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プロポーズ

悠稀が…変だ 家に来た時は、いつも通り嬉しそうだったけど なんだか、ぼ~っとしている 暁と何かあったのか? まあ、何もしてなくても ただ、ぼ~っとしてるだけで絵になるから、いいんだけど 今日は、このまま悠稀の鑑賞してようか なんて思ってたら バチッと目が合って 「あ…凌久…俺、ぼ~っとしてた」 と、報告してきた 今気付いたのか? ずっと、ぼ~っとしてたぞ? 「何かあったのか?」 「ううん…別に何かあった訳じゃないんだけど…」 「ないんだけど、何か気になるのか?」 「……暁が…大人になってる」 「あ?彼氏とヤったのか?」 「ちっ…違っ…」 何故、そんなんで 俺の前で赤くなるんだ 可愛い奴め 「じゃあ何?体つき変わったとか…あそこの毛は、さすがにもう生えてたろ?後は…」 「違うってば!そういうのじゃなくて!暁が…一緒に寝ない…」 「…はあ?毎日一緒に寝てたの?」 一緒寝たら、体触れるじゃん 体触れたら 生理的にヤりたくなんねぇの? 「違うけど…何て言うか…暁の中で、ちょっと不安な事とか…泣く様な事があったりとか…そういう時は、一緒に寝たいって言ったり、夜中に俺のベッドに入って来てたんだ」 「へぇー」 仲がよろしいようで… 「昨日…寝る前に暁、泣いてたから…」 「えっ?なんで?…あ…いや…」 普通に聞いてしまった 「なんかね…暁ね…間宮君に、被害者って言われたみたいでね…」 「え…」 なかなかズバッと言う彼氏だな と、思ったけど 話聞いてると そっか… そりゃ、何も思わないで言う訳ないよな それを言えるって ほんとに暁の事好きで 本気で考えてくれてんだろな 「高1だし、なんかもっとショック受けて、暁の気持ちどころじゃなくなりそうなのに、随分しっかりしてんだな?」 「うん…間宮君は、ほんとに優しくて、暁の事考えてくれて…ほんとに、いい人に出逢えて良かったねって思ってる…」 思ってる… けど、俺から離れちゃったから寂しい? 「ぶっ…!」 「え?」 「いや…悪い…くっくっ…なんかさ…幸せな悩みだなと思って」 「幸せな…」 「悠稀から初めて暁の事聞いた時は、弟とセックスしてんだって泣いてたのにさ、弟が一緒に寝てくれなくなったんだって、それが悩みだなんてさ…」 「あ……」 悠稀が、はっとした様に俺の顔を見る 気付いてなかったの? 悠稀…そんなに暁との関係変わってたんだな 完全にって訳じゃないかもだけど 暁とのセックスも なくなってくんじゃないか? …って、俺の願望だけど 「暁が離れてくの、寂しいか?」 「寂しい…のかな…俺のとこ来なくても我慢出来る様になっちゃって、大丈夫かな…って気持ちだと思ってたけど…俺…寂しいのかな」 「ふっ…おいで?弟に捨てられたお兄ちゃん」 「捨てられた訳じゃないよ!」 必死かよ 寂しいんだろ? 急にやって来て、急に兄ちゃんにならなきゃなんなくて とんでもない事言ったり、やったり それでも2人で泣きながら、ここまで来たんだから そりゃな…普通の兄ちゃんの感覚じゃねぇよな… 「暁が大人になれたのも、いい人に出逢えたのも、悠稀が頑張ったお陰だろ?」 「俺も頑張ったけど、1番頑張ったのは暁だよ」 「2人で頑張ってきたんだろ?だから…彼氏と頑張り始めた暁を見てると、寂しいんだろ?」 「……そうなのかな……そうなの…かも」 あ~… 耳垂れてんなぁ しっぽは?下がってんなぁ 「悠稀は?暁が彼氏君とこ行っちゃって、誰と頑張るの?」 「え?誰と…頑張る?」 「俺と…頑張ってくれないの?色んな事あっても、これからも俺と一緒に居てくれないの?」 「い…居る…凌久と居るよ!何があっても…どんな辛い事あっても…凌久と一緒に頑張って生きてくから…いつまでも一緒に居てね?」 「え…」 なんかそれ… ちょっとプロポーズっぽくない? 悠稀は…絶対そんなつもりで言ってないだろうけど ちょっと…照れるんですけど… まともに悠稀の顔見れなくて、顔を逸らすと 「……凌久?」 「あ…うん」 「…え?凌久…やなの?」 「え?やなの?って?」 「凌久……ずっと俺と一緒…や?」 「え?」 悠稀の顔見たら 今にも泣き出しそうな顔して、こっち見てた 「違う!やじゃない!」 「…ほんと?」 「ほんと!ちょっと…照れ臭くて、顔逸らせた」 「照れ臭くて?」 「~~っ…なんかっ…ちょっと……プロポーズみたいだなとか…思っちゃって…それで……勝手な妄想だけど…なんか、悠稀の顔…まともに見れなくて…」 恥ずっ… 何の解説してんの?俺… でも、悠稀泣きそうだし… 「凌久…俺がもし、プロポーズしたら…喜んでくれる?」 「えっ?!えっ?!プロポーズ…えっ?!」 待って… ちょっと待って 全然心の準備出来てないから だって 俺の人生にプロポーズは…関係ないものだから 「凌久…」 悠稀が、俺の左手を取る 「え?」 王子様なんだけど… 「俺は、凌久を沢山沢山泣かせてきました」 「え?」 プロポーズの練習? プロポーズって、こんなんだっけ? 「凌久は…優しくて優しくて、どれだけ泣いても…俺のせいで…~~っどれだけ…辛い目に合ってもっ…俺を愛してくれるの、やめませんでした」 「悠稀…」 悠稀が俺の左手、両手で持って おでこを付けてくる 「ほんとは、凌久の人の伴侶になる人は、凌久と同じくらい強くて優しい人がいいって、分かってます……けどっ…~~っ…けど、俺がいいです…全然凌久には、相応しくないかもしれないけど…~~っ凌久を…他の人にあげたくありませんっ…俺がいいですっ…俺にして下さい…」 何… 練習で、泣きそうになってんだよ? 「……そんなプロポーズ、聞いた事ねぇよ。水無瀬 悠稀のプロポーズだぞ?もっと、堂々として、格好よくビシッと決めるんだろ?」 きっと悠稀のプロポーズを受けるのは 俺じゃないだろう 悠稀の愛情は疑わないけど 大人になって、社会人になるって きっと難しい事だ でも プロポーズもどきでも 全然、ビシッとしてなくても すげぇ嬉しい 「凌久…愛してる」 簡単に、サラッと言っちゃうんだからな 「ありがと。俺も、愛してるよ?悠稀」 すげぇ恥ずかしいんだぞ? 悠稀には、分かんないだろ 「凌久…」 俺の左手の甲にキスしてくる ほんと… 1つ1つ絵になるよな 「凌久…キスして?」 「キスだけでいいの?」 「凌久の…全部欲しい」 「いいよ…悠稀に全部あげる」 先の事が分からないのは、皆同じ 男女だって、少し先も笑ってるとは限らない だけど 友達や、同僚や、上司や… 色んな人に堂々と言える 恋人が居ますって 悠稀を見てれば分かる 絶対…子供好きだ そして、絶対…幸せな家庭似合ってる 俺には… どう頑張ったって、それは無理だ 「はぁっ…凌久…大丈夫?」 「んっ…気持ちいっ…」 悠稀が、後ろから声を掛けてくる どんだけ重ねても どんだけ気持ち良くなってても 必ず毎回… ぽた…ぽたぽた… ああ… 悠稀の顔見ながらの時じゃなくて、良かった 「凌久っ…凌久っ…」 「んっ…ん、ん、はっ……悠稀っ…」 ぽたぽた ぽたぽた 鬱陶しいな 泣いたって、どうにもなんないのに 最初から 悠稀と初めてした時から もう既に充分貰った訳で 言わば俺は ずっとずっと 物凄いオマケを、貰い続けてる訳で そんなん ちょっと結婚出来ないからとか… 結婚…… 「~~っ…っ…んっ……はぁっ…」 プロポーズ…いいな… ビシッとしてなくたって、なんだって あんなに必死に 悠稀の気持ち乗せて… 「~~~っ…っ……はっ…」 これからも、ずっと一緒に居る約束出来て… 「~っ…うっ...…~~っ」 「凌久?…大丈夫?」 「大丈夫…だから…はぁっ…気持ちいい…から…」 こうやって…すぐ気付いて、気遣って いいな… 「うっ...うっうっ…んっ…~~っ…っ…うっうっ…」 悠稀が、隣に居るって約束出来る人… いいな… 「んっ…ああっ…?!」 え? なんで…今抜いたの? お互い、だいぶ気持ち良くなってたのに… 「凌久…」 「え?…あっ…」 どういう事?! って、普通に振り向いてしまった 「痛かった?ごめん!我慢しないで、ちゃんと言って?大丈夫?ごめんね?」 悠稀が、すげぇ心配して、俺の事抱き締めてくる 「いや…大丈夫」 「ごめんっ…まだ痛い?ごめんね?」 「悠稀…痛くないから、大丈夫」 「……ほんと?」 悠稀が、体を離して顔を見てくる 「ほんと。びっくりさせて、ごめん」 「……うん…じゃあ、なんで泣いてるの?」 「それは…悠稀の…言ってくれたの、思い出して…嬉しくて…泣いてただけ」 嬉しいのは、ほんとだ 泣いたのは その先の事、考えてだけど 「……そっか…凌久…嘘吐いてる」 「……え?」 「俺…凌久が嘘吐く時の癖…分かっちゃった」 「う…嘘…」 「凌久…嘘吐いてる。ほんとは、どうして泣いてるの?」 やっぱ聞いとくべきだった 奏の奴…殴ってでも白状させとくべきだった 俺の嘘吐く時の癖って…何だよ?

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