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水無瀬家

ピンポ~ン ついに! 凌久が来た! 「まあ…凌久君、久しぶり。すっかり元気になったわね~」 「お久しぶりです。その節は、お世話になりました」 「凌久!ようこそ!」 「ついに来たな、水無瀬家。あ…暁…君?」 「初めまして。水無瀬 暁です。暁で、大丈夫です」 「初めまして。楠 凌久です。話はよく聞いてたけど、ようやく会えて嬉しいよ」 暁も、実際会っても大丈夫そう 凄い こんな日が来るなんて… ソファーに座った俺達に 飲み物やら、お菓子やらを出すと 「悠稀、お母さん買い物行って来るから。冷蔵庫の中にスイカ切ってあるから、いい時出して食べてね」 「分かった。行ってらっしゃい」 ふと、暁を見るけど 大丈夫そう 昨日も、母さんが買い物行った後、思い出して 「暁…大丈夫?」 一応、声掛けてみたけど 「うん。大丈夫」 全然落ち着いてた 凄いね...暁 「ふっ…兄ちゃんの顔してんなぁ」 向かいに座ってる凌久が、そう言って笑ってる 「そう?」 「やっぱ、弟の前だと違うなぁ」 凌久… 凄く優しく笑ってくれる 「あ…あの!」 突然、暁が凌久に話し掛けた 「あの…すいません……俺…おかしいから…ずっと凌久さんに…嫌な思いさせて…」 「暁…」 初めて会った人と話すの、俺達より緊張するだろうし まして、言い辛い事なのに… 暁の背中を支える様に手を当てる 「うん…普通に考えたらさ、あり得ないなって思うよね」 「っ…!…はい…すいません…」 「でもさ…俺、暁の話聞いてから悠稀と付き合ったんだ。じゃあ、あとは俺のせいでもあるよね?」 「でもっ…凌久さんと付き合ってからも…と言うか…最初から悠兄は…あんな事したくなかったのに…俺のせいで…すいません」 「暁…」 凌久に会いたいって… 凌久に謝りたいって事だったんだ 最初から… 会ったら謝るつもりだったんだ 「……正直、全く気にしてませんとも言えないし、手放しで全て許せますって程…俺、心広くないんだ。でも…会うのは初めてだけど、悠稀と付き合う前から暁の事知ってるからさ、悪いけど俺、勝手にもう1人の兄ちゃんみたいに思ってるとこあるんだ」 「……え?」 恐らくは…意外過ぎた言葉に 暁が、びっくりしている 「いや、俺だって変な話だと思うよ?でもさ…そりゃ嫌じゃない訳ないけどさ……全部細かく知ってる訳でもないけどさ……暁と悠稀が、どれだけお互いを大切だって思ってるかは分かる…つもり……それなのに…悠稀が嫌な事だって知ってても、頼むしかない位なら…しょうがないんじゃねぇの?…って思っちゃうんだから、もう自業自得の様な気がする」 「凌久…」 そうだよね 暁と会うって事は、そういう話するかもって そしたら、何て言ってあげようとか 考えてくれてたのかもしれない 「っ…ごめんなさいっ……最初から悠兄は…ほんとは好きな人とって…教えてくれてたんです……なのに俺がっ…」 「違うよ、暁?そう言っても、暁は分かってないの知ってて、俺は了承したんだ。暁は…あの時何も知らなかったんだ」 「それでもっ…俺が来なかったら、悠兄も凌久さんも…余計な事で、嫌な気持ちになる事なかった……ごめんなさいっ…」 「暁…来なかったらなんて言わないで。そんな事…言わないで」 本気で泣き出し始めた暁の背中を擦ってると 凌久が… 「暁が来なかったら、俺は悠稀と付き合えなかったかもなぁ……」 そう言った 「……え?」 「いや、いい友達とか、親友にはなれたろうけど…暁の話があったから、何て言うか…俺にだけ秘密話してもらってるみたいな…俺だけが悠稀の相談に乗れてるみたいな…特別感?優越感?そういうのあったからさ」 「それは……確かに…凌久にしか言ってない」 「俺…恋愛対象が男って分かってない奴と付き合うつもりなんて、1ミリもなかったよ」 「………え」 1ミリも… 暁居なかったら俺… 1ミリも凌久と付き合う可能性なかったって事… 「悠稀は俺のめちゃくちゃタイプだったけど、そんなの関係ない。この世の大体の人間は、男は女が好きって決まってて、周りもそう思ってる。2人で家で遊ぶ位仲良くなって…そういう話出来る位仲良くなっても…それはそれ…別に、そういう意味で男友達を好きな奴なんて居ない。もしかして…なんて、告白しようもんなら、友達解消で済めば、万々歳。下手すりゃ学校からも、社会からも抹殺される」 「凌久……そんな思い…した事あるの?」 凌久が、俺以上に気を遣うのは… そういう思い、してきたから? 「そうならない様に生きてきたんだよ。だから、どれだけ悠稀を好きだろうと、告白しようなんて1ミリも思わなかったんだ」 「じゃあ…なんで、してくれたの?」 「悠稀が…暁の事で必死になってる姿見てきたから」 「え?」 「悠稀も辛いのに…暁の事ばかり考えてて……あまりにも暁の事ばっか考えてる悠稀にイラついて…」 「えっ?!」 イラついて… 告白された理由… イラついたから… 「別に、ちゃんと付き合えなくたっていいから、その…暁として、我慢してる部分…俺で発散させるくらいなら…付き合ってくんないかな…とか…思って……ごめん…暁を利用したみたいで…」 「凌久…」 「男なんて考えられないだろうけど…そういうのなら…1回位なら……せめて思い出にとか……だって…悠稀と付き合えるなんて思わないから……ちゃんと告白なんて無理だから…」 「凌久…そんな…」 あの時の凌久… そんな事思ってたの? それであんな… なんか…よく分かんない行動… 「だから、変な話だけど…悠稀と付き合えたのは、暁のお陰でもあるし…勝手に話聞いて…悠稀と近付く為の口実にさせてもらったり…その…俺も謝らなきゃなんないから……ごめんなさい」 「凌久…」 「~~っ…そんなっ…そんなのっ…全然っ……俺利用するくらい…全然っ……あんな事してる俺にっ…謝らないで下さいっ…」 「暁…」 誰かが聞いたら、信じられない話だと思う 暁の話も、凌久の話も そして、俺達がしてきた事も けど… どこにも悪意はないんだ 皆…いつも誰かを思ってる 「ヨシ!終わり!」 「凌久?」 「俺も暁も謝った。謝罪会は終わり。どんだけ謝ったって終わらないだろ?せっかく会えたんだ。ちゃんと違う話もしたい」 「凌久…ありがとう」 「……凌久さん…あんな風に謝っただけで…俺の事…許すんですか?」 暁が、涙流した顔で 信じられないといった表情で固まっている 「あのな、もう一度言うぞ?付き合う前に知ってたんだ。許せないなら、付き合うべきじゃない。付き合ってからもだ。今さら俺が、嫌だやめろと言って、やめれる様なものじゃないのは、百も承知だ。そんで許せないなら、どうするか?別れるしかないよな?んで、俺は別れたくない。んじゃ、お前らの事許すしかないよな?」 「え?…あ…え?」 凌久の口から、次々と出て来る言葉に… 暁が、対応しきれてない 「ただ1つ!確認しておきたい事がある!」 「は…はい」 「暁は…ほんの少しでも、悠稀を…兄ではなく…保護者ではなく…恋愛対象として…見た事があるか?」 「凌久…そんな…」 「ないです」 「暁…」 暁とは思えない 凄く強い…はっきりとした言葉だった 「悠兄は…俺に初めて、ほんとの意味での安心や、愛情をくれました。悠兄が言ってた通り、俺は恋愛とか…そういう好きが分かんなかったけど……俺…今、そういう意味で好きだって思う人居るんです」 「うん…」 「その人と居ると分かります。キスも…抱き合うのも…ただ一緒に居るだけでも…他の誰とも違うって事が…だから分かります。悠兄への愛情は、悠兄がくれた愛情と同じです。家族としての愛情です」 「暁…」 真っ直ぐ… 凌久を見て… 「ふっ…良かった。やっぱ、そこは気になってたからさ。じゃあもう…何でもいいや。ただの救急措置と認定する。和解だ…暁」 「凌久さんっ…ごめんなさいっ…ありがとうございますっ…」 凌久が差し出した手に、暁も差し出すと 凌久が、ぎゅっと握る 「怖かったろ?よく、俺に会って謝ろうと思ったな?」 「~~っ…ずっと…ずっと…謝りたかったから…」 「そっか…俺も、頑張って成長してる、悠稀溺愛の暁…早く会ってみたかった」 「凌久…ありがとう」 いつの間に暁は こんなに、しっかりしてたんだろう あんなに、家族以外に しっかりと自分の意見言えるなんて びっくりした 「ぶっ…!兄ちゃん、なんかショック受けてんな?」 「え?なんで?悠兄?」 凌久が手を離すと 暁が、俺の方を向く 「悠兄?」 「何でもない。暁が凄くしっかりしてて、ちょっとびっくりしただけ」 「うん…?」 「兄ちゃんは、弟離れすんの大変そうだな~?」 凌久が、おかしそうに笑っている 「そっ…そんな事ないよ。暁の成長嬉しいもん」 「嬉しさ半分、寂しさ半分だろ?」 「それは…しょうがないよ」 「悠兄…寂しいの?」 「えっと…嬉しい寂しさだよ?」 「寂しいにも…嬉しいがあるの?」 「うん…そうだよ?暁…」 「そうなんだ…」 不思議そうな顔の暁 沢山教えたい気持ちと ゆっくり知っていって欲しい気持ちと 欲張りだな…俺… 「可愛い兄弟だなぁ…癒されるわ~…」 「え?」 「悠稀に似てる訳じゃないけど、ちゃんと悠稀の弟のビジュアルクリアだわ~…すげぇなぁ」 「ビジュアル…クリア?」 「ん…ずっと見てられんなぁ…」 「よく分かんないけど…あっ!スイカ!スイカ食べよう?」 冷蔵庫からスイカを出して 皿を出して… 凌久と暁…なんか話してる 凌久…優しい顔 優しい凌久…大好き 皿にスイカを取り分けてると 「ふっ…」 暁の笑い声? 凄い… さっきあったのに… 声…所々しか聞こえないけど 学校の話かな? 「お待たせ。はい、どうぞ」 「お~!スイカ!」 「ありがとう、悠兄」 暁…笑顔 皆でスイカを食べ始めて聞いてみる 「暁、さっき笑ってたね?何の話してたの?」 「優琉の話してた」 「間宮君の話か。それで暁、嬉しそうだったんだね?」 「うん。話したら、会いたくなっちゃった」 「きっと間宮君も、そう思ってるよ。今日、ビデオ通話してみたら?」 「うん!」 可愛いなぁ 「可愛いなぁ」 え? 俺…声出てた? と、思ったら凌久だった 「なんか、初々しいなぁ」 「うん。間宮君も、凄く優しくていい子なんだ」 「はぁ…どっかから2人を見てたい」 「うん。可愛いよね」 「?…凌久さんは、優琉と会った事ないですよね?」 「ないね。でも2人が可愛いのは分かるよ」 暁の顔に?がいっぱい それも可愛いっていうのも 今は説明したところで、分からないだろな しばらく3人で話して 暁は、すっかり凌久に心を開いて そのうち、母さんが帰って来て 「凌久君…せっかくだから、夕食も一緒に食べてかない?」 「え?えっと…いいんですか?」 「勿論!そのつもりで、買い物してきちゃった」 「じゃあ…そうさせてもらいます」 凌久と、もっと一緒に居れる 母さん、ありがとう 「暁、料理の腕、上がったんでしょ?手伝ってくれる?」 「うん!でも…まだ、そんなに上手じゃないよ?」 「いいのよ。暁と一緒に料理するのが楽しいの」 「うん!」 「悠稀、ご飯出来たら呼ぶから、部屋行ってたら?」 「うん。ありがとう。凌久、行こ?」 母さん、凌久と2人にしてくれたんだ 凄いな 俺がしたい事、お見通しだ 「ここが悠稀の部屋かぁ」 「うん。別に普通の部屋だけど」 「憧れのバスケ選手のポスターとか、絶対貼ってると思ってた」 「バスケするのは楽しいけど…何て言うか…バスケ自体よりも、皆でバスケしてる感じが楽しいから。皆みたいに、憧れの選手とかあんまり…向上心とか、あんまりなかったのかも」 「ふ~ん?その割には、人気でしたけどね~?あおはるだっけ?いくらイケメンでも、バスケ部でバスケ上手くなきゃ、人気者にはならないと思うけどね~?」 凌久が、そう言いながらバスケ部の皆で撮った写真を見ている 「凌久…」 凌久の後ろから抱き付く 「ごめん。ちょっとイジワルだったな…」 「ううん…バスケしてるとこ…暁だけじゃなくて、凌久にも見て欲しかった」 「久しぶりの宇沙美とのバスケ…楽しかったか?」 「……楽しかった」 「そっか。浮気だな…」 「え?」 くるりと向きを変えると 「ふっ…冗談。良かったな?皆、喜んでたか?」 そう言って、抱き締めてくれた 「うん…皆…喜んでて……凌久…ごめん」 「ほんとに良かったって思ってる…悠稀が楽しい事、俺のせいで我慢しなくて済んだんだから。けど…悠稀の楽しい事が、俺じゃなく宇沙美となんだって……ガキみたいな、しょうもないヤキモチ…」 「うん……ありがとう。言ってくれると、安心する。凌久が…ヤキモチ妬いてくれて、嬉しい」 「ふっ…ひっでぇ彼氏…」 そう言って、凌久が少し離れて、俺の顔を見て 前髪を避ける様に触って そのまま、頬や耳を撫でてくる 「凌久…会いたかった」 「俺も…」 「たった何日かなのに…凄く会いたかった」 「俺も…」 「凌久…凌久…名前…呼んで?」 「悠稀…会いたかったよ」 「んっ…」 凌久の匂い 凌久のキス 俺の大好きな 凌久のキス もう…どれくらいしてきたろう 数えきれない程してきたのに 全然慣れない いつまで経っても 気持ち良くて…気持ち良くて… きっと…ずっと好きだから 好きが、どんどん増えてくから そして…多分… 凌久の好きも… 増やしてくれてるから 「悠稀…座ろっか?」 「~~っ…んっ…」 いつものごとく… 凌久に、しがみ付く以外動けなくなった俺を その場に、そっと座らせる 「ごめん。久しぶりの悠稀に…ちょっとセーブ出来なかった」 「~~っ…思い…出させ…ないでっ…」 「ふっ…ごめん…よしよし…落ち着け~…落ち着け~」 凌久が、ゆっくりゆっくり、背中擦ってくれて 少しずつ落ち着いてく 「凌久…戻る時期、同じ位でしょ?次、いつ会えるかな…」 「俺は、悠稀みたいにバイトある訳じゃないし、いつでも会えるけど?」 「じゃ…じゃあ…戻った…次の日会える?」 「悠稀と暁が、大丈夫ならな?」 「大丈夫…早く凌久に会いたい…」 「ふっ…今、会ってんじゃん?」 「んっ…離れたくない…」 こんなんじゃ、全然足りない 何日も会えなくて、やっと会えたのに もっともっと…もっともっと… 凌久と一緒に居たい 「じゃあさ、暁みたいにビデオ通話しよ?」 「え?」 「あっち戻って、また会うまで」 「~~っ…しない」 「えっ?!まさかの拒否?!」 「凌久の顔見たら…もっと会いたくなっちゃう…」 「あ~…分からんではない…けど、悠稀の顔見て、声聞けるのは嬉しい」 「………じゃあ…普通に電話する」 「ははっ…やっぱビデオ通話は、やなんだ。いいよ。毎日、電話しよ?」 自分で言うのも変だけど 俺って、結構我が儘言わないし そんなに何かに執着したりとか 今までなかった気がする けど… 凌久と付き合う様になって知った 俺って、結構我が儘だ そして、欲張りなんだ 「凌久…もっとキスして欲しい」 「え……あ~……う~ん……」 え… 凌久…困ってる なんで… なんか…変だった? あ…せっかくビデオ通話しようって言ってくれたのに、断わっといて キスしようとか言ってるから? 自分のしたい事ばっかりで 俺の我が儘ばっかりだから? 「ごめん…大丈夫。あと、ビデオ通話…せっかくだし、しよ?」 「え?なんだ?急に…」 「俺の為に言ってくれたのに、断わったりして、ごめん…」 「いや、悠稀を喜ばせる為なのに、悠稀がしたくない事したって意味ないじゃん」 「~~っ…でも、それじゃ…俺ばかりが我が儘で…凌久我慢ばかりして…そんなんじゃ…いつか俺…凌久に…嫌われるっ…~~~っ…」 凌久に嫌われる 自分で放った一言が 思った以上の威力で… 「なっ…?!ちょっと…なんで泣くんだよ?!嫌わないよ…そんなの、我が儘に入んねぇよ…嫌わないって…泣くなよ」 「うっ…凌久にっ…嫌われたくないっ…」 「だから、嫌わないってば、想像で泣くな」 「俺っ…ほんとは…こんなんじゃないっ…我が儘でも…欲張りでもなくてっ……なのに…~~っ…凌久の前だと…そうなるっ……1番見せたくないのにっ…」 欲しいものも、自分の意見もある けど、それが叶わなかったからって 他の人に取られたからって そこまで大きな感情持った事ない 別のものでも、自分が思ってた通りじゃなくても 別にいいかな…って思えてたんだ そういう… 優しさとか、余裕とか… 1番凌久に見て欲しいのに 凌久の前だと…上手くいかない 自分をコントロール出来ない 「そんなの…嬉しいでしかないよ」 「っ……え?」 「我が儘じゃなくて、欲張りでもない悠稀が、俺の事に関しては、我が儘で欲張りになるんだろ?優しい悠稀が、余裕なくしちゃう位…俺の事好きって言ってくれてんだろ?そんなの…嬉しいでしかないよ」 そう言って、俺の首筋にキスをしてくれる 「……めんどくさくない?嫌にならない?」 「ならないってば…悠稀の、俺だけ…もっと見せてよ。優等生で優しい水無瀬君は、皆知ってんだよ。そうじゃないとこは、俺しか知らないだろ?」 「んっ…凌久の事だけ…上手く自分をコントロール出来ない」 「嬉し…俺だけの悠稀…好きだよ?」 「んっ……ぁっ…凌久…」 鎖骨の辺りまで下りたキスは 1ヶ所で、急に強くなる 凌久が…凌久のものだって印を付けてくれる 俺に…刻まれる その行為に…体が、頭が…痺れる 「凌久…もっと…はぁ……もっと…」 「~~っ…今日は…ここまで」 「……え」 デジャブ やっぱり…なんか… 「凌久…お願い。ちゃんと教えて欲しい。俺の我が儘が嫌なんじゃなかったら、どうしてキスも…キスマークも…それ以上してくれないの?分からないままは…怖い…」 「え?…いや……それはさ…だから……」 凌久が、視線を逸らす 何か…言い辛い事? 「言って?何でも聞く。これからも分かんないままは…やだよ」 「いや…だから、そういうんじゃなくて…」 「そういうんじゃなくて?」 「………あ~~…だからさ……」 凌久が、頭をポリポリ掻きながら 言い辛そうに話す 「俺、すっげぇ欲求不満なんだよ」 「……え?」 欲求…不満… 「そんで、すっげぇ悠稀不足な訳。なのに、中途半端に手出しちゃったら、止めらんない。ここ、悠稀の実家。下におばさんと暁居る。そんな状況でヤるのは、流石にヤバいだろ?」 「そんな状況で…やるのは……や…?!」 ようやく、凌久の言いたい事を理解した俺は ほんの一瞬、ここで凌久と…なんて想像してしまって… 恥ずかし過ぎて、固まった

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