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第47話 水の魔王(8)
4ー8 理由
リリアン主導で僕とハジメの婚約が決まった。
邪神とラクウェル兄との決戦前だし、この傷物王子の僕との婚約だからあまり派手なお祝いはできないと思っていた。
だけど。
ラグナック学園長は、魔法学園をあげて僕たちの婚約をお祝いしてくれた。
街の住人たちも、学生たちも、お祭りを楽しんだ。
ちょうど夏の休暇の前で、みんな、いつもならそれぞれの領地や屋敷に帰るところなんだけど今年は、邪神との戦いのため帰郷できそうになくって不満が高まっていたみたいでいいガス抜きになったようだった。
でも。
僕は、やっぱり人前に出るのが怖かった。
みんなに軽蔑されるんじゃないかって思うと、怖くて。
そんな僕にハジメは、言ってくれた。
「最高にかわいくって、きれいなレリアスのことを悪く言う奴なんて馬に蹴られて死んでしまえばいい」
僕たちの婚約式は、魔法学園の中にある女神の神殿で行われた。
といっても簡単なものだったので参席者は、リリアンとラグナック学園長だけだったけど。
式は、リリアンの聖女の師匠である神官長が執り行ってくれた。
厳かに行われた婚約式がすむと僕たちは、魔法学園の大講堂で行われるパーティーに参加することになっていた。
だけど、その前にラグナック学園長に僕たちとリリアンは、学園長の執務室へと招かれた。
てっきりお祝いを言われるのかな、とか思っていたんだけど、ラグナック学園長の雰囲気は、そんな感じじゃなかった。
いつもは朗らかな人なんだけど、このときは、なんというかすごく深刻な表情をしていた。
「君たちに話があります」
そう、ラグナック学園長は、僕たちを前に話し始めた。
「なぜ、ラクウェル様が3年前に王族を皆殺したときにレリアス様とリリアン様だけを生かしたかを話すべきときがきたようです」
「それって、レリアスのことを性奴隷にするためじゃないんですか?」
ハジメがきくとラグナック学園長は、頭を振った。
「ラクウェル様は、確かにレリアス様に執着していましたが、あなたを性奴にしてまで側に置こうとしたのには訳があります」
ラグナック学園長は、続けた。
「このシュテルツ王国の次期王になぜ、レリアス様が選ばれたかわかりますか?」
「それは、ラクウェル兄上が金色の王子だったから?」
リリアンが答えるとラグナック学園長が頷く。
「それもありますが、何より、レリアス様が色を持たない王子だったからです」
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