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16 だから一生のお願い、その二!

「そうなの! 今どきの猫種獣人の男はしなやかでほっそりした王子様体型が多いけど、深森はがっしり筋肉質でかつ、王様みたいに堂々とした体型してるでしょ? すごく凛々しくて格好よくて、そういうとこも似てるし、サッカーでキーパーしてる時、誰より俊敏で力強く跳躍して強烈なシュートも猫パンチで弾き返す、雄々しい姿も似てる」 「猫パンチ……」 「それに見た目だけじゃなくて、俺を見つめる目が穏やかでいつも優しくて、他の誰より俺にだけさりげなく甘えてくれて、俺が落ち込んでると静かに寄り添ってくれて、そういうとこ、全部すごく好きなんだ!」 「……」   また黙ってしまった深森だが、言葉よりも時に雄弁な尻尾がゆらり、ゆら~りと機嫌よさげに揺れていた。 (しまった。これじゃ俺がまるで……)   卯乃はかあっと頬を赤らめた。まるで深森自身に熱っぽく求愛しているような気分になってしまったからだ。 (いや、実際、深森のそういうとこ、好ましいとは思ってるから嘘じゃないか)  卯乃はなんだか猛烈に照れてしまって、もじもじとショートパンツから飛び出したふわふわ短い尻尾を振っていた。すると沈黙をあえて破るように深森が静かに呟いた。 「確かに俺は長毛種で目の色も明るいグリーンだ。毛も赤銅色で黒の縞が入ってる。……いわれてみれば似ているな。本性の姿を映した写真は子供の頃のものしかないから、今が似てるかどうか確証はないが」 「ぜったい、似てると思う!」  卯乃はすぐさま膝で後ろにずり下がると、柔らかな耳が一瞬ふわっと浮くほど深々と、深森に向かって頭を下げた。 「だから一生のお願い、その二! 今晩本性明かした姿でオレの隣で眠って下さい」 「はあ? お前正気か?」  こっくりと頷いた卯乃の両肩をがしっと痛いほどの力で握りしめ、深森は卯乃の頭を無理やりあげさせ、ぎらりと煌めく視線を合わせてきた。 「おい、本当に分かってんのか? 成獣が本性を現すのは番か家族か、恋人の前だけだぞ?」 「し、知ってる。……でも、今、深森恋人いないんでしょ? ダメかな?」  ならば迷惑をかけることはないはずだ。  一度だけどうしても本性の姿を見てみたい。そうしたら元気なころのニャニャモが卯乃の元に戻ってきてくれたような、この上なく素晴らしい気持ちになれるはずなのだから。  深森の尻尾が途端にゆらゆらとせわしなく揺れ始めた。  ぴくぴくっとした耳も可愛くて思わず手を伸ばしかけたら、その手をはしっと掴まれる。あまりに強い力にびっくりしてまじまじと深森を見つめてしまった。 「お前はそれでいいのか?」 「それでって……?」

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