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第6話 発情2*
敏感になっている陰茎が、彼の思考を妨げる。
梶の大きな手が白い尻の間を揉み解し、長い指の先が窄まりの中にぷすりと差し込まれる。その瞬間、じわっ、と、穴の周りが湿る。
「……あっ……」
声が漏れる。熱く甘い蜜が孔の中から溢れ出してくる。ぐちゅりと音を立て、もっと欲しいと言っているかのようにひくひくと動く。
じゅぶりという水音とともに二本目の指が飲み込まれ、続いて三本目も押し込む。容赦なくずぶずぶと奥へおくへと指は突き進み、中をかき混ぜる。
「……もう。イヤだ………っつ…だめ――」
彼は欲望を振り切るように左右に頭を振るが、トロトロに溶けた中は指に吸い付き、中にある小さな膨らみに指が触れると呻き声が漏れ、ビクンビクンと体が震えた。
「少し濡れている。自分でもわかる?ここから特殊な体液が漏れてきてる」
少しどころではない溢れ出す蜜の表現を、梶はできるだけ恥辱を煽らないよう、ソフトに伝える。
「んっ……ぅ……ぅ……」
彼は梶の肩を掴んだまま大きく首を振った。荒い息を必死に抑えるその姿がたまらなく扇情的だ。
「……っや……やめろっこの……っ」
こんな状態になってもまだ、抗おうとする。
なかなか我慢強い。だが嫌じゃない証拠に自分から腰を押し付けて、もっともっととこすりつけてきている。
梶の下腹部に熱い血が集まってくる。できるだけスムーズに下着まで脱ぎ、彼の足の間にひざを割り込ませる。
梶は彼の膝裏に手を掛けると、大きく脚を開かせた。
張り詰めた自分のモノがもう限界で痛い。今すぐ突っ込みたい、中をかき回してガンガン突き上げたいという衝動に駆られる。
だがまだだ。梶は彼の息が整うのを待つ。そして最後の切り札。
「辛そうだな、ちょっと休もうか?」
梶は相手がしっかり聞き取れるようにゆっくりと言葉にした。
彼は目を見開き驚いたようにぷるぷると首を振った。
今まで推しまくられていたのに急に相手に引かれると、少なからずショックを受ける。そして素直に欲望を受け入れてしまう。
彼が欲しいと思はないと同意ではない。一方通行の自己満足で事を進めるわけにはいかない。
相手の意思も確認し、自らの望みだと認識させ、逃げてしまうのを回避しなければならない。
彼が自分の意志で決定することが重要だ。
――今すぐ欲しいと彼の口から言わせる。――
「……くっ………やだ……っ」
涙が上気した頬を伝う。
「い……入れてっ!……入れてよ!」
逃がすものかとでもいうように、彼の膝に力が入り隆哉の腰を固定する。フェロモンの香りがいっそう強まる。
今まで人目に触れたことのなかったであろう窄まりが、しどけなくその口を開ける。
「もう待てない……はやく……」
その言葉を合図に、彼の唇にキスを落とすと梶は一気に自分のモノを突き入れた。
ぐぷっぐちゅりと音を立て、張り詰めた亀頭をのみ込む熱い開口部は、梶の大きさにもう無理だと悲鳴を上げている。
「あっ……や、だ……ぁ」
精一杯の頑張りを見せる彼の姿や、頬を上気させながら必死に耐えている顔が、愛おしくて、梶はたまらずまた唇を寄せた。
いちど挿入してしまうと、もう止まらない。
じゅぶりじゅぷりという水音とともにモノを飲み込んで、中の襞と無数のツブツブが肉茎を激しく扱く。
「ぁ……っ……ま、まって……っぁ」
いや待てるはずはない。
あぁ、たまらなく気持ちがいい。
「なぁ……きもちいい……」
ここまで気持ちがいいのは初めてだ。何度も出し入れし、奥を突き上げ捻り込み、今度はギリギリまで抜くと、また付き上げる。
「んっ…はげし…っう……っう…っあ」
ぐちゃぐちゃに泡立ちかき回す。濡れそぼった孔は音を立て切なく収縮を繰り返す。
「…すごい、ナカびくびくしてる………気持ちいいよ……我慢できない………」
パンッ、パンッ、パンッパンパン梶の猛烈な興奮が腰を動かすスピードを早める。
壮絶な気持ちよさに意識を持っていかれそうになる。
自分が彼より先にイクわけにはいかない。
「なあーくそっ、やばいな、きもちいい……」
経験のない感覚だったからか、必死に耐えているからか普段はけして使わない、下品な言葉が梶の口から出てくる。
パンッ、パンッ、パンッと音を立てながらこれでもかというぐらい、梶は腰を打ちつける。
「……っ」
「すごいな……なんだコレ?……どんだけ絞め付けるんだ」
乳首に吸い付き、左手で彼のモノを扱く。
「……っや……っこの……変態っ」
「ありがとう」
「褒めてない……よっ」
敏感すぎる後孔をかき回されて、もう声も我慢することができないらしい。ひっきりなしに彼からも熱い声が溢れ落ちる。
「あっ……や、だ……ぁ」
彼は唇を梶の肩に這わせ、自分から腰を動かし始めていた。彼は梶の肩を噛んでそまま小さく首を振った。
「う……っう…っあ」
「きもち、いの、もっと奥まで……。んあっ……」
彼は突然ビクビクと身体を震わせ、背中を仰け反らせて目と口を大きく開く。
「いっあっ… い、いい! イクっ………」
嬌声と同時に肉茎が全体がきゅうっと締め付けられた。
彼の身体の痙攣がダイレクトに響いてきた。
ぴゅっという音ともに、彼の白濁が俺の腹に吹き付けられた。
梶は手のひらで絞り出したどろどろになった指を、見せつけるように舐めた。普通ならありえない事だが、あまりにも彼の残滓はにおいやかでなまめかしかった。
「……っ触んな……っていうか……舐めないで…そんなもん…」
洗い息を吐きながら、両手で梶の手を掴んで白濁を拭い去ろうとする。その手の節は小さく指先まですらりと伸び、爪は短く清潔に整えられていていた。
「あっ……ん」
梶はズルリとモノを彼の中から引出した。彼から身体をいったん離した。汗ばんだ肌が名残惜しそうに吸い付きながら剥がれていく。
「ごめんな…まだ俺がイケてないから…」
彼の体を回転させうつ伏せにし、四つん這いにし細くくびれた腰を両手で掴む
「え……っ?ぁ……っ……ま、まって……っぁ」
ぐりっとゆっくり先端の亀頭の太いところを回すようにして押し挿れた。
「あぁあ……っ…やめっ…………っあぁ」
「愛液だかわからないけど、ぐちょぐちょだな。漏らしたみたいだぞ……っ」
いじめて楽しんでいるのか、自分の口から出てきてしまう言葉に梶は驚いた。Ωを初めて抱いて我を忘れて自我を見失い興奮している。
「……っ……ちっ……違っ……っ」
彼はぷるぷると頭を左右に振り否定しようとしているが、その姿もたまらなくセクシーだ。
梶は容赦なく中を突き上げる。奥へ、奥へと捻り込み擦りつける。
「いい眺めだ……たまらない」
白く丸出しにされた尻が互いの荒い呼吸に合わせて上下する。
さっき出したばかりだというのに、また彼のモノは強度をもってきて、梶の手での愛撫をねだっている。
もう梶自身の意志では腰の動きを止めることができない。
「ひ……っ…やめっ…………っ」
「すごく気持ちいい。奥まで突きまくるぞ……」
壊れてしまうんじゃないかというくらい、激しく熱く何度も出し入れし、その度に彼からは、甘い声が漏れだす。
「あっ……ん…あっ……あっ、や」
「んっ…はげし…っ、もっとして、もっと……」
これだけの妖艶な匂いを放つ極上のΩに、今まで誰も手をつけなかったなんて信じられない。
梶は思った。
こんな状況で出会わなければ良かった。もっと普通に彼に会いたかった……くそっ…
与えられる快楽以外、なにもわからなくなってしまえばいい。
パン、パン、パンと音が静かな室内に響きわたる。
「あっ……もうダメ……イク、また出る…」
彼の腰が、ビクン! と大きく浮いた。
陰茎が更に膨らんだ。逃すまいと腰を掴む力を強くして、梶はまたギリギリまで引き抜いて、そして再び勢いよく突っ込む。
「……っ……奥、出すぞ………」
一気にスピードを上げる。
強く握りしめた拳の間で何度も頷く小さな後頭部。
「う……っう…っあ…なか、なか……に…だし…て……」
絞り出したその声は、吃驚するほど掠れていた。
ドクリと止めどなく放たれる精液の溢れる感触とともに、鈴口から透明な液体が流れた。
長い長い射精だった。
「……あー、すごく、気持ちよかった。すごく出た」
息を切らせながら、梶は肩甲骨に口づけた。
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