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ふわふわの中で
お風呂から上がった凌久は
だいぶ元気そうで
でも…
「声は、やっぱり掠れちゃってるね」
「ま、名誉の負傷だな」
「喉、痛くない?」
「こんなん全然平気」
声が掠れた凌久…
あの時を思い出してしまう
「凌久…俺の髪乾かしたら、凌久の髪乾かすから、ソファーに座って待ってて?」
「髪くらい乾かせるって」
「乾かせても…俺にやらせて?」
凌久を後ろから包み込む
凌久……
「……分かった。んじゃ、せっかくだから甘えんぼ悠稀に、乾かしてもらおっと」
「うん」
湯船の縁に座ってるのを見て思い出す様に
掠れてる声を聞いて思い出す様に
きっと凌久も、何かの拍子に思い出すんだろう
泣く程じゃなくても
深い傷を…思い出してしまうんだろう
「凌久、乾かすね」
「おお。ヨロシク」
凌久の、俺よりしっかりした髪
こうやって…乾かしてもらったんだろうか
綺麗な凌久を
一番汚ない方法で傷つけた
それでも尚…凌久は綺麗だけど
カチッ
「サンキュ」
ちゅっ
「ん?自分が乾かした髪の毛に、キスしてんの?」
「うん…いっぱいしていい?」
「ふっ…洗い立てなんで、どうぞ」
キスしてキスして
あれから、どれだけキスしただろう
凌久の全てにキスして
凌久の奥まで繋がって
それでもまだ…俺を刻みたい
きっともう…結城の痕跡なんて残ってないだろう
なのに…俺達を不安にさせる
その度に
凌久の全てを
また上書きしたくなる
「んっ…髪の毛脱出?」
「ん…ここに…付けていい?」
「いいよ」
凌久のうなじに吸い付く
キスマークで埋め尽くされたであろう
凌久の体がちらつく
「はぁ…ここにも…いい?」
「いいよ」
首の横にも…
「ここもいい?」
「ん…いいよ」
鎖骨の上にも…
こんなの意味ない
けど…
「悠稀…こっち来て」
「うん…」
ソファーの後ろから、凌久の隣へと移り座る
「悠稀の好きなキス…していい?」
「凌久のキス…好き…凌久……キスして…」
気持ちいい
安心する
凌久からしてもらうのは俺だけ
結城はされてないから
凌久がしたいって思うのは俺だけ
凌久の…好きな気持ち…
こんなに込めて…貰えるの……俺だけ……
「……悠稀?…大丈夫?」
「……うん」
「気持ち良くて、涙流しただけ?」
「うん…あと…嬉しいから……」
「……悠稀…なんか気になる事とかあんの?」
気になる事は
凌久の事だよ
気になる事は
凌久の方があるはずだよ
「凌久のキス…嬉しくて、安心するから……凌久…キス……」
凌久が優しく撫でるのは俺だけ
凌久が優しく唇重ねるのも俺だけ
凌久の舌がゆっくり入ってくるのは
俺の中だけ
「悠稀…悠稀……大丈夫?」
キス…気持ち良過ぎて、少し意識飛んでた
「………うん…大丈夫」
「ふっ…ほんと悠稀…俺のキスで感じるよな?」
「うん……凌久のキス…気持ちいい…」
「そんな顔してると、またキスされるぞ?」
「いい……凌久のキス…気持ちいい…」
セックスと違う
ふわふわ…ほわほわ…
幸せ
「ダ~メ!そんなにキスしてたら、ヤりたくなる。さすがに今ヤったら、家まで辿り着く自信ない」
「………うん」
凌久とずっとキスしてたいけど
凌久に無理はさせられない
「~~っ…ずっ…ずるいぞ!そんな顔しても、ダメだって…」
「?……うん…凌久…無理しなくていいよ」
「無理…そう無理だ……ちょっと回復したからって、そんな…」
なんか、凌久がブツブツ喋ってる
困った顔になったり
う~~って考えたり
「……ふっ…凌久…可愛い。何そんなに一生懸命考えてるの?」
俺がそう言うと…
何故だか少し、はっとした様な顔になって
それから…
「…だから…ここでその顔…ずるいって…」
物凄いイケメンな顔した凌久が
俺の顔に近付いてきた
「………え?悠稀…なんで目…そんな開いてんの?」
「あ……凌久が…あんまり格好良くて…見惚れてた」
「ふっ…そうなん?そんな格好いい顔してた?」
そうやって
楽しそうに…困った様に
優しく笑う顔も
やっぱり格好良くて…
「見過ぎ…」
「んっ…」
瞼にキスされた
「そんなグリングリンに目開いてたら、目飛び出るぞ?」
「だって…勿体ないから…」
「目閉じない奴には、キスしてやんないぞ?」
「……………分かった」
「ふっ…考える時間、長っ…」
さっきよりも、優しく笑いながら
やっぱりイケメンな顔が近付いてきて
だけど、名残惜しいけど
目を閉じた
「はぁ……んっ…りっ……んっ…」
凌久のキスは気持ちいいから
すぐにクラクラしてくる
あとは…何処触られても
ふわふわの中…
「悠稀の可愛いとこ…何処だ?」
Tシャツの上から、凌久が触ってくる
キスやめられると
そっちに、意識が…
「あった…ここ…気持ちいい?」
気持ちいいけど
そこは違う気持ちいいだから
「んっ…ぁっ……」
「可愛い…立ってきた…Tシャツの上からでも分かるよ」
「ぁっ…凌久……キス…」
「ん…もっとキスして欲しいの?」
「んっ…」
そこは…
気持ち良くてもビリビリするから
もっと…
ふわふわの中…居させて…
「んっ…んんっ!…はっ…あっ!」
「やっぱ、直接触られる方が気持ちいい?」
気持ちいいよ
気持ちいいんだけど
ふわふわの気持ちいいが欲しい
「りっ…くっ……」
「ん…ちょっとこっちにキスするね」
「あっ…あっ!…ん~~…はあっ!」
刺激…強過ぎる
こっちでも…意識遠退きそうだけど…
キス…こっちにもして…
「ぁっ…ゃっ…あっ!……凌久っ…キス…」
「ふっ…キスな?いいよ」
キスして濡れたとこ弄られると
ほんとに、おかしくなりそう
おかしくなるなら
ふわふわの中で、おかしくなりたい
「んっ…あっ!……んん~~っ!」
凌久が…離れようとする
「あっ...凌久…やっ……キス…」
「悠稀……キス…止めて欲しくないのか?」
「んっ…んっ…」
必死に頷く
キス止めないで
何しても…何処触っても…
キス…止めないで
「ふっ…分かった」
そう言って、優しく頭を撫でて
少し頬をさすってから
ゆっくりキスしてくれた
嬉しい
凌久のキス…
凌久が、休まずずっとキスしててくれる
他のとこ触っても
ずっとずっと、気持ちいいキスくれて
時々、僅かに目を開けると
大切なものを見る様に
俺を見てくれてて
安心する…嬉しい…
全部凌久に包まれて
体…浮いてるみたい
「悠稀…なんで泣いてんの?」
「…嬉しい…から…」
「キスされてんのが?」
「んっ……凌久に…全部包まれてるみたい……ふわふわ…気持ちいい…」
凄くゆっくりとした深いキスと
時々与えられる強い刺激で
ついに俺は、意識を手放した
「………凌久」
「んっ…お帰り」
「凌久…凌久…」
「悠稀…ちょっと…あんまり動かないでくれる?」
「うん…?」
凌久が、ぎゅっと抱き締めたまま、そう言った
凌久に抱き締められたままなら、いつまででも、じっとしてられるけど…
「凌久…どうかしたの?」
「いや…勢いに乗って…もういいや。なる様になれと思ったけど…やっぱ、これ以上は自制した方がいいなと、冷静に考えて、収めてるところ」
「あ…凌久…気持ち良くなっちゃったの?」
「そりゃ…悠稀の気持ちいいとこ見たらね」
「……ごめん」
せっかくなら、ちゃんと気持ち良くして、出してあげたいけど…
「俺…出しちゃダメ?手と口で、気持ち良くしちゃダメ?」
「ダメじゃないけど…」
「ほんと?じゃあ、出していい?」
「悠稀が…嫌じゃないならな?」
嫌じゃないよ
凌久から離れて
「凌久…出すね?」
「んっ…」
下着の中から出すと
だいぶ気持ち良くなってる
ペロリと先端を舐めるとビクンとする
全体的に舌を這わせていくと
ビクビクと気持ち良さそう
「っ…悠稀っ……既に…だいぶ気持ちいいから…」
「うん…」
もうすぐイキそうって事だね?
パクリと口の中に含む
「っ……はっ…っ……はぁっ……」
少し切なそうな…辛そうな…
「~~っ…っ…はぁっ……はぁっ……」
辛そうな顔なのに
もっと見てたいと、思ってしまう
「はっ…はるっ…きっ……っ…もっ…イク…から…」
格好いい顔が
辛そうに歪んでいる
もう少し…辛そうな顔…見せて
「んっ…はるっ…き?……もっ…イクからっ……っ!…もっ…だいじょぶ……離れて…」
辛そう
必死に堪えてる
そんな顔も綺麗
「はっ!…はるきっ……ほんと…もうイク……離れて……~~っ!…やめっ…イッちゃ…っ!…~~~~~~っ!!」
見上げた凌久は
切なさと辛さと
それから次第に
幸せそうな…開放された表情になって
全ての力を抜いた
「凌久……綺麗…」
凌久の綺麗な顔を撫でてると
「………悠稀………悠稀!」
ビクッ!
何…
「お前…」
「え?何?」
「なっ…なんちゅうもん顔に付けて…~~っ…今すぐ顔、洗って来い!」
「今すぐじゃなきゃ、だめ?」
「今すぐだ!しっかりスッキリ洗って来い!」
「………分かった」
ちょっとだけ、凌久抱き締めてから…
「……おい…言ってる事と、やってる事が、違う様だが?」
「ちょっとだけ…」
「顔洗って来たら、抱き締めてやるから、とりあえず、それ取って来い!」
「それって?…もう少し…凌久にくっ付いてたい」
「おっ…俺の出したもん…付いてるから!」
そうなの?
少し体を離して聞いてみる
「どの辺に?」
「唇の左端だ!ついでに、口ん中もしっかり洗って来い!離れろって言ったのに、口ん中出しやが……おい!」
左端…ペロリと舐める
これで取れたかな?
「取れた?」
「取れたよ!取れたけど、なんちゅう事してくれてんの?!そんなん舐めちゃダメだろが!さっさと、うがいだ!」
「凌久…うるさい…」
俺のは、しょっちゅう飲み込んでるのに
俺がすると、騒ぎ出す
凌久の飲んだからって、騒ぐ事じゃないよ
それより…ゆっくり抱き締めさせて…
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