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結城
す~ す~
あれ位で熟睡…
やっぱ、まだちゃんと体力戻ってなかったんだろな
自分の胸を確認する
1個のキスマークにつき
1個の噛り付いた痕
そんな脂肪があるとこでもないから
なかなか痛かったんだぞ
そして、シャワーも滲みたぞ
けど
悠稀が、あんなに嫉妬剥き出しで怒るなんて
なんか…
俺の前では怒ったり、我が儘言ったりしてもいいって
ブロックでも外れたのかな
「随分と怒ってくれたな」
悠稀の頬にキスをする
「奏って言う度怒って…奏に感謝したいくらいだ」
悠稀の髪を撫でる
「おばさんにも怒らないのに、俺には怒ってくれんの?」
悠稀の髪にキスをする
どんだけ見ても綺麗な寝顔
額にかかった髪を避けてキスをする
「かわいっ…」
閉じられた瞼の下に
女子達が喜びそうな長い睫毛
睫毛にキスをする
「綺麗だなぁ…」
この瞼が開くと
綺麗から可愛いに変わるんだよな
瞼にキスをする
頬を触ると
赤ちゃんみたいにフニフニしてる
これ、絶対髭とか生えないだろ
頬にキスをする
唇を触る
薄くて形のいい唇
「これで、キスしてくれりゃいいのに…」
噛りやがって
チュッ チュッと
啄む様にキスしていく
そのまま上唇を食べ
下唇を食べる
「美味し…もっと頂戴?」
ピクリともしないな
上唇をゆっくりと舐め
そのまま下唇も舐め取っていく
「舌は…起きちゃうか」
コロンと仰向けにする
「……ん」
顎から首へと指を下ろしていく
ボタンで開かれたVネックから
首から胸元へと続いていくのが見える
「なんで、こんなエロイ服着てんの?」
首にキスしながら
胸元へとキスを下ろしていく
「……ん」
見えるギリギリの所に印を付ける
「ん…?」
「……これ以上は、止められなくなりそうだから、止めとくか」
悠稀の隣に横になり
俺の方を向けて抱き締める
「水無瀬君、全然来てくれないね?」
「彼女に一途なのよ」
「彼女の居る男なんか、ほっとけ、ほっとけ」
「合コンくらい、付き合いでいいじゃんね?」
「人の幸せ妬むなって」
別に…
行くななんて言った事ないけど?
「彼女にしてくんなくていいから、1回だけ記念にさせてくれないかなぁ…」
「はあ~?お前…ヤベェな」
「あんた、彼氏居るでしょ!」
「そうだけど…あんなイケメンと付き合える事ないじゃん?だからさ、彼女じゃなくていいから、若かりし日の思い出としてさ」
「あ~…それ、何となく分かるわ」
「え?!分かんの?!女こえ~!」
「なぁ、若かりし日の思い出で、悠稀とヤりたいんだって。すげぇな」
もしも、ヤったら
やっぱ女の方がいいなって思うかな
そりゃ思うか
俺だって、性的にムラムラしないってだけで
普通に女の子を見たら、可愛いとか綺麗だと思うし
裸だって、女のが綺麗だと思うし
こんなゴツゴツしてなくて、触り心地いいんだろうし
胸板じゃなくて、ちゃんとおっぱいがある訳で
声だって可愛いし
挿れてる感じも違うのかな
男だったら勝負出来る
けど
女だったら、勝負する事すら出来ない
勝率0%
スタートラインにも立たせてもらえない
「一緒に居るのは、ちゃんと愛し合える人がいい。そうじゃないのに、女の人だからとかは…考えられない」
悠稀なら…って思う
おばさんも…
あんなに言ってくれてんだし…って思う
けど
女でも、思い出に1回ヤらせて欲しいって思わせる男…
「早く…ピカピカ頭のブヨブヨ悠稀になれ」
女だったら
そんな男とデートしてんだぞって
見せびらかしてやれる
それだけで牽制出来る
バカップルみたいに
お揃いの何か付けて歩く事も出来る
彼女居るかもとは思われても
すぐ隣に居る俺が
恋人だなんて誰も思わない
「ほんと、ごめんね?すぐ寝ちゃって」
「いいって。それより、そんなんでバイト大丈夫か?」
「うん。最近、俺の都合で休ませてもらってばっかりで…」
「だからって、無理して行ったら、また休む事になんだからな?」
「…分かってる。凌久も今日はバイトでしょ?頑張ってね」
「おお。また明日な」
「うん」
今日は、何人の女を、きゃ~きゃ~言わせんのか
幸いな事に、別にバイトしなくてもいい環境に居る俺は
社会経験の為に週2、3回位でバイトに行っている
バーがメインの、ちょっとしたレストランだ
賄いあり、終電後のタクシーチケットあり
酒の種類も覚えれるし
何かといいなと思って選んだ
こんな、週2、3回でも、だるいなと思ったりする
けど、もっと大変な仕事を
週5以上続けてくのかと思うと
やっぱ、今のうちから慣れた方がいいなと思う
「おお、楠。平日に急に悪かったな」
「いえ。全然大丈夫っす」
「全然大丈夫なら、もっと出て来いよ」
「いえ。結構っす」
「ぼんぼんめ」
店長は、自由の利く、しかも、まだ大学1年の俺に、もっと仕事に出て欲しいらしい
たいして働いてない俺は、バーの方は、ほぼノータッチ
普通にレストランのホール係みたいなもんだ
「お疲れ様でした~」
「お疲れ~」
終わりっと
悠稀は、もう寝てる時間かな
ネームを外し
ベストを脱ぐ
制服だから、しょうがないけど
シャツの上にベスト着て働くと暑い
さっさと着替えようと、シャツのボタンを外してると
コンコン ガチャ
げっ
「お疲れ様~」
「お疲れ~、楠」
俺と同い年で、同じ位のタイミングで入って来た
だけど、毎日の様にバイトに出てる結城 は、俺に色々教えてくれる
が、そういう性格なのか、初めて会った時から、やけに馴れ馴れしい
「楠、全然来ないから、全然会わないね~?」
「まあ、そうだな」
結城に背を向ける様にしてシャツを脱ぐ
自分のシャツに袖を通してると
「ね、毎日彼女とイチャついてんの?」
急に近くに来たので、更に背を向ける
「は?そんなんじゃねぇわ」
さっさとボタンを締めていく
「ふ~ん?…そんな見られたくない物、付けられてんだ~?」
「……別に…関係ないだろ?さっさと着替えたら?」
「ふっ…そうしよ~っと」
やっと離れた
こいつは…よく分かんなくて苦手だ
「凌久…」
「え?」
「って、呼ばれてんの?彼女に」
「……関係ねぇだろ?」
何なの?こいつ
別に、そんなの話す程親しくねぇのに
ってか、凌久って呼ぶな
「ねぇ、今日さ、家に遊びに来ない?」
「……は?」
やっぱこいつ、おかしい
俺が、こんだけ避けて警戒心バリバリ出してんのに
「どうせタクシー一緒じゃん?俺ん家で降りて、遊んでかない?」
「…でかない」
「え~?何でだよ~~~。聞かせろよ、彼氏の話~」
「……え?」
今、こいつ
彼氏って言った?
ニコッと笑っている
「……なんで」
「知ってるよ?水無瀬 悠稀君でしょ?」
全身…鳥肌が…
「高校から仲良かったんだよね?」
「……何…なんで…」
コンコン ガチャ
「お~い!お前ら、まだ……ん?どうかしたのか?」
「あ、店長。もう行きま~す!今日、俺ん家で、楠の彼女の話聞かせてもらおうと思って」
「あ~?何でもいいから、さっさと出ろ」
「は~い!」
結局…
どっちにしても、同じタクシーに乗る訳で
「楽しみだな~。何から聞こうかなぁ…」
「誰も…行くとは行ってない」
「ふ~ん?彼女さぁ…駅前近くのファミレスで働いてるよね?」
「……なっ?!」
なんで…そんな事まで…
「すっげぇ、人気だったよ。本人気付いてなさそうだったけど」
「…………」
何?
俺を恨んでんの?
バイトで態度悪かった?
だって、バイトでしか関わりない
それで、俺の周辺まで調べた?
だとしたら、ヤバ過ぎだろ
ヤバ過ぎな奴が
悠稀の名前も、顔も、バイト先まで知ってる
「着いたよ」
「…………」
無言で降りると
タクシーは行ってしまった
「あ~、楽しみ!どうぞ、どうぞ」
見上げる程の、高いマンション
「俺ん家、不動産関係だから、いいとこ住んでるでしょ?」
店長…
本物のぼんぼん、居るじゃないっすか
すげぇ高い階でエレベーターを降りて
「どうぞ」
「…………」
入るしかない
何?
ホテルのスイートルームなの?
「適当に座ってよ」
ソファーに座ると
「はい、はいっと」
「………未成年が、ワインか?」
「ぶっ…!ほんとに、そんなん守ってんの?まさかだろ?」
そう言いながら、トクトクとワイングラス2つに、ワインを注いでいく
「乾杯しよ?」
「なんの…」
「ん~…素晴らしい日に!」
「勝手にしろ」
「かんぱ~い!」
こいつ…
薬でもやってんのか?
こんだけの環境…
シャレになんねぇぞ
「んで~?…悠稀君、男なんて興味なかったろ?どうやって手に入れたの?」
「その呼び方やめろ」
「めちゃくちゃ嫉妬するじゃん。楠、もっとクールな奴だと思ってたわ~」
「何?俺の態度が悪かった?」
「え?何?」
「俺が気に入らないんだろ?」
グビッとワインを飲んだ結城が
「気に入らない?そうだね…気に入らないね~」
「だったら、俺に当たれ。悠稀は、関係ない」
「そうかな?関係大ありなんだけど」
「?…どういう事だ」
「そのワイン…全部飲んだら教えてあげる」
酔ってんのか?
でも、普段から、こんな様なもんか?
「俺は、酒は飲まない。さっさと教えろ」
パシャッ
ポタポタ…
「……な…な…」
俺が飲まないと言ったワイングラスを持ったかと思うと
中身を俺にぶっかけた
こんなの…現実にやる奴居る?
「それが…人にものを頼む態度かな?飲んだら?美味しいよ?」
トクトクと、何事もなかったかの様にワインを注ぎ直す
「はい、どうぞ。結構いいワインなんだよ?」
「………」
イカれてる
こんな奴…悠稀に近づける訳にはいかない
ワイングラスを手にし、少しグラスを傾ける
ワインの匂いが…
絶対ビールなんかより、アルコール度数高そう
少し飲んでみる
うわ…酒!
「ぶはっ!そんな顔して飲むなよ!失礼だぞ」
全然酒飲んでなかったのに
いきなりワインなんて飲んで大丈夫か?
少しずつ…飲んでいく
いいワインだから?
飲みにくくはない
「そうそ。ゆっくりでいいから、全部飲んでね~?そしたら、水無瀬 悠稀君の事、話してあげるね~?」
ふざけやがって!
なんで…
悠稀の事…元々知ってる?
「はい!飲み切った~!どんだけ時間かけてんの?」
「う…うるせぇ…」
「ほんと、お酒飲んだ事ないの?可愛い~!」
「いいから、さっさと話せ!」
こっちは、すでに、頭ポワンとしてんだよ!
「俺さ、悠稀君の、小中学校の時の同級生」
「……は?」
「は?だって~!くっくっ…おっかし~!」
完全に酔ってんな、こいつ
「俺、悠稀君の事、めちゃくちゃ好きだったんだよね?何回か同じクラスになって、嬉しかったな~…」
俺より…
ずっと前に悠稀と出会ってて
好きになってた
どういう事?
「悠稀君、小学校の時なんか、めちゃくちゃ可愛いかったんだよ~?中学校入ったら、段々格好良くなってったけどね~」
「……だから、俺が悠稀と付き合っててムカつくって話?」
頭が…ふわふわする
絶対…酒回ってる
「そうだね~?ムカつくよね?だって、男なんて好きにならないもん。悠稀君は、女の子と付き合って、それでも女の子に憧れられて、アイドルみたいな存在だもん。男なんかが、悠稀君に触れちゃダメだろ?そう思わない?」
頭…おかしいんだ
今じゃなくて
ずっと、そう思ってきたんだ
これは…
身の危険を感じるぞ…
「分かった…そうだな。大事な話だ…改めて…シラフん時に話したい…悪いが今日は…帰らせてもらう」
ソファーから立ち上がると
クラッとふらつく
その瞬間、グイッと腕を引っ張られ、バランスを崩してソファーへ倒れ込む
「冗談。帰すと思う?」
結城が…俺の上に跨がっている
「……俺に…何かしてもいいが…悠稀には手を出すな」
「馬鹿じゃないの?言っただろ?悠稀君は、男が触れちゃダメなんだよ」
「意味が分かんねぇな…お前は一体…何がしたいんだ?」
「分かんないかな~?楠の体中さ~?悠稀君の痕跡…いっぱいあるだろ?」
「は?」
バッ…! カンッ コロコロコロ…
結城が、勢い良く、俺のシャツの前を開き
ボタンが何個かぶっ飛んだ
「すっご…悠稀君…こんな事するんだね?」
見られた
「っ!やめろ!」
シャツの前を手で合わせる
「ねぇ…」
ビクッ!
結城が、耳元で囁いてくる
「教えてよ。悠稀君、どんな感じなの?楠が抱かれるんだろ?どうやって…抱いてくれんの?」
「~~~っ!」
おかしい…
こんな奴に
耳元で、囁かれたくらいで…
酒のせい?
そのまま結城が、耳を触ってくる
「~~~~~っ!」
なんで!
俺…
こんなに耳…感じた?
「いくら悠稀君の痕が欲しいからって…楠の体可愛いがれるか心配だったけど…可愛いじゃん?いっぱい可愛いがってあげるよ」
「…っ…やめろっ!」
「大丈夫…すぐに、何も考えられなくなるよ。もう…効いてきてんだろ?」
効いて?
酔ってじゃなくて…
効いて?
「…お前っ…何…」
「俺は、あんなもんじゃ、ちょっと酔ったくらいだけど、楠は、酒も薬も初めてだろ?何回トぶかな~?」
っ!!
渾身の力で結城の体を退ける
ふらつく体で…玄関を目指す
ヤバい
こいつ
ほんとにヤバい
「くっくっくっくっ…可愛い~…逃げようとしてる~…」
世界が…回る
けど…
ここから出なきゃ
ガチャ
ガチャガチャガチャ
なんで…
全然開かない
「皆さ~…おんなじ事すんだよね~?こんなとこに住んでる奴がだよ?簡単に、人逃がせる作りにしてると思う~?くっくっくっくっ…」
「殴る、蹴る、体傷つけんのはいい。セックスはやめろ」
「あっ…はっはっはっ…!殴る蹴るって…俺痛いじゃん…ぶはっはっはっ…!傷つける?悠稀君の痕跡あるのに?無理無理~!」
「セックスは…悠稀を傷つける事になるぞ」
「ぶはっはっはっ…それはっ…これからも君が恋人だったら…の話だろ?」
……え?
「悠稀君の痕跡堪能し尽くしたら、君なんか、悠稀君が絶対に届かないとこ、送ってやるよ」
「っ!」
「大丈夫、大丈夫。悠稀君だよ?高校ん時からセックスしてんだろ?そりゃ…深いとこまで全部堪能し尽くすんだからさ、そんなすぐには終わんないって。あと…優しくしたげるよ?悠稀君の痕跡刻んでるんだもん」
殺される…
散々…ヤられた挙げ句…
俺…殺されるんだ
「あ…大丈夫?震えてるよ?」
「助…けて…」
「だから、優しくしたげるって。それに、楠、思ってたより可愛いから、殺しはしないかも♪︎その時の気分だけどね?」
殺しは...しないかも…
気分で…
殺すかも…
ズルズルとその場に座り込む
「ねぇ…この手で…どれだけ悠稀君触った?この顔に…どれだけ悠稀君からキスしてもらった?全部…貰うからね?まずは…綺麗にして準備しなきゃね?ああ…楠、泣いてる顔…綺麗だね?いいよ?気に入った。どんどん気に入ったら、生かしといてあげるからね?」
頭…ボーッとする
酒と…薬と…
悠稀以外の奴に…
好きにされて
殺されるんだ
悠稀に…
会えなくなるんだ
「ああ…綺麗だね?白の長襦袢が透けてて、君の泣いてる顔にピッタリだよ?じゃあ…中まで綺麗にしようか」
トイレ行かされたのは覚えてる
いつ…こんなの着させられた?
「わあ…薔薇風呂…ピッタリ。ほんと、死装束に、お花供えてるみたいだよ?」
風呂…入れられてんの?
そう言えば…あったかい
「さあ…色々教えてもらおうかな?俺の機嫌は取っておいた方が身の為だよ?正直に答えようね?最後に悠稀君とヤッたのはいつ?」
「最後……悠稀……バイト…の…日…」
「今日?!今日って事?!」
「……今日?…まだ…今日…なのか?」
物凄く長い時間が経ってるみたいだ
「あ、もう昨日になったかな。でも、数時間前って事だよね?嬉しい!じゃあ次~。これは?これも今日、悠稀君が付けたの?」
「……これ……」
「これだよ、これ。りくって、激しいキスマーク」
「……奏の…付けた…物…を……悠稀…が…噛んだ」
「奏?」
「……俺の…幼馴染み…」
ちゃんと…答えれてる?
頭…全然…働かない…
「へぇ~?君、男のくせに悠稀君に手出しといて、幼馴染みとヤッてんの?あり得ないね?やっぱ殺そうかな……けど…悠稀君…こんな事する位…嫉妬とかするんだ……それは…いいね…」
こいつの考えが全然分からない
何だかんだ言って
やっぱ殺されんのかな
今日すぐにじゃなかったら
誰かに気付いてもらえる?
いや…
居ない事に気付いても
たいして交流のない結城のとこなんて分からない
それに…
皆おんなじ事するって言ってた
こういう事
こいつにとって
たいした事じゃないんだ
それでも普通に暮らしてんだから
きっと…
死んだ事すら気付いてもらえない…
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