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第48話 スイス*

アイガーはベルナーオーバーラント三山のひとつで切り立つ北壁が迫力満点の観光スポット。 悠里はそびえ立つ山峰を見上げ、これぞスイスだなと感動した。 標高約3,970mの峰といえば富士山より高い。ピリリと冷えた肺を刺すような空気と迫りくる山肌に恐怖さえ感じた。 アイガーをテラスから見渡せるホテルからの眺望は圧巻だった。 スーパーも駅も近い立地の良いホテルにチェックインし、雪山装備などを現地で買い揃えた。 ホテルには温水のプールやスパもあり吹雪でも外で温かいお湯に浸かれるようだった。 「雪の露天風呂スイスバージョンだよね」 悠里は喜んで水着を購入し梶と二人でプールへ向かった。 極寒の地ではまつ毛や濡れたタオルもあっという間に凍りついてしまうので、髪の毛を濡らして逆立てて遊んだ。 童心に帰れた気分で楽しかった。 プールは広かったので人目はあまり気にしていなかったが、悠里の裸を他人が見るのを梶さんは嫌がっているようだった。 とはいえ水着は着ているし、こんな貧相な体、人様に見せるなんて逆に恥ずかしいと悠里は思っていた。 プールで他の宿泊客とすれ違うたびに梶さんがタオルで悠里を隠そうとしているので、少し間抜けに見えて面白かった。 それよりもマダムや、学生グループの女の子たちが、梶さんの均整の取れた体に見惚れている方が悠里は気になった。 その度に『いいだろ、梶さんのこの上腕二頭筋』という感じに、僕のモノだからっといわんばかりに梶と腕を組んだり体をこすりつけたりして、梶さんを鑑賞しているお客さん達を威嚇した。 旅の恥はかき捨てとは言うが、なかなか子供じみた行動に我ながら恥ずかしいとひとりで笑った。 何を勘違いしたのか梶さんが、いつも以上にベタベタしてくる悠里に。 「部屋まで我慢できないの?」 梶さんはそう言うと、素早く体を拭いてロッカールームから悠里を引っ張り出した。 そのまま連れていかれたのはプールと同じ階にあるトイレだった。 プール内にも化粧室があったので、このトイレの使用頻度は高くなさそうで清潔だった。 中に入って車いす用の少し大きめの個室に入ったかと思うと梶さんは悠里のズボンを下ろしにかかった。 「え、ちょ、ちょっと待って」 悠里は梶を止めに入ったが聞く耳を持たない。 「早くして、誰かきたらやばいだろ」 そういうとくるりと悠里を後ろ向けにしてお尻の穴を舐めだした。 「あっ……ちょ、ちょと梶さん!」 必死に食い止めようとしたが、舐めて濡らした中指をクプリと悠里の中に入れてきた。 「や、いやです、なんか……あっ」 「ココは嫌って言ってないけど?……悠里入りやすいように俺の舐めて」 梶さんが自分のパンツを下ろすと、梶さんのそれは、もう準備万端に勃ち上がっていた。 「プールで温まってたから、悠里のここ、柔らかい。すぐに入りそうだぞ」 ぐぷりっと音を立てて梶さんの指を呑み込んでいく自分の孔口が恥ずかしい。 「ほら、早くじらさなで」 梶さんは便座に腰かけて悠里の腕を引いた。 もうここまできたら「部屋まで我慢できないもの」は何なのか容易に想像がつくが、どこをどう勘違いされたか、そのポイントが悠里にはいまいちわからなかった。 悠里は梶のその硬くなった印をみて、もうやるしかないと諦め、唾液たっぷりに梶さんのペニスを口で濡らした。 悠里を後ろから抱っこするような形で梶さんは挿入した。絶対に声を出してはいけない状況だとわかっていても、悠里はどうしても声が漏れてしまう。 「あっ……」 「…すごい、ナカびくびくしてるな」 ローションがない分ぐぐぐっと押し開かれる感覚が少しきつい。なかなか最後まで入らなかった。 「悠里少し出せる?」 と言うと梶さんは悠里を抱き上げて一度ペニスを抜いた。 悠里を向かい合わせに立たせて悠里のペニスを口に含むと梶さんは口淫し始めた。 「ひゃ……っ!」 悠里はびっくりして梶さんの髪の毛を両手で掴んだ。 梶は悠里の気持ちの良いツボを押さえているのか、高度なテクニックを駆使し、数分で悠里のそれを勃起させ射精させた。 梶の口の中に放たれた愛液はそのまま梶の掌に移され、そのねばねばした体液で自身の竿をぬめらせ、残りの体液を悠里の孔口に塗り込めらた。 恐るべき手際の良さである。 今度は悠里の穴を人差し指と中指で器用に開け、あっという間に根元まで自分のペニスをズブズブと差し込んだ。 ハァーとそこで深くため息をつくと 「俺史上最速だぞ」 と梶さんは自慢げに呟いた。 それを誇らしげに言われても、褒められるポイントがどこにあるのか謎過ぎてわからなかった。 悠里は瞬く間に射精させられて賢者タイムも与えられずに、ぐらんぐらんしている体を持ち上げられてペニスを一気に挿入された。 ギネス記録があったら塗り替えられるのではないかと思うスピードだった。 これは悠里にとって人生初のトイレセックスであるのは確かだ。 だけどこんなに、せわしない挿入はあまり気持ちの良いものじゃない。 悠里はせっかく入った梶のペニスを引き抜いた。 くるりと反対を向くと梶の上に跨って抱っこされる状態でそのままゆっくり再度亀頭を自分の中に沈めていった。 「んっ……っ」 少し苦しかったが最後まで時間をかけて梶の上に体を沈めていった。 「梶さんキスしたいです……」 「あぁ、キスしよう………」 深いキスを味わいながら、二人はゆっくりと腰を動かしだした。 甘い香りがトイレの個室に広まった。梶は服の下から悠里の乳首に触れて、それを優しく揉みしだいた。誰かが入ってくるかもしれない場所で声を我慢しながら愛し合う。甘くしびれる行為に、お互いの呼吸が重なりいつも以上に気持ちがいい。 「梶さん……梶さん……好き、大好き」 悠里が囁くように言うと、梶は悠里の唇を引き寄せて。 「好きすぎて、俺はときどきバカになる」 ぷっと思わず吹き出してしまった悠里。 「おい……」 と少し怒ったふりをして、梶さんはまたゆっくりと腰を動かした。 場所はトイレだというのに、いつもよりずっと時間をかけて満足いくまで愛し合った。

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