40 / 120

ファーストキスの後

「凌久……俺の事…好きになりなよ」 「…なんないっ…そんなとこ…汚ねぇぞ…」 全然… いいとこ攻めてこない わざと? どうでも…いいけど… やっぱ…おかしいんだこいつ 髪やら…指やら… 足の指まで… なのに… ほんとに気持ち良くなるとこは全然… 「凌久…」 「…何」 「怒ってんの?」 「そう…見える?」 「分かんねぇ…お前…よく怒ってるけど、本気で怒ってんの見た事ねぇから」 本気で… 怒った事あんのかな あるか… 悠稀には結構… 「……奏、俺が…嘘吐く時の癖なんて、嘘なんだろ?」 「嘘じゃねぇよ。お前、嘘吐く時……やっぱ秘密にしとこ♪︎」 「気付かなかった…俺…嘘吐いてんのバレてんのかな」 「さあな?俺は知ってたから」 「昔から?」 「そ。りっくんが、バレバレの嘘吐いてた時から。まあ…だから分かるのかもな」 「そっか…じゃあ……悠稀には…分かんねぇよな…良かった…」 もう… 何が気になって 何がどうでもいいのか けど… 悠稀に吐いてきた嘘はきっと バレたら悠稀が傷つくものだと思うから ガリッ 「っ!」 耳…思いっきり噛った どういう事? 「…痛ぇよ…馬鹿」 「そんなんなっても、あいつの事考えるか」 「知らねぇ…気付いたら考えてた…」 「じゃあ…考えられなくしてやる。あいつの事考える度…泣いてんの気付いてる?」 「知らねぇ…」 なんで泣いてんのか 悲しいのか 悔しいのか 情けなくて 不甲斐なくて 「…~っ……くっ……っ!」 それなのに 快感に踊らされんのかと思うと 悔しくて、情けなくて でも 結局俺なんて そんな奴なんだろ 「…っ!……はぁっ…はぁっ…っ!」 「声、堪える方が感じんの?俺、上手いだろ?素直に感じろよ。胸、気持ち良さそうになってんぞ?」 「はっ……ん…んっ!…はぁっ…」 「凌久の胸、可愛い。さっきも、いっぱい感じてたろ?どうされんのが好きなんだっけ…」 楽しんでる こいつは 恋人でもないのに楽しんでんだ じゃあ… 気…遣わなくてもいいんだ… ガッ 奏の頭を掴む 「…何?」 ベッ…と わざと、舌を見せてくる ふざけた奴だ 「はぁっ…今の…気持ちいいからっ…」 「へっ…了解…」 「はぁっ……ぁあっ!……くっ…うっあっ!」 「ははっ…もっと聞かせろよ」 「ぅあっ!……はっ……あっ…ごめっ…」 「誰に謝ってんの?」 「…誰っ…あっ…分かんなっ…はっ…ぁあっ!」 「ふっ…ま、好きにしろ。あいつの名前でも、俺の名前でも…好きに呼べ」 おかしな奴 狂ってる でも 負けない位俺も おかしくて狂ってんだ 「……はぁっ…服……脱がねぇの?」 「犯されてる感がいいんじゃん?凌久今日、シャツだから最高。やっぱTシャツより、そそられるよな?」 「……変態」 「男は皆…変態だろ?」 「ド変態…」 「挿れるから、こっち…足…脱がせんぞ」 じゃあ、全部脱がせればいいじゃん 「お前は…脱がねぇの?…汚れんぞ」 「だから…それがいいんだって」 何?そのこだわり 「はっ…りっくんに…挿れれる日が来るなんてな」 「はっ…可愛い思い出にしとかなくていいのかよ…ひ-君」 「可愛いけど?言ったろ?好きだから、可愛いんだよ。どんなんでも、可愛いんだよ。俺に挿れられてる…可愛いりっくん見せろよ。挿れんぞ?」 「…っ!……~~~っ!」 ほんとに… 奏のが…… 俺…悠稀以外の奴とヤッてんだ 「……何?…痛くはねぇよな?…罪悪感?」 「…っ…何っ…なんだろなっ…」 「ま、どうせすぐに、そんなん考えられなくしてやる」 「……うっ…うっ……うっあっ!…ふっ…ぁあっ!」 「そいつと居ると…疲れるんだろ?俺の事好きになっとけ」 「…ぁっ…ならないっ…ぃっ…ぁっ…」 「ふ~ん?それはそれで燃えるけど」 それはそれで燃える? 意味分かんねぇ 馬鹿の言う事は… 分かんねぇ 「…絶対好きにならない相手と…シてんだろ?興奮しね?」 絶対好きにならない相手と… 悠稀と…暁みたいに… 好きにならないのに 好きになっちゃダメなのに こんな感じなのかな でも やっぱ好きじゃなくても 気持ちいいもんは気持ちいいよ 毎回気持ち良くなってんだろな 暁の名前…呼ぶんだろな 愛してるとか… 言ってそう… 「…随分…泣くじゃん?もしかして…あいつ、好きになっちゃダメな相手なん?」 「…くっ…~~~っ……ふっ……はっ…はぁっ…」 「ああ…傷つくの分かっててって、そういう事。なんだ…最低な奴じゃん?他の男とヤッてんだろ?お前が俺とヤッたところで、全然悪く思う必要ねぇよ」 言った… 言って…くれた ズバッと… 「あっ!……奏っ……うっ…奏っ…」 「かわいっ…まだ半分だけど?キスして欲しいの?」 俺が…心の何処かで思ってて 絶対思っちゃダメな事 深く深く…閉じ込めておいた事 「んっ……奏っ…んっ…んっ…」 「はぁっ…そんなに欲しい言葉だった?」 「んんっ…!……はっ…奏っ……んはっ…~~っ!」 「…はぁっ…さっきまでと違って……すげぇ感じてんじゃん?……ぞくぞくする」 気持ちいい そう思う度に罪悪感を感じて これが、悠稀の感じてたものかと思うと 訳の分からない気持ちになる こんな事で共感出来た虚しさ これを繰り返して あの優しい悠稀が俺と抱き合う度 どれだけ沢山の思いを秘めてたのか きっともう…悠稀も疲れてる 暁と俺の間で疲れて 声出なくなって 吐いて もう…すっかり疲れてる そんな悠稀を分かってあげられるのは 救ってあげられるのは 俺しか居ないって 思い上がって 結局、全然救えてない もう… 解放してあげよう もっと心が広くて 強くて優しい… 八神さんみたいに 何でも受け入れて、力になってくれる そんな人の方が ずっと幸せになれる 「はっ…もう…3回イカせてんのに…まだ考えてんの?…さっきみたいに、俺の事考えてろよ…俺の名前呼んで…俺だけ感じてろよ」 「……奏っ…のっ…事…」 「そ。俺の名前呼べ」 「…奏っ」 「俺とのセックス…気持ちいいだろ?」 「……気っ…持ち…いいっ…」 「もっと気持ち良くしてやるから、もっと俺の名前呼べよ」 もう… 悠稀とする事ないんだろな 「……っ奏」 俺…悠稀と別れんだ 「奏っ…」 悠稀… いっぱい…泣くだろうな 「~っ奏…」 やっぱり… 泣かせたくない 悠稀の傍に居たい 俺が…慰めたい 「~っ…っく……悠稀っ……はっ…悠稀っ…」 「ふっ…やっぱ…そいつがいいのか?」 「いっ…あっ……悠稀っ………~っ悠稀っ…」 「そっ…じゃ…明日…ちゃんと話すんだな」 「ふっ…あっ……ぁあっ!…奏っ……ごめっ…」 「謝んな…誰の名前呼んでもいいって言ったろ」 訳分かんない なんの為にこいつ… ふざけた 馬鹿な奴だけど きっと… 俺の為なんだ 「…あっ…ありがとっ…おっ……あっ…かなたっ…」 「禁断の恋…苦しくて…辛いから…盛り上がんだろ?…もっと楽しめよ」 「はっ…お前……~~~っ!…馬鹿だなっ…」 「そ?…でも…嫌いじゃ…ないだろ?」 「嫌いな…訳…ぁっあっ!……ないっ…だろっ…」 昔から 損得じゃなく 真っ直ぐに 自分の気持ちに正直に それは 誰もが出来る事じゃない 「ぃっ…いっ……ことっ……教えて…やるよ…」 「へぇ~?…何?」 「ひ…君っ…のっ……初恋の相手…もっ……ひ~…君っ…がっ……初恋…なんだってっ…」 「………え?」 後ろから突いてた奏の動きが止まる 「りっくん……初恋が…ひ-君で…嬉しかった…らしいよっ……キスは…下手だっ…た…ああっ!」 何… 急に…中で… 奏のが…大きく… 「…ヤッベ…すっげぇ気持ち良くなってきた」 「ふっ…はっ…体までっ…正直……くっ!…うっ…」 嘘で塗り固めて悠稀と付き合う俺が 真っ直ぐで正直な奏みたいに 真っ直ぐで正直な気持ち吐き出せる様に 付き合ってくれたんだろうか 馬鹿みたいな方法だけど こいつは馬鹿だから 馬鹿な方法しか思い付かないから しょうがないんだ 「凌久…はっ…すげぇ気持ちいい」 「…言わっ…なくてもっ…~~~っ分かるっ…」 「…はぁっ…ヤバッ……俺…イキそうなんだけど」 「イキそっ…~~っならっ…イケばっ…?」 「じゃ…凌久も…一緒な」 「俺はっ…あっ!…ちょっ……俺はっ…もっ…いいって…」 突きながら、胸と、俺のものを触ってくる 「…んだよ…付き合えよ…りっくん…」 「…いや…もっ……無理っ…だか…ぁああっ!」 「体は…正直だな……イケるって」 「ぁっ…ぁっぁっぁっ…~~~っ!…ヤバッ…からっ…」 「ヤバく…してんだって」 「ぃっ…ぃ~~~っ…ぃっ…ちゃ…」 「俺も…もう…イクわ」 「はっああっ!…ヤバッ…ヤ…バ…~~~っ!…ぁっぁっぁっぁっ…ぃっ…ぃっちゃう…イクっ!…イクっ!…イクっ!…っ!…~~~~~~っ!」 「んっ!…~~~っ!…くっ!…~~~っ!」 初恋の相手とヤッた 悠稀が弱ってる時に 連絡もしないで 快感に溺れてた どこからどう見ても 完全なる浮気だ でも…俺は… 明日、悠稀と話をする 嫌われて 軽蔑されて 泣かせて こっぴどく振られるかもしれない けど どうやったって 悠稀以外考えられないんだから それを 思い知らされたんだから 「凌久…シャワー浴びれる?」 「さすがに…ちょっと休む。お先にどうぞ」 「んじゃ、適当にこの辺だけでも拭いとくか」 いや… 全然綺麗になってる感じしないけど? 「お前…ほんとに適当…拭くなら、ちゃんと拭いてくれ」 「頭…少しはスッキリしたか?」 「……ん…だいぶ……スッキリした」 「そ。俺は、優しい人種じゃないんだ。後は自分で拭け。シャワー浴びて来る」 「奏!」 「ん?」 「ありがとう」 「ふっ…りっくんの顔に戻った」 そう言って奏はシャワーを浴びに行った りっくんの顔に戻った どういう顔? 素直だった頃? 俺…素直じゃない 嘘つきな顔になってた? それにしても… 「俺が嘘吐く時の癖って…」 何なんだ? 「凌久、シャワー上がったぞ?まだ、無理?」 「……眠い」 「そ。ま、昨日寝てないしな。寝て起きたら、更に頭スッキリしてんぞ。俺はめちゃくちゃスッキリ!初恋のりっくんと、すっげぇ気持ちいいエッチしちゃった。はぁ~っ…幸せ者だぁ…」 別に… りっくん以上に好きな奴ができないって言ったって 今の俺を、そんな風に好きな訳じゃないんだろうに 何故、そこまで素直に喜べるのか まあ…だから…それが…ひ-君なんだけど… 「ね、だからさ、しようよ。ちゅー」 「男の子同士でも…ちゅーするの?」 「さあ?でも、怒られる事じゃないよ?」 「そう…なの?」 「そうだよ。りっくんと、ちゅーしたい!」 「……うん。いいよ」 ファーストキスは よく遊ぶ男友達で 俺の部屋だった 勢い余った奏が 体ごと迫ってきたせいで 歯が当たって痛いわ 後ろに倒れそうになって、ベッドに頭ぶつけるわ 散々だった けど 「大丈夫?!りっくん…ごめん!」 「いった~…大丈夫」 「ごめんね?でも…りっくんと、ちゅー出来て、すっごく嬉しかった!」 「…っ!…おっ…俺はっ…もうやんない!」 感じた事のない感情に それは、追及しちゃダメなものだと感じ取った 嬉しかったと言った奏の笑顔が 今まで見た事のない笑顔で 今までと同じで居られなくなるのが嫌だった ガキだった俺達は それからも、そんな事忘れたかの様に 普通に遊んでた それから2、3年して 徐々に、好きの感覚が分かる様になり あれは、初恋だったのだと気付いた 「……ん…」 「オラオラオラオラ!…うおりゃ~!」 「……奏?」 「お、凌久起きたのか?…シャワー…うおっ!」 体を起こして見ると スマホのゲームしてんのか 体…だるっ… 「うおっしゃ!クリア~!…ん?スッキリどころか、ぼーっとしてんな?」 「ん…でも…すげぇ寝た」 「どっか痛い?いや、俺様が、そんなミスする訳ないが…」 「俺様は何様だよ…普通に腰痛くて、体だるいだけ」 「頑張れ~。早くシャワー浴びねぇと、気持ち悪ぃぞ~。気持ち悪りっくんだぞ~」 もう…暗い 「お前…今日、予定とかなかったの?」 「あったよ?デートすっぽかして、彼氏に振られた」 「…えっ?!マジで?!ごめん!マジでごめん!お前…何にも言わないから…」 「ぶはっ!…必死かよ!…くっくっ…嘘だよ…」 「はあ?!お前の嘘は分かんねぇんだよ!」 いっつも、いっつも ふざけやがって ふざけてんだか、本気なんだかも 分かりづらいんだから 「…凌久が、嘘吐く時の癖に気付いたの、俺達のファーストキスの後」 「は?突然何?…って、え?あの時なの?俺、なんか嘘吐いたっけ?」 「俺が、ちゅー出来て嬉しかったって言ったら、凌久、俺は、もうやんないって言ったんだけど…」 「言ったな?」 「その時の顔が、どう見ても、俺も嬉しかったにしか見えなかった」 「……は?……いや...」 いや、だって あん時はまだ ちゃんと好きだって自覚してなかったぞ? 「嬉しそうなのに、俺はもうやんないって言ったから、困らせちゃったんだろなと思って…それからは、しなかった。けど…それからも、りっくんが、少し困って嘘吐く時、あの時と同じ癖見せてたから、やっぱ嬉しかったんだろなぁ…って思ってた」 なっ… じゃあ こいつは… 俺が、俺の気持ちに気付くよりも前に 俺の気持ちに気付いてたのか! 「~~~っ!恥ずっ!…俺、お前が気付いてなかったと思って、さっき…」 「あれから今まで、ずっと気付いてないと思ってたりっくん、可愛い過ぎだな」 「~~~っ笑いやがれ!」 「笑わねぇよ。大きくなってくと共に、俺のせいで、お前が男好きになっちゃったんじゃないか…とか、好きな奴に巡り会えなかったらどうしよう…とか、これでも、ちょっとは心配してたんだぞ?」 奏のせいで…… いや... もはや分かんねぇな 「女の子好きってのより、よっぽど苦労するだろ?だから、お前から、高校ん時から付き合ってる奴居るって聞いて、安心した」 「そんなん思ってたのか?」 「お前、彼女とか言わないから、どっちか分かんなかったけど、どっちだって、すげぇ嬉しそうに話してたからさ。ちゃんと、好きな気持ちに嘘吐かないで、付き合えてる奴居るんだなぁ…って思った」 他の… 色んな沢山の事 嘘でいっぱいだけど 悠稀を好きな気持ちだけは やっぱ…本物だって分かった 「お前…そういうの分かってて、よく俺と…」 「俺、そういう面倒なの、どうでもいいから。凌久が、落ち込んでる。彼氏に置いてかれた。凌久が…なんか迷ってる。どうにかして…何か…吐き出したいと思ってる……気持ち良くて、いい方法だったろ?」 やっぱ… 頭おかしいな 「どこがだよ…」 「俺の事、好きなの…なかった事にされたからさ」 「…え?」 なかった事… そう… 思われてたのか 「まさか…今頃、告白されると思ってなかったから、嬉しかった。やっぱ、好きな奴とヤんの、すっげぇ気持ちいいのな?」 「なかった事ってか…あの時は、そういうの、よく分かってなかったんだ。俺が気付いたのは…2、3年後だ」 「遅っ!なんで、ちゅーして嬉しくて、気付かねぇんだよ!」 「だから、あれが嬉しいだって事にも、気付いてなかったんだよ!」 あの頃が楽しかったから それが変わってしまうのが怖くて 気付きたくなかったのかもしれない 「どんだけピュア少年だよ!」 「知らねぇよ!……ぶっ!」 「ぶはっ…!」 「ピュア少年って何だよ…くっくっ…」 「俺だって…くっくっ…今更恥ずいわ!…くっくっ…」 「ちゅー言うな!…くっくっくっ…」 「2、3年もかかるな!…くっくっくっ…」 もう… 何が面白いんだか分かんねぇのに しばらく2人で笑って 「…っはぁ~あ!…さてと、シャワー浴びてくっか」 「さっさと行って来い。俺の芸術作品を、とくと見るがいい」 「あ?芸術作品?」 「ふんっ…盛大な評価を希望する」 何、訳分かんねぇ事言ってんだ? 風呂場で何かしてきたのか? と、思ったが 特に変わったとこねぇな ほんと、訳分かんねぇな シャワーを浴び終わり 洗面所を通りかかった時… …ん? あ…キスマーク付けたのか、あの馬鹿 しかも、結構な数 なんちゅう付け方してんだよ 遊んだな?あいつ ………ん? あれ?これ…… 俺の左首から下に向かって… こ…これ! 「なっ…なんじゃこりゃ~~~っ!!」 鏡には、俺の左首から胸の真ん中に向かって り の反転文字 右胸の下辺りに く の反転文字 下を向くと 綺麗に、りくの文字が、キスマークで描かれている ガラッ 「奏!!」 「よっ…盛大な評価をどうも」 そう言って、ニヤッと笑う 芸術作品って… 俺の体にか! 「このっ!このっ!」 「いてっ!いてっ!暴力はんた~い!」 「人の体に、なんて恥ずかしいもん作ってくれてんだよ!」 「いやぁ…凌久、死んだみたいになってたから、何しても怒られないかなぁ…と」 「んな訳ねぇだろが!この馬鹿!」 散々騒いで、笑って 「んじゃな。ま、こっぴどく振られても、俺のせいじゃないけど、責任はいつでも取るぞ~」 「取らなくていい!さっさと帰れ!」 「ひっで~の…りっくんが…冷たい」 「いや…ごめん。ありがと」 「傷つくの分かってても、止めらんないんだろ?んじゃ、気が済むまで、頑張るしかねぇな?」 気が済むまで… 悠稀じゃなくて 俺の! 「おお!」 「じゃな。上手く行かない事を祈る」 「祈るな!」 悠稀が、どう思おうと どう思われようと カッコ悪くて 情けなくたって 俺が納得するまで 頑張って、頑張って しがみ付いてやる

ともだちにシェアしよう!