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第25話

 急いで小屋に戻りると、中は静かだった。  寝床を見ると、そこには服や布が盛られ、白い脚が二本出ている。  柔らかなふくらはぎを撫でながらライモは声を掛けた。 「ユリ」  布がモゾモゾ動きに、ぼんやりとしたユリが顔を出した。  しかしその目は涙目だ。 「ライモ……おかえり……」  ユリはそう呟きライモに抱きついて来た。 「どうした? こんなに服集めて。寒かったか?」  小屋にある数少ないライモの服が寝床の上掛けと一緒に小さな山になっている。  ユリはその中で寝ていたらしい。  心配になり尋ねるとユリはライモの胸に顔を埋めたままグリグリと頭を振り小さく言った。 「淋しかった……。ライモの匂い落ち着く……」  ユリへの愛おしさがライモの胸に膨れ上がる。  この四日間、ユリはライモにべったり甘えていて、ライモもそんなユリが愛おしくてたまらない。  ユリの発情期がいつまで続くのか分からないが、このままでいて欲しいと思ってしまう。  ライモはユリを抱き締め頭を撫でた。 「遅くなってごめんな」  ユリの髪に鼻を埋めてユリの匂いを嗅ぐ。  心地よい甘い香りを堪能しつつ気付いた。 (ちょっと……汗臭いな)  その汗臭さはライモの匂いだ。  ずっと一緒にいて匂いが移っている。 「ユリ、一緒に水浴びしよう。天気もいいし」  そう誘うとユリは嬉しそうに頷いた。

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