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第41話 水の魔王(2)
4ー2 サンドウィッチ
僕は、マーサさんに持たされた弁当の詰められた籠を抱えて魔法学園の執務棟にある生徒会室に向かった。
道中、剣の鍛練をしたり武具の手入れをしている学生たちを見かけて僕は、胸が痛かった。
本当なら彼らは、心行くまで学問に励めていたはずなのに僕やラクウェル兄のために邪神との戦いに巻き込まれてしまったのだ。
僕は、できるだけ目立たないように気配を消していた。
申し訳ないのもあるが、みな、僕がラクウェル兄の性奴であったことを知っているかと思うと恥ずかしくていたたまれない。
ラグナック学園長や、リリアン、テシガアラたちは、みな、僕が被害者だと言って労ってくれるが世間はそうは見ないかもしれない。
僕は、汚れ、堕ちた王子なのだ。
僕は、誰にも見つかることなく生徒会室へとたどり着きほっと安堵していた。
ドアをノックしようとしたらドアが開いてテシガアラが顔を出した。
「テシガアラ?」
僕が驚いているとテシガアラは、にっこりと微笑む。
「やっぱり。レリアスの気配がすると思ったんだ」
テシガアラは、僕の手を引いて部屋の中へと誘うと僕にソファに腰かけるようにすすめた。
「リリアンは?」
部屋の中は、珍しく誰もおらず僕とテシガアラの二人きりだった。
テシガアラは、僕の隣に腰を降ろすと僕が持ってきた昼食の入った籠の中身をテーブルに広げた。
それは、薄く切ったパンに肉や野菜を挟んだ軽食だった。
サンドウィッチとかいうテシガアラのいた異世界の郷土食らしいのだが、今、魔法学園の学生たちの間で流行していた。
いわく。
水の魔王が好んで食べるパン、だとか。
テシガアラは、今や、時の人だ。
リリアンとともに革命軍の旗印となって王国の平和を守るために戦おうとしているテシガアラに僕は、本当に感謝していた。
本来なら僕がやらなくてはいけないことだったが、僕なんかでは、誰もついてきてはくれない。
でも、テシガアラが慣れない異世界でこんな戦いに巻き揉まれたのは、僕のせいだ。
テシガアラは、サンドウィッチを一つ手にとると齧りついた。
「うまひ!」
テシガアラは、もぐもぐしながら手に持っていたパンを僕に差し出した。
「レリアスも食べて」
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