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彼氏だって聞いてるわ♪︎

ピンポ~ン ん? 「は~い!」 母さんの声だ… 明るくて優しい 今の母さんの声… 俺の母さん… 何処で何してるんだろ? 生きてるのかな 「暁~…」 「あっ…起こさなくていいです!」 あれ? この声… 目を開けると 「あっ…ごめん。起こしちゃった」 「優琉…ごめんね?心配かけて…ごめんね?」 「はぁ~っ…心配したけど、意外と元気そうで、少し安心」 「うん。全然大丈夫だよ」 体を起こすと 「寝てていいよ?顔見ただけで、だいぶ安心したから」 「うん。でも、母さんと、優琉の分の晩ごはんの買い物してきたから、食べてって」 「えっ!退院して来たばっかで、そんな事したの?ってか…え?すいません」 優琉が、母さんに向かってお礼を言う 「いいえ~。優琉君がね~、かつ丼好きって言うから、かつ丼にしようと思って~」 「かつ丼!大好きです!」 「ふふっ…じゃあ、作っちゃうわね~。暁、せっかくだから、お部屋行ったら?優琉君、お母さん居たら落ち着かないでしょ」 「いえ…そんな事は…」 「優琉、俺の部屋行く?」 「行く!」 「暁の母ちゃん、綺麗だな?兄ちゃんもイケメンだし、父ちゃんもイケメンか?」 「どうかな?分かんない」 「……歩くの…痛いのか?」 「少し…でも、全然大丈夫」 優琉とベッドに座る 「全然知らない奴に、いきなり襲われたのか?」 「いきなりだけど…全然知らない奴ではないんだ」 「そうなのか?」 「うん...ちょっと…色々…その…」 「……うん。今、言いづらい事、言わなくていいよ。ちゃんと、警察捕まえてくれたんだろ?」 「うん...」 聞きたいだろう…と思うけど やっぱり… 優琉には、出来れば話したくない 「あの…少しでいいから……抱き締めてもいい?」 「え?」 「あ…マズイよな?母ちゃん居るしな?ははっ…」 「いいよ?母さん、ちゃんとノックしてくれるし、居ても大丈夫だよ?」 「ほんと?……暁…」 ぎゅ~~っと、優琉が抱き締めてくる 「~~っ…全然…連絡なくてっ…すげぇ心配してっ…」 「…うん...ごめん」 「きっと…兄ちゃんと何かしてるんだって…連絡忘れちゃったんだって…思ってたら…大変な事になってたっ…」 「うん...すぐに、ちゃんと伝えなくて、ごめん」 「痛かったよな?怖かったよな?…~~っ…肝心な時…傍に居られなかったっ…!」 「優琉…」 優琉が傍に居なくて良かった けど 優琉にしたら… そう思うんだ 「すぐにね、悠兄が気付いてくれて、警察と救急車呼んでくれたから、たいした事なかった」 「でもっ…入院する位だったんだろ?」 「ちょっと…痛くて動くの大変だろ?って…俺、痛みに強い方らしくて…ほんとは、もっと痛がるみたいだから」 「そうなの?」 「そうみたい」 知らなかったけど… 「ふっ…暁、自分で気付いてなかったの?」 「うん」 「じゃあ…暁の気付いてない事、まだまだあるかもね?」 「そっか…自分じゃ分からない」 「うん…俺が、いっぱい見付けてあげる」 「優琉のキスが、凄く気持ち良くて、ふわふわなのは気付いたよ?」 「っ!!」 優琉の体に力が入る 「優琉?」 「暁…今…そういう話したら…~っしたく…なっちゃうから…」 「?…しちゃダメなの?」 「えっ?だって…母ちゃん、いつ来るか分かんないじゃん?!」 優琉が、俺から体を離す 「突然ドア開けないよ?」 「そりゃ…そうだけど……いいの?しても…」 「俺はいいけど…しない方がいいの?」 「俺もしたい!…けどっ…じゃあ…少しだけ…さすがに…暁の体心配だし…暁の声出たらヤバい」 「…うん」 声出たら… ああ…そっか 家帰った時、男の人が居ると聞こえてた母さんの声 確かに…聞きたくなかった 「暁…」 優しい優琉の眼差し… 優しい優琉の声… 優しく右手で腰に触れて 優しく左手で頬に触れる 不思議… キスしてないのに もう…ふわふわしてきた そっと、優琉の服を掴む 「優琉…なんか…もう…ふわふわする…」 そう言って目を閉じると 優しく唇が唇に触れてくる しばらく触れたままで ゆっくりと離れる 気持ちいい たった、これだけの行為が 何でこんなに気持ちいいのか 少し目を開けて 「優琉…気持ちいい…」 と、言うと 「~っ!…そのっ…顔ヤバいからっ…」 ヤバい? 少し泣きそうになった顔で、優琉がそう言って 何度も…何度も… 唇に…色んな角度で…色んな場所に… キスをしてくれた ふわふわ ふわふわ 「…~っ…おしまい」 そう聞こえて、目を開けると 「ふっ…気持ち良かった?」 と、少し困った様な笑顔で聞いてきた 「うん…凄く……優琉…何か困ってる?」 「ああ…暁の顔見てると、もっともっとキスしたくなるから、困ってる。けど…今日は、これでおしまい。また今度、暁が元気になったら、しよ?」 「うん…」 そう言って…優琉は、しばらく抱き締めてくれて いつもの、強い感覚がなくて ずっと…ふわふわしてた しばらくすると 「暁~!優琉く~ん!ご飯よ~!」 「は~い!行こ?」 「うん」 母さんは、ノックもせず 大声で呼んでくれた 「んまっ…!…うん…うん…んまっ!」 「そんなに、美味しそうに食べてくれると、嬉しいわ~」 「俺も美味しいよ?母さん」 「ほんと?良かったぁ」 優琉が、掻きこむ様に、凄い勢いで食べてる 「優琉君、かつ丼そんなに好きなのね~?」 「はい!」 「暁の事は?かつ丼より、ずっとずっと好き?」 「ぶはっ!…ゲホッ…ゲホゲホッ…」 「優琉!大丈夫?」 「あらあら…はい、お水」 少しして優琉が落ち着くと 「あっ……あのっ…」 「ん?」 「えっと…暁の事…好きですけど……」 「じゃあ、暁は?優琉君の事、すっごく好き?」「うん。すっごく好き。優琉の目を見たり、声聞いたりするだけで、ふわふわしてくる」 「うわっ!暁っ!いやっ…これはっ…あのっ…」 優琉が、立ち上がって、あたふたしている なんで、優琉…そんなに慌ててるの? 「そう。それは、ほんとに…すっごく好きね?」 「うんっ!」 「………あ…あれ?」 「優琉…どうしたの?トイレ?」 「暁…あれ?俺の事…」 「優琉君は、暁の彼氏だって聞いてるわ♪︎」 「……彼氏……え…彼氏って…聞いてるんすか?!」 「違った?」 え… 優琉、俺の彼氏じゃなかったの? 「違わない!違わないけど……え…いいんですか?」 「ん?何が?」 「だって…俺…男だし…」 「ふふっ…優琉君が、男の子かどうかは問題じゃないわ。目を見たり、声を聞いたりするだけで、幸せって思えるだけ、愛し合える人かどうかよ。暁…優琉君に出逢えて、良かったわね?」 「うん!」 優琉は… 凄く男だって事を気にする そんなに、普通じゃない事なんだ 「母さん…男同士は、普通じゃない?あんまり、言わない方がいいの?」 「普通はね、誰かが決める事じゃないから…凄く難しい。ただ、沢山の中の少しだと、どうしても変わってるって目で見られる事あると思う」 「ふ~~ん?」 「けどね?他の人達が何て言おうと、どんな目で見てこようと、あなた達2人が出逢えて、愛し合える事は、素晴らしい事なの。そんな風に思える人と一緒に居られるって、凄い奇跡なの。だから、自分達の気持ちを大切にして欲しいわ」 「……うん」 よく…分からないけど とにかく、俺と優琉の気持ち大切にすればいいんだ それなら、分かる 「あの…」 優琉が、ようやく着席する 「優琉君が心配するのも、不安に思うのも分かるわ。でも、私は暁の彼氏になってくれて感謝してる」 「~~っ…ありがとう…ございますっ…」 優琉が… なんで、そんなに... 泣きそうな位喜んでるのか分からない けど 喜んでるからいいんだろう 優琉が帰って 俺がお風呂に入って、母さんと話してると 「ただいま~。暁!」 「お帰り、悠兄」 「暁!…大丈夫なの?体…今日になって、もっと痛くなってない?」 「うん。大丈夫」 「そっか…はぁ~~…良かった」 悠兄にご飯を食べさせると 母さんは、 「また、明日~」 と、ホテルへ行った 悠兄がお風呂に入って ソファーの俺の隣に来る 俺の大好きなプリンを持って来てくれた 「暁…全然痛くなくはないでしょ?」 「少しは…」 「擦り傷も、お風呂滲みたでしょ?」 「そう言えば…」 「ふっ…暁は、ほんとに我慢強いな。もう、あんまり我慢しなくていいんだよ?痛かったら、痛み止め飲んで寝よ?」 もう… 我慢しなくていい そっか 我慢する事いっぱいあったから 我慢出来る様になったのかな 「悠兄…」 「ん?」 「今日、母さんに膝枕してもらった」 「それは…母さん、凄く喜んでたでしょ?」 「うん。俺も嬉しかった。あと、間宮も来た」 「あ…母さん、会えたんだ」 会えた… 会いたいと思ってたんだ 「うん。間宮、びっくりして…喜んでた」 「あ…えっと…それは、間宮君が彼氏だって、母さん知ってるって事?」 「うん。間宮が来る前に俺が言った」 「ふっ…そっか。暁は、凄いな」 「何が?」 「余計な事考えないで…素直で、凄い」 余計な事… 知らない事、多過ぎて 色々考えれないだけなのに 「悠兄…」 「うん?」 「俺の母さん、見付かるかな?」 「……どうだろうね?」 「悠兄…」 「ん?」 「母さん見付かっても…別に会いたいって、思わないんだ」 「…そっか」 「おかしいよね?ほんとの母さんなのに」 「おかしくないよ。そう思ってもらえるだけ、愛してくれなかったんでしょ?」 愛して… そんなの、感じた事ない 「うん…」 「暁には、愛してくれる人沢山居るんだから、そこに居ればいいんだよ」 「うん……悠兄…今日、一緒に寝ていい?」 「いいけど…暁、狭かったら体痛くない?」 「大丈夫」 「じゃ、一緒に寝よ?」 「うん」 悠兄の匂い 悠兄の胸の中 何度も何度も、安心をもらってきた 「悠兄…」 「ん?」 「小さい頃にね…夜、突然電気が消えてね…」 「うん…」 「凄く怖かった。母さん…次の日も来なくて…夜…暗くなる前に寝てた。寝れなくても…ずっと寝てた」 「そっか…」 「その次の日、母さん帰って来たから、言おうとしたら…疲れてるから声かけるなって言われて…」 「うん…」 悠兄が、ぎゅっと抱き締めてくる 「母さんが起きてから言ったら、なんで、そんな大事な事、早く言わなかったんだって…凄く怒られた」 「小さいのに、怒られて…怖かったね?」 「怖かった…怖かったけど…どこかで仕方ないって思ってたから…」 「…そっか」 悠兄が なでなで 頭撫でてくれる 「あの人が来てからは…一緒に居て、一緒に寝てくれたけど…嬉しかったけど…それ以上に嬉しくて…安心する事…知らなかった」 「うん…」 「悠兄に…何度…それを貰ったか…分からない」 「何度だってあげるよ」 「悠兄……」 「ん…」 「悠兄…顔……見られ……ちゃった……どう…しょ…」 「大丈夫だよ。大丈夫だから」 この匂いの中で寝ると 大丈夫って思える ほんとにかどうかなんて分からなくても 何度も何度もそう思って 安心して眠ってきたから 「はるにぃ…」 「うん…暁…」 翌朝 「ほんとに行くの?」 「うん。行けるもん」 「痛みは?」 「少しだよ」 ピンポ~ン 「母さん、暁が学校行くって言うんだ」 「そう。痛くないの?」 「学校休まなきゃならない位痛くない」 「そう。じゃあ、痛くなったり、疲れたら、無理しないで先生に言う事」 「うん」 「送り迎えするから、1人で帰らない事」 「うん」 「じゃあ、行っていいわよ」 「母さん…昨日退院して来たんだよ?」 悠兄は、まだ心配なんだ 「悠兄が、そんなに心配なら今日も休む」 「暁…」 「悠兄に、そんなに心配かけるなら、行かなくていい」 「暁……母さんの言った事、守ってくれるなら、心配じゃないよ」 「ほんとに?」 「ほんと」 「じゃあ、行く」 「うん」 母さんと一緒に学校に行くと いつかの悠兄みたいに、皆に声をかけられて 先生に挨拶をして でも、今回は 「せっかくだから、母ちゃんと少し話するから、水無瀬は教室行ってろ」 「はい」 教室に行くと 「水無瀬、大丈夫か?怪我したって?」 「あれ、水無瀬の母ちゃん?」 「どこ怪我したんだよ?」 「なんで、母ちゃん居んの?」 一気に、あちこちから聞かれる こういうのは慣れてない 「はい、はい、はい。順番に~」 「優琉…」 「暁への質問は、1つずつと決まっておりま~す」 「はい!はい!」 「はい!田沢」 「水無瀬が、怪我したのはほんとですか?」 「ほんとです」 「はい!はい!」 「はい!吉田」 「なんで、怪我したんですか?」 優琉が、自分の知ってる範囲の事で 次々と答えてってくれる 「なんだ。じゃあ、毎日誰か送り迎えすればいいんじゃね?」 「そうそう。誰かしら毎日、行ける奴居るだろ」 「んじゃ、皆で連絡取り合ってさ」 「あ…でも…その人今、捕まってるし…」 「いつ出て来るか、分かんないじゃん」 「もし…来たら……皆の顔…見られたくない…」 「なんで?」 「覚えられたら…俺だけじゃなくて…皆まで…」 静まり返った 皆…考えてなかったんだ あんな怖い思い… 皆にはして欲しくない 「んじゃ、必ず2、3人で水無瀬と歩く事にしようぜ~」 「だな~」 え? 「そうじゃなくて…皆の顔見られ…」 「俺、今日の帰り行ける!」 「俺も行ける!」 「俺、明日の朝大丈夫」 「俺も~」 「す…優琉……どうしよう…」 「いいと思うよ。いつまでか分からないでしょ?ずっと不安なまま暁も俺達も居るより、出来る事探そうよ」 「何にも関係ない皆…巻き込んで…」 「関係なくないじゃん?ここまでしてくれるくらいの友達だよ?」 「~~っ…いいのかな?…後で…大変な事に…なんないかな…」 「皆、大人じゃないけど、子供でもないよ?ちゃんと…危ないと思ったら大人に言う」 「~っ…うんっ…じゃあ……お願いします」 そしたら、きっと 悠兄も、母さんも少し安心する しばらくして、ホームルームで柿内先生が来ると 「先生~」 「何だ~?長谷」 「皆で、水無瀬の送り迎えする事になりました」 「……そうか」 「皆で、行ける奴が2、3人ずつ行きま~す」 「そうか…お前ら……いいクラスだな…」 はい、先生 「かきピー泣くな~」 「泣いてないぞっ…」 「もう泣きそうじゃん?」 「まだ泣いてないぞ…」 先生… 俺も泣きそうです 帰りは、言ってた通り 優琉の他に2人付いて来てくれて 母さんには、連絡しておいたけど びっくりして…凄く喜んでた 「んじゃ、また明日な~」 「おら、間宮も帰んぞ」 「えっ…や…俺は…」 「あら、間宮君はまだ帰っちゃダメよ」 「えっ?何で...ですか?」 「間宮君、お料理が上手だからね、手伝ってもらってるのよ。私が居なくなっても、宜しくね~」 母さん… 優琉の料理なんて知らないのに… 「マジか!」 「さすが一人暮らしは違うな」 「んじゃ頑張れよ~」 「明日な~」 「うん」 「おお」 家の中に入ると 「ごめんね~。適当な嘘吐いちゃって~。なんとなく、お付き合いしてるって、秘密かなって思って」 「その通りです…。うちのクラスの奴らならって思うんですけど…やっぱりなかなか…受け入れられる事じゃないと思うし…男子校だし…」 「秘密の恋も、ドキドキして、いいわよね~」 「え?あ…そう…かもしれませんね」 「じゃあ、お母さん、ご飯支度してるから、ごゆっくり~」 母さん…にっこにっこしてる 俺も、沢山友達紹介出来て嬉しい 「優琉、部屋行こ」 「あ…うん」 俺が、上着を掛けてると 「暁、ほんとに痛くないの?」 「うん。優琉も上着掛けとく?」 「うん。ありがと」 「暁…」 優琉が、後ろから抱き付いてくる 「何処…痛いのか教えて?」 「えっと…」 「顔とか…頭は大丈夫そうだよね?」 「うん」 「手とか…腕は?」 両手を重ねてくる 「左腕…少し痛い」 「どの辺?」 す~っと腕を触ってく 「その辺…」 「そっか…背中は?」 今度は、背中を触ってくる 「んっと…その辺と…もう少し下……その辺り痛い」 「うん...胸は?」 優琉の手が、脇から入って、胸を触る 「胸は大丈夫」 「そっか…ベッド…座ろ?」 「うん」 俺がベッドに座ったのに、優琉は座らなくて 俺の前に座った 「優琉も…」 「足は?」 「え?」 「右足は…どっか痛い?」 ふくらはぎから…少しずつ上を触ってくる なんか… 「いっ…痛くないよ」 「ほんとに?」 「うん」 「じゃあ、左足は?何処か痛い?」 同じ様に触ってくる 「その辺と…」 「うん…」 「あと…太ももの後ろ」 「ほとんど、左ばかりだね?」 「あ…うん」 太ももの辺り触られると なんか… 「他は?痛いとこない?」 「あとは、お尻。両方」 「立って?」 優琉が両手を出してくれる 手を掴んで立ち上がると 抱き付く感じで 優しくお尻を触ってくる 「ここ…どっちも痛いの?」 「うんっ…少しだけど」 「ありがとう…」 そう言って 痛いとこに力を入れない様に抱き締めてきた 「ありがとうって?」 「……こんなの…馬鹿みたいなんだけど…」 「…うん?」 「そいつに…蹴られたとこ…触りたかったんだ…」 「?…蹴られたとこ?」 「ははっ…分かんないよな?馬鹿みたいな考えだ。でも…暁を…そんな乱暴に触れて…そのままなの…嫌だったんだ…」 分からない 優琉の言ってる意味が理解出来ない けど きっと、優琉…嫌な思いしたんだ 俺も優琉を抱き締める 「ごめんね?俺…よく分かんないんだ。でも…優琉、嫌な思いしたんだよね?」 「うん…でも、暁が悪いんじゃないよ?」 「触って、嫌な思いなくなるなら、いっぱい触っていいよ?」 「ははっ…ありがと。でも、今は止めとく。まだ痛いし、止まんなくなったら困る」 「痛いのは大丈夫だよ?」 「ん…ありがと……こうして…暁の声聞いてるだけで充分」 俺もだよ これだけで 凄く幸せ 「やっぱ…髪…触ってもいい?」 「どこでもいいよ?」 「ふっ…そんな事言っちゃダメだよ」 「そうなの?」 「暁の髪…さらさら」 優琉が、俺の頭を撫でたり 髪に指を通したりしている 「優琉の髪と、そんな変わんないよ?」 「そんな事ないよ。いい匂いもする」 「優琉の髪も、いい匂いだよ?」 「そ?臭くなくて良かった」 「優琉は…髪染めてるの?」 優琉の髪は、少し茶色っぽい 「ん。明らかに染めてます!指導して下さい!って、なんない程度に」 「ふっ…考えてるんだ」 「かきピーはな、許してくれそうだけど、生活指導の先生とか、うるさいじゃん?」 「そうなんだ」 「そう」 これ… 何なんだろ ただ、服着たまま抱き合って 髪触って話してるだけ なのに… なんでこんなに… 「優琉…」 「あ…そろそろ離れる?」 「ううん…なんで…こうしてるだけで…気持ちがいっぱいになるの?」 「……え?」 「だって…キスもしてない。なのに…いっぱいになる…いっぱいになるよ?」 優琉が離れて、俺の頬を触る 「好きな人とだから…」 「だから、こうなる?優琉も?」 「うん…俺も…泣きそうになるよ?」 そう言って また、困った様な笑顔で 俺の涙を拭いてくれる 「これ…何の涙?嬉し涙なの?」 「そうだな…嬉し涙に近いかな」 「うん…いっぱい…色んな涙あるんだね?」 「そうだよ…嬉しいも、楽しいも、幸せも、1つの言葉だけど、沢山の種類があるんだよ?」 「うん…優琉…」 もう1回優琉に抱き付いて 優琉の胸に顔を埋める 胸の中も 撫でられるのも 悠兄と同じ 安心するのも一緒 嬉しいのも一緒 なのに… 全然違う ほんとだね 安心も、嬉しいも 沢山の種類があるんだ

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