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曽川 愛
日曜日
皆でカラオケに行った
俺にとっては、人生初のカラオケ
俺が歌える曲はないけど
皆が歌う曲は
結構聞いた事のある曲が多くて
全然知らないと思ってたのに、意外と知ってるんだと自分で驚いた
歌が上手くても上手くなくても
皆でいるのは楽しいんだって知った
いつか…俺も、あんな風に歌える様になるのかな
カラオケの後、皆でファミレスに行った
今では、ちゃんと自分の好きな物を選んで注文出来る
俺が、人生初のファミレスに来たのは、去年
友達と来たのは、今日が初めて
「水無瀬…なんか、嬉しそうだな?」
「長谷…今日は、俺の初めてがいっぱいで、嬉しい」
「……カラオケか?」
「カラオケも、友達とファミレスも…全部初めて」
「そっか。楽しい?」
「うん!」
「へへっ…じゃあ、俺も楽しい」
楽しい
俺の人生に
こんな事が待ってたなんて
全然、想像もしなかった
だって…
こんな世界は
自分とはかけ離れ過ぎてたから
向かいに座ってる長谷と笑い合ってると
「暁、これ旨いよ?」
隣の間宮が、自分で頼んだ物を分けてくれた
「ありがと」
と、返すと
間宮も笑った
「なぁ、いつから下の名前で呼ぶ事になったんだ~?」
「あ!俺もそれ気になってた!」
「俺も!」
隣のテーブル席から、皆聞いてくる
答えていいのかな?
チラっと間宮の方を見ると
「へっへ~ん。俺と暁だけの秘密~」
「あ!水無瀬は、皆の水無瀬なんだぞ?!」
「抜け駆け禁止だぞ?!」
皆の水無瀬…
どういう事?
「いいんだよ!俺が1番仲良しなんだから!」
「ずるいぞ!俺も呼ぶ!」
「なっ…!ダメ!」
間宮が、ワイワイと皆と騒いでるので
長谷に声を掛ける
「長谷、長谷…」
「ん~?」
「皆の水無瀬って、どういう事?」
「うぇっ?!…えっ…と~…皆が大切に思ってる水無瀬って事」
「?…それは、俺だけじゃないでしょ?」
「ん~…でも、水無瀬は特別。水無瀬…何でも、すげぇ一生懸命だから。そういうとこ、皆好きなんだ」
間宮が言ってた事だ…
ほんとだ…
「俺は…皆より知らない事も、出来ない事もあるから、必死なだけだよ?」
「ん。俺達もさ、最初から知ってて、出来てた訳じゃないだろ?」
「…うん」
そっか
それは、そうだ
「そのタイミングが、水無瀬は俺達よりずっと遅かっただけ。だから…なんかさ、分かるかな?例えば…水無瀬が今、出来てる事もさ、5年前には出来ない事、沢山あるだろ?」
「うん」
「もしも、目の前に5年前の自分が居たらさ、頑張れ~!こうしたら、いいんだよ?って、応援して、教えてやりたくならない?」
5年前の自分…
あの人が…来るか来ないか位の時だ
こんな世界…
想像も出来ない時だ
「……うんっ……~~っ…大丈夫だよって…言ってあげたいっ…」
「えっ?!泣っ…」
「えっ?!暁?!なんで泣いてんの?!長谷!」
「いやっ…誤解だ!」
「っ…うっ……まだっ…もう少しかかるけどっ……友達とっ…遊びに行ける日がっ……来るんだよって…っ…教えてあげたいっ……」
そしたら…
きっと、凄く頑張れる
こんな楽しい未来があるなんて知ったら
凄く頑張れる
「俺達も、そういう気持ち。頑張ってる水無瀬、無理するなよ。いつでも応援するぞ?って思ってる」
「~~っ…夢っ…みたいなんだっ……こんなのっ…別世界だとっ…思ってたからっ…」
「暁…夢じゃないよ。何回だって、また遊びに来れるよ」
何回だって
この先
皆が居て
間宮が居て
今の家族が居て
ほんとに
夢みたいだ
「それにしも、長谷は、水無瀬ん事…たしか、前にも泣かせてたな?」
「あ~…思い出したわ」
「罰金だな」
「いや!前も今日も、苛めて泣かせたんじゃねぇよ!」
「うん。長谷は、いつでも嬉し涙をくれる」
「なっ…?!」
長谷が、また顔真っ赤
だんだん分かってきた
皆は、恥ずかしい時、顔が赤くなる
俺は、恥ずかしいが分からないから、赤くならない
「俺も、長谷みたいになれる日が来るかな…」
「「「「「え~~っ?!」」」」」
びっくりした
お店の人も皆こっち見た
皆が、すいません、すいませんと、謝る
「ちょっと、暁、どういう事?!」
「水無瀬!こんなんなっちゃダメだぞ?!」
「こんなんって何だよ?!」
「長谷の一体、何処に目標とすべき場所があるのか…」
「あるわ!山の様にあるわ!」
こんな会話…
教室の…学校の…
何処かで聞こえてるだけで
俺が、その中に入るだなんて
思いもしなかった
大きな声も…
皆の声なら怖くない
「ちょっと…水無瀬」
「何?」
会計し終えると
先に会計の済んでた長谷に腕を引っ張られる
皆から少し離れた場所で、俺の背丈に合わせて、顔を近づけて小声で話してくる
「お…お前…あれから間宮とは、どうなってんだ?」
「あれから?」
「キ…キスとか…好きとか言ってたろ?!」
「ああ…あれから……えっと…言えない」
「んなっ?!そ…そうか…」
「ごめんね?」
「いや…予想はしていたが…やっぱそうなのか…」
?
言えないって、答えられるのが?
なんで?
「長谷、なん…」
「な~に2人して、やってんの?」
「まっ?!…みやっ…!」
「何?その反応…暁と…何してたの?」
「いや?何も?」
「ほんとに~?また、泣かせようとか、思ってない?」
「ってない!」
「じゃあ、許してあげよう」
長谷は…
俺達の事気になって、聞いてきたんだよ?
「間宮…」
「…暁!帰ろ!」
「……うん」
なんとなく…
間宮…
いつもと違う?
皆と挨拶して
間宮ん家行くまでも
間宮は、ほとんど話さなくて
俺…今日、家に行ってもいいのかな…
でも…
なんとなく、話し掛けにくくて
間宮の家に着いてしまった
「お邪魔します…」
「どうぞ」
声…が…
間宮の後を付いて歩きながら、声を掛けてみる
「あ…あの……なんか…今日俺、帰った方が…」
グイッ
え?
ドサッ
あれ…?
俺…
間宮にベッドに押し倒されたの?
でも…間宮…
泣きそうな…それなのに怒ってる様な…
「……ごめん…俺…何かした…」
「~~~っ…」
表情とは真逆の
凄く優しい手つきで
頬を撫でてくる
「……長谷が…暁の事、そういう意味で好きとかじゃないって知ってる」
「……うん…?」
「暁が…沢山の友達できて、喜んでるのは…俺も嬉しい」
「…うん」
「何て呼んだっていいって言ったのは…俺」
「……?」
何が言いたいのか…
全然分からない
「けど…」
頬から…す~っと、耳に移し
耳を触り始める
「~~っ…」
耳…
触られると
ちゃんと考えれなくなっちゃうから…
「耳…」
「嫉妬は…するんだ」
「~~~~っ!」
耳に唇を付けたまま
囁く様に喋った!
何?
嫉妬?
何の話…
長谷達の話?
ぎゅ~っと、上に乗っかったまま抱き締めてくる
「~~っ…ごめん…」
泣いてる?
間宮の背中に手を回す
「我慢しないで言って?俺が気付かない事のせいで、泣いて欲しくない」
「……名前…」
名前?
あ…優琉って…
「今日、全然呼んでくれなかった…」
「ごめ…」
「ようやく呼んでくれたと思ったら…間宮で……なんか…俺とより楽しそうに…長谷と話してるし…」
え?
そう…見えたんだ
「あのね?長谷は、前に言ってた…キスとか好きとかの話、その後どうなったんだ?って聞いてきたの。名前は、意識してなかったけど…そう言えば呼んでなかったかも。あと、昨日悠兄に話す時、間宮って何回も言ってたり…皆が間宮って言ってるから、無意識に俺も、間宮って呼んじゃったかも」
そう答えると
優琉が、俺の上に起き上がって
「キス…してもいい?」
と…泣きそうな顔で聞いてきた
「いいんだけど…」
「だけど?」
「話…出来なくなっちゃうよ?」
「ん…でも…今キスしないと…話出来ないから」
「優琉がいいなふぁっ…んっ……はっ……んっ…」
昨日のキスとは少し違う
ゆっくり…優しくとは違う
けど…
「はぁっ…暁……暁……呼んで?」
眼差しは…
声は…
優しいまま
「んっ…すっ…んっ……優琉っ…」
「もっと…暁…」
「優琉っ…んっ!…んっ…すぐっ…るっ…!」
優琉のキス…
最初から気持ち良くて、ふわふわで
全然慣れない
何回もしたら、慣れるのかなって思ってたのに
「…暁…はぁっ…暁…」
「~~~~っ…すぐるっ…んぅっ!…んんっ!」
いつもと違う優琉の表情
いつもと違う優琉の声
優琉が言う暁…
気持ちいいの上に…
色んなものが混ざってって…
たまらない…
何かが…堪え切れなくなってく
「んっ…すぐっ…んっ…」
もう…こらえ切れなそうって伝えたいけど
上手く伝えれない
掴んでた優琉の両腕に力を入れる
「暁っ…暁っ…」
「ん~~っ!…んっ!…~~~~~~っ!」
たまらず…
右手で、軽く胸を押すと
右手を握られた
「暁…限界?」
「んっ…んっ…んっ…」
コクコク コクコク と頷くと
「分かった…」
そう言って、優しくおでこにキスしてくれた
そして、そのまま俺を見る
俺は…まだ、ふわふわと…堪え切れない感覚が…
どうしたらいいのか分からず
「んっ…すぐっ……すぐっ…」
抱き締めて欲しくて、左腕を伸ばすと
俺の希望通り、ぎゅ~っと抱き締めて
一緒に横になった
「ごめん…怖かった?」
「怖くっ…ないっ…んっ…すぐっ…」
「俺…こんなに独占欲強いなんて知らなかった」
独占欲…
独占の…欲…
よく分からない
「ね、長谷に聞かれて、何て答えたの?」
「いっ…言えないって…」
「ふっ…かわい…長谷、何て?」
「予想…してたって…やっぱりそうかって…」
「えっ?!マジか!」
「なんで…俺…そう答えるって…分かったのかな」
「…や…そう答えるってか……マジか長谷…」
優琉もびっくりしてる
長谷…凄い
「まあ…気付かれてて問題ないなら、とりあえずヨシとするか。えっと…兄ちゃんに、俺の事いっぱい話してくれたの?」
「うん…いっぱい話した」
「ふっ…そっか。初めて、人の家に行って、心配してなかった?」
ようやく…
落ち着いてきた
「優琉が突然トイレ行った時、俺、びっくりして悠兄に相談したんだけど」
「え?突然トイレ…行った……時?!兄ちゃんに相談したの?!」
「うん…俺の料理の仕方でお腹壊したんだと思って…」
救急車…
あの時悠兄が倒れてた時みたいに
呼んだ方がいいのか
「にっ…兄ちゃん、何て??」
「悠兄、ちゃんと原因分かってたみたいで、多分大丈夫だから、様子見ててごらん?って返信きて…そしたら、悠兄が言ってた通りだった」
「……え…えっと…原因って…え?」
「悠兄、好きな人初めて家に呼んで、一緒に寝たりしたら、そういう気持ちになっちゃうよって言ってた」
「………~~~~っ!…マジか…」
?
どういう表情?
「…俺とベッドで寝たって、兄ちゃん知ってんだ…すげぇ心配してなかった?」
「悠兄がって言うか…俺が、やっぱりちょっと心配で、乳首舐められた時の感覚、相談した」
「んうえ~~~~~~っ?!」
優琉が、ベッドに飛び起きた
そして…固まった
俺もベッドに起き上がる
「優琉?大丈夫?」
「に…に…兄ちゃん…何て言ってた?」
「今の優琉みたいに、結構びっくりしてて…」
「だよな~~!」
「でも…お互いの愛情を伝える為に触れ合うから、俺は感じたんだよって、優琉と同じ様な事言ってた」
「………兄ちゃん…暁の兄ちゃん凄いな?何者?!」
何者?
兄ちゃん…
「にっ…兄ちゃん、びっくりしただけ?あんまり、そういう事するなとか言われなかった?」
「俺が嫌じゃないならって、言ってた」
「ほんとに?…すげぇな…」
「優琉が、何かする度に、怖くない?嫌じゃない?って確認するって聞いて、安心してたよ?」
優琉が、ぎゅって抱き締めてきた
「優琉?」
「そんな風に思ってくれてるのに…今日…暁に聞かないで押し倒してキスした……ごめん」
「ちょっと…びっくりしたけど、怖くも嫌でもなかったよ?」
「うん…でも……今度から、ちゃんと聞くから。もう、大丈夫って思えるまで、必ず聞くから」
「……ありがと」
そんな風に考えられなくなる感情…
嫉妬も…俺には分からないから
優琉の気持ちが分からない
優琉の頬に触れて、目を見る
「優琉…俺、嫉妬も分からない」
「ふっ…そっか」
「うん。だから…優琉の今の感情が、分からないんだ…ごめん」
「早く…暁に嫉妬してもらえる様になりたいな」
嫉妬してもらえる様になりたいな
嫉妬してもらうのは
嬉しいって事?
「嫉妬するの…辛そうに見える。けど…嫉妬されるのは、嬉しいの?」
「うん。程度によるけど…いつか暁がさ、俺が誰かと仲良く話してて、なんで仲良くしてたの?!って怒ってくれたら、嬉しい」
「……分からない。怒られて嬉しいの?俺は…怒られるの苦手…」
「うん…今は、分からなくていいよ」
優しそうに笑う優琉
でも…
少し寂しそうに見えるのは
俺の気のせい?
「俺も…キスしていい?」
「ん…いっぱいして?」
キス…されるのは慣れてるけど
優琉のには慣れてないけど
するのは優琉が初めてだから
右手で頬に触れたまま
左手を肩に乗せて
膝立ちになって、顔を近づけると
優琉が瞼を閉じる
俺に…キスされる為に…
ゆっくり…唇に触れ…離す
もう一度ゆっくり触れて離れる
何度しても不思議な感覚
毎日、沢山の物
唇で触れてるのに
不思議…
「ふっ…暁…何かの実験?」
「えっ?あ…ごめん。何度しても…不思議な感覚だから…」
「どんな?」
「どんな……難しい。でも…食べる時も、歯磨きの時も、こんな感じしないのに...唇って不思議」
「暁…唇同士だからじゃないよ?」
「え?」
優琉が、俺の顔に手を伸ばし
親指で、ゆっくり優しく唇をなぞり始める
「俺の指で触れられるのは?」
指…
ただの指なのに…
「なんか…違う」
「ん…俺も…暁の何処にキスしても、嬉しい」
そっか…
だから俺の色んなとこにキスしてきたんだ
だから優琉の好きと嬉しいが伝わって
感じるんだ
「少し分かった」
「ふっ…何がか分かんないけど、良かった」
「優琉…」
「ん?」
「ありがとう」
「ん。俺も、ありがと」
「ちゃんと家まで送ってくって」
「電車乗っちゃえば、駅から歩いて5分だから、大丈夫」
「ん~~…じゃあ…気を付けてね?家着いたら、連絡してね?」
「うん。駅まで送ってくれて、ありがと」
「また、明日な」
「うん」
電車に乗って、悠兄に連絡して
電車を降りて、駅を出たところで
「おい!お前!」
!
急に…腕を引っ張られた
誰…
振り返ると、知らない男の人…
俺…何かした?
「お前…」
顔を近づけて、じっと見てくる
「曽川 愛のガキだな?でかくなったが、顔は同じだ。俺は覚えてるぞ?」
!
母さんの…知り合い…
「……あの…俺はもう…」
「テメェの母ちゃん、俺に金借りっぱなしで、音信不通なんだよ!何処行った?!今、何処に住んでるんだ?!連れてけ!」
「お…俺、今…母さんと暮らしてなくて…」
「嘘つけ!糞生意気なガキが!俺が、テメェの家に行った時、小学3年って書いた教科書あったぞ?」
小学3年?
いつの…
ずっと母さん、この人からお金借りてるの?
「まだ未成年だろ?一人暮らしする余裕なんてねぇよな?テメェの母ちゃん、去年まで、ずっと金借りてたんだよ!ちょっといい女だと思って、好きな時にヤらせるし?甘い顔してたら…突然居なくなりやがって!ふざっけんなよ?!」
どうしよう…
凄く怒ってる
「あ…あの…ほんとに俺…3年前から…母さんとは別のとこで暮らしてて……最後も…母さん帰って来なくなってたから……ほんとに…何処に居るのか分かんないです……」
「……確かに…なんか小綺麗になってるな?あんなボロッボロのアパートで、ボロッボロの服着てたとは思えねぇな?じゃあ、金出せ」
「え?」
「え?じゃねぇよ!テメェの母ちゃん返せねぇんだから、テメェが返すんだよ!」
お金…
悠兄が…父さんと母さんが…くれたお金…
「あ…あんまり…持ってないので…」
「さっさと財布出せ!」
怖い…
でも…お金…渡したくない…
「お金…渡せません」
「ああ~?!馬鹿にしてんのか?!テメェ!」
ドサッ
簡単に…
片手で倒された
「このお金…俺のじゃないから…」
カバンを抱えると
「あ~?何訳分かんねぇ事言ってんだ?さっさと渡せっつってんだろが!」
ドカッ
「金がねぇんなら、テメェに働いてもらうぞ!」
ドカッ…ドカッ…ドカッ…
色んなとこ…痛い
「テメェみたいな、クソガキが好きな変態ヤローが、世の中には居るからな」
ドカッ
「どうすんだ?金出すか?働くか?」
「はっ…働くっ…て?」
「ほう…働く気あるのか。母親より、いい子じゃねぇか」
「俺が…働けるの?」
「お~。お前…あの女に似て、顔はいいからな。あの頃みたいな、貧相な体でもねぇし、稼げるぞ?」
悠兄にも…父さんにも、母さんにも…
関わって欲しくない
俺が働いて返せるなら…
「そうです!はい!駅の東口前です!」
あれ…この声…
「暁から…離れろ…」
な…
なんで…悠兄が…
ここに…
「ああ?何だ?テメェ…やんのか?」
「すぐに警察が来るぞ?」
「やっ…やめて!その人は関係ないんだ!」
「あ?兄ちゃん関係ねぇってよ?」
「何言ってんの?!暁!」
俺に…関わらないで
「なんか知らねぇが、俺は金さえ手に入れば、どうでもいいんだ。兄ちゃんが、こいつの母親の借金払ってくれんのか?」
「はっ…払わない!俺がっ…ちゃんとっ…払うからっ…」
大きな声出すと
あちこち痛い
「何言ってんの?!暁!暁は、そんな事しなくていいんだよ!」
「違う…俺の母さんの話なんだ。だから…俺が、払う」
「物分りのいいガキで良かったぜ。んじゃ、行くぞ。ほれ…」
そいつが、俺を起こそうとすると
「やめろ!!暁に触るな!」
悠兄が駆けつけて、そいつの手を払う
「ああ?!何すんだ?!」
やめて…
悠兄は関係ない
その時…
「居たぞ!」
「おい!そこで何してる?!」
「……はっ?お前…マジで…クソっ!覚えてろよ?!」
そいつが走ってくと、警察の人が追いかけてく
「暁!暁!大丈夫?暁!」
「……悠兄…ごめん……さい…」
俺のせいで
悠兄巻き込んだ
母さんの事なら
俺が巻き込まれても仕方ない
けど…悠兄は関係ないのに
悠兄の顔…見られた
どうしよう…
どうしよう…
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