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第56話 初恋(4)
5ー4 あい
「ばかだな、レリアス」
ハジメは、僕の髪に優しい口づけを落とした。
「俺もお前を失いたくない。ずっとずっと一緒にいよう」
「ハジメ」
「愛している、レリアス」
「誰が、誰を愛してるって?」
はい?
突然に現れた気配に僕とハジメが身構えると、そこには、仁王立ちのリリアンが立っていた。
「私は、言ったわよね?レリアスお兄様に無体なことするなって」
「リリアン!?」
僕は、慌ててシーツの中に潜り込んだ。
顔に熱が集まる。
リリアンに見られるなんて、恥ずか死ぬ!
「なんでここに?」
ハジメがきいた。
「この家の周囲には魔除けの障壁を張り巡らしていたのに」
「何が、魔除けじゃ!」
リリアンが激怒する。
「そんなもの、私が解除できないとでも?というか、障壁解除されたのにも気がつかないなんて!やっぱり、あんたのことレリアスお兄様の守護騎士として認められないわ!」
「くっ!」
リリアンに言われてハジメが悔しそうに歯噛みした。
てか。
僕の寝室に勝手に入ってきてるなんて、リリアン、ご令嬢としてあれだよ!
あれ!
「で?」
1階の食堂で僕とハジメは、リリアンの前に正座させられていた。
リリアンが僕たちに笑顔で訊ねた。
「報告は?」
「異常なし!」
ハジメが答える。
リリアンは、微笑みを深める。
「異常なし?」
僕たちは、こくこくと頷いた。
リリアンは、はぁっとため息をつく。
「なんで、そんなこと言えるわけ?」
リリアンが僕たちに告げた。
「たった今、ラクウェルから使いがきたわ」
ラクウェル兄から?
僕は、ハジメを見た。
ハジメは、リリアンにきいた。
「何て言ってきたんだ?」
「ラクウェル兄は、正式にレリアスお兄様を妃にしたいと申し込んできたのよ」
はいっ?
僕は、ぎょっとしてしまった。
なんでラクウェル兄が僕を妃に?
「ラクウェルの使者である宰相のリトアール公爵が言うには」
リリアンが額を押さえて怒りを堪えながら話した。
「ラクウェルは、レリアスお兄様への愛に目覚めたそうよ」
あい
僕は、ぽかんとしていた。
あいって、何?
「断る!」
ハジメが僕がぼぅっとしているときっぱりと応じた。
「すでにレリアスは、俺の婚約者だ。ふざけたことを言わないでもらいたい」
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