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11.イヤ?※(5)
また絶頂を迎える手前で、善の手元が緩んでいく。
善の両手が颯斗の尻を掴むと、親指で尻たぶを掻き分け広げている。
「あ、は、恥ずかしいっ……」
颯斗は身じろぐが、先ほどのコマンドが脳裏にチラつき体制を崩せないでいた。善は観察するかのように、親指を中に出し入れしながらわざとらしく音を鳴らしている。
「これさ、入るかな」
「んっ……あっ、な、なに……」
「無理かな、めっちゃ狭いし」
颯斗は恐る恐る肩越しに振り返る。尻を見下ろしていた善は颯斗の視線に気がつくと、ゆっくりとその体を重ねるように颯斗の背中に覆い被さった。
「ひっ!」
後孔の入り口に熱いものが押し当てられる。それが何か理解して、颯斗は体をこわばらせた。
「やってみていい?」
耳元で善が囁く。頭の奥が痺れるほどに甘い声だ。
「あっ、せ、せんぱいっ……」
喉奥が震えた。
善の先端がくちゅりと音を鳴らして入口を僅かに掻き分けた。
「いいよな? なあ、颯斗」
「あっ、せ、んぱいっ……こ、怖いです」
颯斗はシーツを握りしめ、涙を流しながら顔を伏せた。
「怖くないって、みんなやってるし」
「んっ……うぅっ……」
先端がじわじわとこじ開けていく。
皮膚が引っ張られるような感覚があり、それが少しずつ痛みに変わっていく。
「なあ、颯斗。ダメ?」
善が耳たぶを食んだ。
舌がいやらしく穴を舐める。背筋はゾクゾクと粟立つが、しかし確かに感じる恐怖で颯斗は強く目を瞑った。
逃げたい、でも、逃げられない。このまま支配されてしまいたい。
感情が入り乱れ、そのままシーツを強く握り「怖い……」と小さない声で絞り出すのがやっとだった。
善が首筋に唇を当てた。押し当てられていた先端が、ゆっくりと裏筋を滑っていく。
「颯斗、脚閉じて」
そう言って腰を抱え上げられて、颯斗は促されるまま善の先端を挟み込んで脚を閉じた。
ドロリとしたローションと共に、熱い善の性器が颯斗の性器の裏筋を擦る。皮膚がぶつかる音が室内に小刻みに響き渡った。
「あっ、せんぱっ……」
「なんだよ、怖くないだろ?」
「うっんっ……」
「どした、いい声出して」
腰を打ちつけながら、善が耳元で囁いている。
「気持ちいい?」
「あ、は……いっ……んっ……」
「Say 」
「んっ、は、あっ……せんぱいの擦れて、気持ちいいっです……」
擦れた部分が熱く、じわじわと快感を高めていく。
心地よくて体全体が溶けてしまいそうだ。無意識に股の間が力み、もう触れられていない後孔が疼いてひくついた。
「あっ……んっ、せんぱい、イキそっ……ぅ」
「ん、俺も」
「ぁっ……」
「颯斗、Cum 」
善の紡いだそのコマンドの直後、体の中心に一気に熱が登っていく。颯斗は小刻みに震えながら体をこわばらせた。
「んっ、あぁっ……‼︎」
先端から発せられた白濁が、同時に達した善のものと混ざり合い、シーツの上に溢れていく。
快感の後の余韻に息をあげながら、颯斗の体はベッドの上に崩れ落ちていった。
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