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第34話 溢れ出した欲望④【理央side】※
咲人と付き合い始めてから、二人の関係性が何か大きく変わったわけではない。
お互いのことを大切に思っているところは、昔から変わらない。そこへ少しだけ、性的な触れ合いが増えただけだ。
あれから何度かお互いの体に触れ、少しずつだが咲人もそういうことに慣れてくれた。
「っ………」
舌の奥を押すと咲人の唾液が溢れてきて、理央はそれを飲み干す。
唇を離すと、咲人は頬を上気させすっかり蕩けてしまっていた。
「勉強はもう終わりにして、ベッド行く?」
「……ん」
理央は咲人を抱えベッドまで歩くと、ヘッドボードに背を預けて、向かい合うように咲人を腰に乗せた。
唇を塞ぎながら、ゆっくりと部屋着のシャツに手を入れていく。
理央の手が腰から背中へ、そして胸の高さで止まると、咲人の淡く色づいた胸の先をすり、と撫でた。
そのままふんわりと、指の腹で焦らすように触れていると、口を塞がれたままの咲人がくぐもった声を出す。
咲人の下半身は既に、目に見えてわかるほど反応している。そしてそれは理央も同じだった。
しばらく咲人の口内を味わい唇を離した後、すぐさま咲人から非難の声が上がった。
「お前……っ触り方が、いちいちエロいんだよ」
「でもここ、感じるようになってきたでしょ?」
ふに、と胸の先に触れながらそう聞くと、咲人は言葉に詰まってしまう。わかりやすくて、本当に可愛い。
黙ってしまった咲人の唇に軽いキスを贈った後、しっかりと反応している場所へと触れた。
服をずらして解放してあげると、先端からは既に透明な液体が下の方へ伝うほど零れていた。
「……理央も、一緒に」
「うん、一緒にしよ?」
自分の張り詰めたものを取り出し咲人のものと纏めて重ねると、そこへ咲人の手を導いた。
「咲人、ここ一緒に擦って」
「……こう?」
「んっ……そう、上手」
咲人に手を動かしてもらっている間、理央は咲人のシャツを胸までたくし上げる。
「シャツ、咥えて」
「ん、むっ……」
そうして目の前に晒された淡い桃色の先端を口に含むと、咲人の体がびくりと震え、動かしていた手が止まる。
理央はその手を包み込むように上から握ると、上下に動かす手助けをした。淡い先端を舌でなぞるように刺激すると、咲人は体を揺らし悶えた。
「んんっ……んっ……」
シャツの端を離さないよう硬く口を閉じて、必死に我慢している咲人。
反対側も同じように吸って、時折噛んでやると咲人の体は可哀相なくらい震えた。
咲人の拙い手淫を手助けしているうちに、理央自身も高みが見え始める。
上から蓋をするように握り込むと、咲人の口からついにシャツの端が離れた。
「んあっ……や、だめ……いく……っ」
ぐり、と先端に親指を擦りつけると、咲人の体はびくびくと震え精を吐いた。
その後理央も吐精すると、すっかり力の抜けてしまっている咲人をベッドに寝かせた。
二人のもので汚れた体を綺麗に拭き取った後、まだ荒い息をしながら横たわっている咲人を見つめる。
今日はもう少しだけ、進んでみたい。
くったりとした咲人の片足を持ち上げ、その奥にある窄まりに触れる。
「ここ、指入れてもいい?」
理央の言葉に反応しこちらを見つめた咲人は、少し不安そうな顔をしている。
「大丈夫。少し触るだけ」
咲人の頬を優しく撫でた後、理央はベッドの隅に置いていたボトルを取り出す。
それに気づいた咲人が、後ろに肘をついて上半身を起こした。
「なにそれ」
「ローション」
「それ……理央が買ったのか?」
「そうだよ?」
理央は当然のようにそう答えたが、咲人はなにか言いたげな顔をしている。用意周到すぎて引かれてしまっただろうか。だが理央はそんなこと気にせず、咲人の体をもう一度自分の上に跨らせた。
ローションを手に垂らして少し温めた後、咲人の窄まりにそっと触れる。そこは固く閉ざされていて、理央は咲人の緊張をほぐすように、首筋や頬に優しいキスを贈る。
それから両手で柔らかな尻を左右に割り開き、ぬめりを纏った指で優しく窄まりを撫でた。
ぎゅっと自分に抱きついてくる咲人を愛おしく思いながら、ゆっくりと中へ指を侵入させていく。
「あっ……」
「痛い?」
指を止めてそう聞くと、咲人は首を振って否定した。
「な、なんか……変な感じがする」
「痛かったら言ってね?」
その言葉に咲人が頷いたのを確認すると、理央はほぐすのを再開した。
咲人の様子を見ながら指を増やしたりして続けていると、咲人が理央の肩に手をついて、こちらを見つめてきた。
「理央、こういうこと、俺以外ともした?」
「ん?咲人が初めてだよ」
「……じゃあ、キスも?」
「うん。全部君が初めて。これからも咲人としかしないよ」
「……んっ……んんっ……」
咲人の中入れてる指がきゅっきゅっと甘く締め付けられた後、理央のお腹に温かいものが飛んできた。
「咲人……嬉しくていっちゃったの?」
「はぁ……っ、だって、彼女いたって、言うから」
「もしかしてずっとそれ気にしてたの?」
「あたりまえだろ」
咲人は照れてしまったのか、再び理央に抱きついてその顔を見えなくしてしまう。
だが理央は今知った事実に心がいっぱいで、それどころではなかった。
「……嬉しい」
「……は?」
「咲人が嫉妬してくれた」
嫉妬という感情とは無縁の咲人だと思っていたから、溢れてしまう感情が隠せない。
そんな自分の様子を不思議に思ったのか、咲人がもう一度こっちを見てくれた。
「俺だってお前のこと……好きなんだからな」
まさかの追撃に、理央はもう完敗だった。もういっそのこと今、最後まで奪ってしまいたい。
「はぁ……このまま帰したくないな」
「何言ってんだ、俺はちゃんと部屋に戻るぞ」
咲人のせいですっかり気が抜けてしまった理央は、目の前の体をぎゅうっと抱きしめて、しばらくその温もりを堪能した。
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