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独りぼっち
悠兄が、ずっと声を掛けてくれてて
とにかく、泣きながら俺の心配してくれてて
うん、うん、と言いながら
俺は、どうしたらいいのか考えてた
救急車の音が聞こえてきて
自分のとこに着いた時は
相当まずい事になったと思った
きっと、父さんと母さんも心配する
今度はあいつに
父さんと母さんの顔見られたらどうしよう
救急隊の人に色々聞かれる
動かせるのかどうか分からないけど
とにかく痛くて動かしたくない
そのうち、警察の人が来て
さっきの奴は捕まえたから
と言った
いつまで捕まえられてるんだろう
まずは俺を病院にと
話は後になった
救急車が動き出すと
寝心地なんて全然良くないのに
いつの間にか寝てた
ドンドンドンドン
「曽川さん!いつになったら家賃払ってくれるんですか?!もう出てってもらいますよ?!」
そうだった
寝てた
音…立てない様にしなきゃ
今日は、母さん帰って来るかな
昨日の夜、突然電気が消えた
今日も…真っ暗で…1人なのかな…
暗くなる前に寝よう
寝てれば…暗いの分からないから…
「……!」
…大家さん?
母さん…まだ居ないよ…
「~~っ……!」
泣いてる?
誰…
「暁っ…暁っ…」
聞き覚えのある声
優しい声
誰だっけ?
「~~っ…暁っ…」
目を開けると…
「暁っ…!暁…怖かったね?もう大丈夫だからね?」
そうだ…
悠兄だ…
ここは…
「……病院?」
「うん…暁…目覚めないから…」
病院に運ばれて来たの、全然覚えてない
先生が来て色々診察して
骨折はないみたいだ
色んなとこの打撲が酷いと言った
動くの大変だろうから、今日は入院するかい?って言われた
「暁…無理しないで、そうしよ?それとも、1人は怖い?」
ほんとは…入院なんて迷惑かけたくないけど
少し…1人になりたい
「……ううん…そうする」
結局、父さんも母さんも来る事になって
来ないで欲しい
俺が大人じゃないから、しょうがないけど
俺の近くに居ないで欲しい
「暁、何回も携帯鳴ってた。間宮君かな?」
「あ…」
帰ったら連絡って言ってたから
心配してる
けど…
送ってもらわなくて良かった
巻き込むとこだった
『ごめんね』
『ちょっと色々あって連絡出来なかった』
ヴヴ ヴヴ
『大丈夫?!』
何て答えたらいいんだろう…
『大丈夫』
これ以上…
伝えれる事ない
父さんと母さんが来て
警察の人が来て
俺は…警察の人と話したいって言った
皆、心配してたけど
病室から出て行ってくれた
「何か…僕達に話したい事があるのかい?」
「聞きたい事が…」
「どんな事?」
「今日捕まえられた人は、いつまで警察に居るんですか?」
「いつまでかは…今の時点では分からないかな」
「出て来たら…教えてもらえますか?」
「そうだな。怖いよな?」
怖い?
怖いけど…
それより、もっと怖いのは…
今の世界の人達を巻き込む事
「あの人、俺でも働いてお金返せるって言ったんです」
「…え?」
「俺、何にも出来ないけど、でも、あの人働けるって。だから、その仕事教えてもらいたいんです」
「君がお金を返す必要はないんだよ」
「何でですか?」
「親の借金を子供が返す義務はないって、決まってるんだよ」
決まってる?
義務?
「じゃあ…何で、あの人…俺のとこきたの?それ説明したら、もう来ない?母さんも、俺も返さなかったら、あの人のお金、どうなっちゃうの?」
「……ちゃんと…あの男には説明して、反省させる。君には…もう近寄らない様に言うから」
「だって…あの人、お金なくて困ってるよ?また、俺のとこ来るよ。それに…俺、あの人の事…全然覚えてない」
「そうか。じゃあ、本当に関わりがあったのかも、ちゃんと調べるな?」
そうじゃなくて…
俺は覚えてない位の関わりでも
母さんは深く関わってて
そんな人が…
あと…どれだけ……
「母さん…数え切れない位の、男の人家に連れて来てた」
「……そうか」
「俺は…沢山の中の1人だから…ほとんど何日かで居なくなるから覚えてない。けど…男の人達は…俺の顔覚えてるかもしれない。あと…何人から…お金借りてるのか、分からない」
「……そうか。じゃあ…まずは、君のお母さんを、探してみよう」
「えっ?…探せるの?」
そしたら…
あの人、母さんと直接話せたら…
「君の言う通りなら、確かに、今後の事件に繋がるかもしれないし、何より借金の事も確認したいしね?」
「お願いします…」
「君の…本当のお母さんなんだよな?見付かったら、会いたいかい?」
「………」
会いたい?
会いたいのかな
1度も…そう思った事なかった
「会いたくないなら、会わない様にするよ?今、決めなくてもいいし」
「会いたくない訳じゃないけど…会いたいとも思わないです。それに…何より…母さんは…俺に会いたいなんて…思わないから…」
俺が、生きてなければ
居なければいいって思ってたはずだ
せっかく居なくなったのに
顔なんて見たくないはずだ
「今の家族とは…上手くいってるのかい?」
「今の家族も…友達も…皆、凄く優しいんです。だから…俺に…俺のこういう事に、関わって欲しくない…~~っ…」
「なるほど…それで、家族に出てってもらったんだね?」
「うっ…だって…あんな怖いのっ……皆にして欲しくないっ…」
「そうか…でもな?それは、少し親不孝だな。お兄さんも、悲しいって思ってるよ」
「……えっ?」
親不孝?
不孝?
悠兄が…悲しいって…
「君の、何処までを知って、君を引き取ったのかは知らないが、君がそう思えるだけ、いい家族で居てくれてるんだろ?」
「凄くっ…」
「だったら…もう他人じゃないんだ。家族が、辛いとか、困ってる時、話すら聞かせてもらえないで、何も出来ないのは…ひどく悲しいものだよ?」
悠兄が困ってる時…
何も出来ない自分の気持ちは…よく分かる
自分じゃなかったらって思って…
出来る事が少ない自分が情けなくて
何も出来ないのが…
今…俺…
そうさせてるんだ
「~~っ…おまわりさっ…皆にっ…もっ……ちゃんと…話しますっ…」
「うん…それが、いいと思うよ?」
「おまわりさんっ…ありがとっ…ございますっ…」
「いい家族に会えて、良かったな?」
「~~っ…はいっ…」
警察の人が、父さん、母さん、悠兄を呼んで来てくれると
「………え?」
皆して泣いてた
父さんも?
「暁っ…暁っ…」
「暁~~っ…」
「暁…もうっ…大丈夫だからなっ…」
「…ごめんなさいっ…ごめんなさいっ…」
迷惑かけて…
心配かけて…
家族じゃないみたいにして…
けど…
俺の世界は
近づけたくないんだ
優しくて綺麗な人達とは
別世界だから
俺が思ってる事とか
おまわりさんと話した事とか
気になってるはずなのに
俺が痛い事とか
怖かった事とか
心配して
心配して
「暁っ…居なくならないでね?」
悠兄が…
まるで、俺の考えを覗いたかの様な事を言う
「暁…暁居なくなったら…俺……」
「大丈夫。暁、居なくなったりしないわよ」
「暁が何処行くって言うんだ?暁は、水無瀬 暁だろ?俺達の家族だ。他に行くとこなんて、ないだろ?」
「俺居たら…また、別の人が…来て…」
悠兄も…怪我したり…
父さんと母さんにまで…お金払えって言いに行ったり…
「暁…」
父さんが、頭を撫でてくる
「家族の誰にも何にもないなんて人居ないんだよ?それが大きいか小さいか、多いか少ないかが違うだけ。暁に起きた事は、俺達家族皆の事なんだよ?」
「~っ!…俺が…来ちゃって…ごめんなさいっ…」
「ごめんなさいは、ナシだ。暁が来て、皆嬉しいって思ってるの伝わってない?」
父さんが、抱き締めてくる
「分かってるっ…分かってるからっ…」
「暁…暁が来たくて家に来た訳じゃない。俺達が勝手に連れて来たんだ。勝手に連れて来て、大好きになったんだ。暁が気を遣わなきゃならない事なんて、何もないよ?暁を連れて来る時、暁の全部を一緒に連れて来たんだ。暁の事は、俺達の事だよ」
俺を…連れて来る時に…
訳も分からないまま付いてったのに
あんな俺の全部…一緒に…
そんな気持ちで連れて来てくれたんだ
「~~っ!…父さんっ…なんでっ…そんな優しいの?父さんも母さんも悠兄もっ…なんでっ…」
「暁…せっかく生まれてきたんだぞ?誰だって、幸せになりたいだろ?そして、誰かを幸せに出来たら、幸せだろ?父さんも母さんも、暁に会いに行って、そうしたいって思った。で、母さんが、絶対悠稀が気に入るって言ったから」
母さんが?
絶対?
あんな喋んなくて、愛想なくて…
なんで?
「母さんが?…なんで?」
「なんでって…お母さんの直感?悠稀が機嫌悪い時に、ちょっと雰囲気似てたし」
「えっ?!俺の?機嫌悪い時?」
「そうよ?」
悠兄でも、機嫌悪い時とかあるんだ…
「父さんは…」
俺を抱き締めたまま、父さんが…
「悠稀の機嫌悪いとこ…ほとんど見た事ない…」
凄く寂しそうに言った
機嫌悪いとこ…
皆見たいものなの?
「見なくていいよ!なんで、そんなの見たいんだよ?!」
「だって、可愛いんだもの」
「いいな…母さん…」
「可愛いくないよ!」
悠兄が…子供みたい
…子供だった
父さんと母さんの…
今でも
俺が来ても
変わらないんだ
俺が、あんまり見ないだけで…
なんか…ほっとする
悠兄が…子供なの…
父さんも…母さんも…
俺の父さんと母さんで
悠兄の父さんと母さんで
悠兄は、兄ちゃんになっちゃったけど
やっぱり
父さんと母さんの子供で……
「……暁?眠くなったか?疲れたな?」
よく分からないけど…
なんか、少し安心したら…
一気に眠気が…
でも…
「父さん…もう少しだけ…」
父さんに抱き締められるのは
あんまりないから
「ははっ…もう悠稀は甘えてくれないから、嬉しいなぁ…悠稀は、中学生になったら…もう、こんな事させてくれなかったしなぁ…」
「ふっ…普通だよっ…だって、家にあんまり居ないから…」
「父さんは、寂しかったなぁ…」
俺が来る前の悠兄の話
父さんと母さんと悠兄の会話
それを、俺の前でしてくれるのが安心する
「暁…暁…」
「……ん…」
「そろそろ、ちゃんと寝ようか」
「…ん」
父さんに、抱き締められたまま、少し寝てた
ベッドに横になると
「おやすみ、暁」
「また、明日迎えに来るわね」
「暁、またね」
皆の声を聞いて…
眠りに就いた
「ただいま」
母さんの靴…と…
知らない人の靴…
また、男の人来てる
ランドセルを置くと
部屋から、声が聞こえてくる
「ぁっ…ぁっ…ぁあっ!」
こういう声が聞こえてる時は
あまり家に居たくない
外に行こう
家の周りを歩く
歩いて歩いて歩いてくと、川がある
川沿いを歩いて、草わらの中の虫を探す
見ようとしないと見えない
けど、見ると、ちゃんと生きてる
俺より、ずっとずっと小さい
ずっとずっと小さい虫達が
ピョンピョン跳んだり
ヒラヒラ翔んでたり
威嚇してたり
一生懸命なのを見ると、少し元気になれる
しばらく川を見て
川のずっとずっと上とか下を想像したり
魚がいないか探してみたり
そろそろ帰ろうかな
母さん、今日は居るのかな
さっきの人と、また居なくなっちゃうのかな
アパートに戻ると
誰も居なくなってた
良かった…
良かった?
1人は嫌なのに…
よく分からない
お金は怒られるけど
食べ物は、無くなっても怒られない
食べ物…探そう
パン3つある
母さん何日か帰って来なくても大丈夫だ
寂しい…
?
寂しい?
怖いじゃなくて?
1人、忘れられるのが怖い
けど…
寂しい?
そうだ
独りぼっちは、寂しいんだ
俺…知ってる
なんで知ってるんだっけ?
だって…
俺…1人じゃないから
「おはようございます」
?
「眠れましたか?」
あ...
そっか
「おはようございます…眠れました」
「痛みに強いですね?病院来た時に痛み止め使ってから使ってないので、いつでも使って欲しい時、言って下さいね?」
「……はい」
色々測ったり、体あちこち見て…
看護師さんは出て行った
そっか
痛み止め…
叩かれても、蹴られても
我慢するしかないと思ってたから
昨日、痛み止め使ってくれてたんだ
確かに、今日はまた痛い
けど…
動けない程じゃない
携帯を手にすると
優琉から、沢山連絡が届いてた
ほんとは…
誰にも関わって欲しくない
けど…
優琉にもし、こんな事があったら
やっぱり
何も出来なくても知りたいから
『昨日は、ちゃんと説明出来なくてごめん』
『ちょっと、怪我して入院した』
『でも、多分今日は退院出来るから、心配しないで』
ヴヴ ヴヴ
『怪我?!何?!なんで?』
早い
ずっと…
心配して待ってた?
ずっと…
夜、眠れなかった?
今日…学校なのに
『ごめんね?夜、眠れなかった?』
ヴヴ ヴヴ
『そんなの、いいよ』
『どこ怪我したの?』
『なんで?階段から落ちたとか?』
言ったら心配する
けど…
きっと心配出来ないのも…
辛いんだ
『詳しくは話せないけど、色んなとこ蹴られた』
『でも、打撲だけ』
『ちゃんと、警察の人捕まえてくれた』
返ってこなくなった
安心…じゃないけど
分かって、少しはほっとした?
俺…
誰かに心配されたり、心配したりしてる
それも、何人もの人
誰も居なかったのに
そっか
そういう人居なかったから
寂しいが、よく分かんなかったんだ
今は分かる
だから…
あの頃より、ずっと大きくなったのに
あの頃みたいに1人になったら…
俺は耐えられないかもしれない
ヴヴ ヴヴ
『ごめん!やっぱり、ちゃんと送ってけば良かった』
え?
『もう少し、早く帰せば良かった』
だって、それは…
『ごめん!』
なんで…
『俺が、送らなくていいって言った』
『俺が、帰りたくなくて、あの時間まで居た』
『優琉は悪くない』
優琉は…
全く関係ないんだ
でも…
あまり詳しく言いたくない
あの世界に触れさせたくない
ヴヴ ヴヴ
『とにかく、今日学校終わったら行くから!』
今日…
まだ皆居るかもしれないけど…
『分かった』
痛くたって歩けるし
全く痛み止めも使わないので
病院に居る意味のない俺は、退院となった
悠兄は大学で
父さんと母さんが、迎えに来てくれた
家に帰ると、警察の人が来て
色々確認するのに聞いてった
気付くと、もうお昼で
デリバリーにしようかと言ったけど
せっかく、父さんと母さんが居るので
ファミレスに行きたくて、連れてってもらった
「暁と3人で来るのは初めてかな?」
「そうね?いつも4人だったものね?」
「うん。あのね、昨日は、友達とファミレス行ったんだよ?」
「おお!暁、成長したな!」
「うん。俺は歌わなかったけど、カラオケも行った」
「暁…楽しい?」
「うん」
父さんと母さんが、にこにこと俺を見る
ふと、周りを見渡すと
月曜日のお昼なので、小さな子供との親子連れが何組か居る
沢山見てきたけど
俺とは別世界だった光景
「俺…寂しいが、よく分からなかったけど、今なら分かる」
俺が、突然そう言うと
母さんが少し驚いた顔をした後
「そう」
と嬉しそうに言った
「羨ましいって…思った事もなかったんだ。俺と周りじゃ、あんまり違い過ぎてて、別世界だったから」
「暁…」
父さんが、寂しそうな顔で見る
「けど…今思い返すと、分からなかっただけで、寂しいも、羨ましいも、あったんだと思う。俺は今…その羨ましい別世界に居る」
「暁…」
今度は嬉しそう
「俺の世界に、父さんも母さんも悠兄も、大切な友達も、近づけたくないって思った」
「うん」
「だから、俺が働いてどうにかなるなら、皆から離れた方がいいって思った」
「……うん」
「でも…きっともう……こんなに、寂しいが分かっちゃったから…俺…あの頃みたいな、独りぼっちにはなれないっ…て思う」
「うん」
怖いけど
父さんも母さんも、俺が考えてるより
ずっとずっと沢山の事考えてくれてるから
「だから、俺…迷惑かけるかもしれないけど…これからも、父さんと母さんと悠兄のとこに居たいっ…せっかくできた友達とも…~~っ…離れたくないっ…」
「離れなくていいんだよ、暁」
「警察の人、ちゃんと暁の事考えて、守ってくれるわ」
「うんっ…今がっ…幸せでっ……夢みたいでっ…」
「夢じゃないから、ずっと続くぞ?」
「暁、まだ高校生になったばかりだもの~。これから、これから!」
幸せになる程怖くなる
もう、あの頃みたいのは嫌だ
今のこの世界から出て行きたくない
どんどん欲張りになってく
ご飯を食べ終えると
父さんは、仕事放り出して来たらしくて
もう1回、沢山抱き締めてくれて帰ってった
母さんは、警察の人との話もあるしって
しばらく残る事にしてホテルを予約した
母さんに言っておかなきゃ
「母さん…」
「何?」
「あのね?俺、彼氏できたんだ」
「……え?暁…好きな人…恋人…できたの?」
「うん」
「暁…」
母さんが、ぎゅっと抱き締めてくれる
「凄いわ…暁。凄い…暁…素晴らしいわ」
「うん。ありがとう。あのね?間宮 優琉っていうんだけど…」
「間宮?あっ!暁が、1番始めに仲良くなった子って、悠稀言ってたわ!そう…その子なのね?」
「うん。昨日、皆で遊んだ後、間宮の家に寄って、その帰りだったから…間宮凄く心配してて、学校終わったら家に来るって」
「まあ!間宮君来るの?!暁の彼氏に会えるのね~♪︎」
「うん」
母さん、嬉しそう
「あ、じゃあお母さん、買い物して来るから、間宮君も一緒にご飯食べてってもらいましょ?」
「うん!」
「暁、お留守番する?買い物行くの、大変でしょ?」
少し大変だけど…
きっと、母さんが出てくの見たら
また不安になっちゃうから…
「大丈夫。近いし、一緒に行く」
「ほんとに?無理してない?」
「してない。優琉のご飯、俺も一緒に買いに行きたい」
「優琉って、呼んでるのね~。じゃ、念のため…痛み止め飲んで行きましょ?」
母さんが、ジャジャーンっと取り出した痛み止めを飲んで、買い物に行くと全然痛くなかった
帰って来て、母さんの下ごしらえの準備を手伝って
「あとは、間宮君来てからね」
「優琉、かつ丼好きだから喜ぶ」
「そう。暁、1回横になってたら?痛みは治まっても、体は怪我を治すのに頑張ってるから、疲れてるはずよ?」
「分かった。でも…母さんの傍で…寝てもいい?」
「暁~~!もちろんよ~~♪︎」
そう言って母さんは、ソファーに座り、膝枕してくれた
水無瀬 暁になってから知った、数えきれない程沢山の事
安心出来る人と居るだけで
なんで、こんなに気持ちが落ち着くんだろ
すぐに眠くなる
「…暁…来てくれて、ありがとう…沢山…沢山…頑張ってるわね?」
母さんの声が聞こえる
沢山沢山頑張ってるのは
母さん達だよ
俺を連れて来てくれた母さん達だよ
「いい子ね…暁…優しくて…いい子ね…」
母さんが、そう言いながら
優しく頭を撫でてくれるから
すっかり眠ってしまった
水無瀬 暁は
何をしても、しなくても
沢山褒められる
曽川 暁を褒めてくれたのは
悠兄を…優琉を…
苦しめる原因になった人だけだった
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