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第30話
ユリの発情から七日目の朝。
ライモが目を覚ますと、腕に抱き込んでいたユリがぼんやりとライモの顔を見つめていた。
「……おはよう。早いな」
ライモがそう声を掛けるとユリは腕に抱き込まれたまま「ん」とだけ答えた。
ライモはユリにいつもと違う何かを感じた。
そして気付いた。
「ユリ……お前匂いがしてない……」
ライモがそう指摘するとユリは言った。
「ああ。発情期が終わったようだ」
ユリはそう言って苦笑いを浮かべた。
「……そうか」
ライモはそう言ってユリから離れようとした。
発情していない状態ならば、裸でオークに抱き締められているのは不快だろうと思ったからだ。
しかしユリはライモの身体に腕を回し素肌のまま身を寄せてきた。
「ユリ?」
驚いてライモがユリに声を掛ける。
ユリはもじもじとしながら小さい声でライモに言った。
「あ、あのさ。もう一回、してくれないかな」
『何を?』と無粋な事は聞くまでもない。
ライモの胸に顔を伏せたユリだが、その尖った長い耳が真っ赤になっていた。
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