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声…抑えて

悠稀… 予想以上に楽しんでる 来て良かった 夕陽見て… 何考えてたんだろな でも、きっと 悲しい涙じゃない なんとなく、そんな感じがした 新幹線の中からキス我慢してたし めちゃくちゃキスしてあげたのに まだ、して欲しそうだった そんなに気持ちいいんか ま、嬉しいけど シャワーを浴びて、浴衣を着る うん 旅館に来たって感じ ん? ……あれ? シャワー浴びる前に着てた服がない ここで脱いだよな? 「……ねぇな…向こうで脱いだか?」 そんなはずないと思いながらも とりあえず悠稀の元に向かうと 「…え」 探してた物が、悠稀に抱き締められてる 何故に…? 「凌久……」 ん? 起きたか? と、思ったら ちゅっ ちゅっ と…俺の脱け殻にキスして また動かなくなった なんだ… この可愛い生き物 せっかくなので もう少し近くに行って観察 すやすや寝てしまった と、思ってたら 「ん…凌久…」 ちゅっ ちゅっ 「……っ…~~~っ…くっくっくっ…~~~っ…」 我慢出来ねぇ! 「くっくっくっ…~~~っ…ぶはっ…くっくっくっ…」 「ん……凌久……ん?」 「はっ…悠稀…お前っ……」 「………凌久…浴衣だ……綺麗」 悠稀が、目を細めて 嬉しそうに俺を見る 「俺の服、盗んだな?」 「……あっ!ごめんっ!浴衣着るって言ってたから…借りてもいいかなって…」 しっかりと目覚めた悠稀が 焦った様に起き上がる 「ふっ…怒ってねぇよ。可愛いかった。俺がキスしてやんなかったから、俺の服とキスしてたのか?」 「~~~っ!みっ…見た?」 「ん…バッチリ見た」 顔…真っ赤 俺が来る前に、止めようと思ってたんだろな 「へっ…変だよね……変態みたいだ…」 悠稀と…変態… 悠稀が変態に狙われるって以外に、結び付かないな 「~~~っ…気持ち…悪かった?」 「なんちゅう顔してんの…気持ち悪くない」 「ごめんっ…勝手に……」 「可愛い悠稀見れて、嬉しかったってば」 「……ほんと?」 「ほんと…だから、そんな泣きそうな顔してないで、悠稀もシャワー浴びて来い。俺に、特別サービスしてくれるんだろ?」 「あ...うん!」 嬉しそうに、焦った感じで行っちゃったけど… すぐに戻って来た 「着替え…忘れた」 だよな 悠稀… 星空見るつもりないのかな 綺麗な景色見ると 普段と違う事考えるからな なんか… 胸いっぱいになっちゃうのかな 悠稀が置いてった、俺の脱け殻を手に取る 自分の匂いって、よく分かんないけど もう悠稀の匂いが付いてる 悠稀は… もう、ずっと暁を抱いてない様だ 暁は、学年が変わっても クラスの奴らと上手く付き合い、彼氏とも上手くいってる様だ 俺はと言うと… 未だに、ふとした瞬間に、あの最悪な記憶が過る事があるが… ほんの一瞬だ ああ… いつだったかラブホに行った時 適当に部屋を選んで入ったら… ベッドの上一面に薔薇の花が散りばめられてて あれはちょっと…無理だった 震える俺を見て 滞在時間数秒で 悠稀は、さっさと料金を払って、ホテルを出た ずっと…一緒に闘って進んで来た あいつが、今…何処で何してるかは、知らないが 俺達に接触してくる事もなく、穏やかな日々を過ごせている 俺の記憶が薄れて、気にする事が少なくなるのと同時に 少しずつ悠稀も、気にする事が減ってった ドライヤーの音が止まると 嬉しそうな顔した悠稀が、戻って来る 「凌久…」 変わらない、悠稀だけの呼び方 「悠稀…」 きっと、悠稀にとっても 俺が呼ぶのは特別で… 「んっ……あっ!」 「悠稀…ちょっとだけ…声抑えよっか」 「あ…んっ…」 切なそうな顔で頷いている キスが1番好きだけど 胸も、凄い感じるもんな 特別サービスしてもらう為に 悠稀に、めちゃくちゃ感じてもらわなきゃ 「~~~っ…ぁっ…~~っ…りくっ…ぅっ…んっ…」 ヤバい 浴衣はだけて 声我慢してる悠稀…ヤバい 俺も、さっさと準備しよ… 「凌久…大丈夫?」 「んっ…悠稀…~~っ…早く…」 「っ…待って……ちょっと…待って…」 「~~っ…何?…早く…欲しぃ…」 半分位挿れたところで 悠稀が、止まってしまった 何これ… 何の時間? 我慢大会でも始めたの? 無理だから もう… 「お願いっ…悠稀…~~っ…我慢出来ないっ…」 必死に訴えると 「~~~っ!」 半分のままの悠稀が 俺に覆い被さり、抱き締めてきた 「?…悠稀?」 「~~っ…ごめっ…ちょっと……待って…」 待てませんけど… めちゃくちゃ中途半端なとこで、止められて ひくひく…ウズウズ… けど… 「悠稀…何か思い出した?…気になる事あった?」 悠稀だって辛いはずだ それなのに止めるって、よっぽどの理由だ 「~~っ…違う」 「何でも言っていいよ」 「そうじゃ…なくて…」 「ん…」 「た…畳…の上に…」 「……えっ?何か居るの?!」 忘れてた 悠稀、見える奴だった  旅館とか、絶対居るじゃん! 「布団…敷いてあって…」 「…あ?…畳の上に布団?…そうだな…」 「その上に…浴衣っ…着たっ…~~~っ…凌久っ…おっ…俺に……全部…見せててっ…~~~っ!」 「~~っ!…ちょっ…悠稀っ……興奮すんなら…そこじゃなくて…ちゃんと全部挿れてくれ…」 シチュエーションに興奮してんのね? 俺もだけど 嬉しいけど そんな中途半端なとこで、でかくしないでくれ 「んっ…~~~っ…はぁっ…」 欲し過ぎて… 自分で腰を動かすと 「~~っ!…待って…凌久…」 「待てるか……こんな気持ちいい感じになっといて……欲しくて欲しくていんのに……何?焦らしプレー?」 「そっ…じゃなくてっ…~~~っ…っ…今動いたっ…らっ……でっ…~~~っ…出ちゃ…りっ…でっ…っ!…~~~~~~っ!!」 ………え? …あれ? 俺が、悠稀の腰寄せて 全部挿れた途端… 悠稀…これ… 「……い…イッた?」 「~~~~~~っ…ふっ…うっ…」 「えっ?…えっ?!何で?!…何で泣くの?!」 「~~~っ…うっ…~~っ…っ…」 「ちょっと…何…何で…無理矢理、全部挿れたの…そんなに嫌だった?だったら、ごめん…ちょっと…俺も、我慢出来なくて……ごめん、悠稀」 ふるふると、頭を振った後… 「~~~っ…恥ずかし…だけ……謝らないで…」 「…え?恥ずかしい…って?」 「っ…全部…挿れただけでっ…~~~っ…イクなんてっ……こんな事なかったのにっ…~~~っ…」 は? それで、恥ずかしくて泣いちゃったの? 「…悠稀…恥ずかしくなんてないよ」 「~~~っ…凌久は…優しいから…俺が何したって、そう言ってくれるもん…」 「んな事ねぇよ…けど、まあ…悠稀がする、悠稀が恥ずかしいと思う事は、多分全部可愛いな」 「おっ…俺は!凌久の、格好いい彼氏になりたいの!…格好いい彼氏に…なりたいのに…」 付き合ったその日から ずっと格好いい彼氏ですけど… 格好いいの上に、可愛いが上乗せされてますけど… 「そんだけ…俺で興奮したって事だろ?俺と、旅館に泊まって…このシチュエーションで出来る事…嬉しいって思ってくれてんだろ?」 「っ…思い過ぎて……多分、俺…普通の思考回路じゃなくなっちゃってる…」 「それ…俺じゃなくても、そう思う?」 「…な…何…言ってるの?」 悠稀が、信じられないという顔で見てくる 「ん…俺だからだろ?俺にだけ、興奮すんだろ?」 「当たり前でしょ?!変な事聞かないでよ!」 「じゃあ、いっぱい興奮してよ…恋人に欲情されんの、興奮すんだからさ…誰かが見たら変態だって、何だっていいよ…俺で欲情してよ…俺で欲情してる悠稀…見せてよ……それで、俺も…あっ!」 「凌久…声……少し我慢して…」 何かの…スイッチ入った 悠稀が…さっきまでとは別人の様に… 「は…はっ……凌久…気持ちいい?」 「んっ…~~っ…気持ちいっ…」 「んっ…凌久の…好きなとこ…いくよ?」 「んっ…ん…~~~っ!…ぁっ!…~~~~っ!」 「はっ…ここ…気持ちいいね……もっと…欲しい?」 恥ずかしいを、取っ払って 理性…吹っ飛ばして ただ…お互いの気持ちいい事だけを 好きな人の… 感じてる顔を… 好きな人が、自分で感じてる顔を… もっと…もっともっと… 見たいから 「ぁっ!…~~~っ!…悠稀っ…」 「んっ…凌久……声…抑えれていい子…」 「~~~っ…気持ちいい……悠稀っ…も…気持ちいい?」 「ん…凌久の中…何処も全部…はっ…気持ちいいよ…」 優しいのに…いつもより少しだけ自分本位な… 自分の欲情を抑えられずに動いてしまう そんな悠稀が…嬉しい 「~~~っ…はるっ…ぅっ…~~っ…きっ…」 「んっ…凌久……はっ…凌久……」 「~~~っ…ぅっぅっぅっ…ぁぁ~~っ…~~~っ…悠稀っ…悠稀っ…」 「んっ…イキそう?…んっんっ…はぁっ…凌久…イキそう?」 「~~~っ!…ぃっ…ぁっ…んっんっ…~~~っ!…悠稀っ…もっ…~~~っ…」 声… 大きな声…出しちゃいたい 思いっきり…叫びたい… 「凌久っ…イって?…はっ……んっ…イケる?」 「ぃっ…んっ…悠稀っ…ぁっ…~~~っ!…ぃっ…ゃっゃっぁっ…ぁっ……~~~~~っ!!」 「はぁっ…んっ…んっ…イクっ…~~~~~っ!」 我慢した声の代わりに 嬉しくて幸せな涙が 溢れてきた

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