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第34話

結局その日はいろいろ事情を聞かれることになって、朔也が堂本さんの元へ帰れたのは早朝だった。 朔也がマンションへ着くと、やはり堂本さんは、寝ずに待っていてくれた。 朔也は心配をかけたことを謝った。 半分目をつむった状態で疲れきっている朔也の様子を見て、堂本さんは一度休もうと言ってくれた。 昼近くになって朔也が目を覚ますと堂本さんはもう起きていた。 「簡単な食事、サンドイッチを買ってきてるからどうぞ」 そう言って朔也にコーヒーを入れてくれた。 警察が動いている事は極秘事項なので言う事はできないが、それ以外の事は正直に話をした。 ただ、何故あのパーティーに朔也がいかなければならなかったのか、という理由については、浮気調査だと言った。 違法のパーティーが行われているかを調査していたのではなく、夫が通っているパーティーに浮気相手がいるのかどうかという調査だと偽った。 堂本さんも以前話していたので、どんなパーティーか自分が行って確かめるチャンスだと思った。と、そこは正直に話した。事実だから。 「それは、探偵事務所の調査員に任せるべきだったんじゃない?」 堂本さんのもっともな意見。勿論そうできればしたのだが、あそこに客として入る事は難しかった。けれどアルバイトなら募集していると聞いたのでそれしか手段がなかった。これも事実だ。 「アルバイトの条件が見栄えのいい若い男の子だったんです。調査員にそういう人がいなくて……みんな強面で、どちらかというと、ごっつい感じの強そうな人ばかりなので」 堂本さんは納得したようだった。 「あそこは誰かの紹介でないと入ることができないし、客層からいって信用ある職業についている金持ちの連中でないと会員にはなれない。金だけ払って参加したいっていっても無理だ。それは、俺も苦労したからよくわかる。けれど、朔也は、その浮気調査の依頼を断ることもできたよな。潜入することができませんって言えただろう」 「怒らないで欲しいんですが。自分が確認してどんなパーティーかを堂本さんに教えられたらいいと思いました。僕でも役に立てるんじゃないかと勝手に考えたんです」 堂本さんは頭を抱えて深くため息をついた。 「朔也が帰ってくるまで時間があったから、昨日いろいろ考えてみたんだ。もしかしたらと思ったら、やっぱりそうだったんだな」 堂本さんは朔也を膝の上に抱え上げると強く抱きしめ、そんなこと二度としないでくれ。と言った。朔也は強く何度も頷いた。 さすがにあのアルバイトはもうできない。途中で勝手に抜けて帰ったし、もう一度雇ってくれとも言えない。 倉田さんも朔也にボーイはやらせないと言っていた。 後は警察の仕事だろう。VIPルームで何が行われているのか、気になると言えば気になるが、それもそのうち明らかになるだろう。 「朔也、でも約束は約束だ。昨日ここに引っ越してくると言ったよな」 覚えていたんだと思った。朔也は頷いた。 決して一緒に住む事が嫌なわけではない。 お互いの時間がなかなか合わない仕事なので、一緒に暮らせたら多分それはとても合理的だし、職場にも近くなる。 金銭面でも家賃や光熱費が半分になるのは有り難い。 「今から引っ越し準備をします。お任せパックで、もう業者に頼んじゃいます」 笑顔でそう返事をすると、堂本さんはわしゃわしゃと朔也の髪を掴んだ。 「空いてる部屋を朔也の部屋にしよう。掃除しなくちゃいけないな。忙しくなるぞ。そうだあれだな何でも屋さんを頼もう。手伝いをしてくれる人を手配して2時間くらいで一気に片付けよう」 「堂本さん、僕、そんなに荷物を持ってないんで、お手伝いの人とか必要ないです」 堂本さんはなんだかとても満足そうだ。その様子を見ていると朔也もとても嬉しくなってくる。 朔也は思わず堂本さんの唇にチュッと口づけをした。 あ、ごめんなさいと俯いて赤くなった。そういえば自分からキスをしたのは初めてかもしれない。 朔也はこういう事はいつも堂本さん任せだったなと少し反省した。 「堂本さん……あの、好きです。一生一緒にいる覚悟はできてます」 これは川島さんの言葉をそのまま真似した。 堂本さんは朔也を抱きしめると。 「それプロポーズだよな?」 朔也に確認する。 「指輪買いに行こうと言ってくれた時の返事をまだしていませんでしたから」 「引っ越しと指輪どっちを先にする?」 「あ、もう引っ越しの準備するつもりだったんで、指輪は落ち着いてからで」 「取り敢えず、一回やっとくか。朔也、昨日のバニーの制服って持ってるか?」 「……はい?」 なんでそうなるかと思ったが、今日はもう堂本さん言う事は、なんでも聞こうと思っていた。 朔也は事務所に置いてくるのもどうかと思って、持って帰ってきたバニーボーイの衣装に着替えた。 堂本さんは朔也をダイニングテーブルの上に座らせてその姿を堪能した。 満足そうに巾着の上から朔也の敏感なモノを揉みしだいた。 朔也も十分その気になっていたところで堂本さんの手が止まった。 「……毛……毛がない……」 首から下の毛を全て処理したことをすっかり忘れていた。 その夜、堂本さんにむしゃぶりつかれた朔也は、腰が立たないほど激しく愛されまくったのだった。

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