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自分の言葉

「悠兄、凌久さんの様子どう?」 「暁、明日ね、退院が決まったんだ」 「そっか…良かった」 「暁にも、いっぱい心配と迷惑かけたね」 「ううん。悠兄が、元気になって良かった」 いつもの優しい笑顔 良かった 悠兄まで入院しちゃうんじゃないかと思った 「暁、明日久しぶりに、何か食べに行こうっか」 「俺はいいけど…退院なのに、悠兄病院行かないの?」 「さすがに家族じゃないしね。せっかくおばさん来てるし、明日は行かないよ」 「そっか。じゃあ行く」 「何食べよっか。食べたい物ある?」 「何でもいいよ」 ほんとは、家で悠兄のご飯食べたいけど 長谷に教えてもらった 外食は、料理をお休み出来るチートデーってやつでもあるんだって 俺がもっと料理出来たらいいのに 「じゃあ、ピザと、パスタと、牛丼と、回転寿司と、ラーメン。どれがいい?」 「牛丼」 「暁、米好きだね~?」 「あ…米じゃなくてもいい。悠兄が食べたいのでいい」 「今言ったの全部、俺が食べたいのだから大丈夫だよ」 「うん…悠兄が1番好きなの何?」 「1番かぁ…何だろなぁ……でも、母さん直伝のチャーハンは結構上位かな」 「あ!俺もあれ好き!」 「美味しいよね~」 退院出来るって まあまあ元気になったのかな 凄く元気になったのかな 酷い怪我だったのかな 悠兄は、少しずつ元気になってきてるとか だいぶ元気になったとか 詳しい事を言わない 聞いていいのかも分からない 俺は他の人達より人の気持ちが分からない 「暁?どうかした?」 でも、これだけ元の悠兄になってるんだから きっと元気なんだろう 「ううん。あのね、皆が休みの日にどっか行こうって」 「いいね。行っておいで?」 「うん。間宮も、学校帰り何か食べに行こうって」 「……暁、もしかして、俺が大変だったから、遠慮して断ってた?」 「俺が居たから何か出来る訳じゃないけど、悠兄の事心配だから、家に居たかった」 「暁……ごめんね?もう大丈夫だから。俺も、あさってから凌久んとこ、遊びに行くよ?」 「うん」 そうやって遊びに行ける感じなんだ ほんとに良かった 部屋に入り、間宮に連絡する 『悠兄、だいぶ落ち着いたみたい』 『来週から遊びに行けるよ』 ヴヴ ヴヴ 『ほんと?!』 『じゃあ、月曜日の帰り、ご飯食べに行こ!』 早い けど、嬉しい 『いいよ』 ヴヴ ヴヴ 『何食べよっか?』 本日2回目の何食べよっか 『間宮は何が好き?俺は何でも好き』 ヴヴ ヴヴ 『俺は結構ガッツリ系』 『カツ丼とか、生姜焼き定食とか』 『でも、パスタとかも嫌いじゃない』 良かった 米好きなんだ 『俺も、米好き』 ヴヴ ヴヴ 『米好きってウケる』 『んじゃ、定食系食べれるとこ行こ』 『うん』 いっぱい待たせちゃった 3週間前の金曜日に誘ってくれたのに それどころじゃなくなっちゃって 『いっぱい待たせてごめんね』 毎日心配してくれて いつになったら行けるとか 全然聞いて来なかった いつになるか分からないものを待つのは 結構しんどい ヴヴ ヴヴ 『時間出来たから、各種旨そうな店リサーチ済みだぜ』 『ちなみに月曜日行こうと思ってるとこは』 『偵察に行ったら旨い匂いに釣られて入ってしまった』 え?! 間宮、偵察行って食べちゃったの? 『じゃ、違うとこにする?』 そんな腹ペコの時行ったのかな ヴヴ ヴヴ 『いや、絶対また行きたいと思ったから』 『マジで旨いから』 そんなに美味しかったんだ じゃあ、食べてみたい 『それなら、楽しみ』 明日休みだし もっと沢山話したいのに いつも途中で俺が眠くなってしまう ヴヴ ヴヴ 『メニュー豊富過ぎて選べない』 へぇ… 楽しみだな 間宮は何食べて 次は何食べるのかな 『間宮は、次何食べるな?』 間宮… 結構食べるんだ 美味しそうに食べる間宮 楽しみだな…… 悠兄… 元気になって良かった…… あの日… 凌久さんが居なくなって、悠兄が1番大変な時 何にも知らないで何も出来なかった 家に帰って、バイト中の悠兄から、焦った様に電話来て 色々あって、ご飯準備するの忘れた 自分の分だけ何か買って食べてと謝ってきた 悠兄が、そんなになるなんて凌久さんと何かあったのかな そんな程度に思ってたら バイトから帰って来た悠兄は 明らかに様子がおかしかった そんな時でも、ご飯やお風呂の事を気にさせて 何があったか聞いてもいいのか… お風呂から上がると 「……そうですか…はいっ…はい…」 電話中 凌久さんじゃない 電話が終わると 「~~~っ!…凌久っ…凌久っ…何処に居るの?」 え? ソファーに座ってる悠兄の元に行く 「凌久さん…居なくなっちゃったの?」 俺がお風呂から出たのにも全然気付いてなかった様で、びっくりしてた 「あ……うん…そうなんだ。凌久…何処にも居なくて、連絡取れないんだ」 心当たり探したけど居ない事 全く連絡が取れないので、家族に連絡してみたら、心配してこっちに来てる事 今もまだ、行方が分からない事 明日の朝まで待って、家族が警察に失踪届けを出す事 そんな…大事になってるなんて思わなかった そんなの、俺の心配してる場合じゃないのに こんな時、なんて言ってあげたら安心するのかが分からない 「悠兄…」 「俺ももう、お風呂入って寝るから、暁も寝ていいよ?」 悠兄は、いつでも沢山の安心をくれるのに 俺は…こんな時少しもあげられないのかな 悠兄が俺に言ってくれる『大丈夫』を言ってあげたい でも、悠兄は、ほんとに大丈夫にしてくれるから 俺は…何も出来ないから 言葉だけ真似ても意味がない 他に何を言えばいいのか 言ったら傷つくのか 分からない 「悠兄…」 俺の左にある、悠兄の右手を握る こんな事しか出来なくて、ごめんなさい 「悠兄…」 その先の言葉が 分からないんだ 「~~っ…暁っ……ちょっとだけ…甘えてもいい?」 え? 「うん」 俺に? 悠兄が? 悠兄が、俺に抱き付いてきた 「~~っ…こんな事なかったんだっ……どうしよう…凌久っ……何処かに連れてかれたのかな?…何で?…何で凌久なの?…~~っ…」 「悠兄…」 いつも、してもらってるみたいに 悠兄の背中を少し撫でてみる 「どうしようっ……凌久っ…何されてるのかなっ……い…生きてっ……帰って来て…くれるかなっ……」 「悠兄…」 きっと大丈夫 そう言ってあげたい けど… そう言えるだけの何も持っていない 俺が発する言葉は空っぽだから それでも、しばらくそうしてると 俺から離れて 「ありがとっ…暁。少し落ち着いた」 「…うん」 何も出来なくてごめん そう言いたいけど それがまた、悠兄に気を遣わせる 「情けないとこ見せちゃったな…でも、ありがと」 「……悠兄…一緒に寝る?」 俺なら… ってしか、分からない 「ありがと。でも、大丈夫。もしも、寂しくなったら、暁のとこ行くね」 「うん。俺、寝てても来ていいからね?」 「暁…ありがと。1人じゃなくて良かった」 そう言ってもう1度抱き締めてくれた 悠兄は、嘘が上手過ぎて 自分すらも騙してるんじゃないかと思う ほんとに、そう思ってるのか 俺の事考えるのが癖になり過ぎて そう思ってしまうのか 俺に出来る事を考えた挙げ句 次の日、八神さんに相談した あ…朝か また俺、間宮におやすみ言わないまま… 携帯を見ると 笑い転げてるスタンプがいっぱい 何がおかしかったのかな? 『食べるな?!』 『俺、毎回食べちゃダメなNG料理とかあんの?!』 え? どういう事? なんの話してたんだっけ? スクロールして、寝る前の会話に戻る 『間宮は、次何食べるな?』 あ! これだ! 間違えて送っちゃった 『ごめん、間宮』 『食べるの?って送りたかった』 『あと、また途中で寝ちゃった』 間宮、笑ってくれてるけど びっくりしたよね? ちょっと傷ついたりした? どうしよう 自分の言葉で 人がどう思うのかが分からない 突然会話する機会も量も増えたから戸惑う 今、周りに居る人達は皆優しくて 少し位傷ついても、笑って流してしまいそうで こんな時、ちゃんと教えてくれるのが長谷なんだけど… 今日、学校休みだし… 「はぁ~…」 だからと言って、これ以上送る言葉もなく 仕方なく身支度を済ませてリビングへ行く 「おはよう、暁」 「おはよう、悠兄」 「……暁?何かあった?」 朝ごはんを作りながら、俺の顔を見てくる ほんとに悠兄は鋭い 「ご飯の時、少し相談していい?」 「もちろん。顔洗っておいで?」 「うん」 たまに、幼稚園くらいの子供を見掛ける 物凄く喋ってて驚く 今の俺より流暢に喋ってる 俺が、あの位の時は 1日に何度か 母さんが居ない日は、全く喋ってない日もあった そこからもう、かなり遅れてるんだ 悠兄と、朝ごはんを食べ始めると 「間宮君と何かあった?」 「何で分かるの?」 「今の暁にとって、1番気になる事から言ってみた。喧嘩でもした?」 「ううん…喧嘩…なんて出来ないと思う」 「どうして?」 「悠兄と同じ。俺に気を遣って、俺に強い事は言わないと思う」 「暁…俺もね、凌久とずっと喧嘩してなかったんだ」 「そうなの?」 「うん」 高校の時から ずっと喧嘩してなかったんだ 「でもね、俺が倒れちゃった事あるでしょ?」 「うん」 「あの時、盛大に喧嘩した」 「えっ?!」 「お互いね、相手の事思って、ずっと色んな事我慢してたら、お互いに爆発しちゃったんだ」 「爆発…」 「うん。喧嘩すればいいって訳じゃないけど、お互いに本音全部言って、それでも一緒に居るって決めたから、悪い事ばかりでもないよ」 喧嘩… この優しい悠兄が、どうなるんだろ? 「俺、喧嘩の仕方分かんないよ?」 「大丈夫。俺も、ちゃんとした喧嘩初めてだっだもん」 「えっ?!悠兄でも初めての事あるの?!」 「暁……初めての事も、苦手な事も沢山あるよ?この前は、情けないとこ見せちゃったし」 「……そっか…なんか……俺の中では…俺の世界で悠兄は、凄い人になってたから…そうだよね?」 悠兄だって、俺と同じではないけど 一応同じ人間なんだ この前、抱き付いて泣いてた時思った ほんとは… そういうとこ、全部見せない様にしてきただけで それも全部悠兄なんだ 「悠兄…」 「ん?」 「俺が来る前は、悠兄一人っ子だったでしょ?」 「うん」 「どんなだったの?」 「え?どんなって?」 「ほんとは、もっと怒ってたとか、母さんに甘えてたとか…」 「さすがに、高校生にもなって、それはないよ。あんまり変わってない」 「そう…」 けど 悠兄の生活は一変した 「ただ…可愛いくて、守ってあげたいって思う弟が出来たから、少しはお兄ちゃんらしくなれたかも」 「お兄ちゃんに…なる予定なかったのに…ね」 「暁?怒るよ?暁が来て、俺、迷惑だって思ってるって?」 「悠兄は…何処かでそう思ってても、隠しちゃうから…悠兄も気付かない様に隠しちゃうから」 「暁……」 何話してるんだろ 俺の相談に乗ってもらってたのに 上手くいかない 「ごめん、悠兄。そうじゃなくて…」 「謝んなくていいよ。凌久との喧嘩の原因、そんな感じのものだから。暁の事は、ほんとに迷惑だなんて思ってない。けど、暁が言ったみたいに、自分で気付かないうちに、気持ち隠してるとこあるみたいだから、びっくりした」 「……悠兄は…俺と居ると、隠さなきゃならない気持ち…いっぱいあるから」 「隠さなきゃならないって言うか…出来れば、頼れるお兄ちゃんで居たいからね。格好つけてるだけだよ?」 どう言っても 何言っても 優しく返してくれる 俺にも、これが出来たらいいのに 携帯を持って、悠兄に見せる 「悠兄、これ見て」 「見ていいの?」 「うん」 「へぇ~。定食屋さんかぁ…渋いけど、いいね」 「俺、最後寝惚けて送信したら…」 「あ…ふふっ…間宮君、爆笑してるね」 「ほんとに…笑ってるんだと思う?」 「え?」 俺は、沢山苛められてきたから 何気ない一言が たまに、凄く痛いって知ってる 「暁…なんて顔してるの…」 「俺の…せいで、間宮傷ついてない?」 悠兄が、立ち上がって、座ってる俺を抱き締めてくれた 「傷ついてない。大丈夫だよ」 「何で…分かるの?」 「そうだな…当事者じゃなくて、第三者だからかな」 「え?当事者じゃ…なくて?」 「そう。凄く大切に思えば思うだけ、色んな事気になっちゃう。その2人じゃなくて、他の人から見たら、何でそんな事気にするの?って事も、全部気になっちゃう」 「うん…」 「それだけ、暁が間宮君を大切だって思えてるって事だね。けど、大丈夫だよ。間宮君は、ほんとに笑ってるよ」 「……うん」 よく分からない なんで、当事者より、当事者じゃない人の方が分かるのか けど 自信満々に悠兄が言ってくれたから きっと大丈夫なんだと思う 「俺も…悠兄が元気ない時、安心させてあげれればいいのに…」 「暁が、悠兄って言って、手を握ってくれた時、凄く安心したよ?」 「でも…悠兄みたいに、何も言ってあげれなかった」 「言葉だけが大切な訳じゃないよ。暁の悠兄も、暁の手も…ほんとに心配してくれてるって分かったから、甘えちゃった」 「悠兄に、少しでも甘えてもらえたの、嬉しかった」 悠兄が、俺から離れると 「俺は…後から考えると、やっぱりちょっと、恥ずかしいよ。けど、暁が嬉しいならいいかな」 「うん。凄く嬉しい」 ヴヴ ヴヴ 「あ…間宮…」 『分かってるから、笑ってんのに、説明してくれたの?』 『もしかして、何か気にしてた?』 間宮… 分かってて、笑ってた ほんとだった しかも、心配してくれた 「いい事書いてあった?」 「うん…逆に俺の心配された」 「そっか。大丈夫だね」 「うん…悠兄、俺、幼稚園児よりも上手く喋れない。もっと上手く喋って、人の気持ち分かる様になりたい」 「暁……俺を安心させて、間宮君にちゃんと気持ち伝わってて…それで充分じゃない?暁は、ちゃんと大切な人を大切にできてるよ?」 そうかもしれない けど それは、悠兄も間宮も、俺がこんなんだって知った上で、合わせてくれてるからだ 悠兄みたいになれる日は、永遠に来ないかもしれないけど せめて、努力だけは続けていこう 「うんま~~っ!」 「うん!美味しい!」 月曜日、間宮と定食屋さん 間宮は、前回生姜焼き定食だったので、勿論カツ丼らしい 俺は、間宮が気になってた、エビフライ定食にして、お互い少しずつシェアした 「やっぱ、エビフライも旨い!」 「全部美味しいね?」 「な?ここ、通い詰めちゃいそう」 「いつもは、自炊してるの?」 「やる気がある時はね。あとは、適当に弁当とか、惣菜とか買って来る」 「毎日作るの大変だよね」 悠兄、俺と暮らしてから ずっと作ってる 家に居た時は、母さんが作ってたのに 「間宮、簡単な料理教えてくれない?」 「え?!俺、教える程作れないよ?」 「そっか……」 「兄ちゃんに作ってやりたいの?」 「悠兄、こっち来てから、ほとんど毎日ご飯作ってくれてて…大学もバイトもあるから、大変なのに…」 「ああ…そりゃ大変だね。でも、カレーとかシチューくらいなら作れるだろ?」 「多分…」 いつも、お手伝いはするけど 買い物とか、仕上げとか、してもらってるから 「んじゃ、今度俺ん家来て作る?」 「えっ?いいの?」 「水無瀬と一緒に作れるなら、ご飯支度も苦じゃない」 「作りたい!」 「ちょっと時間かかるしなぁ…やっぱ、休みの日かな」 「うん!」 と、いう事で 土曜日は間宮の家でカレー作り 日曜日は、長谷達も一緒に、人生初のカラオケに行く事になった 悠兄に伝えると… 「まっ…宮君の家で…カレー…」 「?……うん」 「そっか…暁は……いや…その、料理の事はね?別に気にしなくていいんだよ?休みたい時は、何か買って来るし」 「うん。でも、せっかく教えてくれるって言ってるし」 「……そっか。暁が行きたいなら、いいよ」 「ありがと」 「…暁」 「何?」 悠兄が、じっと俺の顔を見てくる 「……ううん。土日は、俺も凌久のとこ行ってるね」 「あ…分かった」 八神さん 友達沢山出来たら 悠兄が、俺に気を遣わなくなる時間出来たよ 「水無瀬~!」 「間宮、お待たせ。ここから近いの?」 「結構近い。よし、まずは買い物だね」 「うん!」 間宮とスーパーで買い物 楽しい カートを押して歩く間宮は初めてだ レジで精算する間宮も 袋詰めする間宮も 外に出て歩き出すと 「水無瀬が、カート押したり、袋詰めする姿なんて、レアだよなぁ…」 「えっ?」 「ん?」 「俺も…同じ事思ってた」 「えっ?……なんか…それは恥ずかしいな」 間宮が照れてる 「間宮、嬉しいし、楽しいよ」 「~~っ!…お…俺も!」 間宮の住んでるアパートに行き、食材をとりあえず冷蔵庫へ 「一旦休憩だ~」 「うん」 「座る場所なんかないから、適当にベッドにでも座って?」 「お邪魔します」 ベッドに座ると、間宮も来て 「隣、座ってもいい?」 「?…うん」 間宮の家の、間宮のベッドなのに 何で俺に聞くんだろ? 「なんか…水無瀬が、俺の家に居るなんて、信じられない」 「間宮、一人暮らしなのに、綺麗にしてる」 「これは…実は、水無瀬が来るから、必死に掃除した」 「そうなの?ありがとう」 「~~~~っ!」 「……間宮?」 間宮の様子が変だ 顔赤くて なんか…何だろう? 泣きそう? 「…っ…水無瀬…あの……」 「何?間宮、具合悪い?」 「えっ?…いや…そうじゃなくて……あの………ても...…ですか?」 「え?ごめん…よく、聞こえなかった」 「~~っ…水無瀬っ…抱き締めてもっ…いいですか?!」 「……あ…うん。いいよ?」 なんか… 間宮必死 なんで急に… なのに… 凄く優しく抱き締めてくれた 「水無瀬…気持ち悪くない?怖くない?」 「うん。間宮に抱き締められるの、嬉しいよ?」 「もうちょっと…強く抱き締めてもいい?」 「うん」 ぎゅ~~っ!と抱き締められると 間宮の気持ちが伝わってくるみたいだ ほんとに…思ってくれてる 「ありがとう…間宮」 俺も、ぎゅっと抱き締める 「水無瀬っ…」 「何?」 「キ…キキ…」 「き?」 「~っ!…キス!してもいい?!」 「うん。いいよ」 体を離すと 間宮が、さっきよりも、もっと真っ赤な顔になってる 大丈夫? 「間宮…顔赤いけど…」 左手で顔に触れようとしたら その手を掴まれた そのまま、キスをしてくる 気持ちいい ちゅっ ちゅっと 唇に何度もキスをする 間宮の唇が触れる度に 体中が、あたたかいもので包まれる 左手を、俺の腰に当てて 右手を、俺の手から、頬にずらすと 唇を食べる様にキスしてくる 何なんだろう…この感覚 何かが… たまらない感じになっていき 間宮の服を、両手で掴む あれ? ドサッ ベッドにそっと押し倒された 「水無瀬っ…キス…続けてもいい?」 そう言った間宮が… 「…うん」 いつもと全然違ってて なんか…ぞくぞくした けれども… 「水無瀬…好きだよ…」 間宮の声が… 優しく頬や耳や髪を撫でてくれる手が 時々目を開くと見える 俺を見つめる間宮の表情が 凄く優しくて それだけで… ふわふわしてくる 「んぁっ…っ…んっ……んんっ……」 間宮の舌が… 入ってきて… 他の部分が触れてるのとは全然違う 「はぁっ…水無瀬…気持ち悪くない?無理してない?」 1度離れて、間宮が心配そうに聞いてくる 気持ち悪い訳ないのに 幸せな気持ちいっぱい過ぎて 溢れそう 「……間宮っ…気持ちっ…良くて…ふわふわする…」 「~~~~っ!…続けていい?!」 間宮が、優しく俺の目元を拭う 涙…出てたんだ 「うんっ…間宮…溢れそう……」 「水無瀬…何かに掴まりたかったら、俺に掴まっててね?」 「うんっ……んっ……んっんっ…ふぁっ……ぁっ…」 間宮の舌が動く度、たまらなくなる 腕を伸ばして、間宮の首にしがみ付く 「んっ…ふっ……間宮っ……んんっ……~~っ!」 これが何なのか分からない 悠兄ともキスはしたし、凄く安心出来た でも、こんな感じにはならなかった 「はっ…水無瀬…」 「~~~~っ!」 1度離れた間宮が、耳元で囁いてきた 「水無瀬…好きだよ…」 声と一緒に… 何かが体に入ってきたんじゃないかな もう…何か分からないけど限界 「あっ……間宮っ……もっ……んんっ!…んんっ!」 限界って言おうとしたら またキスが… 舌…絡まって… 「ふあっ!…~~っ!」 上… 舐められると… 「~~~~っ!…んん~~っ!…~~~~~っ!」 限界… ふっ…と頭が真っ白になる ちゅっ ちゅっ ちゅっ あれ… 目を開くと 「ごめん…ちょっと…止められなかった。大丈夫?」 心配そうな間宮の顔… 「うん…なんか…限界で……ちょっとまだ…ふわふわする…でも、気持ちいいよ?」 「ありがと」 嬉しそうに笑った間宮が 俺のおでこや、頬や、目元にキスをしてきて 嬉しいと、気持ちいいと、あったかいと… きっと… これも幸せって気持ちなんだ

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