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第48話 水の魔王(9)

 4ー9 守護者  「僕が色なし王子だったから?」  「そうです」  ラグナック学園長が話した。  「お二人とも、色なしは、この国の王族にとっては、特別な意味を持っていることは、ご存じですね」  僕とリリアンは、ラグナック学園長の言葉に頷いた。  「魔力量が多いから特別なんですよね?」  僕がきくとラグナック学園長がふっと吐息をついた。  「それもありますが。実は、この国の成り立ちに関わる理由があるのです」  ラグナック学園長が僕たちに語ったことによると、この国の始祖である王が色を持たない者だったらしい。  「色なしの王は、建国のときに女神の祝福を受け、以来、この王国は、女神の加護を得ることになりました」  ラグナック学園長は、僕たちのことを見回した。  「邪神がこのシュテルツ王国に手を出せないのは、女神の加護のおかげです。そして、女神の加護を守る者が色なしの王子なのです。つまり、邪神とラクウェル様がこの王国を意のままにするためには女神の加護が邪魔だったのです。それ故、彼らは、レリアス様を生かしたまま籠絡しなくてはならなかった」  ラグナック学園長が僕をじっと見つめた。  「レリアス様こそが女神の守護者であったから、彼らは、あなたを生かしたまま手に入れる必要があったのです」  僕が女神の守護者?  突然の話しに僕は、よく理解できずにいた。  「要するに、この国を自由にしたかったらレリアスを手に入れればいいってことですか?」  ハジメがそうきくとラグナック学園長が頷いた。  「そういうことです」  ラグナック学園長が僕たちに告げた。  「だから、ラクウェル様は、レリアス様を生かしたのです。もし、レリアス様を手に入れられなければ女神の加護に守られているこの王国を手中にすることはできなかったから」  ラグナック学園長の言葉にみな黙り込んでいた。  僕も、なんといえばいいのかわからなかった。  「そんなことのために?」  しばらくしてから、ハジメが口を開いた。  「そんなことのためにレリアスを苦しめたのか?」      

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