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第38話 生け贄の王子(12)

 3ー12 監禁  これ。  僕は、目を閉じたまま微笑んだ。  リリアンの光、だ。  年の離れた僕の妹。  かわいくて、きれいで、そして。  たくましい。  僕は、はっと気づいた。  もう、ラクウェル兄は、姿がなかった。  僕は、王城のかつて僕の居室だった部屋のベッドの上に横たわっていた。  「ふっ・・」  僕は、快楽の残滓が内腿を濡らすのを感じていた。  あれからどのくらい時間が過ぎたのか?  僕は、思い出していた。  あの日。  魔王学園に行ってテシガアラを匿ってもらえるようにラグナック学園長にお願いして。  それから。  ローザのもとに戻ってきた僕を待っていたのは、ラクウェル兄だった。  そして。  僕は。  頭がずきずき痛む。  僕は、頭を抱えて顔をしかめた。  僕は、ラクウェル兄に酷く責められたんだ。  何度も意識が飛んで。  その度に、触手の出す媚薬を飲まされて。  そして。  僕は、数えきれないほどいかされて。  今は、いつなんだ?  僕は、ベッドから出ようとした。  けど。  僕の足には足枷がはめられていてベッドの上から動けそうになかった。  僕がどうしたものかと思っていると誰かがドアから入ってきた。  「お目覚めでしたか?レリアス様」  見知らぬメイドが僕に礼をとった。  かつて僕につかえてくれていた人たちは、みな、ラクウェル兄の手で殺された。  それなのに!  僕は、ぱんぱん、と自分の頬を叩いた。  しっかりしろ!  僕は、きっと顔をあげた。  「ちょっと、お願いがあるんだけど」  僕が頼むとその見知らぬメイドは、首を傾げた。  「なんでございますか?レリアス様」  「服、をもらえないかな」  僕は、裸でベッドの上にいた。  メイドは、にっこりと微笑んだ。  「ラクウェル様よりレリアス様には、服を与えずともよいといわれております」  はい?  僕は、気を取り直してもう一度頼んだ。  「じ、じゃあ、その、トイレに行きたいんだけど」  「それでしたら」  メイドが僕の方へと手を伸ばした。  その手がくぱぁっと四つに割れて糸を引くのが見えて僕は、恐怖のあまり硬直してしまった。  「私がお世話させていただきますからご安心を」  この人!  僕は、後ろへと下がった。  人間じゃ、ない!  

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