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ハハハ!ついに見つけたぞ 0.99の1
「大丈夫だよ。俺だっているし」
確かに僕が一番借りがあるのはチギラさんかもしれない。
ここで聞いて初めてわかったのだが、僕が足首にヒビが入って高熱を出した本番の日、車に乗せて夜間救急に付き添ってくれたのも、奏経由で姉に連絡してくれたのも彼だった。
あの後も差し入れを持って来たり部屋を片付けてくれたり、何度も世話になったし……
何より、チギラさんが背中を押してくれなかったら、唯人さんの遺骨を諦めていただろう。
あれから色々考え、電話だと緊張して思った事の半分も言えないと思ったので、遺骨や遺品を託されていたらしい唯人さんのはとこに手紙を書いて送ったーー唯人さんとは長年、家族として暮らしていた事、別れた経緯やホスピスで最後に会った事、散骨を希望しているのは知っているが、分骨してもらえるなら手元で弔いたい事。
無視されるか、突き返されるかと思っていたが、数日後に電話が来た。
チギラさんの予想通り、唯人さんはまだ彼の所にいたが本当にタッチの差だった。特に四十九日を待たずに式などもせず、本人が予約した業者に任せる予定だったそうなので。
ただ、はとこさんの方が唯人さんほど割り切れていないというか、あまり面識のない自分よりも親しかった人に供養してもらえるならそれに越したことはないと考えているようだった。
ただ、僕の手紙の内容が思いもよらなかったため驚いている事、受け止める時間が欲しい事、僕に一度会ってから決めたいという事も言われた。
それで、来週また北海道に行く事になった。
チギラさんは自分の事のように喜んでくれーーいや、喜ぶって変かなーー一緒に着いて行こうか、とまで言ってくれた。アカリちゃんの事ももちろんあるが、これは僕自身の問題なので気持ちと勇気だけいただいて丁重にお断りをした。
その一方で、就活と単位に差し障りがなければ奏について来てもらえないかな……とこっそり考えている。ヘタレな叔父ではある。
とにかく、僕にしてはこれだけでも上々だ。後は話し合ってみての結果だからどうなるかはわからないけど……この人なら任せても大丈夫だと思ってもらえるよう、頑張りたいと思う。
いや、唯人さん流なら頑張り過ぎない方がいいのかな。
そうだ。きっと向こうは雪が物凄いよね……何をどれだけ準備して行ったら無事生還できるんだろう?
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