凄いよ暁
家に帰り、母さんに電話をして…
母さんも凄く喜んでた
「暁、今日はハンバーグだよ」
冷蔵庫から、凌久の家から持って来た物を取り出す
「ハンバーグ好き」
「あのね、俺の彼氏、凌久と作ったんだ」
「そうなの?俺の分も?」
「うん。凌久がね、作ってったら?って言って…あ、ポテトサラダも作ったんだよ?」
「そうなんだ。ありがとう」
俺がハンバーグを焼いてる間に
暁が、皿や、ポテトサラダを並べてくれて
「「いただきます」」
「美味し~!」
「うん。美味しいね?」
パクパクと食べる暁
ほんとに美味しそう
凌久と作ったハンバーグを
暁が美味しそうに食べてる
幸せ過ぎる
ご飯食べながら、暁の話は、晩ごはんが終わったところまで辿り着いた
聞いた事ない名前の人達も出てくる
凄いね、暁
暁が、お風呂に入ってる間に
凌久に連絡しとこうっと
『暁、凄く美味しそうに食べてた』
『ありがとう』
ヴヴ ヴヴ
『良かった』
『暁も元気そうで良かった』
『うん、凄く楽しかったみたいで、いっぱい話してくれた』
『まだ、1日目の晩ごはん食べ終わったとこまでしか聞いてない』
ヴヴ ヴヴ
『暁も疲れてるだろうから、明日ゆっくり聞いてやれ』
『うん、ありがとう』
優しい凌久
早く、あさってにならないかな
あれ?
食器洗って
凌久に連絡して
ゆっくり寛いで……
暁、何時にお風呂入ったっけ?
眠くなって寝てない??
ちょっと見に行ってみよう
浴室の前まで行って、声を掛けようとして…
え…
暁…
泣いてる?
「暁?大丈夫?」
「…っ……っっ…」
「暁?開けるよ?」
「…っ…悠っ…兄っ…」
椅子に座った暁が…
号泣…
「どうしたの?!暁!何?!不安になった?」
急いで靴下を脱いで、中に入ると
立ち上がった暁を抱き締める
「どうした?大丈夫だよ?俺、ちゃんと居るよ?」
「うっ…悠兄っ……ごめっ…」
「謝んなくていいよ。俺もシャワー浴びちゃうから、ベッド行ってな?」
「…っ…~~~っ!悠兄のっ…彼氏っ……俺の為にっ…料理作ってくれたっ……悠兄とっ…したくないっ…!」
「暁……」
闘ってる…
苦しいのに…
不安で、怖くて、どうしようもないのに…
「そうだね…暁にも、間宮君居るしね…」
ぎゅ~っと暁を抱き締める
「暁には、俺も、父さんも母さんも居る。いつでも…離れてても、ずっと想ってる」
「…っうん…悠兄っ…悠兄っ…」
「うん…暁には、暁の事好きになってくれた間宮君が居る。好きだから、気持ちいいって思えるキスしてくれる間宮君が居る」
「~っうんっ…!…~っ悠兄っ…」
何度も、位置を変えては、俺の服をぎゅ~っ!と握ってくる
暁だって…したくないんだ
「暁には…暁を見てくれる柿内先生が居る。暁には、嬉し涙教えてくれる長谷君が居る。暁には…宿泊研修楽しかったって思える…沢山の友達が居る」
「…うんっ……うんっ…悠兄っ……」
「暁には…暁と、あんな事してるって知っても、俺と暁を応援してくれる八神さんも居る」
「~っうん……うんっ…うんっ…悠兄っ…」
ちょっと…
落ち着いた?
「暁は、もう1人で待ってて怯えてた小さな子供じゃないよ?ちゃんと、沢山の仲間と外に出て行って、楽しめる暁になったんだよ?大丈夫。そういう事で喜ばせないと、暁に喜びを与えない人なんて、今の暁の周りには居ない。もう、辛い事しなくても、暁は幸せになれるんだよ?」
「…あ…あれ…しなくても……」
「そうっ!しなくても、沢山の喜びも幸せも手に入れる事出来る。もう…暁が辛くなる事でしか、手に入らない安心なんて、要らないんだよ?」
「~っ!」
そんな…
簡単な事じゃないの分かってる
今日すぐにじゃなくてもいい
でも…
少しずつでも変えてかなきゃ
「はるにっ…~っキスっ…だけっ…してもい?」
「暁、我慢しなくていいんだよ?暁が、さっきみたいに考えてくれてるってだけで、暁は、凄く変われてるんだから。すぐに、全部変えるなんて、難しい事だから」
「~~~っ!…したいっ…けどっ…したくないっ…~っキス…だけでっ……どうにかならないかな…」
「暁…キスしてみよ?」
「んっ……ん、んっ……」
届け…
大丈夫
暁は頑張ってる
ちゃんと
正しい方向に進んでるよ
「んっ…はるにっ…」
「暁…大丈夫だよ…いつだって俺が居る」
「んっ…んんっ…はっ…はっんっ…」
どんなに楽しくても
家族の元離れたから?
いや、元々こっち来てから不安定だったのに
俺が心配かけたり、急に1人で置いて八神さんと2人で居させたり
そういうの…
一気にきたのかもしれない
「んっ…はるにっ……はっ…はるにっ…」
「んっ…暁…大丈夫…暁…」
「はっ…んんっ…はるにっ…んっ…はるにっ…もっ…」
「ん?…どうした?」
「はぁっ…はぁっ…なんかっ…大丈夫かも…」
「……えっ?」
「悠兄が…さっき言ってくれた事…思い出して…皆の顔、思い出してたら…なんかっ…大丈夫そう…」
暁が…
ぽかん…としている
「……~~~っ!暁!凄いよ暁!」
「うん…不思議…こんなの初めて…」
「凄いっ!暁凄いっ!…暁、凄いっ!」
こんなの…
たまたまかもしれない
今回だけかもしれない
それでも
やっぱり凄いから…
頭ガードしてた時の…
泣きながら地団駄踏んでた時の…
色んな暁が、甦るから…
「ありがとう悠兄…悠兄の服、ビショビショにしちゃった。ごめん」
「そんなの、全然いいよ。暁、もう上がる?」
「うん」
「じゃ、俺もこのまま入って、洗濯に出しちゃお。暁、適当に俺の下着と服、持って来てくれる?」
「分かった。洗濯機回しといていい?」
「うん。お願い」
俺が服を脱いでると、暁がドアを開けて、洗濯機に入れてくれる
「ありがと。暁…もし、やっぱり不安になったら、ちゃんとここまで来るんだよ?」
「分かった。ありがとう」
そう言って、ドアを閉めた
凄い!
奇跡!
暁凄い!
間宮君に出会えて良かった
そういう意味での大切さが、凄く分かってる
今の高校行って良かった
沢山の人達に大切にされてるって分かってる
2人で此処で暮らすって決めて…
良かったんだ…
良かった……
このまま順調になんて思ってない
また堪えきれなくなって
泣く事あると思う
でも、1回でも堪えれた事が凄い
お祝いしたいくらいだ
「暁、大丈…」
大丈夫だとは思いながらも、お風呂から出ると
暁は、ソファーでスヤスヤと眠っていた
胸の上にはスマホ
途中まで見せてくれた写真を見てたのか
間宮君と連絡取ってたのか
「ほんと…凄いね、暁」
スマホを、テーブルの上に置こうとした時
ヴ~ヴヴ
必然的に目が行ってしまった
間宮
『俺も、すっげぇ楽しかった』
間宮
『また明日』
間宮
『おやすみ、水無瀬』
可愛い
ごめんね、間宮君
暁寝ちゃったんだ
寝たら起きないんだ
代わりに返信してあげたい
あさってじゃなくて、明日
明日も連絡してくれるんだ
「暁、ベッド行こ」
「…………」
「ふっ…よく眠れる様になったね…っしょっと」
暁を担いで、スマホを持って、部屋に連れて行く
ベッドに寝かせて
枕元にスマホを置く
「おやすみ、暁」
初めてキスした日も
セックスするようになってからも
一緒に寝てても、何度か目覚めては、座ってた
そんな風になった日だからなのかと思ってたが
どうやら、いつも、不安になっては起き
嫌な夢、怖い夢を見ては起き
ちゃんと熟睡出来てなかったらしい
いつから…
小さな頃から?
何歳までは、安心して眠れてたんだろう?
記憶の中に、安心して眠れた日はあるのかな?
だいぶ期間が空いて
久しぶりに、年末年始そうなって
一緒に寝ると、夜中1度起きただけで
こっちに引っ越してからも、何度かそうなって一緒に寝たけど
全然起きなくて
1度も起きずに朝まで寝てて
なんか
ちゃんと朝まで居てくれる人が居るって
信用されたみたいで嬉しかった
安心して眠れる様になって
俺が居なくても
初めて会った八神さんしか居なくても
ぐっすり眠れる様になって
……良かったね…暁
パタン
自分の部屋のドアを閉め、ベッドに入る
「………………………っ………っ……」
途端に…
一気に罪悪感が押し寄せる
「~~~っ………っ……うっ……」
凌久に
あんなに気持ちいいキス
いっぱいしてもらったのに
あんなに沢山愛し合ったのに
俺…暁を抱こうとした
「うっ……~~っ……っ…~~っ!」
結果、奇跡が起きて抱かなかっただけ
抱く事に躊躇なんてしてなかった
暁が落ち着いて安心するなら
抱いてた
「~~~っ…ごめっ……うっ…ごめんっ…」
間宮君のキス気持ちいいって言ってたのに
キスした
暁の事考えて凌久と作ったご飯食べて
凌久と連絡取り合って
『暁も疲れてるだろうから、明日ゆっくり聞いてやれ』
「ふっ…う~~~っ…ごめんっ…ごめっ…」
あんな言葉くれたのに
俺達にとっては貴重な1日
暁に使ってって…言ってくれたのに…
凌久を…傷つけた…
「っっ………うっ……ごめんなさっ……」
あんなに
かわいらしく
少しずつ暁を好きになってくれてる
間宮君をも傷つけた
暁を…傷つけた…
「んっ……んっ…ん、ん~~~っ!」
凌久のキス…
気持ちいい
「悠稀…はっ……ん…悠稀…」
「はぁっ…んっ……凌久……んっ…~~~っ!」
「ふっ…悠稀、キス好きだね?」
あ…
好き…
凌久のキス
気持ち良くて好き
「だから暁ともしたの?」
「………え?」
「さっき、してたろ?暁と」
「っ!…なっ…なんで……」
「そんな驚く事じゃないだろ?別に珍しい事じゃない。そうだろ?」
「~っ…ごめっ…ごめんっ…」
なんで…
いつ…
俺が…言ったの?
「いいよ。だって今日はセックスしなかったもん。キスだけにしてくれたもん。ありがと」
「~っ!……あ……ごめっ……ごめんなさいっ…」
「謝んなって。あのままヤッてたとしても、珍しい事じゃないだろ?」
「あ……ごめんなさいっ……ごめんなさいっ…」
「もっとキスさせてよ。さっきまで暁としてた唇と…舌と…それで俺と……キスさせてよ……」
うぐっ…!!
吐く!
はっ…
夢?
でも……
うっ…!
気持ち悪い!
「うっ……うえっ……うっ…うっ……おえっ……」
あ…
凌久と…作った料理…
「~~~っ…ごめっ…」
暁と
美味しいねって食べたのに
俺…
2人を傷つける事ばかりして
どんどん傷つけてるのに
優しいフリして
気持ち悪い人間だ
「おえ~っ…~えっ...はっ…はぁっ…はぁっ…」
分かってた
最初から
暁を救いたいのに
傷つける行為だって
どんなに優しくしたって
優しい言葉かけたって
俺がしてる事…
暁を傷つけて許せない奴と…
たいして変わらない
「うっ…!……おえっ……おえ~っ…かはっ…はっ…」
俺の周りの
優しくて優しい人達の声に甘えて
何とか少しは正当化しようとしてた
どんな理由も言い訳も
その事実を消す事なんて出来ないのに
「っ…~っごめんなさい……ごめんなさい~っ…」
たった数時間前まで甘えて
凌久に言ってきた全ての言葉が
全部ただの台詞みたいだ
中身のない…言葉…
凌久もほんとは…
そう思ってるんじゃないのかな…
限界がきた時…
「ごめんな?ばいばい、悠稀」
「あっ…~~~っ!…うっ…ふっ…~~~っ…」
しょうがない
しょうがないよ
だって俺…
凌久の事愛してるって言って
凌久との時間削って
暁と…
凌久としたい事してるんだもん
しっかりしなきゃ
俺が傷つけてるのに
暁や凌久に心配かけるなんて絶対ダメだ
ジャーッ
パタン
ゴロゴロゴロゴロ……ペッ
鏡の中の俺が
全部見透かしてるかの様に見てくる
分かってる
誤魔化そうなんて思ってない
皆の優しさ利用して
都合良く生きてんだ
優しい人達皆を泣かせて
泣かせてくんだ
「……お前が…泣くなよ…」
翌日
暁は、いつも通りで
良かった
間宮君に返信したかな?
写真を見せながら
続きの話をしてくれた
暁が、どんなに楽しかったのか伝わってくる
暁にとって、楽しめる初めての学校行事
良かった
間宮君は、武藤君と3人で、部屋で話してるうちに
急に、もう寝ると言って寝たらしく
多分それは…
眠かった訳じゃないんだろなと思った
そういう…
羞恥心とか
そういう事を気軽に口に出せないみたいな感覚
多分暁は、かなり欠如している
間宮君が、ほんとはとか…
全然考えてないんだろな
きっと間宮君、寝不足だった
武藤君と暁が
気になって仕方ないのに近付けなくて
それでも間宮君
あんな風に連絡してくれるんだから
ほんとに優しくて
暁の事思ってくれてる
暁は、荷物の片付け、明日の準備
俺は掃除、洗濯、食事の準備
その合間に2人で話して
あっという間に寝る時間になった
「おやすみ、悠兄」
「おやすみ、暁」
明日も間宮君の居る楽しい学校
良かったね、暁
部屋に入って携帯を見ると
凌久から連絡きてたんだ
『たっぷり暁孝行して、暁充電したか?』
「………凌久」
『うん。ありがとう。ごめん』
「~っごめん…」
あんなに楽しそうに
嬉しそうにしてた
今日1日あったら
もっともっと…
凌久は…
文句言った事なんてない
ヴヴ ヴヴ
『何?その、別れ話みたいなセリフ』
「…え?」
そう…だったかな?
でも…そうだな
凌久と別れるなら
ありがとうと、ごめんは、いっぱい言うから
そうかもしれない
ヴヴ ヴヴ
『ちょっと!ここで既読スルー怖い!』
「あ…そうだよね?」
なんて…返せばいいんだっけ?
『違う…』
違わない
ありがとうで…ごめん
「えっと…」
早く…返さなきゃ
『違』
ヴ~~ ヴ~~
え…
凌久?
「もし…」
「もしもし!何?!怖いんだけど?!」
「あ…ごめん…」
びっくりした
電話してくるとは思わなかった
「いや、ごめんじゃなくて!…え?ほんとに…別れたい…とか…なの?」
「あ…いや…そうじゃなくて…」
「そうじゃなくて…何?」
「何って…別に…」
頭…回らない…
言葉…出てこない…
俺が凌久に発する全ての言葉が…
中身のない嘘みたいで…
「……何かあったのか?」
電話越しなのに…
凌久の声は優しくて
なのに俺は
優しいフリを続けてるだけで
「……ううん…なんか…上手く…言葉…まとまらないかも…」
「…何か…俺に伝えたい事あるの?」
伝えたい事…
凌久に…
伝えたい全ての言葉が
俺の口から出た途端に
嘘の…汚なくて…気持ち悪いものになっていく…
「……うっ…!…ぐっ…!」
吐く!
携帯を放り投げて、トイレに駆け込む
「うっ…うぇっ…うえ~っ……おぇっ…」
どうしよう…
凌久…
話途中だったのに
凌久に…綺麗な凌久に…
俺の汚ない言葉…
「おえっ…おえ~っ…!…はっ…はぁっ…はぁっ…」
もう…やだとかは
許されない
俺が始めた事
自分で始めて、自分だけ楽になろうとか
汚ない
「うっ…おぇ~っ…おぇっ……っ…っ……はぁっ…」
汚ない…
汚なくて…
嫌になる
いい兄ちゃんでも、いい彼氏でもないのに
「うっ…っ…おぇっ…かっ…かはっ…はぁっ…」
そう…思わせる顔して
そう…思わせる言葉で
皆を騙して
こんなんなのに優しくされて
甘やかされて
でも…逃げるのはダメだ
暁も凌久も…
辛いの、こんなもんじゃない
俺が…心配される訳にいかない
鏡の中の俺が見てくる
分かってる
逃げる気なんてないよ
逃げ出したいと思っても
逃げたりしないよ
お前が…俺が…やり出した事だろ?
部屋へと戻り…思い出す
凌久、心配してる
携帯を取ると
「…はぁっ…はぁっ……悠稀!」
え?
「り…凌久…」
「悠稀!…はぁっはぁっ…どうした?!何?どうしたの?!」
「凌久…ごめん…え?凌久…走ってるの?」
「はぁっ…はぁっ…ごめんじゃなくて!どうしたか言え!」
「あ……ちょっと…気持ち悪くなって…吐いてた…」
「はっ…吐いてた?…なんで?風邪?」
違うけど…
そんなんじゃないけど…
「…そう…かも…」
また…
嘘…
「あのさっ…何か…あったんだろ?」
あ…
心配…
「ううん…ほんとに、ちょっと風邪気味かも…ごめんね?心配かけて」
「……ほんとに?」
「うん」
「…はぁっ…なら…いいけど…」
「ありがと。凌久…走ってたの?」
「お前が突然、訳分かんない事するから、会いに行こうと思って走ったんだろが!」
「……え?」
俺に…
会いに来ようとして
そんなに走ってくれてたの?
「え?…じゃねぇよ!たった1日で、思い当たる事もねぇのに、別れ話かと思ったら焦るだろうが!」
「ごっ…ごめん!」
「ったく……今、駅だけど?何かあったんなら、1分でも会いに行くけど?」
1分でも…
1分の為に…来てくれるの?
1日…暁にくれて…
「~っ…大丈夫。風邪薬飲んで寝るね。ほんと、ごめん」
「……はぁ…分かった。ゆっくり休めよ?明日、調子悪かったら、ちゃんと学校もバイトも休めよ?」
「うん…分かった。ありがと」
「おお、じゃな」
「うん…」
「~~~っ!ごめんっ…凌久っ…ごめんっ…!」
心配して貰える人間じゃないのに
凌久と離れたくないのに離れて
凌久と一緒に作った料理食べて
昨日…
暁とキスしてたんだよ
もう…
寝よう
明日は元気になってなきゃ…
俺が頑張らなきゃ……
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