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20.トイプードル※(3)

 その腕と言葉に促されながら、颯斗は体を善に寄せた。太腿を引き寄せるようにした善の目の前に颯斗の性器が差し出されている。 「口塞がないで、両手で俺の肩掴んで」 「あっ、で、でも……声がっぁっ!」  颯斗が言い終わるより前に、善の唇が颯斗の先端に吸い付いた。舌先が先走りを舐め取りながら、鬼頭の割れ目を辿っている。  見下ろした先のその光景に颯斗は言葉を失ったが、追い打ちをかけるような背後を弄る善の指の動きに、やはり耐えかねて息が上がっていく。 「あ、まっ……んっ……い、一緒には……ダメで、す」  腰を引けば指先が深く食い込んで、前に逃れれば善の口が颯斗を根元まで咥え込んだ。  どちらにも逃げられないまま、縋り付くように善の肩を掴み、颯斗は浅い呼吸を繰り返した。 「ぁっ……イッ……きそ……ひぎゃっ!」  慣れない過度な快感に、すぐに溢れ出しそうになった颯斗の陰茎を罰するように善が突然歯を立てた。 「いっ……痛い……ひ、ひどっ……な、なんでっ」  痛みに驚き、絶頂が遠のいていく。  そのむず痒さに、颯斗は泣き言みたいな声を上げた。 「許可してないだろ」 「んっ……そ、そんなっ……あっ」  その間も善の指は内壁を解しながら、内部のしこりを刺激した。  その度に颯斗の体は小さく跳ねるので、おそらく善はそこが颯斗の堪らない場所だと把握したのだろう。   舌先は先ほど歯を立てた部分を宥めるようにいやらしくたどりながら、指は執拗に内部のしこりを攻め立てている。  背後の水音が激しくなると、また善は颯斗の陰茎を咥え込んだ。裏筋に舌を這わせて吸い込むように圧力をかけてピストンされると、欲望を吸い上げられるかのようなビリビリとした感覚が先端に走る。 「あっ……ダメです、我慢……できない、せんぱいっ! や、やめてっ!」  颯斗は焦り善の前髪を掴んだ。  もう一方の手で肩を押して必死に体を離そうと試みたものの、その行為は間に合わず、口から引き抜かれた颯斗の性器から溢れ出した白濁が善の顔面に掛かった。 「あっ、あぁぁぁ! す、すみません! ごめんなさい!」  善の動きが一瞬止まり、颯斗は慌ててかろうじて羽織っていたバスローブを善の顔に押し当てた。 「ごめんなさい、すみません、すみません!」  壊れたみたいに謝りながら、颯斗はバスローブと自らの手のひらで、善の顔面を拭った。  達したばかりの余韻も相まって頬は紅潮し、善の言う通りにできなかったというSub性の不完全燃焼が颯斗の目元に込み上げている。  善が颯斗の腕を掴んだ。  引き寄せられた颯斗の体は仰向けにベッドに押し倒されて、その後頭部が枕に埋まった。  覆い被さった善の瞳がこちらを見下ろしている。  感情が読み取れない。指示を聞けなかったことを咎められるのではないか、と颯斗は本能的に震え上がった。 「おまえさ」 「あ、ご、ごめっ……ごめんなさい」 「慣れてるって言う割にイくの早すぎ」 「うぅっ……ごめんなさいっ」  颯斗は手のひらで顔を覆った。 「そんでさ、ヤリまくってるっていうくせに、ここの奥のとこ」 「あっ……あぁっ!」  再び二本の指を深く入れ込まれ、掻き回すように内壁を撫でられた。颯斗は堪えきれずに声を上げる。 「使ったことないみたいに、狭いけど」 「んっ……ちがっ、ちがいます……」  善の指先がしこりを嬲る。颯斗はその刺激に腰を跳ね上げた。 「あっ……んっん……」  水音が室内に響く。

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