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第40話 水の魔王

 4ー1 平和な朝  呼んでいた魔道書から顔をあげると僕は、ほっとため息をついた。  暖かい太陽の光が窓から差し込んで遠くで鳥が鳴いているのが聞こえる。  「レリアス様、朝食の用意ができましたよ」  階下から使用人の呼ぶ声がして僕は、立ち上がった。  あれから一ヶ月が過ぎた。  テシガアラとリリアンの手によってラクウェル兄のもとから救出された僕は、今、魔法学園に保護してもらっている。  僕の証言で王城がラクウェル兄と彼を支配する邪神によって乗っ取られていることを知ったラグナック学園長をはじめとする魔法学園の面々は、国家の緊急事態として王城に対して国家に対する反逆罪の疑いを申し立てた。  だが。  今のところ、ラクウェル兄たちに目立った動きもなく僕は、平穏な日々を過ごしていた。  僕は、魔法学園の一角にある職員用の屋敷に滞在することを許された。  「ほんとにこっちが声をかけなけりゃいつまでたっても降りてきやしないんだから」  ぶつぶつ言いながら僕の前にどん、と朝食の皿を置く小柄な白髪の老婆は、僕の世話をしてくれているこの家の管理人のマーサさんだ。  僕は、頭をかいた。  「すみません、マーサさん。本が面白いところで夢中になっちゃって」  「まったく!」  マーサさんは、呆れた様子で僕を見ていたがすぐにため息をついた。  「まあ、坊っちゃんも苦労されたんだろうからいいけどね」  マーサさんは、僕のことを坊っちゃんと呼んでいる。  僕ももう27才。  というか、この秋の建国祭がくればもう28才になるんだけど、そんなことは、このマーサさんには関係ないらしい。  僕は、決して幼く見えるわけでもないんだけど、頼りなさのせいかもしれないな。  マーサさんは、僕が朝食を食べ終えるのを待って、僕にお茶を入れてくれた。  「今日のご予定は?」  「今日は、午後から学園の方に顔を出すことになってるんだけど」  今、魔法学園では、臨戦態勢をとっていた。  もともとが女神の神聖魔法によって守られているのだが、さらに教員たちの手で障壁魔法が強化され、学生たちから集めた有志による騎士団が形成されラクウェル兄との戦に備えている。  学生たちのリーダーを勤めているのは、なんとリリアンとテシガアラだった。  

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