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ホットケーキの後

優琉と過ごす2日目 「暁…ジャジャ~ン!今日は、ホットケーキミックスを持って来ました~!」 「ホットケーキ!」 「好き?」 「うん!」 「お昼、一緒に焼いて食べよ?」 「うん!」 優琉が買って来た物を、冷蔵庫に入れていく 「色々買って来たから、色々乗せて食べよ?」 「いっぱい食べたいけど、何枚食べれるかな…」 「な?大食いの人達羨ましいよな?」 「うん…でも、毎日あれは大変だね?」 「そうだな?」 ソファーに座ると 「暁、暁…今度さ、靴買おうと思ってんだけど、どっちがいいと思う?」 「俺…あんまり、そういうの、分かんないよ?」 「分かんなくてもいいんだって。暁の好み。1つの参考までにさ」 「う~ん…どっちも格好いいね?」 「だろ~?迷っちゃって、決めれないんだよ…」 ほんとに困ってる感じ 靴買うのに、こんなに悩んだりする事あるんだ なんか…可愛い 「ふっ…」 「え?なんで笑ってるの?」 「なんか…優琉が可愛いから」 「えっ?…そっ…そう?…暁は、あんまり悩まないの?」 「うん…分かんないから、母さんや悠兄に選んでもらってる。俺が選ぶ物は、オジサンっぽいんだって」 「えっ?!そうなの?!」 「うん…だから、俺に聞かない方がいいよ?」 優琉が、ちょっと慌ててる 俺には、何が、どうしてオジサンっぽいのか、まるで分かんない 「そっか…暁によく合う服達は、母ちゃんと兄ちゃんのセンスだったか…」 「うん。水無瀬になる前は…服を買うって事…ほとんどなかったから…」 「暁…じゃあ、今度服買う時、俺も誘って?」 「え?」 「暁の服、俺も一緒に選びたい」 「うん!」 服なんて気にした事なかった 寒かったり暑かったりするのに、合わせて 擦り切れたり、小さくなってしまうと、着る物が少なくなって そのうち、母さんが、どっかから持って来る あれは、貰い物だったのか、リサイクルショップとか行って…はないか 多分、貰い物だ 少し汚れてたり、縮んでたり 着れる物が増えるだけ、ありがたかった 「さてと…やりますか!」 「うん!ホットプレート?」 「え?ホットプレートあるの?」 「あるよ。母さん、絶対必要だからって、置いてった」 「やった~!ホットプレートで焼こう!」 優琉と、ホットケーキを焼いていく 「この位かなぁ…もうちょいかな…」 「この位にしとこっか」 「だな…あっ…垂れる垂れる…」 「えっ!待って…はぁ…セーフ」 優琉と、1枚ずつ焼いていく ただ、それだけなのに、凄く楽しい 「出来た~!じゃあ、好きなの載せて食べよ~」 「うん」 メープルシロップ、チョコレートソース、バナナ、ブルーベリーソース、バター、チーズ、ツナ缶にマヨネーズ… 「んまっ!」 「うん。どれも美味しい!」 「俺、1枚半分ずつにしよ。ツナマヨと、メープルシロップ……んまっ!混ざってる部分も、旨っ!」 「俺は、バナナとチョコと、メープルシロップにしよ…美味しい!」 「それ、絶対チーズも合うって!」 「え?ここに?」 「絶対合う!」 優琉と、話しながら作るホットケーキは どれもこれも、ほんとに美味しくて きっと1の美味しいが、10くらいになってて… お腹いっぱいで、後片付けしたら 「なんか、眠くなってきた~」 「俺も…ベッド行って、お昼寝する?」 「ん…そうしよっか」 ベッドにごろんと2人横たわる 「さすがに、食べ過ぎたぁ…」 「最後の1枚ずつが…苦しかったね?」 「でも、またやりたいな」 「うん。またやろ?」 2人で抱き合って、そのまま眠りに就いた 「はっ…はっ…~~~っ…暁っ…」 「優琉…大丈夫?」 「んっ…初めて…なのに…全然痛くないっ…気持ちいっ…」 「良かった…」 「なんで暁っ…そんな上手なの?」 「え?」 「初めてじゃ…ないみたい…」 挿れるのは、初めて… けど… 挿れられる側は…よく知ってるから… 「は…初めて…だよ?」 「あ…そっか……暁の母さん…そういう仕事…してたんだっけ…」 「……え?」 「だから…暁…こんな上手いんだ…」 「ち…違…」 違う… 母さんは関係ない 「暁も…そういう仕事するの?」 「え?…し…しないよ…」 「なんで?凄く合ってるよ?」 「や…やだ…」 「やだって言っても…ほら…暁…凄く気持ち良さそう…」 「……え?」 「好きなんでしょ?セックス…色んな人と…沢山したいんでしょ?」 違う! 好きじゃない! セックスなんて好きじゃない! あんな事して… あんな風に生きるの…やだ! 「俺も…その中の1人?」 「違う!」 「暁にとっては…沢山の中の1人なんでしょ?」 「違う!違うよ…」 「だって…暁…ほんとは初めてじゃないでしょ?」 「え……?」 「分かるよ…俺は…どれだけの中の1人なの?」 「違う…優琉は…違う…違うからっ…違うんだっ…」 「暁…暁…」 「……え」 「暁…」 「あ…優琉…」 「大丈夫?うなされてた」 夢… 夢だったけど… 「優琉…」 優琉に抱き付く 「暁?怖い夢だった?」 「……ん」 怖い… いつか…知られるかな… 知られたら… 優琉は俺の事… どう思う? 「大丈夫だよ、暁」 「優琉…」 「ん…」 「俺……」 「ん?」 「俺……っ…優琉に…」 「俺に?」 隠してる事ある きっと…聞いたらびっくりして… 俺の事… 「~っ…話してない事あるっ…」 「え?……あ…うん」 「でもっ……」 今、話す勇気ない… 「暁…大丈夫だよ?俺だって、何もかも話してる訳じゃないんだし…」 「でもっ…俺は…俺のは…」 知られたくない 優琉だって知らない方がいい でも… ずっとずっと、優琉に隠してくの? 「暁…大丈夫。大丈夫だよ。きっと暁…俺よりは色んな事、乗り越えて来てるんだろなって思うから…言えない事とか…言いづらい事あると思う。でもさ、急に全部はお互い無理だよ。少しずつ知ってこう?」 「少しずつ…」 「うん。別にさ、全部知らなきゃならない訳でもないし、きっと…知らなきゃならない時は…話しづらいなと思っても…話す事になるよ」 話さなきゃならない時… いつ? 今は…まだその時じゃない? 「優琉…」 「暁…ねぇ、暁…俺とこうしてるの…嬉しい?」 「ん…」 「俺も。暁と、こうしてるだけで幸せ。とりあえず、それで良くない?」 「優琉…」 それでいい これだけでいいから ずっと…優琉の傍に居させて 汚ない俺に気付いて… 離れてかないで… 満腹で寝たら、2人して睡魔に襲われて 暁とベッドで熟睡してた そしたら、暁がうなされ始めて 「……やだ……違う」 起こそうとした時… 「セックス……好きじゃない…」 ……え? 「違う……違うから……」 セックスって…言った? 「暁…暁…」 起こしてあげると、抱き付いてきた ここのとこ… 暁の反応が可愛いくて、嬉しくて 手…出し過ぎた? 男同士のなんて教えたから 不安と恐怖で あんな事口走る様な夢見て、うなされた? とか、色々考えてたら 「俺……っ…優琉に…」 「俺に?」 「~っ…話してない事あるっ…」 話してない事… このタイミングで…そのカミングアウトは… セックス…好きじゃない つまり 好きかどうか経験済み? 暁…セックス…した事ある? 俺に抱き付いて、泣きそうな暁を なんとか落ち着かせる言葉を探して… 大丈夫だよって言いながら けど… 俺の頭ん中は 全然大丈夫じゃなかった 好きじゃない つまり… した事あるけど 気持ちいいとか… いい思いをしなかったんだろう 誰かに… 無理矢理…された? 暁が、初めてじゃなかった衝撃よりも あんな風に… 泣きそうになってしまう思い出を… 誰かに作らされてしまったのかもしれない事が… 俺とセックスする時… それを思い出させてしまうのかと思うと… そもそも… セックスしたくないのかもしれない ほんとは… 触られたりするのも嫌なのかもしれない 俺が嬉しそうにしてるから 暁… 我慢してたんじゃ… 「暁…」 「ん…?」 「あのね…正直に答えて欲しいんだ」 「っ!」 あ… ビクッてなった 「大丈夫。怖がらないで?」 優しく、暁の頭や背中を撫でる 「ほんとは…」 ぎゅって、俺の服握ってきた 「俺に触られたりするの…不快だったり、怖かったりする?」 「………え?」 あ…力抜けた 「暁が言えてない事は分からないけど…知らないからって、暁が怖くなったり、不安になる事はしたくないんだ。だから…いくら俺が嬉しそうだったり、喜んでても…言いづらくても…そこは頑張って言って欲しい」 「違う…優琉に触られて、怖いなんて思わない」 暁の反応からして、俺も我慢してる様には見えない けど… まだまだ俺の知らない暁が居るから 「うん。でも、もしそう思ったら、頑張って言って?暁が我慢してるのに…俺1人で浮かれてたなんて、後から知ったら…凄いショックだから…」 「~っ…分かった…でも…今は全然そんなの思ってない…ただ……優琉の知らない俺…知られるのが…っ…怖いだけっ…」 「うん…俺も…まだまだ、よそ行きの俺しか、暁に見せてない。これから色んな俺知ったら、がっかりされるかも…」 「しないよ…俺より…汚ない人…居ないから…」 汚ない人… そんな風に思ってるんだ 何…されたんだろ… いつ…何処で…誰に… けど… もう、その時の暁を助ける事は出来ないから 今さら、それ知ったって、俺に出来る事ないから… その時のせいで怯えてる暁を支える 汚なくなんかないよ 暁は… 誰より綺麗だよ 出来れば暁とセックスしたい 2人で、気持ち良くなりたい けど… 暁が気持ち良くないなら、いらない セックスしなくたって こうやって、2人で居るだけでも幸せなんだから 暁が幸せじゃないなら意味がない ゆっくり…少しずつ… 暁が、あんな寝言言う様な夢見なくなる様に 暁の知ってる部分だけでも 救える様に… 「暁…好きだよ」 「~っ…俺も…優琉…好き」 「ん…暁…大好きだよ」 「俺もっ…優琉っ…大好きっ…」 「ん…暁…暁…」 「優琉っ…」 だって、俺達まだ知り合ったばかり 付き合い始めたばかり 知らない事の方が多くて当然だろ? 知らない事不安に思って当然だろ? まだまだ…これからだよ…暁…

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