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救出

「待っててね?俺も、体綺麗にしてくる。痕跡とは言え、悠稀君だからね?綺麗にしなきゃ」 ここ…何処… 寝室? あいつ…居ない… 逃げ…逃げなきゃ… あ…逃げれないんだ 連絡… 誰かに連絡… 誰に… 警察! どこ… スマホ…ない… どこ……どこ…? 早くしないと あいつ戻って来るのに お願い! 見付かって! 「~~~っ…ない…」 あ!家電は? 家電… あった! 受話器… 110 え… 何? 1度受話器を置く もう1度 110 なんで… 繋がらない… どうしよう… 「ああ…」 ビクッ! 「家電さ、使わないから契約切ってんだよね?期待させて悪かったね?」 結城が後ろから、受話器を握った俺の手を握り 電話に受話器を戻す 間に合わなかった もう…終わりだ… 「ベッド行こ?ここじゃ、体痛めるから」 焦りも怒りもしない 俺の… 逃げたり、助けを求められる可能性が ほんの僅かもないって知ってるんだ 「ねぇ……悠稀君…この髪に…キスした事ある?」 「……ある…」 「じゃあキスしなきゃね…はぁ…興奮するね…沢山あるから…どの髪にキスしたか分かんないから…いっぱいしなきゃね…」 「ねぇ、額にも、鼻にも頬にも瞼にも…キスした事ある?」 「……ある…」 「ああ~!興奮する!堪能し尽くせるかな~!逆にさ、悠稀君がキスしてないとこある?」 「……ない…」 「すご~~い!いいね!いいね~~~!」 頭…完全におかしい 俺は薬初めてだからって言ってた こいつは初めてじゃないんだ 本当にイカれてるんだ 「あああっ!……あっ!…ゃああっ!…やっ!」 「ふっ…指でこんなに感じるなんて…可愛いね?やっぱ死んじゃうの勿体ないな」 おかしい... 俺の頭も体も… こんな奴のキスだけでイカされた こんな奴に指にキスされてるだけで またイキそう… 「やだっ!…やだっ!……やめっ…~~~~っ!」 「あはっ…いいね~~~!楠、可愛いよ?そうだな。これなら、悠稀君の彼氏でも、しょうがないっかって思わせたら、悠稀君の元に戻してあげる」 「……え?…悠稀…の…とこ…」 「ん。だから、頑張って、いっぱい可愛いとこ、見せてごらん?今度は、こっちの指だね」 「ふぁあっ!……やっ……やめっ……んっ…!」 どんどん どんどん どんどんどんどん 体がおかしくなってく イッたのに、またすぐイキたい いっそ、気を失ってたいのに また気持ち良くなって目覚める 助けて 誰か助けて イカされて イカされて 分からなくなって またイク直前に目覚めて イカされて 何も…分からない… 「寝室はいいから」 「畏まりました」 ……誰 畏まりました? そんな話し方する奴なんて はっ! バチッと目を開ける ここ…結城の家!寝室! 誰か来てるんだ! 助けを呼ばなきゃ! 「たす…ケホッ…ケホッケホッ…」 ? 何? 喉…変 「うんっ…う、うんっ…あ…あ…」 声… すげぇ掠れてる! こんなんじゃ届かない! ベッドから降りようとして カクンッ ドタッ へ? 何… 全然…足…力入んない… ガチャ っ! 「大丈夫?落ちちゃったの?」 結城! ドア…開けっ放し 今なら逃げられるのに! 「ほら、ベッド戻ろう?」 結城が、俺の体を起こしてると 誰かがドアの近くを通りかかった! 「助けて!助けて!」 「ああ…あんまり声、無理したら、喉更に痛めちゃうよ?叫んでも、あの人達は、助けてくれないからね?」 「……?」 「ご主人様の趣味だよ?そんなプライベートに口出したり、手なんか貸したら、その後の人生どうなると思う?」 ぞわっ… 「分かったみたいだね?ベッド戻ろ?」 誰も… そこに居るのに… 誰も… 助けてくれないんだ 「いい子だね?ほんと、期待以上だよ。俺、すっごく幸せだよ?」 結城が…幸せだと殺されない 良かった… 「あ…笑ったの?へぇ?楠、笑顔も綺麗だね?気に入ったよ?」 気に入った… 気に入られた… 殺されない… 嬉しい… あ… 寝てた… 今…何時? 暗い…夜? 「っ!!…~~~っ!!…っ!…っ!…~~~!」 違うっ! また…結城に… 声…全然出ない… なんで…何にも見えないんだ? 夜じゃない… 全然目…慣れない あ…何か… アイマスク? 取ろうとすると 「はっ…だ~め。ふっ…今は、目隠しプレー楽しんでるとこなんだからっ…はっ…悠稀君っ…見えなくてっ…怖い?」 悠稀君? また…薬でも飲んだのか? あ…頭少し冴えてる そっか 酒と薬抜けてきたんだ 力は? 「っ!…~っ!」 ダメだ 手…結城の手、全然振り払えない 足…結城の体、全然動かせない 「っ!」 また…イカされる! やだっ! もう…やだっ! 「ああ、そっか。悠稀君、クスリ切れちゃったんだね?後でまた、いっぱい気持ち良くなれる様にしてあげるね?」 「っ!」 やだ! 要らない! 全然声出ない! 首をぶんぶん振る 「ん?どんな顔かな?」 結城がアイマスクをずらす 「…っ…!っ…!」 やだ!要らない! 「ごめんね?全然聞こえないんだ」 口見たら分かるだろ! 「とりあえず、もっかいアッチ行ってなよ」 「っ!…~~~っ!…っ!…っ!…~~~~っ!」 また…分かんなくなる 分かんなくなって目覚めたら また…イカされ続けるんだ 助けて… 助けて… 誰か… 凌久… あ…悠稀? 良かった とんでもない夢…見てたんだ 凌久…何処に居るの? 何処って、此処に居るだろ? 凌久っ…何処っ… 悠稀…泣くなよ… 此処だって 悠稀が泣くと…俺も泣きたくなる… 「ほんと…泣いてる顔が1番綺麗かな…」 「………」 結城… そっか… この…最悪なのが現実だった… 何時間…何日経った? 俺…そろそろ殺されんの? 洗われて… ヤられて… 気絶したいのに 目覚めてはイカされて 死なない程度に食わされて クスリ飲まされて… 繰り返し 「いいね。楠 凌久が、どんどん消えてく。ただの、悠稀君の痕跡だけになっていく。いいよ」 いいんだ… まだ…殺されない 「っ…っ……っ…っ…?」 何日経ったの? 指を折る仕草をすると 「ああ。何日経ったかって?」 コクコクと頷く 「ここに来てから4日目だよ」 4日…ずっと…あんな事繰り返してんのか 体…だるい 寝てんのか、イッてんのか… もう分かんない… 「今日さ、俺、バイト行かなきゃなんないんだ。楠も今日バイトだったよね?調子悪くて休むって言っておくね?」 コクコクと頷く 「いい子だね?疲れたろ?ゆっくり休んでるといいよ。俺、けっこう君の事気に入ってるよ?悠稀君の彼氏だって、認められるかなぁ…」 そうなったら… 最高だな 悠稀に… また会えたら… 「それ…いいね。泣きながらの笑顔。最高だよ。さ、体綺麗にして着替えようね?」 悠稀君の痕跡… それを扱う結城は 本当に優しい 丁寧に体を洗い 綺麗な白い長襦袢を着せる 毎日…いつでも死がそこにあるのを 忘れさせない様に… 「はい。今日は、フレンチトーストだよ?」 フレンチトースト… 悠稀…暁に作ってあげたかな? 「ベッドも綺麗にしておいたからね?これ、飲もうね?」 薬…1個…全部? いつも…少しって言ってたのに… 結城…居なくなるのに… 「ああ…。不安にさせちゃったね?これは、眠剤だから大丈夫。ぐっすり眠れるよ?」 なんだ… 良かった… 「…っ……っ……」 「…ありがとうって言ったの?」 コクンと頷く 「ほんと、可愛いな。ゆっくり休んでるんだよ?」 コクンと頷く ゆっくり休める ちゃんと、ぐっすり眠れる 良かった ありがとう…結城… 「……!………!」 なんか… 「………!…………!」 騒がしい 「…!……!」 せっかく眠れたのに… 結城が眠れる薬くれたのに… 静かにして… 「……!………?!」 なんか…誰か来た…? うっすら目を開けると… 何?! 誰?! すごい装備の…怖い! 布団にくるまって、ベッドの端に寄る 「楠!」 あ…結城! 「…っ…?……っ?」 何これ?誰なの? 見渡すと… さっきと同じ格好の人が何人も… 殺される!! ついに…殺されるんだ! 布団に丸まったまま、頭を抱えて目を瞑る 「驚かせてすまないね?」 え…? 1番近くの人が、跪いて話し掛けてきた 顔を上げると 「君が、しばらく家に帰ってないと、家族から失踪届けが出ててね…君のバイト先から、ここに辿り着いて、助けに来たんだ。もう大丈夫だよ?怖かったね?」 助けに…来た…って…言った? もう…大丈夫? ほんとに? でも… 怖かったね?って…言ってくれた 「やめろ!離せ!楠を連れてくな!」 「静かにしろ!連れてけ!」 「この!こんな事して、どうなるか…覚えてろよ!」 結城が…連れてかれた ほんとに… 助けられたの? もう1度、目の前の人を見る ゆっくりと、口を動かす 「…っ……っ…、…っ……っ…?」 ほんとに、助かったの? 「そうだよ?怖かったね?さ、まずは、病院に行こうね?」 よく見ると、この人 警察官だ 「…~~っ!…っ……っ…っ…!」 110かけたけど、繋がらなかったんだ! 「とりあえず、これ掛けてこうか」 他の警察官が、毛布を持って来て、体を包んでくれた あったかい… パトカーに乗ると 薬がまだ残ってたのか、またすぐに眠った 何となく…病院に着いたのは分かった うっすらと目を開くと 「大丈夫だよ?ちょっと色々検査させてね?」 優しそうな先生… コクンと頷いて、眠りに就いた 「…っ…凌久っ…凌久っ…うっ…凌久っ…凌久っ…」 悠稀が…泣いてる また…夢見てんだ 悠稀…此処に居るよ このまま…夢見てたいな もう…目覚めたくないな また…アレが始まる 「凌久っ…凌久っ…ううっ…凌久っ…凌久っ…」 「悠稀君、少し休んだ方がいいわ」 「そうだな。悠稀君の方が倒れてしまう」 あれ? 父さんと母さんの声も聞こえる 「おねがっ…居させてっ…下さっ……うっ…」 「私達は構わないけど、倒れたばかりって言ってたし…」 「目覚めたら、ちゃんと知らせに行くよ?」 これ… 夢じゃない? ゆっくりと目を開けると 「…~~~っ!凌久っ…凌久~~~っ!」 「凌久っ…」 「良かった」 あれ… 目を開いたのに 悠稀が消えない 悠稀が手を握ってる感覚が分かる 「…っ…っ…」 悠稀… 声…出ない… 夢じゃないんだ 「凌久っ…凌久っ…凌久っ……うっ…凌久っ…」 「……っ……っ…っ…」 そんなに…泣くな 「凌久…とりあえず良かったわ」 「病院の先生も、色々考えてくれてな、個室にしてくれたんだ。1人が怖ければ、誰か付き添いしてもいいそうだ。母さんにでも付いててもらおうか?」 ほんとに夢じゃないんだ 色々考えて… 父さんも母さんも悠稀も… 病院の人達も… 俺が何されたのか知ってるのかな 知って…るんだろな 「…っ…っ」 ごめん 「凌久が悪い訳じゃないだろ?看護師さんに言ってくるな?」 「凌久は、何も心配しないで、休んでればいいのよ?」 色々…言わなきゃなんないけど声出ない 悠稀…抱き締めてあげたいけど 母さん達居るし 力も出ない 「失礼します。楠さん、分かりますか?」 コクンと頷く 「今、どこか痛い所は?」 痛い所… 特にない フルフルと首を振る その後、先生が来て 聴診器を当てたり 手を上げてみたり 「名前分かりますか?」 と、小さなホワイトボードを持たされた 名前を書くと 「そうですね。今日の日付は分かりますか?」 今日の日付… 4日経ってるって言ってた… 日付を書くと 「そうですね。うん。大丈夫そうですね」 皆、心配してくれたけど 悠稀にも悪かったけど 1人になりたくて 皆に帰ってもらった 時々、看護師さんが来る 時々、悠稀から連絡が来る 晩ごはんは…あまり食べれなかった 考えてみたら 1日1食位しか食べてなかったかもしれない 看護師さんが、薬を持って来た 「気持ちが落ち着いて眠れる薬です」 クスリ… クスリは嫌だ ぶんぶんと首を振る 「飲みたくないですか?少し安心出来ますよ?」 クスリを見るだけで不安なんだ 体の中に入れたくない ぶんぶんと首を振ると 「そうですか。もし、飲みたくなったら、知らせて下さいね?」 と出て行ってくれた トイレが不安だったが 知らない間に、管を入れられてたらしい 夜、消灯になると 個室なので、電気を点けておいてもいいと言われ、消さないでもらった 寝るのが…怖い もう大丈夫 分かってる けど… 寝ると 寝てるのか イッて気を失ってるのか分からなくなる 気を失ってるだけなら、またすぐにアレが続く それを思い出してしまいそうで 悠稀… どこまで知ってるんだろう 全部… 知ってるのかな ただ監禁されてたんじゃなくて 毎日…毎日… 結城にされてた事 知ってんのかな なのに… 傍で待っててくれてたのかな 暁は…どうしてたんだろう 「楠さん…眠れませんか?眠れるお薬飲みますか?」 お薬… クスリ… ぶんぶんと首を振る 「明日の朝には、ちゃんと元気に目覚めますよ?」 ぶんぶん もう…クスリは嫌だ 「そうですか。何かあったら呼んで下さいね?」 あ… 枕元のホワイトボードを持つ 「何ですか?」 『のど、治りますか?』 「喉は、明日耳鼻科の先生に、ちゃんと診てもらいますからね?」 ちゃんと… 良かった コクンと頷くと、看護師さんは出て行った ヴヴ ヴヴ 『寝てたら、ごめん』 『大丈夫かな?』 悠稀… 呆れてないのかな たいして仲良くもないのに あんな時間にノコノコ付いてって 挙げ句、あんな事になって 『日中寝てたから眠くない』 『時々看護師さん来るし、大丈夫』 ヴヴ ヴヴ 『何時でも、連絡したい時してね』 『お帰り、凌久。ずっと待ってた』 悠稀… ずっと…待っててくれたんだ 夢の中に出て来た悠稀… ほんとに… あんな風にずっと 探してくれてたんだろな 「…~っ!…っ……っ!……っ……っ!」 悠稀って… 言いたいのに... 毎日馬鹿みたいに声上げてたんだろな ああ…痛いとこ、喉だ 『ありがとう。ただいま、悠稀』 『喉痛くて、声出なくてごめん』 『明日、耳鼻科の先生みてくれるって』 ご飯、いっぱい食べたら またちゃんと歩けるようになるのかな ほとんどベッドの上で過ごしてたから 筋力も落ちたのかな ヴヴ ヴヴ 『凌久、明日も会いに行くね』 「…………」 明日も…悠稀に会える… ほんとに… ちゃんと帰って来たんだ 「~~~っ!…~~~~っ!…っ……っ…」 生きて… 帰って来れた 殺されなかかった 生きてる 「…っ……っっ……~~~っ……っっ……~~~っ」 もう… 普通に生活出来るんだ もう… アレ… 着なくていいんだ 結城に気に入られなくていいんだ 良かった 怖かった 怖かったんだ 結城が…怖かったんだ… 結城に… 嫌われるのが…怖くて… あ…寝てた... まだ夜…? 「…っ!…っ!…~~~~~っ!…~~~っ!」 違う! 違った! 夢見てたんだ まだ続いてたんだ まだ…この悪夢が… 結城に…気に入ってもらわなきゃ 悠稀の彼氏って認めてもらわなきゃ 「…!……さん!楠さん!大丈夫ですか?!」 はっ…! 目を開けると… 誰?! 後ろに後退る 「大丈夫ですか?怖い夢、見ました?」 あ… そうだ 看護師さん… ここ、病院だ こっちが現実… 「落ち着きましたか?」 コクンと頷く 「やっぱり、お薬は点滴でも嫌ですか?少し安心して眠れると思いますけど…」 ぶんぶんと首を振る 「そうですか。不安な時、呼んでもいいですからね?」 そう言って看護師さんは出て行った 何度も何度も 救われた夢を見ては現実じゃなかったから どっちが夢だか 分からなくなる こっち…夢じゃないんだよね? 分からない… これも、夢かもしれない もう…目覚めたくない やだ… もう…あっちに戻りたくない 助けて… あ… スマホある 悠稀… 「もしもし?凌久?」 「~~~~~~っ!…っ…っ…~~~っ!」 悠稀の声だ 悠稀… 繋がる 「どうしたの?眠れない?大丈夫だよ」 「…っ…っっ……っ…っ…」 「うん…大丈夫だよ。ずっと話してよう?」 「…っ………っ……っ……っ…っ……っ!」 「うん…大丈夫だよ。凌久、ちゃんと帰って来たからね?」 あ… ちゃんと… 夢じゃない? 「夢じゃないよ。ちゃんと帰って来たよ」 なんで… 分かるんだろう 声、出てないのに 夢だからなんじゃないのかな 「凌久、良かった。電話…通じた」 あ… そっか 悠稀も… そうだよな きっと何度もかけた 「凌久…もう…会えないかと思った…良かった」 俺もだよ悠稀 俺も もう悠稀に会えないと思った 「良かった。凌久の携帯…ちゃんと繋がってる」 声…聞かせれなくてごめん 「良かった…凌久…」 悠稀の凌久… 聞けた… 「凌久…また会えるね…」 うん… また会える…… 悠稀に…会える…… 「凌久………」 悠稀… 「凌久………」 悠稀… 「おはようございます、楠さん」 ……あ 俺、寝てたんだ 「少しは眠れましたか?」 「っ…」 あ… コクンと頷く 声…ほんとに治るかな 「良かったです。痛い所ありますか?」 喉を指差す 「喉ですね?」 コクンと頷く 「他、何処か気になる所はありますか?」 ホワイトボードに書く 『歩けるようになりますか?』 「今日からリハビリもするので、歩けるようになりますよ。ご飯も、無理しない程度に食べて下さいね?」 良かった コクンと頷く 一生、こんな管入れられてるなんてゴメンだ 朝ごはんは、やっぱり半分も食べれなくて 胃が小さくなったのか? 「楠さん、弱い安定剤の様なお薬、先生が出してくれてるんですが、飲みませんか?」 ぶんぶんと首を振る 「そうですか。じゃあ、胃薬だけ飲みましょうか」 胃薬… クスリ… 要らない ぶんぶんと首を振る 「胃薬も嫌ですか?」 看護師さんが困ってる ホワイトボードを持つ 『すいません。今はクスリ何も飲みたくないです』 「分かりました。今日、先生と相談してみましょうね?」 『すいません。お願いします』 きっと困らせてる けど クスリは…口に入れたくない アレを飲むと… 訳の分からない時間が始まる

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