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第45話 水の魔王(6)

 4ー6 伴侶  ハジメは、僕の鼻先にちゅっとキスをするとにっと笑った。  「まあ、いい。俺がこれからあんたが前にあったこと全部忘れるぐらいしてやる」  ハジメの声が耳の中に響いて。  僕は、呼吸を乱した。  「いっぱいいっぱい、してやる。あんたがもう、泣かなくてもいいように最高に幸せにしてやる」  「ハジメ・・」  「リリアンにきいたけど、この世界じゃ、男同士でも結婚できるんだろ?」  ハジメが僕の顔を覗き込んだ。   一瞬、僕たちは、見つめあった。  そして。  ハジメは、顔を真っ赤にして、僕に告げた。  「今は、まだ、無理かもしれないけど、いつか、そのときがきたら、俺と結婚して欲しい」  「!」  僕は、驚きのあまり声が出なかった。  僕の沈黙にハジメが不安げな表情を浮かべる。  「やっぱり、ダメかな。俺じゃ、頼りないか?」  ハジメがうつむく。  僕は、ハジメの首もとに手を回して彼を抱いた。  「違う・・違うんだ、ハジメ」  僕は、涙を止めることができなかった。  「僕・・僕、でいいの?ほんとに?」  こんな汚れた僕なんかでもハジメの伴侶になれるの?  ハジメは、僕を強く抱き返した。  「もちろん、だ。レリアスが、いい。レリアスじゃないと嫌だ!」  「僕、も」  僕は、顔が熱くて。  もう、ハジメのこと見れそうになくって。  ただただ、ハジメを抱き締める。  「ハジメのこと、好き、だ」  と、そのとき、ハジメが急に真顔になった。  「何、立ち聞きしてんだ?」  はい?  生徒会室のドアがぎぎっと音をたてて開いてリリアンが姿を現した。  「いや、ごめん。邪魔するつもりはなかったんだけど」  「ちっ!」  ハジメが僕を抱いたまま舌打ちする。  「気のきかない女だな」  「てか!」  リリアンが僕たちの方へとずかずかとやってくるとハジメに指を突きつけた。  「こんなとこでレリアスお兄様を抱くつもりじゃないでしょうね?あんた」  はい?  僕は、キョトンとしてしまった。  というか。  リリアン、君、ほんとに僕の妹のリリアンなんだよね?  ちょっと、たくましくなりすぎなんじゃ?  お兄ちゃんは、君の将来が心配になってきたよ?  

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