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11.イヤ?※(4)
さらに内部を押し広げる感覚があった。
もう一本指を入れられたのだと気がついて、颯斗は善の衣服を掴む手に力を込めた。
善は緩やかに腰を前後し始めて、颯斗が口を離すことを拒んでいるようだ。自分の動きに反して口内を行き来する善の性器が、硬く熱く、颯斗の口蓋を擦っている。
後孔と口内をいっぺんに嬲られ、颯斗は涙で潤んだ瞳を持ち上げた。
善はこちらを見下ろしながら、相変わらず恍惚とした笑みを浮かべている。その表情には恐怖すら感じるというのに、その一方で信じられないほどに魅力的だ。颯斗は視線を逸らすことができないまま、善を見上げていた。
入り込んだ二本の指が動きを早め、くちゅくちゅと卑猥な音を大きくした。内壁を掻かれ、背筋をびくつかせながら、颯斗は息苦しさからまた咥えていた性器から口を離してしまう。
「あ、せんぱい、それ、い、イヤです……やめ、やめてください」
「バーカ、お仕置きだっていってんだろ?」
「んっ……あ、ひ、ひどっ、イヤって言ってるのに」
ついに颯斗はその感覚に耐えかねて、シーツの上に肘をついた。
感じたことのない不安と鋭敏な感覚に、指先はシーツを握りしめている。
「イヤって言えとは言ったけど、言ったらやめるとは言ってないからな?」
「んっ……あっ、ぅぅっ……」
颯斗はみじろぎ、後ろ手に善の腕を掴んだ。
腰を引いて無理やり指を引き抜くと、逃げるように体を反転させて、枕を掴む。善に腕を掴まれ引き寄せられるが、颯斗は咄嗟に善の顔に枕を投げつけた。
「おい、こら、逃げんなって」
「うっ、せんぱい……こわいっ、イヤだ」
許しを乞うように懇願したが、善は容赦なくうつ伏せに蹲った颯斗の体に覆い被さると、押さえつけるように腕を回した。
反対の手は尻を滑り、また後孔に指先が沈んでいく。
「んっ、ぁっあ!」
「怖がんなって、痛くないだろ?」
「んっ、イ、それやだ、変です……なんか変でイヤだ」
顔を伏せたまま、颯斗はシーツを握りしめた。
イヤだと懇願しても、善の指先は颯斗の中を嬲り続けている。小刻みに内壁を掻かれ、時に広げるように指をチグハグに動かされて、颯斗はその感覚に都度息を漏らして体を跳ね上げた。
「イヤッていうわりに、またこっち勃ってるけど? 興奮してんじゃん」
「んっ、あぁっ!」
背後から回された腕が再び颯斗の陰茎を握った。
内部と先端を同時に弄られ、逃げ場のない感覚から腰がむず痒く疼いている。
「腰上げて、Down 」
善のコマンドに身を委ねると、快楽が颯斗の中に溢れていく。
言われるがまま腰を上げて顔をシーツに伏せると、善の手元はより一層小刻みに動きを早め、卑猥な音を大きくした。
陰茎を握る手はきつく締まり、内部を搔く指先は、颯斗のたまらないところを執拗についている。
「あっ、んっ……ぅっ……ヤダ、またイッちゃうっ……せんぱい、まって……ぁっ……」
「すげぇなおまえ、ここ、こんなに狭くて俺の指めちゃくちゃ締め付けてくる」
耳元で善が言った。
背中に体温を感じ、頭の奥が甘く溶けていきそうだ。
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