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名前の意味

「えっと…」 改めて2人してベッドに座ると 間宮が聞いてきた 「水無瀬…その…ムラムラが分かんないというのは…どうなるかが分かんないって事?」 「八神さんって人に、好きな人とか見て、エッチしたいって思う事って教わったけど、そういう感覚が分かんない」 「ええ~っ!!だっ…誰その人?!エッチ…水無瀬に、そんな事教えたの?!」 言っちゃダメだったのかな ごめんなさい、八神さん 「悠兄のバイトの先輩で、たまに悠兄が家に居れない時、俺と一緒に居てくれる」 「その人と?!2人っきりで?!」 「………うん…ダメだった?」 「いや……えっと…その人…別に、そういう事しないよね?」 「そういう事?」 「うん…だから、その…エッチな…事」 「?…うん。八神さんは、そんな事しないよ?」 「っはぁ~…良かったぁ…あ!ごめん!兄ちゃんの先輩、そんな言い方して!」 「ううん…」 俺が…何とも思ってない事も 間宮が心配する事だったりするんだ 「で…その…本題なんだけどさ…」 「うん」 「水無瀬…さっき、急にキスしたくなったって言ってたじゃん?」 「うん」 「そういう感じで…もっと、色んな事したいって思わない?」 「色んな事…間宮に触れたいって思った」 「~っ…うんっ…俺も…思うよ…水無瀬に、いっぱい触れたい…」 「…今?」 そう聞くと 間宮が、少し驚いた顔をして 「ふっ…今ってか……水無瀬と居る時はいつも」 「えっ?…それじゃ…間宮、いつも我慢してるの?」 「別に珍しい事じゃないよ?」 「でも、今なら誰も居ないから、触っていいよ?」 「誰も居ないからいいってものじゃないよ。ちゃんと、水無瀬が触られても大丈夫って思ってからじゃないと」 触られても大丈夫… って… どういう事? 「どうなったら大丈夫って思ったか分かるの?」 「えっ?そ…それは…俺に触られるの、嫌でも怖くもないって思ったらだよ」 「?間宮は、怖い人じゃないから、触られても怖くないし、嫌じゃないよ?」 「ええ?…っと…どう言ったら分かるかな…」 困ってる 普通は分かるんだ 「あ…あのさ、ちょっとだけ…触ってみてもいい?」 「うん」 間宮に抱き寄せられると 服の裾から、間宮の手が入ってきたのが分かる 「嫌だとか、怖いとかだったら、すぐに言ってね?」 「うん」 ゆっくりと… 間宮の指先が、背中に触れる ビクッ! 「ごめん!怖い?」 「…ううん…なんか…ビクッってなった」 「もう少し…触ってもいい?」 「うん」 なんで、ビクッてなったんだろ くすぐったかった? 間宮の指先が、肩甲骨の間の背骨辺りを さわさわと優しく触れてくる ジリジリとする様な… 痺れる様な感覚 「水無瀬?大丈夫?」 「うん」 そう答えると 空いてる左手で、腰の辺りを指先で触れてきた 「~っ!」 「ごめん!怖い?」 「怖くない…くすぐったいのかな…」 「やめとく?」 「大丈夫だよ」 「ほんとに?」 「うん」 間宮が、両手で 背中の色んなとこを さわさわと触ってくる くすぐったい様な… 痺れる様な… 「水無瀬…首に…キスしていい?」 「首に?いいよ?」 そう答えると 左の首に間宮の顔が近づき 少し吐息がかかった後 首に…キスをしてきた 「…怖くない?」 「怖くない」 「じゃあ…前も…触っていい?」 「うん」 「ベッドに…横になろ?」 「うん」 横になってから触るの? ベッドに上がると 「仰向けで…寝てくれる?」 「うん」 一緒に横になるんじゃないんだ 仰向けになると 「俺…こんな風に跨いで、怖くない?」 俺の体を間宮が跨いでいる なんとなく… あの人を思い出す けど… これは間宮だ 「怖くない」 「ほんとに?」 「うん」 「前…触ってもいい?」 「うん」 間宮が、さっきと同じ様に 今度は、ゆっくりと両手を入れてくる やっぱり時々触れる間宮の指先は くすぐったい様な…痺れる様な… 「大丈夫?水無瀬」 「うん。大丈夫」 「あ…あのっ……服…上げても…いい?」 「?…いいよ?」 「~~っ!…ありがとう」 なんで、そんなに嬉しそうなんだろ? 体育で着替えの時 いつも見えてるのと同じなのに 間宮が、ゆっくりと服を上げていく ゆっくり…ゆっくり上げて… 首元まで上げると 「っ!…~~~~~~っ!」 右手の甲で…口元を押さえて 顔…真っ赤 何? 「間宮?何か…」 「水無瀬…胸に…キス…してもいい?」 「え?いいけど…間宮、大丈夫?俺の体、なんか変?」 「~~っ…変じゃない…綺麗過ぎてっ…ヤバい」 綺麗…だと思った事ない 悠兄の体は綺麗だと思うけど ちゅっ ちゅっ と、間宮が胸にキスしていく 「ここ…触ってもいい?」 「え?何処?」 下を向くと 左の乳首の上で指を止めている 「?いいよ?」 なんで、そこだけ聞いてきたんだろ? 間宮が、ゆっくり触れてくると ビクッ! 「あ!ごめん!嫌だった?怖い?」 「え?…別に…怖くない」 「ほんと?嫌じゃない?」 「うん」 でも、なんか… 確かに、他の所触られるのとは違う感覚 痺れる感じが強いって言うか… ちゅっ ちゅっ と、色んなとこにキスしながら、両手で乳首を触ってくる 嫌じゃないけど 怖くもないけど 痺れる様な感じが…強くなってる これは…言った方がいいのかな 「間宮…」 「あ、うん。止める?」 「えっとね?ずっと痺れるみたいな感じがあるんだけど、そこ触られてると、強くなるんだけど、大丈夫?」 「えっ?!…あっ…それはっ…大丈夫…なんだけど…」 「そっか。じゃあ、大丈夫」 「~~~~っ…水無瀬…ここにも…キスしていい?」 「いいよ?」 痺れるのが強くなるから そこだけ、間宮は聞いてくるのか 普通の事なんだ ちゅっ っ! え? ちゅっ ちゅっ  ほんとだ… 他の…とこと… キスも全然違う 「大丈夫?水無瀬」 「うん」 痺れるのが普通なら 大丈夫だよ 「少し…舐めてもいい?」 「そこを舐めるの?…間宮がいいなら、いいけど…」 「うん。ありがと」 そんなとこ、舐めて なんで間宮が嬉しいのか分からないけど ペロッ 「ぁっ!」 え? 今の…俺の声? ビックリしてると 間宮もビックリしてた 「あ…ごめん。何か…分かんないうちに、声出てた」 「怖かった?」 「怖い?…分かんない。なんか、分かんないうちに、出てた」 「じゃあ、やっぱり怖いって思ったら、すぐに言ってね?」 「うん」 怖い…とは違うけど ペロッ ペロッ ペロペロッ 「ぅっ…んっ……んんっ…」 痺れる感じが…凄く強くて… 「今度…こっちね?」 逆も…同じ様に舐められると やっぱり同じ感じで そっか… ここは…こんな風になるもんなんだ 「んっ…はぁっ……んっ…ぁっ……」 勝手に…声…漏れる セックスしてる時に… 少し近い様な… 違う様な… 「水無瀬…大丈夫?舐められて気持ち悪くない?」 いつの間にか、流していた涙を 間宮が優しく拭ってくれる 「気持ち…悪くないよ…」 「じゃあ…いつもと違う感じになって、怖くない?」 今度は、優しく頭を撫でながら 聞いてくれる 気持ちいい 「怖くないよ…」 いつもと違う感じになってって言った それが、普通なんだ 「じゃあ…もう少し…続けていい?」 「うん」 「あのね?力…入っちゃうでしょ?」 「あ…うん」 「何かに掴まりたかったら、俺の頭でも、肩でも、背中でも、掴まっていいからね?」 「あ…掴まって…分かった」 そっか… セックスの時みたいに… 間宮が舐め始めると すぐに痺れてくる 「ぅっ…んっ……んっ……」 間宮の背中に腕を回す 「水無瀬…声、我慢しなくていいよ?その方がきっと、楽だよ?」 「んっ…」 声…我慢…してる訳じゃないんだけど 出そうと思ってる訳でもなく 勝手に出てる訳で… 「水無瀬…声…出して…聞かせて?」 「んっ…えっ?」 そう言うと、間宮が 片方を舐めて、片方を指で触りだした っ! なんか… さっきまでと全然違う 痺れって言うか… 何…これ… 「…~~っ…ぅっ…ぁっ……~~っ…んやぁっ!」 堪らず、間宮の頭を抱える 自分の声じゃないみたいな 凄くおっきな声出た 「ごめん!…嫌だったね?ごめん」 「…ぁっ…嫌だった訳じゃ…」 「…ほんと?じゃあ…気持ち良かった?」 「気持ち…いいのか…よく分かんない…分かんない感覚…なんか…声出したくなっちゃった」 「そっか…良かった…もっと聞かせて?」 声出すと、間宮は嬉しいの? 凄く嬉しそう 「水無瀬…1回キス…」 「んっ…んっ…」 間宮のキス…気持ちいい 舌…入れられると… あっという間に、ふわふわ…ふわふわ… 「はぁっ…続けるね?」 「ん…はっあっ!」 あれ? 何? さっきと同じなのに… さっきよりもっと…強く感じる 「あっ…ぁあっ!……はっ!…ん~~~っ…あっ!」 舌が動く度 手が動く度 片方の空いてる手で 間宮が、色んなとこ触れる度 全部が…強く感じて… 「~~っ…ん~~~~っ…んぁっ…はぁあっ!…うっ…はぁっ…はぁっ…」 「水無瀬…」 「あっ!」 間宮に名前呼ばれただけで… なんか… 間宮を掴んでたいのに… 力…入んない 「名前…呼んで?」 「んっ……まっ…みやっ…あっ!…まみっ…やっ…ぁあっ!」 「ありがと…水無瀬…はぁっ…水無瀬…」 頬に触れられて 目を開けると… 「はっ…水無瀬…」 いつもの元気で優しい間宮じゃなくて 優しいのに… いつもとは違う間宮を見ると… 「~~っ…あっ…間宮っ…間宮っ…」 分かんなくなる 夢中で、間宮に手を伸ばす 間宮が、ぎゅ~~っと抱き締めてくれる 自分が、どういう感情なのか分からない ただ… 間宮に触れてたい 間宮に触れられて分かんなくなってるのに 間宮に触れてたい 間宮にキスされて また分かんなくなる 間宮の頭や背中を触ってると…少し安心 間宮が耳を触ると 「~~~~っ!」 体が…震える 「水無瀬…ちゅっ」 「ぁあ~~っ!」 耳…変… 間宮が、横にコロンと寝転んで ぎゅっと抱き締めてくれた 「んっ…んっ…」 耳が… 変なまま… 体中が…痺れてる 間宮の胸にしがみ付く 「うん…」 間宮が、優しく頭や背中を撫でてくれる 「んっ…ん、間宮っ…」 「うん…ちょっと…びっくりした?」 「んっ…」 撫で撫で 撫で撫で 安心する 「怖くはなかった?」 「んっ…」 「そっか…良かった」 「間宮っ…撫でるのっ…気持ちいっ…」 「ふっ…良かった…」 これ… 何なんだろう セックスしてる時みたいな セックスしてないのに こんな風になるんだ 「間宮…」 「ん?」 「間宮も…同じ事したら、こうなる?」 「感じ方は、人それぞれだとは思うけどね」 「そっか…間宮だから?」 「え?」 「他の人じゃなくて、間宮だから?」 胸から顔を離して見上げると 「ん…好きな人だから。その気持ち…込めてるから」 「好きな人の…気持ち…」 そっか…だからだ 悠兄は、家族の安心を届けてくれてるけど 間宮は、恋人の好きな気持ち届けてくれてるから… 全然違うんだ 「…凄いんだね」 「え?凄い…?」 「うん…間宮の好きな気持ち…凄かった」 「~っ!…それは…ちょっと恥ずかしい…けど、嬉しい」 「間宮…嬉しいけど、恥ずかしい?」 「あっ…そう!ははっ…嬉しいけど、恥ずかしいだよ」 そう言って間宮は またトイレに消えた 俺には… なんで今、間宮が恥ずかしいって思ったのか分からない でも、嬉しいの恥ずかしいならいいや 「水無瀬…」 「……ん…」 「あ…寝てた?」 「ちょっと…寝そうだった」 間宮にくっ付いてると、すぐ寝そうになる 「ごめん。寝てていいよ」 「…眠いはずないんだけど…間宮にくっ付いてると…眠くなる」 「そっか…あのさ、名前で…呼んでもいい?」 「名前で呼んでも?」 「うん…あ…暁って…呼んでもいい?」 「……うん…いいよ…」 間宮に…暁って呼ばれるの… なんか…他の人と全然違う 「ほんとに?嫌だったら無理して欲しくない。名前だけじゃなくて、他の事も。俺が今言ったからって、今出来なくたって、全然いいんだ。また、時間が経って、そう出来る日が来たらでいいんだ。無理して…欲しくないんだ…」 「無理してないから、大丈夫だよ?」 「そっか…じゃあ、暁…俺の事も下の名前で呼んで?優琉(すぐる)だよ?」 「すぐる…」 ぎゅ~~っと、間宮が抱き締めてくる 「?…変だった?」 「~~っ…暁の優琉…可愛い過ぎてヤバい」 「…呼び方、変わってる?」 「すっごく俺が喜ぶ呼び方」 「なんだ…だったら良かった。優琉に、暁って呼ばれるのも…他の人と全然違ってて、嬉しいよ」 「ほんとに?嬉し…」 あ… 2人の時だけなのかな? 皆に知られてもいいのかな? 「優琉って呼ぶの…2人の時だけ?」 「えっ?いや~…男友達でも、仲良くなったら、別におかしな話じゃないしな?使い分けてる方が、いつかバレてボロ出そう…」 バレてボロ出る… よく分かんない 「皆の前でも、この呼び方でいいって事?」 「うん。そうしよ?でも、こんな風に恋人として付き合ってるのは、皆には内緒。男同士だと、あんまりよく思わない人達も居るから。うちのクラスは大丈夫な気もするけど…そこは好みの問題だからさ」 「うん。分かった……優琉…」 「ん?」 「……ふふっ…」 「ふっ…何がおかしいの?」 「分かんない」 分かんないけど… 優琉って呼んで、返事してもらうと 嬉しい気持ちになる そしたら…なんか笑ってた 「暁…」 「ふっ…」 ぎゅっと優琉を抱き締める 「暁…暁…暁…」 「無理だよ。いっぱいになっちゃう」 「何がいっぱいになるの?」 「嬉しい気持ち」 「じゃあ、いいね?溢れたら、他の誰かも嬉しくなれるよ」 なんか… 母さんが言いそう 「優琉…って、どんな漢字だっけ?」 「優しいに、琉球王国の琉」 「琉球王国…」 「沖縄の辺りがさ、昔そう呼ばれてたろ?だから、あの辺の海みたいに綺麗で広い心って意味らしいよ」 「優しくて…綺麗で…広い心…そのままだね?優琉、名前のままだね?」 「いや…優しい方かもしんないけど、そこまでじゃないよ。暁は?どんな意味?」 暁の意味… 「……あっ…聞いた事…ある?」 「ほんとの母さんからはない。辞書で、自分で調べたら、夜明け前の、まだ暗い時間って書いてて…ほんとに…自分にピッタリだって思った」 「なっ…!そんな事ないよ!」 「うん。悠兄のとこ来てからね。まだ、俺がほとんど喋ってなかった頃…母さんが教えてくれたんだ。暁って、夜明けだから、新しい始まりって意味なんだって。ようやく、名前の通りになれたね?って…凄く…嬉しかった…自分の名前なんて、どうでもいいと思ってたのに…嬉しかったんだ」 誰が付けたのか どうやって付けたのか分からない 俺の名前 ほんとの母さんには ほとんど呼ばれなかった 俺の名前 「うん…俺、暁って名前、綺麗で格好よくて好きだよ?」 「ありがとう。母さんに聞いてから、母さんに、父さんに、悠兄に呼ばれる度に、嬉しくなった。でも…優琉に呼ばれる嬉しいは…全然違う。今は…自分の名前、俺も好き」 「良かった…暁…いい名前だね?」 「うん」 夕食は、買い物で買って来たうどんで、カレーうどんにした 「最後に溶き卵~!」 「わぁ…美味しそ~」 「簡単だろ?」 「うん!カレー作った時、絶対作る!」 カレーうどんは、ほんとに美味しくて 絶対、悠兄にも食べさせてあげようと思った 夕食の食器も洗い終わり 「さて、そろそろ送ってこうか」 「……うん」 「?…どうかした?」 「優琉も…一緒に帰れたらいいのに…」 「………えっ?…あ…それは…まだ一緒に居たいって事…だったりする?」 「うん…それは…悠兄心配するから出来ないけど…凄く楽しかったから…」 まだ帰りたくないなんて 自分が信じられない  悠兄も…母さんも父さんも居ないのに… 「暁…明日さ、カラオケ行って、皆で昼飯食べたら解散って言ってたからさ。解散したら、また家寄ってく?」 「あ…うん!寄る!間宮と居る!」 「ふっ…嬉しいけど、間宮に戻ってる」 「あっ…優琉」 「慣れないよな?どっちでもいいよ。暁が呼んでくれんなら、どっちでもいい」 分かる… それは俺もそう 水無瀬でも…皆に呼ばれるのとは少し違うから 「ほんとに、ここで大丈夫?家まで送るよ」 「ううん…大丈夫。電車乗っちゃえば、駅降りて、歩いて5分位だから」 「そっか。じゃ、気をつけてね?また明日」 「うん。ありがとう。また明日」 家に帰って、お風呂に入って 悠兄がお風呂から出て来るの待って 「暁、プリン食べる?」 「食べる」 2人でソファーに座ってプリンを食べる 悠兄、元気 良かった 「凌久さん、元気だった?」 「うん。もう、学校行こうかなって言ってたよ」 「良かった」 「ありがと。間宮君の家、楽しかった?」 「うん。悠兄、何で見てないのに、間宮お腹壊したんじゃないって分かったの?」 「だって、好きな人初めて家に呼んで、一緒に寝たりしたら、そういう気持ちになっちゃうよ」 そういう気持ちに… 俺はならない やっぱり変なのかな 「俺の話した時にね?」 「うん...?」 「間宮が、泣きながら笑った顔が、凄く綺麗で…綺麗でね?」 「うん」 「キスしたい。触れたいって思った」 「そっか」 「でも…一緒に寝てたからって…そんな風には思わない。俺、変?」 悠兄が少し驚いた顔になって また、優しい顔に戻る 「変じゃないよ。そんな風に思うタイミングは、皆同じじゃない」 「間宮は、俺と居ると、いつも触れたいって思うんだって。じゃあ…全然タイミング合わない」 「ふっ…そっか。でもさ暁、間宮君と付き合い出したからって、別にキスしたいなんて思ってなかったんでしょ?」 「うん。今日の間宮の顔見たから」 あの顔を見たら急に… 「きっとね…そういうの増えてくよ?」 「え?」 「間宮君の好きな表情、好きな仕草、増えてく度に、触れたい、キスしたいって思うのも増えてくよ?」 「……そうなんだ…あのね?間宮が今日、乳首舐めてきたんだけど…」 「ええっ?!」 悠兄…すっごく驚いてる 良くない事だったのかな 「あんまり、しない方がいい事だった?」 「いや……そう…そっか…暁は…嫌だったり、怖かったりしなかった?」 「うん。間宮、何かする度に、今の悠兄みたいに確認してきたけど、全然そんな風には思わなかったんだけど…」 あれが普通って事でいいのか 一応、悠兄に確認しておこうかな 「あのね?」 「…っ…うん」 「乳首舐められると、痺れるみたいな感覚が、凄く強くなって、なんて言うか…セックスしてる時に近い感覚って言うか…」 「…っ…暁…そう思っても怖くなかったの?」 「うん…見ると…間宮だから」 「そっか……あのね?挿入する行為だけがセックスじゃないんだよ?」 「………え?あ…口で…」 「ううん。そうじゃなくてね…」 悠兄が、プリンの空をテーブルに置き、こっちに向き直ったので 俺も同じ様にして、悠兄の方を見る 「暁に…昔した人は…ちゃんとした恋人じゃないから...ほんとに…自分がしたい事…させたい…事だけ…したんだと思う」 「うん」 「それで…俺は、暁が落ち着く事が目的だから、暁がして欲しい事だけ…してきた」 「うん...」 悠兄はしたくなかったのに 俺の為に 「でもね、好きな人とは全然違うんだ。だって、好きって気持ち伝える為だから」 「うん。間宮も、そんな事言ってた」 「そっか。お互いの愛情を伝える為に触れ合うのは…どこからがセックスって言うか難しいけど…大きく言うと…今日暁がした事も、セックスに含まれてたりする。だから、暁は感じたんだ」 「感じた…?」 「その…気持ち良くて、どうしようもない感じになったでしょ?暁が思うセックスの時の気持ちいいに似た感覚だったでしょ?」 気持ち良くて…どうしようもない あの…どんどん強くなってた痺れる感覚 気持ち良かったのかな 嫌ではなかったし 「そっか。セックスの時に似てたのは、イキそうになって、気持ちいいの感覚に似てたんだ」 「ん。でも、全然違うでしょ?行為でただ生理的に気持ち良くなるんじゃなくて、好きな人にしてもらう事で気持ち良くなるって、全然違うでしょ?」 「違う。そっか…似てるけど違うのは…そっか。俺、気持ち良くて感じてたんだ」 じゃあ… 色々考えないで、もっと感じれば良かった まさか、あんなとこ気持ち良くて感じるなんて、思ってなかった 「間宮君…ちゃんと確認しながらしてくれるんだね?安心した」 「うん...間宮には、まだ何も言ってない」 「そっか。暁、胸は初めてだったんだね?」 「うん」 「暁の反応見たら、セックスした事ないって…思ったかもしれないね?…どっちが…どっちとかいう話は?」 「全然…」 そっか 俺が挿れられる側じゃない可能性あるんだ 「どっちでも、必ず、コンドームね?」 「うん」 悠兄が、抱き締めてきた 「…悠兄?」 「暁…間宮君に言う時が来て…言ったら…どんな反応でも…教えてね?暁だけが…悪くないよ?誰が、何て言っても、暁だけが悪い事なんてないよ?」 「悠兄…間宮…泣くかな」 「きっと…泣くね…」 「怒るかな」 「それは…どうかな…」 でも… 八神さんが言った様に 過去は変えられないし 現状…キスでアレを抑えるのが精一杯で 解決方法が分からない 俺は… それと一緒に生きてくしかないんだ そして 巻き込まれてしまった悠兄も…

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