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第40話 重ならない思い②※
ベッドに移動すると、すぐ理央に組み敷かれた。
「痛いのも、気持ちよかった?」
「う……俺、絶対おかしい」
恥ずかしくて、たまらない。咲人は目元を手で覆い、羞恥に耐える。
「そんなことない。僕好みだよ」
「それ、あんま人前で言わない方がいいぞ」
だってそれはつまり、痛みに興奮する人が好きってことだろう。それってすごく厭らしいよ、理央。
ああ、でも。だから自分は、理央になら何されてもいいって思うのだろうか。
理央はこんな自分を見ても、好きだと言ってくれるから。
「僕がこうなったのは咲人が原因だから。責任とってね」
理央はそう言うと、咲人の衣服を下着ごとずらした。
こんなこと言われて嬉しい、なんて。喜んでる自分も大概だ。
細くて、爪の先まで綺麗な指が、咲人の勃ち上がったものに添えられる。
理央はそこへ顔を寄せると、迷うことなく咲人のものを咥えた。
「あっ、それしたらすぐ、出ちゃう、から」
最初から奥深くまで、一気に咥えられた。理央の口の中を、自分のものが出たり入ったりしている。
理央にこんなことをさせて後ろめたい気持ちがあるのに、この耽美的な光景からどうしても目が離せない。
蕩けたような瞳で理央のことを見つめていると、後ろの穴に理央の指が侵入してきた。
「やっ、一緒はだめ、だ……理央……っ」
まだ浅いところしか触られていないのに、理央の口淫も相まって、あっという間に咲人は高みへと昇り詰めてしまう。
「あ、ああっ、いっ……く……っ」
咲人は口元に手を添えながら体を震わせ、理央の口内へと吐精した。
下へ流れ落ちた分まで綺麗に舐めとられた後、理央はようやく咲人のものから口を離す。
「ん。咲人の、薄いね。毎日してるからかな」
「るさい……ゴムしろよな」
「だめだよ、咲人の中で出したい」
理央は優しいのに、スキンだけは頑なに着けてくれない。
きちんと後処理してくれるから問題はないが、理央は汚れた咲人を見た後すぐにまた興奮してしまうから、なかなか一回じゃ終わらなくなる。
──勉強、しなきゃいけないのに。
頭の中でそう思っていても、咲人の体はこの快楽から逃げる気がまったくない。
理央に触れられると、まるで体を動かすための舵を奪われたかの様に、咲人の体は理央の言うことしか聞かなくなるのだ。
「入れるから、こっち」
後ろを充分にほぐされた後、壁に寄りかかったままの理央に上へ乗るよう促された。
「自分から腰、落として」
咲人は言われた通り、理央の肩に手をついて自分の体重をかけながら、ゆっくり腰を落としていく。
「うっ……あ、これ、擦れちゃ……」
すべて一気に飲み込むなんてことは、咲人には怖くてできない。感じてしまう場所にあたるたび、腰の動きが止まってしまう。
「ここ、気持ちいいの?」
「きもち、いい」
「じゃあもっと良くしてあげる」
理央はそう言うと、咲人の首元に顔を寄せた。次の瞬間、首筋に理央の牙が刺さって、その衝撃で咲人は完全に腰を落としてしまう。
「あ、あああっ」
すべて飲み込んだと同時に咲人のものから白濁が飛び、理央のお腹にかかる。
傷口から溢れる血液を舌で何度も舐めとられ、その度に咲人の体はびくびくと震えてしまう。
「もう動いていい?我慢できない」
返事をする前に、咲人の体は再びベッドへ押し倒された。噛み跡から垂れた血液が、シーツへ落ちる。
すぐに堰き止めるように首筋を食まれて、腰の律動が開始された。
「ん……んん、あっ」
理央の背中に手を回しながら、咲人は甘い痺れに酔いしれる。こんなに気持ちいいこと、理央としかできない。
こんなはしたない自分は、理央にしか見せられない。最初はゆっくりだった動きが、だんだん速められていく。
「あっ、あっ、んんっ、ああっ」
理央の硬くて大きなものが、咲人の気持ちの良いところばかりを狙ってあてられる。
「も……っ、だ、め、へんになるからぁ」
「大丈夫、僕しか見てないよ」
くしゃりと髪の毛を撫でられ、唇を塞がれる。咲人の嬌声さえも飲み込むように、深く、口内を貪られる。理央からもらえるものすべてが気持ちよくて、身も心も満たされていく。
そして咲人が果てたと同時に、理央も咲人の中で吐精した。お腹の奥で理央のものがどくどくと脈打つように動いているのが、よく分かる。
──お腹の中……熱い……
すべて受け止めたのを感じたと同時に、理央の体がゆっくりと離れていく。理央は自分のものを抜き取った後、やっぱり咲人の後ろをじっと見ていた。そこへ理央の指が侵入してきて、白濁を中へ押し戻すようにかき混ぜられる。
「んん……っ」
頬を撫でられ、キスされた後。淫らにぬかるんだ場所へと理央のものがあてがわれた。
「咲人、もう一回」
再び咲人の体は、快楽の渦に引き戻されていく。
理央は優しくて、深い愛情で咲人を包んでくれている。その愛情は咲人にとって、すごく心地の良いものだ。
自分たちはこの先も穏やかに、愛情を確かめ合いながら過ごして行くのだと。そう思っていた。
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