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ちゃんと好きになってる

びっくりした びっくりしたけど… そっか…って思った 暁が、汚ないみたいに思ってるのも セックスが嫌いなんて思ってるのも 多分… したくもないのに、させられてたんだ 一体何歳から… どんな事させられてたんだろ 俺… 暁の事好きだけど 男とか、あんま気にする方じゃないけど それでも、男とする為の準備とか 怖いと思うよ 好きでもない人と… そういう事の意味、分かってる歳だった? きっと、相手だって好きとかじゃ…ないよな 好きじゃない男の子相手に… どんな事させる? 暁…どんな事させられた? 「暁…」 少し汗の匂いがする暁の頭にキスをする 俺が好きだって言った時 よく分かってなかった 自分が好きな気持ちも よく分かってなかった キスは…気持ち良さそうだったけど 抱き締められるのも…気持ち良さそうだけど 肌…触れられるのは… ほんとは、怖かったのかな 怖いじゃなくても 一般的なのとは別の 不安とか…緊張とか… 「?間宮は、怖い人じゃないから、触られても怖くないし、嫌じゃないよ?」 怖い人に… 触られたのかな 怖い人に… セックス…させられたのかな 「俺…こんな風に跨いで、怖くない?」 「怖くない」 「ほんとに?」 「うん」 ほんとだったかな ほんとは暁… 色んな事… 沢山我慢してたんじゃ… 怖くないって思ってる頭の隅で 怖い事思い出して 気持ちいいって思ってるどこかで 自分の事汚ないって思って そんなの… 俺に言える訳ない 知られたくない 知って… 嫌な気持ちになって欲しくない 暁… ずっと、そんな気持ちだったんだ 「暁…」 ほんとに一生懸命生きてるんだ なんとなく、適当に生きてる日なんて 俺は、沢山ある 暁は… 暁は、ずっとずっと 一生懸命生きてきて 「暁…凄いね?強いね?」 「……すぐ…る?」 「ははっ…頑張り過ぎだよ暁…たまには休まなきゃ…」 「……ん…ありがと…」 顔も上げずに、寝惚けて答えた暁が また、大人しく俺の胸の中で眠った あんな状態になったのに 俺は家族じゃないのに 知り合って、まだそんな経ってなくて 恋人になったばかりなのに 俺しか居ないのに落ち着いてくれた事に安心する 寝惚けてるんだろうけど 俺の胸の中で、また眠ろうとする事に安心する 暁のほんとの気持ちなんて 俺には、きっと一生分からない 1つずつ暁を知って 向き合ってくしかないんだ どんな人と…どんな人達と… どんなセックスしてきたのか知らないけど そいつら…許せないけど… それで、暁の事汚ないだなんて思わない 今の家に来たの中1って言ってた その前には…もう… そんな事させられて そんなの人間不信になったり 自暴自棄になったり なのに、一生懸命生きてる暁は それでも、人に優しく出来る暁は 誰より綺麗だって思う 気付いたら、優琉が居なくなってた 起きて、リビング行くと 「暁…起きたの?」 「悠兄…」 悠兄が居た 「間宮君、暁寝ちゃったんだって帰ってったよ?」 「うん……悠兄…」 悠兄に抱き付く 「…暁…何かあった?」 「悠兄…」 「うん?」 「…俺……俺……優琉に…~~っ!」 「暁?」 どうしよう… もう、終わりだ まさか、優琉に言っちゃうなんて… 「暁?大丈夫?」 「~~っ…俺……優琉にっ…」 「うん…」 「~~っ…セックスしてってっ…言ったっ…」 「……それは…暁が、間宮君としたいと思ったなら、言ってもいいんだよ?」 「っ…そういう…気持ちからじゃなくてっ…」 「……暁…なんか…不安になっちゃったの?」 「~~~~っ!」 どうしよう どうしよう もう… どうしようもない 俺が言ってしまった事なんだ どんな理由だって そんなの…言ってしまうのが…俺なんだ 「暁…間宮君と…したの?」 悠兄が、ぎゅって抱き締めながら聞いてくる ぶんぶんと首を振る 「暁…しないで…落ち着いたの?」 「~~っ…優琉…凄くびっくりしてたのにっ……いいよ…出来るとこまでしよって…言ってくれたっ…」 「…そっか」 「そんな風に…言ってくれるっ…優琉とっ……しちゃダメだって…思って…」 「暁…あんな風になった時…俺も居なかったのに…そんな風に思えたの?」 だって…だって… 優琉の優しさが… 「優琉…俺の色んなとこ褒めてくれてっ…」 「うん…」 「全然…当てはまらないんだけど…優琉っ…優琉を好きになった俺が好きって…言ってくれてっ…」 「…そっか……良かったね…暁」 「優琉…ずっと、抱き締めたまま…俺の事、好きって言ってくれて…」 「うん…」 「~~っ…どうしよう……きっと…優琉に気持ち悪いって思われた……きっと…もうっ…~っ…嫌われっ…」 言った方がいいなら 優琉に隠す気なんてなかった 優琉が知りたいなら 知った方がいいなら けど… あんな形で知られるなんて あんな俺… 知られたくなかった 「暁……そうだね…自分が好きじゃない自分を知られるのは…怖いね……でも、間宮君の事好きなら…最後まで頑張ってみようね…」 「最後…まで?」 「うん…間宮君もきっと…暁の事が好きって気持ちと…色んな事知って混乱してるのと…一生懸命考えてくれてる。だから、暁だけ先に諦めるのは、やめようね?」 諦めるの…やめていいの? もう…終わりじゃないの? だって俺… あんな俺…知られちゃったのに… 「悠兄…俺…どうしたらいい?」 「暁は今、どうしたい?」 「…優琉が…どう思ってるのか…知りたい」 「じゃあ…間宮君に連絡してみよっか」 「…連絡…」 「うん。怖かったら、一緒にしよ?」 「一緒に……携帯持って来る」 「うん」 携帯を持って来て 悠兄とソファーに座る 「まずは、暁が間宮君に伝えたい事を送ろっか」 「俺が…伝えたい事…」 「うん。間宮君の気持ちも知りたいけど、暁が伝えたい気持ちもあるでしょ?」 「……びっくりさせちゃったのと…それなのに優しくしてくれたのと…」 「うん。まずはそれ、伝えよう?」 「うん」 そっか こういう時… 俺って、そういうの全然分かってないって思う 携帯を開いて、優琉の名前を出そうとして… 「っ!」 「暁?」 「…優琉から…連絡…きてる」 「……暁…一緒に見よ?」 悠兄が、俺の肩を抱き寄せてくれる 見るの…怖い 何が書かれてるんだろう 「暁…見るの怖い?」 「うん…」 「暁は…それだけ間宮君の事、ちゃんと好きになってるって事だね?」 「え?」 「暁は、ちゃんと間宮君を恋人として愛せてる。家族とも話さなかった暁が…凄いね?」 「悠兄…」 それはまるで… 間違ってないよって 今の俺で大丈夫だよって 言ってくれてるみたいで 「……み…見てみる」 「うん」 手に…汗が… 心臓が…いつもより大きく動いてるみたい 『兄ちゃん帰って来たから帰るね』 『軽はずみに、暁の触れて欲しくないとこに踏み込んでごめん』 『きっと暁が、1番見せたくないって思ってきた暁だったよね』 優琉… そうだよ 1番見られたくない俺見て… それから? その先を見るのが…怖い 「暁…見てみよう?」 悠兄が、携帯を持つ俺の手の下に 手を添えてくれる 恐る恐る スクロールすると 『暁が今、どんな気持ちなのか、俺には想像もつかない』 『だから、俺の気持ちだけ伝えとく』 『びっくりした』 あ… そうだよね びっくりして… それから… 『びっくりしたけど』 『暁が、どんな人達と、どんなセックスしてたって、暁の事好きなのは変わらない』 優琉… 俺が…セックスしてたって… 『まだ、ちゃんと頭の中整理出来てないけど』 『明日も暁に会いたいし、抱き締めたいし、キスしたい』 『いつかは…暁とセックスしたい』 『暁は?暁は…俺に知られて、俺に会いたくなくなった?』 「~~っ…優琉っ…」 「暁…返さなきゃ。間宮君、きっとずっと待ってる。暁の気持ち、伝えなきゃ」 「うんっ…」 「上手く文字に出来なかったら、電話でもいいし…」 「うんっ…」 「暁、伝えれるね?俺、お風呂入ってくるね?」 「うんっ」 そう言って 一度俺を優しく抱き締めて 悠兄は、席を立った 優琉の優しさと… 悠兄の優しさで… 全然文字が見えなくて 俺は… 優琉に電話した 「もしもし?暁?」 「っ…優琉っ…」 「暁…泣いてるの?」 「っ…優琉っ…ありがとう」 「え?」 「明日…もっ…会いたいからっ…優琉と…居たいからっ…」 「ほんと?俺に会うの…気まずくない?」 「~~っ…優琉にっ…会えなくなるって…怖かっ……良かった…」 「暁…」 あんなの… 悠兄だから、受け入れてくれた 他の誰も あんな俺… そう思ってたのに 「優琉にっ…抱き締められるのっ…好きっ…だからっ…」 「うん…また…抱き締めていい?」 「うんっ…キスもっ…好きっ…」 「じゃあ、また…キスしていい?」 「優琉がっ…俺の事っ…気持ち悪くなかったら…何してもいいっ…」 「暁…気持ち悪くないよ。けど、何してもいいなんて、言っちゃダメだよ?ちゃんと2人で話し合っていこうね?」 2人で話し合って… そうしていくものなの? 優琉なら 何だっていいのに 何されたって 何させられたって 「優琉っ…~~っ会いたいっ…」 「っ…暁…俺もだよ」 「っ…優琉っ……優琉っ…」 「ん…」 この沢山の気持ちは どうやって伝えたらいいんだろう 伝えられないと溢れちゃうのに 「暁…好きだよ」 「あ…俺も…俺も好き」 「ありがと…暁…好き…好きだよ」 「~~っ…優琉っ…好きっ…優琉が…好きっ…」 「うん…暁…暁が好き」 名前と、好きって言葉だけで なんか…色んなものが伝わる気がする 不思議… 気持ちが…落ち着いていく 「大丈夫?暁…」 「うん…突然電話して、ごめん」 「ううん…暁の声で直接聞けて嬉しかった。しばらく避けられちゃうかなとか…思ってたから」 「っ!ごめんっ…俺…さっき起きて…ごめんね?」 「全然。見て、すぐに連絡してくれたんでしょ?暁の、素直な気持ち聞けて嬉しいよ」 「うん…」 「暁…また明日ね?」 「うん。また明日」 「間宮君の事、ちゃんと好きになってるって事だね?」 いつの間に俺は、こんなに好きになってたんだろう? 好きも、よく分からないまま付き合い出したのに 優琉に嫌われるのが 優琉と離れるのが こんなにも怖い ちゃんと… 誰かをちゃんと好きになれてる そんな自分が… ほんの少しだけ、凄いって思えた

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