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久しぶりの間宮家

「暁…」 「ふっ…優琉、くすぐったい」 「ん…」 優琉が後ろから抱き締めて 髪や、首の辺りにキスしてくるから 嬉しいけど、くすぐったい 「暁…たまにはまた…俺の家にも遊びに来て欲しいな」 「そっか…悠兄に聞いてみるね」 「うん…俺さ…暁とその……出来る様に…少しずつ準備…してる」 「優琉…」 「あ、別に…したいから、俺の家来てって話じゃなくて…その…一応俺の心境?報告…です」 優琉…初めてなんだよね 俺は初めてじゃないって 優琉…分かってると思ってたけど… 「優琉…」 「あ、その…暁がしたいって思える時でいいんだからな?ただ、その時すぐに出来る訳じゃないからさ、準備だけはと思って…」 「優琉…その…俺なら…すぐに準備して…できるよ?」 こういうの…言わない方がいいのかな… 「…うん…暁の話聞いてて…多分…そうだよなとは思ったけど……暁…挿れた事もあるの?」 「それはない」 「挿れるの…嫌とか…怖いとかある?」 「……どうかな…やってみた事ないから、分かんないけど……俺がされたみたいに…酷い事…優琉にしてしまわないか…少し怖いかも」 悠兄は… 優琉みたいに、いつだって優しかったけど でもきっと 俺は、悠兄より槇田さんに近い人間だから 「俺はね…どっちも初めてだから、分からない。どっちかって言うと、男の本能的な?挿れる方がイメージはつく。けどね…話聞くまでは、暁も初めてだと思ってたから、男同士のなんて、知ったらびっくりして、出来ないんじゃないかって思ってた」 「びっくり…するんだ…」 あまりにも当たり前過ぎて そうか 男同士のって、普通びっくりするのか 「俺はさ、兄ちゃんから色々聞いてて、割りと知識があったから、するなら絶対負担の大きい挿れられる側になろうって思ったんだ。だから…少しは分かるよ。俺、この歳になっても、ほんとに大丈夫かな?って不安とか…何とも言えない異物感とか…圧迫感とか……」 「優琉…」 優琉が、後ろから ぎゅ~って抱き締めてくれる 「暁がね、挿れられる方がいいって言うなら、それはそれでいいんだ。けど…俺は暁に挿れられてみたい。暁は、好きな人だから全然違うだろうけど…暁の気持ち…少しは分かると思うから…」 「優琉…」 俺の気持ち… あんなの…分かんなくていいよ 「それにさ、せっかく恋人居るのに、童貞のままって、なんか損じゃない?せっかくならお互い1回は挿れてみようよ」 「ふっ…損…なのかな」 「うん…あと……あとさ…今日の暁見たら…その…俺の妄想以上って言うか…」 「妄想以上?」 「暁に抱かれるって思ってたから…そういう暁の妄想してたんだけど……~~っ俺の妄想よりずっと優しくて…可愛いのに格好良くて…~っもう無理だった…」 無理 なんか… 凄く沢山褒めてもらった気がするけど 無理…やだったって事? 「暁?え…呆れてる?引かれた?」 「無理って言うのは…やだって事?」 「…えっ?違う!違う違う!え?暁…」 優琉が、くるりと俺を優琉の方に向ける 「優琉?」 「良かった…泣いてるかと思った」 「泣いてないよ…けど…やだったのかなって…」 「無理ってのはね…堪えられないみたいな意味」 「堪えられない…」 「そ。暁が、俺の理想以上にいい彼氏だったから、もう堪えられない~~!無理~~!って意味」 「よく分かんないけど…いい意味の無理?」 「そう!いい意味の無理」 「そっか…良かった」 一瞬胸がドキドキした ああいう…今までしてきた事で どう思われるのかは、緊張する 「はぁ~…良かったぁ…暁~」 優琉が前から抱き付いてくる 「ごめん…言葉…よく分かんなくて」 「ううん…暁、すぐに言ってくれる様になったから、ほっとする。あんな気持ちのまま、無理して笑われてる方がぞっとする」 「うん…分かんない事…ちゃんと聞くね?」 「そうしてくれると、助かります」 疲れるだろうな 普通なら説明しなくてもいい事… それでも俺が好きって言ってくれる 優琉が好きだ 「優琉…俺もね…いつも優しくて格好いい優琉が……やっぱりどんな時でも優しいんだけど…今日は凄く凄く可愛く見えてね…もっと可愛い優琉が見たいなって思ったよ」 「うっ…そっ…そうですか……俺の可愛いは…あんまり想像出来ないけど…暁にそう思ってもらえたなら、嬉しいかな」 「うん…格好いい優琉が、凄く可愛くて、可愛い優琉が見れて嬉しかった」 色んな優琉を知れるのが嬉しい どんな優琉も好き 「暁…俺達恋人初心者だからさ、分かんない事とか、上手くいかない事とか、沢山あると思うけど、失敗しながら一緒に考えてこうね?」 「うん……きっと俺の方がいっぱい失敗すると思うけど…一緒に考える」 優琉だから 優琉と一緒なら 俺でも頑張れるんじゃないかって思える 悠兄と話して 次の日、悠兄のバイトがお昼で終わるので 俺達もお昼で解散、明後日は皆で集まるのを休む事にした 「それじゃ間宮君、よろしくお願いします。明日、また迎えに来るね」 「はい!暁を預からさせていただきます!」 「うん。悠兄も楽しんでね」 結局、凌久さんは家に来るみたいだ 喜んでたって言ってた 良かった 悠兄と凌久さんに、少しでも喜んでもらえる事が出来て嬉しい 「お邪魔します」 「どうぞどうぞ。久しぶりだなぁ…俺の家に暁が居るの。適当にベッドにでも座って」 「うん。ごめんね?皆で集まったり、俺の家ばかりになったり…」 「暁が無事なのが1番だよ。暁、ちょっとだけ抱き締めていい?」 「うん」 優琉の抱き締め方…好き ゆっくり優しく 優琉に包まれてるみたい 「優琉…」 「ん?」 「気持ちいい」 「ん…俺も気持ち良くて幸せ」 「うん…幸せ」 「ふっ…ずっとこうしてたいけど、お腹空いた」 「うん。なんか食べよ?」 お昼は何にしようか 一緒に考えて デリバリー頼んで 届くまで 「なんか動画でも見よっか」 「うん」 「どんなの見る?暁は、どんなの好き?」 「怖いの」 「えっ…暁、怖いの好きなの?ホラー系?グロい系?」 「幽霊が出て来るやつ」 「意外…えっと~…怖い話…」 優琉が、動画を探してくれるけど 優琉は平気なのかな 「優琉は?怖いの平気?」 「怖いけど…見たい」 「うん。俺も…」 「え?暁も怖いの?ははっ…じゃあ怖い者同士で見るのか。まあ、いっか」 心霊写真とかのと、芸人さんが怖い話するの、どっちがいい?って聞かれて、怖い話にした 皆、話すの上手 でも、話し終わったら、面白い話してくれるから、ほっとする 「暁、大丈夫?」 「うん。面白い」 次の話は… 街で見かけた髪の長い女の人の話 その後も、時々見かける様になって もしかして自分の後、尾けられてるんじゃ… そう気付いたら 自分のアパートの前に居て 怖くて怖くて家の中入って鍵をかけて 友達に来てもらおうと電話しようとした時… ピン… ピンポ~ン 「「わっ!」」 動画とリンクして、インターホンが鳴って 優琉とびっくりして顔見合せて笑った 「旨そうなピザの匂い~」 「うん。でも、びっくりしたね」 「マジで…タイミング良過ぎだろ」 「一瞬、現実だって分かんなかった」 「な?」 優琉と2人ピザを食べる 「んま~っ!」 「ふっ…優琉見てると、もっと美味しくなる」 「そう?俺も暁と食べると、もっと旨いよ。なぁなぁ…あれ、やっていい?」 「あれって?」 優琉がピザを手に取って 「暁…あ~~ん」 口…開ければいいんだよね 「……あ~~ん…んっ…んっ…美味しっ…」 「~~っ…暁のあ~~ん…可愛い過ぎてヤバい」 あ~~んが? じゃあ… 「優琉の、あ~~んも見たい」 「えっ…俺は…可愛いくないから、いいよ」 「そんなの、俺だって自分の事、可愛いだなんて思わないよ…だめ?」 「うっ……いい…よ」 ピザを一切れ持って 「優琉、あ~~ん」 「あ…あ~~ん…んっ…んっ…」 「美味しい?」 「~~っ!…美味しい…ってか…美味しい?の暁も可愛い過ぎる!」 「優琉のあ~~んも、可愛いかったよ」 「あっ…ありがとっ…」 ピザ食べてるだけなのに ピザ食べてるだけじゃないみたい 楽しい 幸せ 「はぁ~…旨かった。夜は何食べよっかなぁ」 「外食行けなくてごめんね」 「全然。今や、外食と同じ物、大抵家で食べれるから。家でのんびりしよ?」 「うん」 優琉が、ベッドにごろんと横になった 「暁もおいで?」 「うん」 優琉の隣に横になると 「暁、捕まえた」 「ふふっ…捕まった」 「暁、初めて会った時より、笑う様になったね」 「うん。楽しい事とか、嬉しい事増えた」 「そっか。うちのクラス、いいクラスだよな?」 「うん…すっごく…毎日学校…楽しい」 「良かった…暁が楽しいと…俺達も…嬉しい…」 お腹いっぱいで 優琉に包まれてると 眠くなってくる 「優琉…眠くなっちゃった…」 「俺も…少し…寝よっか…」 「うん…」 悠兄意外にも出来た 安心出来る場所 知らなかった世界が 少しずつ広がってく 世界はこんなに…あったかかったんだ

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