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第21話

 縺れながら玄関を転がり、そのままベッドに押し倒した。合間に脱がせたセーターやズボンを適当に放ると、綺麗な放物線を描いて四方に飛んでいく。  「しお、早く」  「煽るな。俺も早くしたい」  噛み付くように唇を重ねた。薄く空いた隙間に舌を入れ、歯列を丁寧になぞると圭はくぐもった悲鳴をあげた。誰ともつかない唾液が、圭の首筋を伝っていく。  豆電球だけの部屋は、すべてを曖昧に映す。  はっきり見えない分、圭の切なそうな表情が余計に官能的にみえた。  「そういえばお前いくつだ?」  「……いま訊く?」  「大事なことだ。さすがに中学生に手を出すのは」  圭は唇を尖らせたが、観念したように口を開いた。  「来年で十八」  「嘘だろ」  華奢な身体や、一六〇センチあるかないかの背の高さは年齢よりも幼く映る。元々童顔なことも要因の一つだ。そういえばケイも顔が幼かったな。  「もういいでしょ?」  これ以上余計なことを言わせない、とばかりに圭から唇を重ねられ、一気に身体中の血が騒ぐ。  頬から首筋、鎖骨へと指で辿り赤い尖りの終着点に到達する。指の腹で捏ねたり抓ったりすると、くぐもった声を漏らした。  「気持ちいいか?」  「あっ……いい。もっと」  「嫌ってほどしてやる」  爪先を何度も立てると、ぷっくりと尖ってきた。完全に芯を持った尖りを口に含み、舌で執拗に転がす。  「……んんっ、あっあっ」  快楽に耐えかねたのか、圭は頭を振る。  そんな小さな抗議は何の役にも立たない。  舌で圭の乳白色の肌を辿り、つるつると滑り、肌の張りと艶やかさがあった。すでに立ち上がっている欲望を舌先で触れると、圭は潮見の頭を掴んだ。  「やだ、そこ汚い」  「可愛いよ。すごく」  まさかゲイでもない自分が、同じ男の性器を舐める日が来るとは思わなかった。だが不思議と嫌悪感はない。愛情の方が上回っているせいだろう。  口腔に受け入れると圭の身体が弓形に反った。根本から先端まで丁寧に舐め、鈴口を舌で突いた。そこはすでに先走りで濡れて、ほろ苦い体液の味がする。  「あっ、あぁっ……や、だ」  「こんなになってるくせに」  指で弾くと透明な液がびゅっと飛び出す。  「いじわる……」  「好きな子ほど苛めたくなるんだ」  初めて知ったけど。  圭の右足を掲げ肩に乗せる。露わになった秘めたる箇所に、自然と喉が鳴った。思っていたより余裕がないのかも。ゆっくりと眺めたいが、早く一つになりたい。  ベッドの下をまさぐると、ハンドクリームのチューブが出てきた。一応人体には悪影響はないはずだが、ないよりましだ。じゅるっと一気に手のひらに乗せ、それで秘孔を濡らす。  冷たい感触に圭は身体を震わせたが、抗議の声は上がらない。お互い同じ気持ちなのだ。  「指入れるぞ」  「うん」  輪郭をなぞり傷つけないように指を入れた。中は窮屈だったが第二関節を超えると、ゆるゆると奥へと進む。押し広げるように指を前後に動かした。  「ん、あっ……あぁ」  「平気か?」  「いい……はやっ、く」  圭は腰を揺らし潮見を煽る。  理性の箍が外れる音がして、指を二本に増やした。入り口の浅いところを揉み込むと、圭はワントーン高い嬌声をあげた。  「ここ?」  「あぁ……やっ!」  前立腺を押すと圭の性器がぐんと空を仰いだ。今にでも達してしまいそうなほど膨れ、先走りが絶え間なく零れている。  「悪い。我慢できない」  指を抜いて屹立をあてがい、ゆっくりと腰を進めた。一気に貫きたい気持ちを堪えるので精一杯だ。滴り落ちる汗を乱暴に拭う。  圭は眉を寄せて痛みに耐えているようだ。  それもそのはずだ。今まで秋人に無理矢理身体を開かされていたのだから。でも自分は違うとわかって欲しい。  「目を開けて俺を見ろ。圭を抱いてるのは俺だ。その目に焼き付けろ」  「し、お……あっ、あ」  好き、と譫言のように続けられると同時に奥まで納まった。きゅうと締め付けてくる肉壁は潮見自身をきつく包み、すぐに限界を迎えそうだった。  圭は涙で濡れた瞳で真っ直ぐに潮見を見上げている。まるで確認するように、瞬きも忘れるくらい。  「動くぞ」  最初はゆっくり、だけど段々と腰の動きが速くなる。探り当てた前立腺を掠めると、圭は頭を振った。  「あっ……あ、あっ」  「悪い。もうイく」  「僕も。いっしょに」  「好きだ」  細い腰を引き寄せ身体を激しく揺さぶった。射精感が近く、目の前が白く点滅する。  「あっ、あ……!」  射精をすると、性器から頭まで官能が走った。一滴も残さないように浅く腰を揺すり、圭の中に注ぎ込む。圭の精液は潮見の腹に飛び散っていた。  お互い荒い呼吸のままキスをして、小さく笑った。  「僕もしおを幸せにしたい」  「期待してるよ」  目元の涙を拭ってやると、また身体が火照りお互いを求め合った。

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