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第63話 初恋(11)

 5ー11 パーティー  僕たちが玉座の間につくとそこには、すでにたくさんの人々が集っていた。  すべて、ラクウェル兄が今夜のパーティーに招待した人々だ。  見回すと、いろいろな階級の人々が招かれているようだった。  ほとんどが貴族たちだったが、中には、王都で名高い商人やらも含まれていた。  うん?  僕は、招かれている人々に何か違和感を覚えていた。  誰もみな、反王政派の貴族だったり、黒い噂のある者だったり。  リリアンも奇妙な表情を浮かべる。  「このメンバーって・・」  「みなさん、そろわれたようです、王よ」  リトアール公爵がラクウェル兄に跪くと兄上は、頷き玉座から立ち上がった。  「では、建国祭のパーティーを始めようか」  ラクウェル兄が金の杯をあげると、人々が歓声をあげた。  「今夜は、特別な客人を招いている」  人々の視線が僕へと集まる。  「レリアス!こちらへ」  ラクウェル兄に呼ばれて僕は、その場に立ちすくんだ。  ラクウェル兄が僕に向かって笑いかけた。  「無理矢理でないと嫌なのか?レリアス。お前は、そういうのが好きだからな」  玉座の間にいる人々が下卑た笑いをあげる。  僕は、顔が熱くなってうつ向く。  「さあ、ご主人様がお呼びですぞ、レリアス様」  近くにいた貴族の男が僕に笑いかけた。  「はやくお側にいって腰をすり付けたらどうなんです、奴隷王子殿」  「貴様らっ!」  拳を握るハジメをリリアンが止めた。  「行きましょう」  僕たちは、ラクウェル兄のたっている玉座の側へと歩みよった。  ラクウェル兄の立つ壇上の下で僕は、兄上を見上げた。  ラクウェル兄は。  一瞬、目を細めて口許を緩めた。  そして。  突然、ラクウェル兄の背後からいくつもの触手が伸びてきて僕を絡めとり空中へと掲げた。  「よく見るがいい!今夜の見世物を共に楽しもう、レリアス!」  手足を拘束されみなの前に吊り下げられた僕を見て招かれた人々がにやにやと笑った。  「貴様!レリアスに何を!」  ハジメがラクウェル兄に飛びかかろうとするのを周囲に配置されていた魔物の使用人たちが邪魔するのが見えた。  

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