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第46話 パリ*

セーヌ川の対岸にあるエッフェル塔に面した高級ホテルだった。 ここで4日ほど滞在して、ゆっくりするつもりだったのだが、まさかのダブルブッキングで1泊分しか部屋が確保できないと言われた。 他のホテルを手配するので移ってもらえないかと言われた梶は、フロントデスクでホテルの担当者と戦っていた。 悠里は横で見ていたが、ホテルの従業員は英語で梶に説明しながら、たまにでるフランス語で悪態をついていた。 しばらく様子を伺ったがマネージャーらしき人物が来て、、フロントの担当者から説明を受けている時にフランス語で梶に差別的な発言をした。 悠里は見兼ねて間に入り、「僕フランス語話せますよ」というように流暢なフランス語でホテル側の事情を聞いた。 フロントの対応はいかがなものか、と少し嫌味を交えてフランス語で話をする。 部屋がないものは仕方がないからと了承したが1泊分の宿泊代を無料にしてもらい、翌朝別のアパートメントタイプのホテルへ移動することになった。 このホテルより格段ランクは落ちるが、キッチンが付いていて部屋も広く立地も悪くなかった。 悠里が自分たちの話しているフランス語での会話を、聴き取っていたことを確信したらしいホテルマンは、その後やけに低姿勢になり、夕食は無料でルームサービスでお届けしますと言ってきた。 部屋に入ってから怒りをあらわにはしていないものの、悠里に話かけてこないので、ホテル側の対応に、梶さんは相当頭にきているなと感じた。 ここはフランスでもかなり高級なホテルで、宿泊代も悠里が想像していた額の0がひとつ多い金額だった。 それがタダになったわけだからラッキーだよねって悠里は思うのだが、きっと梶は金額の問題じゃないというだろう。 シャワーを浴び終わると部屋に夕食が届いた。 「ホテル側からのサービスらしいです」 悠里が笑顔で言うと、梶はそれに少し気をよくしたようだったのでほっとした。 「悠里が喜ぶと思って今回の旅で一番いいホテルを取ったんだけど、こんなことになって悪かった」 夕食を食べながら梶さんが申し訳なさそうに言うので。 「僕は十分満足してるし、明日泊まるホテルにキッチンが付いてるのが嬉しいです。正直日本食が食べたいなと思っていたけど、ここじゃ思ったものが食べられない。自炊できるなんてすごく幸せです」 真面目な話もう外国の料理は食べ飽きてしまった。 日本茶が飲みたい。しょうゆの味付けが恋しい。 同じことを梶さんも思っていたのか、明日は街を歩きながら二人で食材を買いに行こうとスーパーを検索し始めた。 昨日は悠里が拗ねて機嫌が悪かったのに、今日は逆だという状況が悠里には新鮮で、いつもは見られない梶さんの一面が見られて少し嬉しく思った。 窓からはライトアップされたエッフェル塔が見えた。 眼下にセーヌ川。クルーズ船がゆっくりと運航している。観光客はエッフェル塔、イル・ド・ラ・シエ、そしてオルセー美術館を観ながら、船内でお洒落なフランス料理を食べているのかもしれない。 ベッドの中でインターネットでいろいろ検索すると、夜のパリは治安が悪く危険だと書いてあった。 午前中のモンサンミッシェルの疲れもあったので今夜は部屋から出ないだろう。 お洒落な憧れのパリ、誰もがうらやむ高級ホテル、でも悠里が一番安心できて安全だと思うのは梶さんの腕の中だ。 「モンサンミッシェル修道院は建築様式とか歴史に興味があれば良いのかもしれないが、俺は日光東照宮でも良いんじゃないかと感じた」 「日光東照宮へ行ったことがないです」 「あぁそうか。今度行こうな。2時間くらい歩くのは同じだから」 ははと笑いながらスマートフォンの画面を見ている梶さんの横顔を見て、こんなたわいもない会話ができる時間が幸せだなと感じた。 「梶さん今日は疲れているだろうから、僕がしてもいいですか?」 悠里はそう言うともぞもぞとベッドから起き上がった。 ん?という様子で梶さんの右の眉毛が上がる。悠里は梶の足の間に潜り込むと、バスローブをめくって梶の下半身をまさぐりだした。 目的のモノを探り当てると、両手で大事そうに持って先端に口づける。 「悠里……してくれるの?」 梶は愛おしげに悠里の髪を撫でた。 悠里は亀頭の部分を口に含みながら上目づかいで梶を見ると「うん」と頷いた。 「やばいな……」 梶はそう言うと、悠里の咥えた姿がよく見えるように腹筋を使って起き上がった。 悠里は右手で梶の陰茎を支えながらペロペロと舐めた。口に含んでも入りきらない。太いペニスの茎の部分はサイドから舌を出して舐め上げた。悠里の小さな頭が上下に動く。 「悠里のフェラ顔エロ過ぎるよ」 セックスの時の梶の言葉は直接悠里の下半身を刺激する。そして雄の匂いとは違うαの梶さんの匂いがペニスから漂う。悠里の大好きな匂いだ。 「どうしてほしいですか?教えてください」 梶の顔を見上げてそう訊ねると 「んっ、裏筋舐め上げて玉も咥えられる?」 うんうんと頷くと、言われたとおりに唇も使って頑張った。悠里とは形も大きさも違う梶のそれは舐めれば舐めるほど硬くなり、より一層大きくなってくるようだった。 「口に入りきらない部分は手で扱いて」 悠里は梶の指示に素直に従って右手で根っこの部分を握り上下させながら亀頭の部分に吸い付く。 梶がいつも悠里にしてくれるように、じゅるじゅると音を立てながら一生懸命しゃぶった。 梶さんんの味は悠里にとっては御褒美のようなものだ。αのフェロモンを直接口で味わう喜びが湧いてくる。 「あっ……ん、おいしい……」 夢中になって行為を続ける悠里。 「すごく気持ちいい」 上手だと梶さんは褒めてくれる。少し苦しいが、口の中で舌も積極的に動かした。 「んんっ……もっと強く吸い付いていいよ」   強めに吸い上げるとじゅるじゅると音が出た。 「う…悠里気持ちいい」 梶にそう言われると、自然と口淫にも熱が入ってくる。悠里は頭を前後に動かすスピードを上げる。 梶は両手で悠里の頬を撫でたかと思うと、そのまま手を下におろしていき悠里の乳首を摘まんだ。親指の先で乳輪をマッサージし、大きな掌で胸全体を揉む。 悠里は乳首を触られるとすぐに感じてしまう。恥ずかしいがもう完全に乳首だけで勃起してしまっていた。 「悠里、手がお留守になってるよ」 梶はそう言いながら自分でも腰を前後に動かし始めた。 「んんぅ……」 乳首をいじられる刺激に声が漏れてしまう。 悠里の乳首は固くツンと上を向いてくる。梶のペニスを掴む手に力が入り悠里は一生懸命にこすり上げる。 「悠里、悠…気持ちいい」 悠里は両手でペニスを扱き梶のペニスに頬をへこます程強く吸い付いた。 背筋に片手を添わせて撫でる。腰も大きく動いてくる。 乳首を刺激する指の強さも増して呼吸が荒くなる。 「悠、もうすぐイキそう」 悠里は苦しいのに喉の奥まで梶のペニスを突き入れて欲しいと思った。梶の興奮が伝わると自分の下半身からもゾクゾクと熱いものが込み上げてくる。 「悠…あ…出る……」 梶は悠里の口からペニスを抜き出すと同時に射精した。ものすごい勢いで白いドロッとした液体が飛び出して悠里の顔に勢いよく飛び散った。と、同時に悠里も射精してしまっていた。 悠里の口から唾液が糸を引き、真っ赤になった顔からはぁはぁと熱い息が吐き出された。 「……悠里……っごめん…顔射した……」

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