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第7話
薄暗い森の中に入り、目的の位置まで着くとライモは呪文を唱えた。
するとザァッと空気が流れ、そこには青空が広がった。
「まさかっ、魔術が使えるのか……?」
ライモに担がれたままユリが驚き呟く。
「とことんオークを舐めてるな」
本当はオークの中でもα の一部しか魔術は使えない。
それも基本の簡単な魔術のみだ。
青空の下は森の一部を切り開いて作った小さな小屋と庭があった。
ここはライモが隠れ家として使っている小屋だ。
ライモはユリを担いだまま急いで小屋へと入った。
小屋の中は一部屋だけで、藁に布を被せただけの簡易的な寝床と、台所とテーブルがある。
寝床近くの床にユリを下ろしてライモは言った。
「濡れたまま寝床にはあげられない。服、自分で脱げるな?」
ユリは戸惑い返事に詰まっているが、その返事を待つ余裕はもうライモには無かった。
部屋の端にある箱から布を出し、バサッとユリに投げた。
「髪も拭け」
ユリは戸惑いつつもモゾモゾと動き出し、濡れた服を脱ぎ始めた。
ユリが服を脱ぎ始めると、香りがより強く立ち込める。
ライモはマズいと思い、窓と戸を開けて出来るだけ空気を入れ替えた。
なんとか正気を保っている内にやるべきことがある。
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