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りく
凌久と母さんが笑ってる
悠稀って聞こえる
俺の事話して
凌久と…母さんが…
笑ってる…
凌久…居ない…
帰ったんだ
……………
「でもっ…俺…別れないからっ……これからも俺…必要な時は、暁とするけど…凌久とは別れない!」
「凌久が可哀想でも…離したくないもん…~っ凌久…いっぱい泣くかもしれないけど…~っ!別れないっ…!」
クラッ…
俺が言った事だけど…
しっかり覚えてるけど…
なんて事言っちゃったの??俺!
暁とするけど、凌久とは別れないって…
凌久が可哀想でも、いっぱい泣くかもしんないけど別れないって…
どんだけ自分勝手??
え……
えっと…
ちゃんと話終わったんだっけ?
最後…どうなったんだっけ?
一緒に居てとか
居るしかないとか
……あれ?
結局、別れないって…
このまま付き合ってくって事でいいんだよね?
…………え?
あんな事言った俺と…
そんな風に思うかな…
え?
俺の夢?
ちょっと…確認
凌久に…確…
あれ?
凌久からだ
『起きたか?夢じゃねぇからな』
あ……
凄い…
夢じゃなかった
『凌久、酷い事いっぱい言って、ごめん』
『俺、自分勝手な事ばっかり言った』
あんなに怒ってたのに
凌久…一緒に居ていいのかな
ヴヴ ヴヴ
『俺も、自分勝手な事したからな』
自分勝手な事……
あ!!
かなた!
『そうだった!思い出させないでよ!』
『凌久も早く忘れてよ!』
今は想ってなくたって…
初恋の相手と…
どんなセックスしたんだろ…
ヴヴ ヴヴ
『お前こそ、宇沙美のキス忘れろ!』
なっ?!
『もう、とっくに忘れてたよ!馬鹿!』
「凌久の馬鹿!!」
コンコン
あ…
「悠稀、起きたの?」
「あ…うん」
「起きてすぐ、凌久君と喧嘩?」
「あ…だって、凌久が怒らせる様な事言うから…」
「悠稀を怒らせるなんて、凄いのね?」
そうだ…
俺、こんな事で怒らないのに
凌久と喧嘩なんて…
ちゃんとした事なかったかも
「なんか…不思議。今まで、喧嘩なんかしなかった」
「そう。喧嘩するには、近づかなきゃならないものね?」
「……うん」
そうだ
近づくの…怖かった
だって…
知られたくない事多過ぎて
ただでさえ自信ないのに
嫌われると思って
「もう、おやつの時間だけど、何か食べれそう?」
けど…
もう…全部見せたから
怖くない
「うん。お腹空いた」
学校から帰って来て
だいぶマシになった俺を見て
暁もだいぶ安心してた
夜には、うどんを、ばくばく食べてる俺を見て
母さんも安心した様だ
朝まで、ガッチリ俺にしがみついて寝た暁は
同じ朝ごはんを食べてる俺を見て
「行って来ます!」
朝、元気に登校して行った
「それじゃ、母さんも帰るわね?何かあったら、すぐ電話するのよ?」
「分かった。ありがとう。父さんにも、心配かけて悪かったって言っておいて」
今日は、午後の最後の講義とバイト
凌久は、午前の今の講義が終わったら終わり
凌久に…
会いに行く
ピンポ~ン
「………」
あれ?
ピンポ~ン
バタバタ…
「はいは~い!」
ガチャ
「凌久…何かしてたの?入って大丈夫?」
「ああ…大丈夫だ」
?
なんか…
視線逸らされた?
ベッドに座ると
わざわざ紅茶なんて淹れ始めて
………テーブルの前に座った
明らかにおかしい
けど、まあ…
紅茶だしね
テーブルの前に行き
凌久の隣に座ると
話しながら、少しずつ距離を取り始めた
絶対おかしい
「……凌久…どうしたの?」
「どうしたの?って、何が?」
「何がじゃないよ。明らかに視線合わないし、距離取られるし、おかしいの分かるよ」
「……いや…その…ちょっと…」
「ちょっと?」
「今日は…そういう事…シたくないって言うか…」
そういう事したくない
「なんだ。そんなの、ちゃんと言ってくれればいいのに。凌久がしたくないのに、無理矢理したって意味ないでしょ?」
「そっ…そっか。なんか…今日、そんな感じかなと思って…なのにシないとか…悪いから…あんま近寄んない方がいいかなと思って」
そりゃ…
したかったけど
凌久の気持ちないのにしても、意味ないじゃん
「いいんだけど、凌久、体調悪いとかじゃない?今回俺、痛い目見たから…」
「いや、全然そんなんじゃないから」
「そっか。なら、いいや」
「あんがと」
不思議
あんなに罵り合って喧嘩したのに
「いっぱい喧嘩したね?」
「おお。悠稀が、あんなに怒れると思わなかった」
「俺も…」
「ぶっ…!俺もって…自分も驚くって、どんだけ怒ってなかったんだよ!」
「分かんない…怒ってるつもりだったけど…ちゃんと怒ってなかったのかな」
馬鹿みたいな
子供みたいな喧嘩だった
子供…
「凌久…かなたの事、ほんとは…ちょっとは好きでしょ?」
「はあ?人としてはな」
「~~~っ…凌久っ…人としてって言っとけば、許されると思ってるでしょ!」
「あ?思ってねぇよ!ってか、人として好きなのなんか、俺より悠稀のが、ずっと多いだろが!」
「人としての中でも、凌久は特別が何人も居るもん!」
「その時々での特別は、誰だって居るだろ?お前にとっての宇沙美みたいに!」
言われたら、言い返せない
けど、嫌なものは嫌なんだもん
くるっと、凌久に背中を向ける
「あ…謝んねぇぞ!俺だけが悪くねぇからな!」
分かってるもん
謝って欲しい訳じゃないもん
ただ…
ヤキモチ妬いてる気持ち
収めてるだけだもん
俺だって、いっぱい
そういう思いさせてるもん
「…~っあ~っ!もうっ…悪かったよ!俺が悪いでいいから、こっち向け!」
「…別に…凌久だけが悪いんじゃないもん…怒ってる訳じゃないもん」
「え?そうなの?なんだ…でも……やっぱ、顔見たいから…ごめん」
凌久が、優しく頭を撫でてくる
「触らないでよ…」
「あ!お前…俺が折れてんだぞ?!」
「そうじゃなくてっ……そんな触られ方されたらっ…」
「……あっ!ごめん!…そうだよな?」
凌久が、パッと手を離す
「……凌久」
振り返って凌久を見る
「何?」
「体調悪いんじゃなくて…もしかして、機嫌悪い?」
「え?いや…機嫌は悪くない」
「………そう」
じゃあ…
だったら…
かなたとして
俺としたくないとか…
こんな馬鹿みたいな考え
子供じみてるけど…
「……凌久の体、今…かなたとセックスしたままだね…」
「……は?!ちゃんと洗ってるわ!」
「……1番…重要なとこ…洗えてないじゃん...」
「いや…それは……もう時間経ったし……」
凌久の体…
触られたんだ
キスされて
凌久の体の中に……
凌久の全部…
見せたんだ
初恋の相手に…
好きだった人に…
「……悠稀?泣いてる?」
「……別に」
「~っ!俺…服着たままなら…シてもいいけど…」
「……え?」
どういう事?
顔を上げて凌久を見ると
「…やっぱ泣いてんじゃねぇか」
そっと顔に手を添えて涙を拭ってくれる
けど!
それどころじゃなくて!
「え?何?凌久、そういうのが良かったの??」
「……え?そういうの?」
「かなたと…服着たまましたの?そしたら、凄く良かったの?」
「ちっ…違う!」
「そんなの、言ってよ!凌久がしたい事なら、喜んでするよ。かなたとして…知ったのは…許せないけど…」
「いや…そうじゃなくて………はぁ~…」
「凌久?」
凌久がため息を吐いた後
シャツのボタンを外し始めた
何…してるの?
「ほんとは、死んでも悠稀に見られたくなかったんだけど…だから、わざわざ襟のある服着て…近づかなかったのに…変な誤解されるよりは…」
「え?何?」
「これを見ろ!」
バッと凌久が、シャツの前を開ける
「…なっ?!…キスマーク!いっぱい!」
「問題は、そこじゃねぇよ。よく、離れて見てみろ」
「問題だよ!なんで、こんなに付けられたの?!黙って、これ全部付けさせたの?!凌久の!馬鹿!」
「いや…黙ってってか…色々考え過ぎて…悠稀と別れるしかねぇのかなぁ…とか…もう、どうでもいいや…とか思ってる間に、付けられてた…みたいだ」
俺と別れる事考えて
かなたにキスマーク付けられるって!
「許せない!馬鹿凌久!こんなにっ…こんなに付けるなんてっ!…絶対かなた…凌久の事好きだもんっ…今でもっ…好きだもんっ…凌久の馬鹿!」
凌久の胸を叩いてやる
こんなに刻まれて…
なんで許したの?
「いや…あのさ、ほんとに好きな奴に、こんな事しねぇから」
「するでしょ!好きだからするんでしょ!」
「だからさ、悠稀…ちょっと離れろ」
「何!」
「少し離れて~…この位で、全体像を見てみろ」
「全体像?!全体………え…えっ!りく!」
キスマークで
りく
が出来上がってる!
「あいつ、ほんと頭イカれてんの。俺が、ぼーっとしてんのをいい事に、こんな事して遊ぶ様な奴なの。ガキみたいな奴なの」
「……その…ガキの頃好きだったんでしょ?お互いに」
「そ。今は、もうそういう感情ない」
「じゃあ…なんでしたの?」
「さあ?ヤケクソ?自暴自棄?」
凌久の顔を触ると
「怒った?」
「怒った」
「どうする?」
「かなたの痕跡なんか…全部消してやる」
「ふっ…怒ってる悠稀もいいね?」
「かなたに…どんな風に抱かれたの?」
どこを…
どんな風に触られて
どんな風に感じてるとこ見せたの?
「イカれてるから、教えない」
「でも…気持ち良かったでしょ?」
「そりゃあね」
「許さない」
「じゃあ…どうすんの?」
「どうしようかな…」
なんで…
そんな挑発的なの
悪い事したのに
開き直って
俺が別れられないからって
なのに
「…んっ……はっ……はるっ…ちょっ……んっ……」
挑発的な凌久さえ
愛しくてたまらない
「はっ…息っ……んっ……できなっ……んんっ!」
こんな…
沢山他の男に刻まれて
もっと愛してって言ってるみたい
「はっ…いってぇよ……あんま、噛んな」
1つずつ…かなたの痕を消していく
「あ…そう言えばあいつも…思いっきり耳噛り付いて…いいっ?!」
ガブッと凌久の左耳を噛る
「どっちの耳?」
「おっ…お前…どっちか聞く前に噛んなよ!」
「どっち」
「そっちだよ!」
「そ。良かった」
「そっちじゃなかったら、噛られ損じゃねぇか!」
忘れろって言ったのに
全然忘れてないし
俺が描き変えてんのに
かなたの話なんかして
「っ!…なあ…俺の体に…っ穴空いてない?」
「一生閉じない穴、空けられたらいいのに」
「え…なんか…人格変わってません?」
「凌久…ちょっと、下やりづらい。ベッド上がって」
「はいはい」
凌久がベッドに座る
改めて見ると
シャツの前開けて
沢山キスマーク付けられてる凌久…
「凌久…」
「何?」
「かなたとした時…何着てたの?」
「……聞けば聞く程、嫌な気持ちになんないの?」
「なるに決まってるでしょ!」
「え~?なのに聞くの?」
「だって凌久!」
「え…何?」
「…~~~っ…すっごく…」
言えない!
「…ってぇ!…ちょっと…話の途中で噛んなよ!」
「何…着てたんだよ!」
「…きょっ…みたいな…シャツに…ジー…~っ!!」
これ、見せたんだ
見られた
馬鹿凌久!
「なっ…ちょっと…いっ…!……横に…なっちゃダメ?…結構…~っ!…辛いんですけどっ…」
「……凌久…ちょっと涙目…」
「そりゃ…噛られ続けたらね」
「いいよ。横になっても」
「じゃあ、終わり。じゃねぇのな?」
「だって!まだ!くが途中だもん!」
「はいはい…分かりました」
凌久がベッドに横たわる
なんで…
そんなにやらしいの?
「~~~っ!凌久の馬鹿!」
「え?!俺、横になっただけじゃん?何?やっぱ横になって欲しくなかったの?!」
ガブッ
「ってぇ!会話しろ!」
訳分かんないだろうに
凌久は、止めろとは言わなかった
りくを全部噛り尽くし
「………出来た」
「終わった?」
涙目じゃなくて…
涙流れてた
綺麗…
「凌久…こんな格好で泣いちゃだめだよ」
「あ?こんな格好も、泣かせたのも、お前だろが」
「うん…嬉しい」
「は?会話がなんかおか…んむっ?!…んっ…」
「今日は…どんな綺麗な凌久も…俺だけのもの」
「はっ…今日は?今日からまた…だろ?」
綺麗で綺麗な凌久
そりゃ
色んな人が好きになっちゃうのは、しょうがない
優しくて優しい凌久
そりゃ
凌久に関わったら好きになっちゃうよ
でも
渡さない
誰にも渡さない
凌久に釣り合う様な人間じゃないけど
それでも
俺だけのもの
「今日は…俺、悠稀に…触れねぇの?」
「分かんない」
「分かんねぇのかよ」
「凌久…教えて?」
「あ?教えてって、どういう事?」
「凌久みたいに、胸、気持ち良くするやり方」
「……えっ?…はっ?!いや~…それは…覚えなくてもいいかな~」
「なんで?!」
凌久がしてるの
思い出してるつもりなんだけど
全然上手く出来ない
「ただ、気持ち良くするなら、そりゃ色々やり方あるだろうけど…そういうのより、よく分かんないのに、俺の事気持ち良くしようとして、頑張ってくれる悠稀に、幸せ感じるから」
あ…
それ…
「~~っ…それっ…」
「えっ?!何も泣く事ないだろ?!分かったよ。教えるから」
「~~~っ…いいっ…」
「いや、だってお前、泣く程知りたいんだろ?」
「違っ…凌久っ…好きになった…時もっ…」
「…俺を好きになった時?」
「それっ…言ってくれたっ……やっぱり…~~~っ!…やっぱり…凌久っ…~~~っ好きっ!!」
この…
言葉では伝えられない感情
全身に
何か暖かいものが行き渡るみたいな
溢れる位に包まれる様な
「……えっ…なんか…よく分かんないけど…分かんないけど…もう……無理っ…」
「…うっ…うっ…わぁっ!」
ぐるんと回ると
凌久が下から上になってる
「悠稀の事泣かせたくねぇけど…俺で嬉しくて泣いてんのかと思うと…抑えられない…」
「…凌久…好き…凌久…んっ…んんっ…はっ…好きっ…~~~っ!…凌久っ…んはっ…好きっ…」
「知ってる…はぁっ…知ってるよ…悠稀っ…」
「んっ…ぁっ!…凌久っ…」
「んっ…気持ち良くなりな?俺で」
なんで…
凌久は、こんなに上手なの?
もっと俺も
凌久の事気持ち良く出来たらいいのに
「ぁああっ!…凌久っ!…あっ…凌久っ!」
「すげぇ俺の名前呼んでくれるじゃん?なぁ、俺、奏とヤッてる時も、悠稀の名前呼んでた」
「あっ…!かなたって…言うな!」
「そこ?やっぱ…悠稀がいいって…思って…悠稀の名前呼んでた」
「あっ…あっあっ…凌久っ!」
「ん。もうイキそうだな?1回イキな?」
「あっ…ぁあ~~~っ!…凌久っ!りくっ…りくっ…!~~~っ!」
「なぁ…はぁっ……服…着てるっ…と…んぁっ…!…興奮っ…する?」
「んっ……凌久はっ…なんでも綺麗だけど……綺麗で…すごくっ…~っ!」
「ちょっ…!…~っ!…分かった…すげぇ…興奮してんのな?…興奮した…悠稀で…っ…イカせてよ」
綺麗…
かなたに刻まれた物と
俺に刻まれた物を曝して
汗で…顔に張り付いた髪と
肌に張り付いたシャツ
何でもないとこだけ
役に立ってないシャツで隠して
恥ずかしいとこは全部見せて
恥ずかしいのに全部見せて…
綺麗…
「なんちゅう…うっ…顔っ…~っ…してんだよっ…ぁあっ!」
「凌久が…綺麗過ぎて…」
「水無瀬…悠稀がっ…~~~っ…何言ってんのっ…?!」
「凌久は…誰よりっ…綺麗だよ」
「へっ……馬鹿奏がっ…いっ…~っ!…イカれてると…思って…たけどっ……確かにっ…いっぁっ…悠稀がっ…服着たままだとっ…おっ…犯されてる感っ…うっあっ!」
かなた
かなた
かなた
かなた思い出し過ぎじゃない?
「綺麗な凌久…全部…俺だけのもの…」
「うっうっうっ…うっあっ…はっ…はっあ~っ!…あっ…ヤバッ……ゃっ…ヤバっ…あっ…ぃ~っ…!」
「凌久…どこまで…刻まれた?」
「うっうっぅっ…ぁあああっ!…ああ~っ!…奥っ…!あっ……ぁあああっ!」
「奥?ここよりもっと?…随分奥まで刻まれたん…だねっ?」
「う…あああっ!…あっ!…違っ…ちっ…あああっ!…そんなっ…奥っ…ないっ!」
「ほんとに?…ここは…俺だけ?…じゃ…俺しか知らないとこで…イッて?」
「はっ…ああ~っ!…悠稀っ…だけっ…だからっ…ぁああっ!…ヤバっ…やっ!あっ…ぁあ~っ!…~~~~っ!!」
綺麗な凌久…
汗…キラキラ光って…
辛そうなのに
それだけじゃない
複雑な表情
大きく反らせた体も
汗…キラキラ光って…
胸も…綺麗な腹筋も…
俺で気持ち良くなった凌久のものも
そこから出て来た
白くてトロトロした物も
全部…綺麗で
全部…俺のもの
「凌久っ…好きっ…好きっ!…うっ…!…くっ…!…~~~~~っ!!」
「うっ!…ああっ!…イッてる!…イッ…て…!…~~~~~っ!」
凌久の汗に濡れた顔に触れる
「凌久…好き…」
「ぁっ……ぁっ…ぁっ……悠稀…悠稀…」
「ん…凌久…好き」
俺の首にしがみ付いて来た凌久の
頬に
瞼に
唇に
キスを落としていく
「はっ…悠稀……宇沙美に…どんなキスされた?」
「……そんなの忘れた…そもそも覚えてない」
「ほっ…ほんとに?」
「ほんとに。もう…凌久とのキス以外覚えてないし…どうでもいい」
「うっ…嘘つけ…暁とのっ…キスは…覚えてんだろ?」
暁との…キス
どう説明しても分かってもらえないだろうけど
「暁には…キスって言うか…キスを通して…念を送ってるから」
「念?!…なっ…なんか怖いんだけど?!」
「落ち着け…大丈夫…1人じゃない…大丈夫…落ち着け…俺達皆…ずっと一緒…皆暁を愛してる…伝われ…伝われ…って念を送ってる」
「……へぇ~…暁…泣いてんの?」
「うん…宿泊研修から帰って来た日…そうなったのに、暁、我慢してた」
どれくらい…
1人で我慢してたんだろう
「我慢とか…出来んのか?」
「出来ない…けど…一生懸命我慢してたんだ。あんまりお風呂遅いから、声掛けに行ったら泣いてて…すぐに俺もお風呂入るから、待ってな?って言ったら、暁…暁の為に凌久が、一緒に料理作ってくれたのに…俺としたくないって言ったんだ」
「……え?」
「俺は…泣きながら、地団駄踏んでた暁が、脳裏に焼き付いてるから、そう思ってくれる様になっただけで嬉しいから、我慢しなくていいんだよ?って言ったけど…暁、泣いてるのに…キスだけで…なんとかなんないかなって…」
我慢なんて出来ないのに
そんなの…
考えてる余裕ないはずなのに
「それで…キスしながら…暁の、彼氏とか、友達とか、先生の話した。そしたら…少しずつ落ち着いていったんだ。あんなの…初めてだ」
「~~~くそっ!」
「ごめん…でも…俺は、暁を見捨てられない」
「違ぇよ!それじゃ…暁の方が大人みたいじゃねぇか!究極に苦しんでんのに、俺と悠稀の事考えるとか…なんか…すげぇ負けた感…」
「暁は…ずっと闘ってる…ずっと闘いながら、前に進んでる。凄いんだ」
知らなかった世界を知ってくのは怖いはずだ
暁は
暁の小さな小さな世界から連れ出されてから
ずっと進み続けてる
強いんだ
「何だよ!せっかく暁の事、もうヤキモチ妬く対象にして、楽になろうとしたのに…やっぱ…応援してやりたくなっちゃうじゃねぇか!」
「凌久……お人好し。暁がそう思っても、凌久が同じく返す必要はないんだよ?」
「分かってる!けど!そんな話聞いたら…リスペクトしたくなっちゃうだろが!」
「凌久…じゃあ俺は…そんな風に思える凌久をリスペクトして…誰よりも愛していく」
ヤキモチ…
これからもお互い沢山妬く
暁の事、そんな風に言ってくれても…
許せる訳じゃない
まだまだ大変な事…
どんどん出てくるかもしれないけど
けど…
もう隠さない
全部言って
喧嘩してもいいから
話し合って
後悔だけはしない様に
ともだちにシェアしよう!